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鴨川天士郎、天士郎の墓参り、3年の起請文
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法要の参列者と入れ替わるように愛染寺の正門を潜って入ってきた男は、年齢は47歳。身長は177センチ。髪は黒色の総髪で肩まで掛かる長さがあり、切れ長の眼をした涼やかな風貌の男だった。
細身でナイスミドルでもある。所作に気品もあった。
衣服はオシャレなスーツ姿だ。
境内の石畳を歩いてるが足音1つしない。
青夜は既にその男とは挨拶程度だが面識があった。
京都陰陽師、鴨川家27代目当主、天士郎。
つまりは愛の父親だ。
愛の前まで移動した天士郎が怒りたいのを我慢してぶっきらぼうに、
「帰るぞ、愛」
「ええっと・・・」
愛は眼を泳がせた。
愛は鴨川家のお嬢様だったにも関わらず、何も言わずに家出同然で実家から姿を消している。そればかりか、父親よりも年上で結婚歴7回の田中一狼と結婚していた。
当時19歳の身空でだ。
正直、愛としては父親に合わせる顔がなく、バツが悪い事この上なかったのだ。
「四十九日法要が終わるまで待ってやったんだ、異存はないよな?」
「青夜君、お願い」
愛が青夜の腕を取って話を振ると、天士郎が、
「白鳳院の御前から許可は貰ってある。東条院は黙ってて貰おう」
そう青夜に告げた。
青夜がキョトンとして、
「そうなんですか?」
「そうだ」
「ふ~ん、せっかく新しい家に引っ越したところだったけど今度は京都暮らしか。まあ、東条院は京都で興ったから一度住むのも悪くないかもね」
と青夜が自己完結して、笑いながら、
「これからよろしくお願いしますね、お義祖父ちゃん」
天士郎に挨拶すると、挨拶を受けた天士郎が怪訝な心情を片眉を軽く上げて表現しつつ、
「どういう意味だ?」
「えっ? 『子供達も一緒でいいから鴨川家に帰って来い』って事ですよね?」
青夜のその認識に天士郎が慌てて、
「待て。愛と一緒に付いてくる気か、おまえ?」
「だって、オレ、未成年ですし。ええっ、義理とはいえ、親と子を引き離すつもりだったんですか? なんて酷い事を。人としての情がないんですか? これだから京都の陰陽師連中は」
そう演技っぽく呆れた青夜が一転、冷淡に、
「で、白鳳院の御前は厳密には何と?」
「・・・忘れたな」
天士郎はそうとぼけたが、青夜の追及は止まらず、眼を細めて、
「御前の事だからどうせ笑いながら『ああ、好きにしてよかろう。但し、ワシは余りお勧めせんがな』程度だと思いますけど」
そう指摘した。
厳密には『娘を取り返したい気持ちは分からんでもないから止めはせんが。関わらん方がいいと思うぞ』というのが白鳳院令の言葉だったが。
「ふ~ん。まあ、引っ越しの手続き等々は閻魔さんに頼んだら楽勝だからいいか。今日からですか?」
青夜の前向き発言に(というか月御門の当主の名前の登場に)、
「待て。ハッタリは止めろ。おまえは東条院だから東京からは・・・」
と言い掛けて言葉を止めた。
『宗家』や『次期後継』ではなく『副宗家』だったからだ。
過去に東条院の副宗家が地方に住んだ例はある。
なので、天士郎が、
「吽近衛大将が東京から離れて住むなど聞いた事がないぞ」
「白鳳院の御前の許可が出てるんなら大丈夫ですって。ねえ?」
青夜がさらりと言い、天士郎が、
(拙い。こんな火薬庫のような男を京都に住まわせたら京都が火の海になるぞ。被害にもよるが招き入れた元凶となってしまったら鴨川家の京都での立場が・・・・・・)
『娘だけを連れて帰るのが不可能だ』と悟ると、目的を下方修正した。
「夢で娘に気付かれぬように接触したらアメリカ経由で『出家してシスターになる』との情報を得たが、せんよな、そんな事は?」
天士郎のその言葉には青夜が『嘘だな、さすがに。そうか。濡良理日代がここで絡む訳か』と理解し、父親がよっぽど怖いのか青夜の腕を離さずに掴んでる愛にアイコンタクトをして、愛も内心の動揺を見せず、
「ヤダわ。いったい誰の夢と間違ったの、お父様は? 出家してシスター? 尼僧じゃなくて? 意味が分からないのだけど?」
