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料亭『紅葉』でのお斎、落ち目の白泉家、金城からの出席打診
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まだ一狼の四十九日法要があった日だ。
法要の後は『お斎』で豪華な昼食が定番な訳だが、鴨川天士郎が帰るまで境内で待ってた田中家の娘達も合流して、その後、BB財団が出資してる高級料亭『紅葉』へ移動となった。
BB財団が料亭に出資してるのには金儲けの他に情報収集の狙いもある。
政治家や権力者と言えば料亭なので。
ペーパーカンパニーを噛ませず、個人的に日本人に出資してるので、意外とBB財団系とは知られていないし、海外の権力者も結構引っ掛かって重宝した。
そして田中家にはBB財団の日本支部の支配人のアンジェリカが居るのだ。
田中家は一番良い個室に通されていた。
料理を前に、愛が日本酒の入ったおちょこを片手に、
「では、想定外な事もあったけど、みんなの協力のお陰で無事、一狼さんの四十九日法要も終える事が出来たわ。一狼さんの冥福を祝って乾杯」
と乾杯の挨拶をしたのだった。
とは言っても、田中家の身内(とプラス1人)だけだったのだが。
喪服着物姿のハーフアメリカ人のアンジェリカが最終確認で、
「教会への出家はキャンセルでいいのね、ママ? 今日から行けるけど」
「ええ、仕方がないわ、お父様に勘付かれた以上は。青夜君、さっきはありがとね」
「いえいえ」
「それにしても、あのお墓は.・・・」
「何、葉月さん、まだ文句を言ってるの? 大人げないわよ」
と普段通りの食事となった訳だが、6月の高級料亭だ。
料理に鮎が出ており、これに苦戦するのが葉月だった。
ハーフのアンジェリカは箸を完璧に使いこなし、鮎の身も綺麗に解して食べている。
「葉月、こうよ」
隣で弥生が葉月に鮎の食べ方を教えていた。
愛もシャンリーも鮎を食べれてる。
そして青夜はと言えば・・・・・・・
鮎は食べ慣れていたが、御存知、東条院のお坊ちゃんなので毒味役が居り、今も座敷に同席して、青夜の横で鮎を解したり、料理の一部を毒見したりしてた。
毒見役の名前は毒伏勝男。
49歳、172センチ、黒髪のオールバックで頬が少し痩けた中年だった。
恰好は量販店のスーツ姿で、会社員というよりは市役所勤めが似合ってそうな男だ。
温和な人物だが、凝り性な職人タイプなのか、現在は左手で持った大きなルーペで鮎を見ながら右手の箸で鮎の身を解していた。
「さすがに警戒し過ぎなんじゃないの?」
呆れたシャンリーがそう笑う中、毒見役の勝男が、
「いえ、青夜様はこれまでも何度となく毒殺の危険に晒されており・・・」
「そうなの? 大変なのね、東条院ってやっぱり」
葉月が呆れる中、勝男の、
「現に皆様のお料理からも妙な取り合わせのハーブの匂いがしておりますし・・・」
その一言で、料理を口に運ぶ全員の箸の動きが止まった。
「毒伏、そうなのか?」
青夜が探るように問うと、
「ああ、お気になされずにお食事をお楽しみ下さい。ただの邪気祓いだと思いますので。法要の後だという事で料亭側が気を使ったのでしょう」
「紛らわしい事を言わないようにな、毒伏」
「申し訳ございません・・・終わりました、どうぞ、若様」
「ありがと」
そう言って青夜は食べ始め、
「では失礼します」
勝男は部屋を出て廊下で正座で一礼して襖を閉めていった。
家族になって2か月が過ぎた訳だが、青夜はまだまだ田中家の家族の事を存外知らないらしい。
料亭『紅葉』で、毒見役の勝男が退室すると同時に、
「ようやく出ていってくれたわ。私、もうダメ」
他人が居たので正座を我慢していた夏服制服のシャンリーが行儀悪く足を投げ出した。
