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今年は2体、月御門閻魔の死相、まずは1体
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鎮魂祭が終わった翌日の夜8時30分。
つまりはその日の昼3時に皇居に呼び出されて吽軍の一部の指揮権を白鳳院君康に譲ったばかりなのにその君康が死んで、またしても青夜は皇居に呼び出されていた。
だが、今度、上座に座ったのは君清ではなく白鳳院令だった。
当然だ。
異能界の四柱家の1つ、吉備一族の棟梁、吉備桃矢が墜ちたのだから。
日本の緊急事態なので出ざざるを得ず、
「青夜、どうなってる? 『日本神話スサノオ』が墜ちるなど、こちらのスケジュールに一切ない国難だぞ」
つまりは令も『桃矢の死』を予見出来ていなかった訳だ。
『予知能力妨害』。
もしくは『運命干渉』。
この異能力は『突出した強者』には必ずと言っていいほど備わるので、別段『第六天魔王』が凄い訳ではないが、『第六天魔王』の残留思念である『その亡霊』にまで備わるとは誰も思ってはいなかった。
逆説も成立し、『予知能力妨害』が備わってる今年の『第六天魔王の亡霊』はそれだけの『突出した強者』であるとも言えた。
「正直言ってオレもです、御当主様。せっかく吉備のトップに『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首の討伐』を譲って一生恩に着せられるくらいの『貸し』を作ったのにこんなにあっさり死ぬなんて。あの人、70歳まで確実に吉備のトップに君臨していましたよね? あぁ~、もう最悪ですよ。お陰でオレが16歳の身空で日本の最強戦力なんですから。これから日本の総ての問題を御当主様に押し付けられると思うと・・・」
青夜はそう本音を吐露した。
青夜を正当に評価する令が確認するように、
「確認だが『スサノオの死』、掌握していなかったのだな?」
「はい。知っていたらこちらで手を打って回避しましたよ。鎮魂祭が終了して京都を発つ際の挨拶の時も・・・今から20時間くらい前かな? 桃矢さんに死相は全く出ていませんでしたから。おそらくですが『死のカウントダウン』無しの死です、今回のは」
「ふむ。さすがは『日本神話ヤマタノオロチ』の出現年の『第六天魔王の亡霊』という訳か。400年以上前の亡霊が祟ってくれる」
令はそう呟いてから、気持ちを切り替えて、
「青夜、日本の危機だ。『第六天魔王の亡霊』は必ず上から狙ってくるぞ。白鳳院、吉備と狙われたからな。おそらく次は月御門だ」
『そして東条院も。まあ、東条院は信長討伐後に興った家門だけど。お母様が言ってた『家を出ろ』ってこれも含まれてたのか?』と青夜は背筋を正した。
青夜自身が標的になる可能性もあり、さっさと『信長の亡霊』を駆逐しないと向こうがこちらを襲ってきて後手を踏む。
どうせやるなら後手よりも断然、先制攻撃の方が有利な訳で、青夜も討伐する気満々だったが、問題は相手の数だ。
「ですが、何体居るかもこちらは把握出来ておらず・・・・・・」
「ん? 2体だけであろう?」
令が聞き咎める中、青夜が深刻な顔で、
「オレもそう思いましたが、3人目や4人目が現れて訳が分からず・・・」
「違うぞ、青夜。今回のは『怨霊型』なだけだぞ」
と令に教えられて、稲妻が思考回路に走って、総てを理解した青夜が、
「つまり自在に他の人間に移れる訳ですか。それで3人同時のカラクリの謎が解けました。1人は抜け出て操っていただけだったのか。なるほど、考えてる」
それで人数の『カラクリ』も納得だが。
「それはそれで面倒だな」
『知ってて情報を出さなかった御当主様もだが。もしかして桃矢さん、御当主様が甥の君康様を始末する為に情報を出し惜しみした所為で無駄に死んだ?』とも内心で疑った。
「皇居秘蔵の『瓜切宗近』を貸し出す。今すぐ『亡霊』をどうにかせよ。『スサノオ』の『薄濃』など拙いに決まっているからな」
『瓜切』とは織田家の家紋『織田木瓜』を斬ったという意味で、400年前に『第六天魔王』織田信長を傷付けた名刀2本の内の1本だ。
だが、吉備桃矢の死の詳細をまだ知らない弱気の青夜が、
「えっ、まさか、それだけなのですか?」
「何がだ?」
「宝具の貸し出しですよ。相手は桃矢さんを殺ってるんですから、せめて宝具をもう2、3個・・・」
「吉備の棟梁は毒を盛られて弱ったところを狙われただけだ。『瓜切』だけでも十分だから安心して行ってこい」
「本当でしょうね、御当主様? ヤバくなったら逃げますからね、オレ」
「ああ、それで構わんから行ってこい」
「はっ」
こうして皇居での謁見は終わり、出撃する事となったのだった。
◇
そんな訳で新幹線で京都に出発だ。
『信長の亡霊』がどこにいるのかはわからないが、本家を構える月御門の当主の閻魔は京都に住んでいたので。
「で、どうして私まで向かわなきゃならないんだよ?」
皇軍で貸し切りの新幹線のグリーン車の座席でそう口を尖らせてるのは青龍大学の高等部の1年以組の関三宝兎だった。
恰好は私服でワンピース姿だ。
「日本の緊急事態だからね。強い異能力者は皇軍の権限でどんどん招集しないと」
と言った青夜がチラッと斜め後方に視線を向けると3年の柴咲金猿も座っていた。
『干支の巳』を持つ野々宮稲穂も本当は連れてきたかったが、宮内庁が皇居に招聘した後だったので無理だった。
「私よりも強い奴なんて山ほど居るだろうが、この日本には?」
「ギン様が亡霊を鬼と認識出来たらラッキーだし、確認の為にね」
「あのなぁ~」
「そうだ、雨武祭の方はどうだった? 女子の弓道部門と水術部門の両方で優勝したんでしょ? 強いの居た?」
「居る訳ないだろ。青夜と昨年中1で優勝した青夜の弟が欠席してたのに」
「弓道の方は?」
「ダメだな。弓道初心者の私に全員負けてるんだから」
「まあ、関羽は武神だからね」
そう言いながら青夜は『あれ? 三国志の時代はもうボウガンタイプの弩だよな? まっ、いいか』と一瞬疑問に思ったが流したのだった。
「それでも弓道は対戦じゃなくて的当てなんだからド真ん中に命中させろよって話だよ。つまらない」
「・・・ギン様、対戦相手にまで自分と同じ強さを求めるのは拙い傾向だよ」
「そうなのか?」
「うん。強いだけの悪い男に引っ掛かる前兆かもね」
「もう引っ掛かってるぞ、私。青夜ってとびっきり悪い男に」
「酷くない? 悪い男って」
そんな事を喋ってイチャイチャしながら京都へ移動したのだった。
◇
京都に到着して月御門の本家屋敷に到着した。
御所の傍、鬼門(北東)の方角にこれでもかと広大な屋敷があり、それだった。
日本屋敷と石垣が土台の塀だったので初見だと格式のある寺だと間違うくらいだ。
「青夜君、亡霊の討伐よろしくね」
と門前で出迎えた陰陽服で臨戦態勢の月御門閻魔の顔には死相がくっきりと浮かんでいた。
「うわぁ~、閻魔さん、その顔」
青夜が嫌そうな顔をする中、閻魔が、
「ああ、死相の事かい? 京都駅のホームで白鳳院の次々代様が殺された直後から出だしてね。まあ、青夜君が到着する前に殺されなかったんだから、まだ助かる見込みはあるらしいが。だから頼むね」
「余り過大な期待はしないで下さいよ。桃矢さんが殺られてるんですから。そうだ、連絡はありましたか、今暴れてる亡霊のタイプの?」
月御門の屋敷を案内する閻魔が、
「『怨霊型』の事なら聞いたよ。皇居阿軍の今日の昼間の討伐戦を目撃した記憶も確認した。怨霊型で間違いなかったよ。例年なら憑依者が討伐された時点で亡霊も霧散するのに、死んだ憑依者から隠れるみたいに3人目の憑依者にもう1つの亡霊も移っていたから。桃矢君にも困ったものだよ。亡霊の憑依者討伐をサボって側近の影武者を代理に立てて追討をさせるんだから。もし最初から本人が参戦していたら、その時点で負傷しながらも決着だったのに。まあ、知ってて教えなかった御前も人が悪いけどね」