それを見て愛が呆れながら、
「シャンリーちゃん、はしたないわよ。スカートなのに」
「いやいや、正座なんて無理だから」
そう、シャンリーは正座が出来ない日本人だった。
正確には中国人とのハーフだったが。
「だらしないわね、シャンリーは」
金髪で外国人の外見のアンジェリカが勝ち誇り、
「アンは日本人被れなだけでしょ?」
シャンリーはそう口を尖らせ、青夜は内心で、
(アンは正座が出来て、シャンリーは正座が出来ないんだぁ~)
と思ったのだった。
◇
5月下旬の田中邸の襲撃騒ぎの三族処刑によって青夜を狙う者はもう居なくなった。
例え、青夜がどんなにムカつこうともだ。
異能公家の重鎮でさえ『島流し』の目に遭い、異能界で名を馳せた人間国宝を始めとした重鎮は自決、重鎮の三族も温情なく処刑されているのだから。
もう怖くて狙えない。
それはアメリカを嫌い、アンジェリカを狙っていた右翼思想の者達にも言えた。
アンジェリカは青夜の義理の姉なのだ。
下手に義弟の青夜に飛び火して、面倒な事になるのは御免だ。
皆、自分の身が可愛いのだから。
このように周囲が黙り、畏怖するのは青夜が見える形で勝ち続けてるからに他ならない。
つまりは『勝ち馬に乗る』という奴だ。
まあ、乗るのが遅くて被害は甚大だったが。
それでもどうにかみんな勝ち馬に乗り始めた。
では、負けた側はどうなってるのかと言えば・・・・・・
◇
6月と言えば『ジューンブライド』だ。
『ジューンブライド』とは『6月の結婚』を意味し、6月に結婚式を行うと『一生幸せな結婚生活を送れる』とされており、それが梅雨時は結婚式が少ない日本にも伝わって馬鹿みたいに有り難がられている訳だが・・・・・・
異能力のある世界だ。
なので本当に他の『月』に結婚式を挙げるよりも幸せになれた。
キリスト教式はもちろん、神前式や和式の結婚式であろうと。
厳密には『他の月の結婚式よりも少しだけ家庭に祝福や幸運が舞い込んだ』だが。
そして田中一狼の四十九日法要があった日は何の因果か『大安』の日だった。
つまりは大安吉日だ。
その日に結婚式を挙げると縁起が良いとされてる訳だが・・・
千葉県、愛知県、宮城県で、この日、突然延期となった結婚式が3つあった。
結婚式が延期になる事は、まあ、珍しいと言えば珍しいが事故や病気での入院、『マリッジブルー』が悪化して延期となるケースも無くはない。
だが、この3つの延期となった結婚式には共通点があった。
結婚する片側の家名が『白泉』だったのだ。
そう、都内の公家界で明らかに失脚した白泉冷一が当主を務めていた白泉家の地方分家筋に当たる氏族達で、地方で名士面をして偉そうにしていた訳だが、都内の公家界で本家が失脚。
その煽りを受けて『白鳳院を怒らせた』『白泉はもう終わりだ』『関係を持つとこちらまで巻き込まれるぞ』との噂が広がり、結婚が取り止めになる事態にまで陥っていた。
結婚式のキャンセルだけでは済まず『泣きっ面に蜂』と言わんばかりに落ち目の白泉家に更なる不運が襲い掛かり、白泉家は本家分家を問わずに断絶となる訳だが、それは、まあ、後日談だ。
◇
義父の四十九日法要日のあった日に田中邸に藤名金城が訪ねてきたので『何事か』と警戒した青夜は白泉家の地方分家の話を聞いて、
「へぇ~、白泉家も大変だなぁ~」
他人事ような感想を述べていた。
「白鳳院の御前はどうしてあんなに傍系の白泉家に対して怒られているのです?」
「オレに聞かず、御前に直接聞いてくれよ」
青夜がさらっととぼける中、金城は『まあ、そちらはどうでもいいですが』と前置きしてから、
「田中一狼の命日の2日後は先代の命日ですよね?」
わざわざ訪問した目的を告げた。
「だろうな。義父の葬儀の日に死んだんだから」
「親の法要に子供が出席する事ほど親孝行な事はありませんよね」