「・・・」
「ん、聞こえなかった? 知ってて教えなかった御前も・・・」
「聞こえててスルーしたんですよ、最後のは」
「ははは、そちらは彼女さんかな、青夜君?」
三宝兎を見ながら閻魔が尋ね、青夜が、
「どう見えます?」
「青夜君の子供を2人産みそうだね。でも結婚はなしかな、側室結婚も含めて」
「月御門の御当主が言ったらその通りになりそうだから言わないで下さいよ」
青夜がそう苦笑し、三宝兎は『えっ、青夜と結婚出来ないの?』と深刻に受け止めた。
「ハハハ、それにしても『神気覚醒』したと噂の『金太郎』まで。助かるよ」
皇居吽軍の幹部の中に混ざる金猿を見て閻魔が言った。
「あれれ? もしかして閻魔さん、この日本の非常時に『怪我したり、憑依されたらいいのに』とか考えてません?」
青夜が呆れながら問うと、
「さすがにそこまでは考えてないよ。どうやって青夜君以上にお近付きになろうかとは考えてたけど」
などと笑いながら屋敷を歩いたのだった。
◇
青夜達が京都に到着して僅か10分後の事だった。
三宝兎が接近に悟る前に閻魔と青夜が敏感に感じて、閻魔は視線で、青夜は、
「全員、戦闘態勢。来るぞ、1人」
そう口頭で周囲に知らせて、御前から預かった『瓜切宗近』を持つ吉野桜太郎を見た。
青夜は剣技も出来る。
そして青夜は『いいトコ取り』が大好きだ。
だが、それは『楽して』だった。
ヤバイ相手と戦ってまで『いいトコ取り』なんてしたくはなく、部下に手柄を立てさせる上司のフリをして丸投げしていた。
青夜は今回、陣頭指揮だけのつもりだ。
月御門の本家屋敷の日本庭園の池には赤い橋まで架かってる。
光源は日本庭園に元からある結界効果のある灯籠と、設置された篝火。
全員が東西南北と警戒する中、閻魔がハッと頭上を見上げた瞬間、真上からソイツは高速で落下してきた。
京都白泉家の次期当主、白泉三晴だ。
無論、『第六天魔王の亡霊』に憑依されてて、今は強大な邪気を放っていたが、直前まではその邪気を抑える芸当くらいはしていた。
「マジかよ、コイツ? 接近に全く気付かなかったぞ? でも斬り甲斐はありそうだな、オラアアア」
桃の香りの鎧を纏った三宝兎が気で作った青龍偃月刀で斬り掛かり、金猿が、
「発気揚揚」
と神気を練って突進した。
だが、憑依する身体が馴染んだのか、
「邪魔だっ!」
三晴が片腕を振るうと凄い圧力の邪気が放たれて、
「キャアア」
接触もしていないのに迫った3メートルの地点で三宝兎は他の皇居吽軍の凄腕2人と一緒に吹き飛んだのだった。
だが、金猿は邪気では吹き飛ばずにそのまま突進して、
「はああああああああああああああああああああああああああっ!」
と神気を帯びた張り手を放つ。
織田信長は相撲好きでも知られる。
なので、
「『金太郎』か。どれ、どの程度か見てやろう」
と手を合わせるように邪気を込めた張り手を放った。
『第六天魔王の亡霊』に憑依された三晴の方は棒立ちでだ。
体格から見ても筋力量は金猿が倍以上、上回っていたが、張り手が激突して周囲に神気と邪気が混ざった衝撃波が広がる中、
「ぐああああ」
力負けをしたのは金猿の方だった。
それでも身体が1メートル押されてのけ反る程度だ。
「まだだぁぁぁっ!」
『土俵を割っていないからまだ負けてはいないぞ』との意味で金猿が叫んで更に突っ込んだが、
「ふん、『神気覚醒』した『金太郎』でこの程度か。白鳳院といい、今の時代はロクなのが・・・」
『第六天魔王の亡霊』が憑依した三晴がそう勝ち誇った瞬間だった。
ズブリッと背中を刺され、
「ぐおおおおっ!」
と苦しんだ。
背後を見れば死角より桜太郎が『瓜切宗近』で刺していた。
「・・・貴様、その刀・・・・・・まだそんなものが・・・」
と呻く中、横槍を入れられて動きを止めた金猿に、
「小僧、何をしているっ! さっさと『神気』をブチ込めっ! 相手は日本の敵『第六天魔王の亡霊』で格上だぞっ!」
桜太郎が叫び、
「邪魔だっ!」
三晴が肘鉄に邪気を込めて殴り、背後の桜太郎を吹き飛ばした。
だが、日本刀はそのまま身体を貫いており、
「うおおおおおおおっ!」
金猿が更に突っ込み、張り手を三晴の顔面に叩き付けた。
接触と同時に神気を叩き込む。
「ぐおおっ!」
今度は三晴が1メートル押し込まれた。
「このまま土俵の外まで落としてやるぞっ!」
金猿がそう叫び(金猿は頗る本気だったが)その子供っぽい挑発に乗ったのが『第六天魔王の亡霊』が憑依した三晴だった。
「生意気な。余に勝てるとでも思っているのか?」
三晴が膨大な邪気を練るが、ここは京都陰陽師のトップ、月御門の屋敷だ。
庭に居た高位陰陽師20人の結界がようやく完成して、
「チッ、邪気が散るっ!」
三晴が陰陽師達を睨む中、金猿が突っ込み、
「おらあああああああああっ!」
張り手を放ち、
「金太郎はいつの時代も・・・」
三晴も合わせるように張り手を放った。
張り手同士がまた激突して邪気の量の多い神気混じりの衝撃波を周囲に撒き散らしながら、陰陽師達に邪魔されて邪気は万全ではなかったが、それでも打ち勝ったのは三晴で、金猿の方が派手に吹き飛んだのだった。
今度は完敗で、7メートルは巨体が吹き飛び、池にドボンッと着水した。
「ふん、相撲で余に勝とうなど400年早いわ・・・ぐおおおおおおお」
勝ち誇った三晴が悲鳴を上げたのは背中から腹に突き刺さる日本刀の柄を握った者が居たからだ。
丸サングラスの少年、月御門の次期当主、閻鬼だった。
「急急如律令、『第六天魔王の魂を冥府に帰したまえ』」
「小僧っ!」
三晴が初めて片膝を突きながら、
「調子に乗るなぁぁぁぁぁっ!」
腕を振って邪気を放ち、閻鬼を吹き飛ばした。
「ハアハアハア・・・・・・ここまで疲弊させてくれるとは・・・・・・」
立ち上がった『第六天魔王の亡霊』が取り憑いた三晴がそれでも勝ち誇る中、
「時間だ」
と呟いたのは月御門閻魔だった。
直後に月御門の屋敷どころか京都の洛中に神聖な気が満ちた。
「ぐおおおお、これは・・・比叡山の・・・」
三晴が再び跪いた。
『織田信長の亡霊』1体を屠る為だけに比叡山が聖域結界を京都まで広げたのだ。
通常は白鳳院、またはそれ以上の人物からの要請でない限り比叡山は動かなかったが、『織田信長の亡霊』が絡んでるとなれば話は別だ。
過去に燃やされており放置して、また燃やされては敵わない。
徳の高い僧侶だらけなので大きな声では言わないが、まあ、過去の怨みも、そりゃあ、あった。
「さすがは信長公、良く御存知で」
閻魔が勝ち誇り、
「吽近衛中将、金斗石明唐」
青夜が失態を演じて白鳳院君康を京都駅の新幹線のホームで死なせた明唐を指名し、
「過分な配慮感謝します、閣下」
汚名を雪ぐチャンスを貰い、心より感謝した明唐が跪く三晴の背後に移動して、刺さった『瓜切宗近』を抜いて、そのまま白泉三晴の首を刎ねたのだった。
問題はその後だ。
通常の『第六天魔王の亡霊』なら、憑依者の死と共に亡霊も一緒に霧散して終わりだったが・・・
『怨霊型』は違う。
『くそぉぉぉぉっ!』
まだ生きており、白泉三晴の身体から顔を歪めたイケメンの面影のない織田信長の亡霊が抜け出てきた。
『第六天魔王殺し』に特化した瓜切宗近に斬られ、比叡山の聖域結界内に居るのに、原型を保つだけの力をまだ保持している。
やはり今年の『第六天魔王の亡霊』は相当強い。
夜空を飛んで逃げようとしたが、
「東条院陰陽道秘奥儀、火龍」
「月御門の守護神、鳳凰よ」
青夜と閻魔が放った陰陽道の火龍と鳳凰に焼かれて、
『ギャアアアアアア』
と悲鳴を上げて、ようやく第六天魔王の亡霊は消滅したのだった。
「・・・これでようやく1人? もう1人居るのか、大変だな」