「戸籍上はもう赤の他人だったはずだが?」
青夜はそうとぼけたが、
「義父の四十九日法要に出席して、実父の四十九日法要に欠席なんて事はありませんよな、若様?」
「紙人形を出すさ」
「若様、青福寺は宗家屋敷ではございませんよ?」
「ジイ、オレは死にたくないんだよ」
金城の追及に、青夜は本音を口にした。
「知っております。確認なのですが貴子様は厳密には何と?」
「東条院から出ろだよ。オレは当時子供だったからな。分かりやすく『関わるな』って意味のニュアンスで言ったと思うが」
「もう若様の死相は完全に消えてるように見受けられますが?」
「そんなの断言出来ないだろ。不意に死相が現れるかもしれないし」
「ですが・・・」
まだ金城が何かを言おうとしたので、
「よし、分かった。そこまで言うなら代参にママを出すよ」
青夜が名案だとばかりにそう手を打った。
「はあ?」
「義理の母親だよ。それでいいだろ? さっき貸しを作ったところだから快くOKしてくれると思うんだよねぇ~」
「若様、逆効果かと。あのような美しい鴨川の姫を代参なんかに立てたら妻候補かと噂が立って大変ですから」
「そう? なら姉の・・・」
「若様が御自身で出席して下さい」
「ヤダ」
「そう言わずに」
「緑子と青刃と青花が出席するんだから、それでいいだろ?」
「副宗家が欠席では妙な噂が立つやも知れませんから」
「具体的には?」
「東条院の宗家当主になれずに先代を怨んでるとか」
真面目に言う金城に対して、
「ないない」
青夜が鼻で笑う中、
「若様の事を知らない者からすれば四十九日法要まで欠席されればそう見えるかと」
「アホらし」
「ともかく四十九日法要は出席という事で頼みましたからな」
「だから、行かないって」
「そこを曲げて」
「ヤダよ」
その後も青夜と金城の言い合いは長々と続き、青夜は絶対に出席するつもりはなかったのだが・・・
法要の後は『お斎』で豪華な昼食が定番な訳だが、鴨川天士郎が帰るまで境内で待ってた田中家の娘達も合流して、その後、BB財団が出資してる高級料亭『紅葉』へ移動となった。
BB財団が料亭に出資してるのには金儲けの他に情報収集の狙いもある。
政治家や権力者と言えば料亭なので。
ペーパーカンパニーを噛ませず、個人的に日本人に出資してるので、意外とBB財団系とは知られていないし、海外の権力者も結構引っ掛かって重宝した。
そして田中家にはBB財団の日本支部の支配人のアンジェリカが居るのだ。
田中家は一番良い個室に通されていた。
料理を前に、愛が日本酒の入ったおちょこを片手に、
「では、想定外な事もあったけど、みんなの協力のお陰で無事、一狼さんの四十九日法要も終える事が出来たわ。一狼さんの冥福を祝って乾杯」
と乾杯の挨拶をしたのだった。
とは言っても、田中家の身内(とプラス1人)だけだったのだが。
喪服着物姿のハーフアメリカ人のアンジェリカが最終確認で、
「教会への出家はキャンセルでいいのね、ママ? 今日から行けるけど」
「ええ、仕方がないわ、お父様に勘付かれた以上は。青夜君、さっきはありがとね」
「いえいえ」
「それにしても、あのお墓は.・・・」
「何、葉月さん、まだ文句を言ってるの? 大人げないわよ」
と普段通りの食事となった訳だが、6月の高級料亭だ。
料理に鮎が出ており、これに苦戦するのが葉月だった。
ハーフのアンジェリカは箸を完璧に使いこなし、鮎の身も綺麗に解して食べている。
「葉月、こうよ」
隣で弥生が葉月に鮎の食べ方を教えていた。
愛もシャンリーも鮎を食べれてる。
そして青夜はと言えば・・・・・・・
鮎は食べ慣れていたが、御存知、東条院のお坊ちゃんなので毒味役が居り、今も座敷に同席して、青夜の横で鮎を解したり、料理の一部を毒見したりしてた。
毒見役の名前は毒伏勝男。