青夜はそうひとりごち、閻魔の顔から死相が消えたのをチラ見で確認したのだった。
つまりはその日の昼3時に皇居に呼び出されて吽軍の一部の指揮権を白鳳院君康に譲ったばかりなのにその君康が死んで、またしても青夜は皇居に呼び出されていた。
だが、今度、上座に座ったのは君清ではなく白鳳院令だった。
当然だ。
異能界の四柱家の1つ、吉備一族の棟梁、吉備桃矢が墜ちたのだから。
日本の緊急事態なので出ざざるを得ず、
「青夜、どうなってる? 『日本神話スサノオ』が墜ちるなど、こちらのスケジュールに一切ない国難だぞ」
つまりは令も『桃矢の死』を予見出来ていなかった訳だ。
『予知能力妨害』。
もしくは『運命干渉』。
この異能力は『突出した強者』には必ずと言っていいほど備わるので、別段『第六天魔王』が凄い訳ではないが、『第六天魔王』の残留思念である『その亡霊』にまで備わるとは誰も思ってはいなかった。
逆説も成立し、『予知能力妨害』が備わってる今年の『第六天魔王の亡霊』はそれだけの『突出した強者』であるとも言えた。
「正直言ってオレもです、御当主様。せっかく吉備のトップに『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首の討伐』を譲って一生恩に着せられるくらいの『貸し』を作ったのにこんなにあっさり死ぬなんて。あの人、70歳まで確実に吉備のトップに君臨していましたよね? あぁ~、もう最悪ですよ。お陰でオレが16歳の身空で日本の最強戦力なんですから。これから日本の総ての問題を御当主様に押し付けられると思うと・・・」
青夜はそう本音を吐露した。
青夜を正当に評価する令が確認するように、
「確認だが『スサノオの死』、掌握していなかったのだな?」
「はい。知っていたらこちらで手を打って回避しましたよ。鎮魂祭が終了して京都を発つ際の挨拶の時も・・・今から20時間くらい前かな? 桃矢さんに死相は全く出ていませんでしたから。おそらくですが『死のカウントダウン』無しの死です、今回のは」
「ふむ。さすがは『日本神話ヤマタノオロチ』の出現年の『第六天魔王の亡霊』という訳か。400年以上前の亡霊が祟ってくれる」
令はそう呟いてから、気持ちを切り替えて、
「青夜、日本の危機だ。『第六天魔王の亡霊』は必ず上から狙ってくるぞ。白鳳院、吉備と狙われたからな。おそらく次は月御門だ」
『そして東条院も。まあ、東条院は信長討伐後に興った家門だけど。お母様が言ってた『家を出ろ』ってこれも含まれてたのか?』と青夜は背筋を正した。
青夜自身が標的になる可能性もあり、さっさと『信長の亡霊』を駆逐しないと向こうがこちらを襲ってきて後手を踏む。
どうせやるなら後手よりも断然、先制攻撃の方が有利な訳で、青夜も討伐する気満々だったが、問題は相手の数だ。
「ですが、何体居るかもこちらは把握出来ておらず・・・・・・」
「ん? 2体だけであろう?」
令が聞き咎める中、青夜が深刻な顔で、
「オレもそう思いましたが、3人目や4人目が現れて訳が分からず・・・」
「違うぞ、青夜。今回のは『怨霊型』なだけだぞ」
と令に教えられて、稲妻が思考回路に走って、総てを理解した青夜が、
「つまり自在に他の人間に移れる訳ですか。それで3人同時のカラクリの謎が解けました。1人は抜け出て操っていただけだったのか。なるほど、考えてる」
それで人数の『カラクリ』も納得だが。
「それはそれで面倒だな」
『知ってて情報を出さなかった御当主様もだが。もしかして桃矢さん、御当主様が甥の君康様を始末する為に情報を出し惜しみした所為で無駄に死んだ?』とも内心で疑った。
「皇居秘蔵の『瓜切宗近』を貸し出す。今すぐ『亡霊』をどうにかせよ。『スサノオ』の『薄濃』など拙いに決まっているからな」
『瓜切』とは織田家の家紋『織田木瓜』を斬ったという意味で、400年前に『第六天魔王』織田信長を傷付けた名刀2本の内の1本だ。
だが、吉備桃矢の死の詳細をまだ知らない弱気の青夜が、
「えっ、まさか、それだけなのですか?」
「何がだ?」
「宝具の貸し出しですよ。相手は桃矢さんを殺ってるんですから、せめて宝具をもう2、3個・・・」
「吉備の棟梁は毒を盛られて弱ったところを狙われただけだ。『瓜切』だけでも十分だから安心して行ってこい」
「本当でしょうね、御当主様? ヤバくなったら逃げますからね、オレ」
「ああ、それで構わんから行ってこい」
「はっ」
こうして皇居での謁見は終わり、出撃する事となったのだった。
◇
そんな訳で新幹線で京都に出発だ。
『信長の亡霊』がどこにいるのかはわからないが、本家を構える月御門の当主の閻魔は京都に住んでいたので。
「で、どうして私まで向かわなきゃならないんだよ?」
皇軍で貸し切りの新幹線のグリーン車の座席でそう口を尖らせてるのは青龍大学の高等部の1年以組の関三宝兎だった。
恰好は私服でワンピース姿だ。
「日本の緊急事態だからね。強い異能力者は皇軍の権限でどんどん招集しないと」
と言った青夜がチラッと斜め後方に視線を向けると3年の柴咲金猿も座っていた。
『干支の巳』を持つ野々宮稲穂も本当は連れてきたかったが、宮内庁が皇居に招聘した後だったので無理だった。
「私よりも強い奴なんて山ほど居るだろうが、この日本には?」
「ギン様が亡霊を鬼と認識出来たらラッキーだし、確認の為にね」
「あのなぁ~」
「そうだ、雨武祭の方はどうだった? 女子の弓道部門と水術部門の両方で優勝したんでしょ? 強いの居た?」
「居る訳ないだろ。青夜と昨年中1で優勝した青夜の弟が欠席してたのに」
「弓道の方は?」
「ダメだな。弓道初心者の私に全員負けてるんだから」
「まあ、関羽は武神だからね」
そう言いながら青夜は『あれ? 三国志の時代はもうボウガンタイプの弩だよな? まっ、いいか』と一瞬疑問に思ったが流したのだった。
「それでも弓道は対戦じゃなくて的当てなんだからド真ん中に命中させろよって話だよ。つまらない」
「・・・ギン様、対戦相手にまで自分と同じ強さを求めるのは拙い傾向だよ」
「そうなのか?」
「うん。強いだけの悪い男に引っ掛かる前兆かもね」
「もう引っ掛かってるぞ、私。青夜ってとびっきり悪い男に」
「酷くない? 悪い男って」
そんな事を喋ってイチャイチャしながら京都へ移動したのだった。
◇
京都に到着して月御門の本家屋敷に到着した。
御所の傍、鬼門(北東)の方角にこれでもかと広大な屋敷があり、それだった。
日本屋敷と石垣が土台の塀だったので初見だと格式のある寺だと間違うくらいだ。
「青夜君、亡霊の討伐よろしくね」
と門前で出迎えた陰陽服で臨戦態勢の月御門閻魔の顔には死相がくっきりと浮かんでいた。
「うわぁ~、閻魔さん、その顔」
青夜が嫌そうな顔をする中、閻魔が、
「ああ、死相の事かい? 京都駅のホームで白鳳院の次々代様が殺された直後から出だしてね。まあ、青夜君が到着する前に殺されなかったんだから、まだ助かる見込みはあるらしいが。だから頼むね」
「余り過大な期待はしないで下さいよ。桃矢さんが殺られてるんですから。そうだ、連絡はありましたか、今暴れてる亡霊のタイプの?」
月御門の屋敷を案内する閻魔が、
「『怨霊型』の事なら聞いたよ。皇居阿軍の今日の昼間の討伐戦を目撃した記憶も確認した。怨霊型で間違いなかったよ。例年なら憑依者が討伐された時点で亡霊も霧散するのに、死んだ憑依者から隠れるみたいに3人目の憑依者にもう1つの亡霊も移っていたから。桃矢君にも困ったものだよ。亡霊の憑依者討伐をサボって側近の影武者を代理に立てて追討をさせるんだから。もし最初から本人が参戦していたら、その時点で負傷しながらも決着だったのに。まあ、知ってて教えなかった御前も人が悪いけどね」
「・・・」
「ん、聞こえなかった? 知ってて教えなかった御前も・・・」