49歳、172センチ、黒髪のオールバックで頬が少し痩けた中年だった。
恰好は量販店のスーツ姿で、会社員というよりは市役所勤めが似合ってそうな男だ。
温和な人物だが、凝り性な職人タイプなのか、現在は左手で持った大きなルーペで鮎を見ながら右手の箸で鮎の身を解していた。
「さすがに警戒し過ぎなんじゃないの?」
呆れたシャンリーがそう笑う中、毒見役の勝男が、
「いえ、青夜様はこれまでも何度となく毒殺の危険に晒されており・・・」
「そうなの? 大変なのね、東条院ってやっぱり」
葉月が呆れる中、勝男の、
「現に皆様のお料理からも妙な取り合わせのハーブの匂いがしておりますし・・・」
その一言で、料理を口に運ぶ全員の箸の動きが止まった。
「毒伏、そうなのか?」
青夜が探るように問うと、
「ああ、お気になされずにお食事をお楽しみ下さい。ただの邪気祓いだと思いますので。法要の後だという事で料亭側が気を使ったのでしょう」
「紛らわしい事を言わないようにな、毒伏」
「申し訳ございません・・・終わりました、どうぞ、若様」
「ありがと」
そう言って青夜は食べ始め、
「では失礼します」
勝男は部屋を出て廊下で正座で一礼して襖を閉めていった。
家族になって2か月が過ぎた訳だが、青夜はまだまだ田中家の家族の事を存外知らないらしい。
料亭『紅葉』で、毒見役の勝男が退室すると同時に、
「ようやく出ていってくれたわ。私、もうダメ」
他人が居たので正座を我慢していた夏服制服のシャンリーが行儀悪く足を投げ出した。
それを見て愛が呆れながら、
「シャンリーちゃん、はしたないわよ。スカートなのに」
「いやいや、正座なんて無理だから」
そう、シャンリーは正座が出来ない日本人だった。
正確には中国人とのハーフだったが。
「だらしないわね、シャンリーは」
金髪で外国人の外見のアンジェリカが勝ち誇り、
「アンは日本人被れなだけでしょ?」
シャンリーはそう口を尖らせ、青夜は内心で、
(アンは正座が出来て、シャンリーは正座が出来ないんだぁ~)
と思ったのだった。
◇
5月下旬の田中邸の襲撃騒ぎの三族処刑によって青夜を狙う者はもう居なくなった。
例え、青夜がどんなにムカつこうともだ。
異能公家の重鎮でさえ『島流し』の目に遭い、異能界で名を馳せた人間国宝を始めとした重鎮は自決、重鎮の三族も温情なく処刑されているのだから。
もう怖くて狙えない。
それはアメリカを嫌い、アンジェリカを狙っていた右翼思想の者達にも言えた。
アンジェリカは青夜の義理の姉なのだ。
下手に義弟の青夜に飛び火して、面倒な事になるのは御免だ。
皆、自分の身が可愛いのだから。
このように周囲が黙り、畏怖するのは青夜が見える形で勝ち続けてるからに他ならない。
つまりは『勝ち馬に乗る』という奴だ。
まあ、乗るのが遅くて被害は甚大だったが。
それでもどうにかみんな勝ち馬に乗り始めた。
では、負けた側はどうなってるのかと言えば・・・・・・
◇
6月と言えば『ジューンブライド』だ。
『ジューンブライド』とは『6月の結婚』を意味し、6月に結婚式を行うと『一生幸せな結婚生活を送れる』とされており、それが梅雨時は結婚式が少ない日本にも伝わって馬鹿みたいに有り難がられている訳だが・・・・・・
異能力のある世界だ。
なので本当に他の『月』に結婚式を挙げるよりも幸せになれた。
キリスト教式はもちろん、神前式や和式の結婚式であろうと。
厳密には『他の月の結婚式よりも少しだけ家庭に祝福や幸運が舞い込んだ』だが。
そして田中一狼の四十九日法要があった日は何の因果か『大安』の日だった。
つまりは大安吉日だ。
その日に結婚式を挙げると縁起が良いとされてる訳だが・・・
千葉県、愛知県、宮城県で、この日、突然延期となった結婚式が3つあった。