「聞こえててスルーしたんですよ、最後のは」
「ははは、そちらは彼女さんかな、青夜君?」
三宝兎を見ながら閻魔が尋ね、青夜が、
「どう見えます?」
「青夜君の子供を2人産みそうだね。でも結婚はなしかな、側室結婚も含めて」
「月御門の御当主が言ったらその通りになりそうだから言わないで下さいよ」
青夜がそう苦笑し、三宝兎は『えっ、青夜と結婚出来ないの?』と深刻に受け止めた。
「ハハハ、それにしても『神気覚醒』したと噂の『金太郎』まで。助かるよ」
皇居吽軍の幹部の中に混ざる金猿を見て閻魔が言った。
「あれれ? もしかして閻魔さん、この日本の非常時に『怪我したり、憑依されたらいいのに』とか考えてません?」
青夜が呆れながら問うと、
「さすがにそこまでは考えてないよ。どうやって青夜君以上にお近付きになろうかとは考えてたけど」
などと笑いながら屋敷を歩いたのだった。
◇
青夜達が京都に到着して僅か10分後の事だった。
三宝兎が接近に悟る前に閻魔と青夜が敏感に感じて、閻魔は視線で、青夜は、
「全員、戦闘態勢。来るぞ、1人」
そう口頭で周囲に知らせて、御前から預かった『瓜切宗近』を持つ吉野桜太郎を見た。
青夜は剣技も出来る。
そして青夜は『いいトコ取り』が大好きだ。
だが、それは『楽して』だった。
ヤバイ相手と戦ってまで『いいトコ取り』なんてしたくはなく、部下に手柄を立てさせる上司のフリをして丸投げしていた。
青夜は今回、陣頭指揮だけのつもりだ。
月御門の本家屋敷の日本庭園の池には赤い橋まで架かってる。
光源は日本庭園に元からある結界効果のある灯籠と、設置された篝火。
全員が東西南北と警戒する中、閻魔がハッと頭上を見上げた瞬間、真上からソイツは高速で落下してきた。
京都白泉家の次期当主、白泉三晴だ。
無論、『第六天魔王の亡霊』に憑依されてて、今は強大な邪気を放っていたが、直前まではその邪気を抑える芸当くらいはしていた。
「マジかよ、コイツ? 接近に全く気付かなかったぞ? でも斬り甲斐はありそうだな、オラアアア」
桃の香りの鎧を纏った三宝兎が気で作った青龍偃月刀で斬り掛かり、金猿が、
「発気揚揚」
と神気を練って突進した。
だが、憑依する身体が馴染んだのか、
「邪魔だっ!」
三晴が片腕を振るうと凄い圧力の邪気が放たれて、
「キャアア」
接触もしていないのに迫った3メートルの地点で三宝兎は他の皇居吽軍の凄腕2人と一緒に吹き飛んだのだった。
だが、金猿は邪気では吹き飛ばずにそのまま突進して、
「はああああああああああああああああああああああああああっ!」
と神気を帯びた張り手を放つ。
織田信長は相撲好きでも知られる。
なので、
「『金太郎』か。どれ、どの程度か見てやろう」
と手を合わせるように邪気を込めた張り手を放った。
『第六天魔王の亡霊』に憑依された三晴の方は棒立ちでだ。
体格から見ても筋力量は金猿が倍以上、上回っていたが、張り手が激突して周囲に神気と邪気が混ざった衝撃波が広がる中、
「ぐああああ」
力負けをしたのは金猿の方だった。
それでも身体が1メートル押されてのけ反る程度だ。
「まだだぁぁぁっ!」
『土俵を割っていないからまだ負けてはいないぞ』との意味で金猿が叫んで更に突っ込んだが、
「ふん、『神気覚醒』した『金太郎』でこの程度か。白鳳院といい、今の時代はロクなのが・・・」
『第六天魔王の亡霊』が憑依した三晴がそう勝ち誇った瞬間だった。
ズブリッと背中を刺され、
「ぐおおおおっ!」
と苦しんだ。
背後を見れば死角より桜太郎が『瓜切宗近』で刺していた。
「・・・貴様、その刀・・・・・・まだそんなものが・・・」
と呻く中、横槍を入れられて動きを止めた金猿に、
「小僧、何をしているっ! さっさと『神気』をブチ込めっ! 相手は日本の敵『第六天魔王の亡霊』で格上だぞっ!」
桜太郎が叫び、
「邪魔だっ!」