結婚式が延期になる事は、まあ、珍しいと言えば珍しいが事故や病気での入院、『マリッジブルー』が悪化して延期となるケースも無くはない。
だが、この3つの延期となった結婚式には共通点があった。
結婚する片側の家名が『白泉』だったのだ。
そう、都内の公家界で明らかに失脚した白泉冷一が当主を務めていた白泉家の地方分家筋に当たる氏族達で、地方で名士面をして偉そうにしていた訳だが、都内の公家界で本家が失脚。
その煽りを受けて『白鳳院を怒らせた』『白泉はもう終わりだ』『関係を持つとこちらまで巻き込まれるぞ』との噂が広がり、結婚が取り止めになる事態にまで陥っていた。
結婚式のキャンセルだけでは済まず『泣きっ面に蜂』と言わんばかりに落ち目の白泉家に更なる不運が襲い掛かり、白泉家は本家分家を問わずに断絶となる訳だが、それは、まあ、後日談だ。
◇
義父の四十九日法要日のあった日に田中邸に藤名金城が訪ねてきたので『何事か』と警戒した青夜は白泉家の地方分家の話を聞いて、
「へぇ~、白泉家も大変だなぁ~」
他人事ような感想を述べていた。
「白鳳院の御前はどうしてあんなに傍系の白泉家に対して怒られているのです?」
「オレに聞かず、御前に直接聞いてくれよ」
青夜がさらっととぼける中、金城は『まあ、そちらはどうでもいいですが』と前置きしてから、
「田中一狼の命日の2日後は先代の命日ですよね?」
わざわざ訪問した目的を告げた。
「だろうな。義父の葬儀の日に死んだんだから」
「親の法要に子供が出席する事ほど親孝行な事はありませんよね」
「戸籍上はもう赤の他人だったはずだが?」
青夜はそうとぼけたが、
「義父の四十九日法要に出席して、実父の四十九日法要に欠席なんて事はありませんよな、若様?」
「紙人形を出すさ」
「若様、青福寺は宗家屋敷ではございませんよ?」
「ジイ、オレは死にたくないんだよ」
金城の追及に、青夜は本音を口にした。
「知っております。確認なのですが貴子様は厳密には何と?」
「東条院から出ろだよ。オレは当時子供だったからな。分かりやすく『関わるな』って意味のニュアンスで言ったと思うが」
「もう若様の死相は完全に消えてるように見受けられますが?」
「そんなの断言出来ないだろ。不意に死相が現れるかもしれないし」
「ですが・・・」
まだ金城が何かを言おうとしたので、
「よし、分かった。そこまで言うなら代参にママを出すよ」
青夜が名案だとばかりにそう手を打った。
「はあ?」
「義理の母親だよ。それでいいだろ? さっき貸しを作ったところだから快くOKしてくれると思うんだよねぇ~」
「若様、逆効果かと。あのような美しい鴨川の姫を代参なんかに立てたら妻候補かと噂が立って大変ですから」
「そう? なら姉の・・・」
「若様が御自身で出席して下さい」
「ヤダ」
「そう言わずに」
「緑子と青刃と青花が出席するんだから、それでいいだろ?」
「副宗家が欠席では妙な噂が立つやも知れませんから」
「具体的には?」
「東条院の宗家当主になれずに先代を怨んでるとか」
真面目に言う金城に対して、
「ないない」
青夜が鼻で笑う中、
「若様の事を知らない者からすれば四十九日法要まで欠席されればそう見えるかと」
「アホらし」
「ともかく四十九日法要は出席という事で頼みましたからな」
「だから、行かないって」
「そこを曲げて」
「ヤダよ」
その後も青夜と金城の言い合いは長々と続き、青夜は絶対に出席するつもりはなかったのだが・・・
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この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
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