三晴が肘鉄に邪気を込めて殴り、背後の桜太郎を吹き飛ばした。
だが、日本刀はそのまま身体を貫いており、
「うおおおおおおおっ!」
金猿が更に突っ込み、張り手を三晴の顔面に叩き付けた。
接触と同時に神気を叩き込む。
「ぐおおっ!」
今度は三晴が1メートル押し込まれた。
「このまま土俵の外まで落としてやるぞっ!」
金猿がそう叫び(金猿は頗る本気だったが)その子供っぽい挑発に乗ったのが『第六天魔王の亡霊』が憑依した三晴だった。
「生意気な。余に勝てるとでも思っているのか?」
三晴が膨大な邪気を練るが、ここは京都陰陽師のトップ、月御門の屋敷だ。
庭に居た高位陰陽師20人の結界がようやく完成して、
「チッ、邪気が散るっ!」
三晴が陰陽師達を睨む中、金猿が突っ込み、
「おらあああああああああっ!」
張り手を放ち、
「金太郎はいつの時代も・・・」
三晴も合わせるように張り手を放った。
張り手同士がまた激突して邪気の量の多い神気混じりの衝撃波を周囲に撒き散らしながら、陰陽師達に邪魔されて邪気は万全ではなかったが、それでも打ち勝ったのは三晴で、金猿の方が派手に吹き飛んだのだった。
今度は完敗で、7メートルは巨体が吹き飛び、池にドボンッと着水した。
「ふん、相撲で余に勝とうなど400年早いわ・・・ぐおおおおおおお」
勝ち誇った三晴が悲鳴を上げたのは背中から腹に突き刺さる日本刀の柄を握った者が居たからだ。
丸サングラスの少年、月御門の次期当主、閻鬼だった。
「急急如律令、『第六天魔王の魂を冥府に帰したまえ』」
「小僧っ!」
三晴が初めて片膝を突きながら、
「調子に乗るなぁぁぁぁぁっ!」
腕を振って邪気を放ち、閻鬼を吹き飛ばした。
「ハアハアハア・・・・・・ここまで疲弊させてくれるとは・・・・・・」
立ち上がった『第六天魔王の亡霊』が取り憑いた三晴がそれでも勝ち誇る中、
「時間だ」
と呟いたのは月御門閻魔だった。
直後に月御門の屋敷どころか京都の洛中に神聖な気が満ちた。
「ぐおおおお、これは・・・比叡山の・・・」
三晴が再び跪いた。
『織田信長の亡霊』1体を屠る為だけに比叡山が聖域結界を京都まで広げたのだ。
通常は白鳳院、またはそれ以上の人物からの要請でない限り比叡山は動かなかったが、『織田信長の亡霊』が絡んでるとなれば話は別だ。
過去に燃やされており放置して、また燃やされては敵わない。
徳の高い僧侶だらけなので大きな声では言わないが、まあ、過去の怨みも、そりゃあ、あった。
「さすがは信長公、良く御存知で」
閻魔が勝ち誇り、
「吽近衛中将、金斗石明唐」
青夜が失態を演じて白鳳院君康を京都駅の新幹線のホームで死なせた明唐を指名し、
「過分な配慮感謝します、閣下」
汚名を雪ぐチャンスを貰い、心より感謝した明唐が跪く三晴の背後に移動して、刺さった『瓜切宗近』を抜いて、そのまま白泉三晴の首を刎ねたのだった。
問題はその後だ。
通常の『第六天魔王の亡霊』なら、憑依者の死と共に亡霊も一緒に霧散して終わりだったが・・・
『怨霊型』は違う。
『くそぉぉぉぉっ!』
まだ生きており、白泉三晴の身体から顔を歪めたイケメンの面影のない織田信長の亡霊が抜け出てきた。
『第六天魔王殺し』に特化した瓜切宗近に斬られ、比叡山の聖域結界内に居るのに、原型を保つだけの力をまだ保持している。
やはり今年の『第六天魔王の亡霊』は相当強い。
夜空を飛んで逃げようとしたが、
「東条院陰陽道秘奥儀、火龍」
「月御門の守護神、鳳凰よ」
青夜と閻魔が放った陰陽道の火龍と鳳凰に焼かれて、
『ギャアアアアアア』
と悲鳴を上げて、ようやく第六天魔王の亡霊は消滅したのだった。
「・・・これでようやく1人? もう1人居るのか、大変だな」
青夜はそうひとりごち、閻魔の顔から死相が消えたのをチラ見で確認したのだった。
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