そう淀みなく否定した。
情報を得てる天士郎が、
「つまり、出家はしないんだな?」
「ええ、もちろん」
「死んだ男の次に、そこの義理の息子とやらと付き合うような事もしない?」
眼の前で娘が青夜と腕を組んでたので一応、天士郎が確認し、
「ええ、もちろん」
と愛は言ったが、青夜が天士郎に、
「それがお義祖父ちゃん、ボクの寝室に欲求不満のママが何度もやってきてベッドに潜り込んできて・・・・・・」
そう告げ口をした。
「全然違うからっ! ホテルでの事は部屋を純粋に間違えただけだからっ!」
愛が強く否定する中、天士郎が呆れながら、
「・・・付き合ったら鴨川の家に連れ戻すからな」
「ヤダな、お義祖父ちゃん。手を付けた瞬間にこのオレがママを手放す訳がないでしょうが」
青夜がそう笑った。
「つまり娘を恋愛対象として見ていると?」
「まさか。まだ白鳳院とのケリが付いてもいないのに」
邪推を鼻で笑って一蹴した。
「なら、どうして先程から妨害するんだ?」
との天士郎の疑問に、青夜が愛の背後を人差指で指差して、
「鴨川家の当主は確か眼が良かったはずだから、かすかに視えますよね?」
「つまらん異能力で娘を誑かし、死んでからも娘に纏わり付いてる最低男の事か?」
と天士郎が言った瞬間、一狼の幽体が居る事を知り、全員が注目した。
田中家の中では、
「えっ? 居るの、一狼さんの幽霊?」
愛以下、弥生、葉月は全く見えず、
「微かに何か居る気配はするけど」
アンジェリカは気配だけ察知する中、
「ぼやけた輪郭だけよ? お寺の中だから野良の幽霊だと思ったけど、本当にパパなの、これ?」
辛うじてシャンリーだけが視えていた。
「えっ、視えるの、シャンリー?」
「ええ、ギリ」
と娘達が会話を交わし、青夜はと言えば、
「ママを心配して無理して出てきたパパに免じてママを守ってるだけです。『田中愛には手を出すな』って事ですよ」
そう凄んだ。
『東条院の嫡子を怒らすのは拙い』と知ってる側の天士郎が、
「『出家しない』との起請文が貰えるのならば引き下がろう」
「四十九日法要に菩提寺まで足を運んで死んだ義理の息子の墓前で手も合わせない、ねぇ~。どれだけ京都人は礼儀知らずなんだかぁ~」
呆れ果てた様子で青夜がそう言葉を吐くと、天士郎が吐き捨てるように、
「手など合わせる訳がないだろうがっ! 娘を誑かした男の墓なんぞにっ!」
「なら、起請文はなしって事で」
「話にならんっ!」
「それはこっちのセリフですよ。『嘘でも手を合わせろ、起請文の話はその後に決まってるだろうが』ですよ」
青夜がそう不機嫌そうに言い放ってから笑顔を作って、
「ほら、『ぶぶ漬け文化』の京都人らしく、ねえ? 手を合わせましょうよ、1回くらい? 実はウチのパパのお墓、結構、見物でしてね。自慢したくって」
天士郎を誘った。
だが、よっぽど娘を奪った一狼の事を嫌ってるのか、
「ふざけるなっ! 帰らせて貰おうっ!」
背を向けて歩いていこうとし、青夜がその後ろ姿に、
「えっ? いいんですか、『出家しない』というママの起請文をこの場で手に入れなくて? ママの行動力は四十九日法要を終えた直後に現れた父親であるそちらの方が御存知だと思いましたけど。お義祖父ちゃんだから特別に教えますけど『今日だよ、ママの出家日』。つまり、このタイミングが唯一のチャンスだった訳です。それをフイにするなんて『ママの出家をお義祖父ちゃんも認めた』と世間に吹聴してもいいんですよね?」
と喋ってると、足が止まって、天士郎が戻ってきた。
憎々しげに青夜を睨みながら、
「手を合わせたら『出家しない』という起請文を愛に書かせるんだな?」
「えっ? そんな約束、誰がしたんです?」
青夜がとぼける中、天士郎が愛を見て、
「・・・まずは墓に手を合わそう。案内して貰おうか。愛と東条院に」
「えっ、オレも? ここは久しぶりっぽいので親子水入らずで・・・」
「青夜君も一緒に来て。お願い」
父親と2人っきりなど絶対に嫌な愛が助けを求め、天士郎の方も、
「おまえも来い。おまえが視界から消えると問題があるように思えてならないから」
「おまえだなんて他人行儀な。ママと一緒で『青夜君』でいいですよ」
一々癇に障る青夜の物言いにも、天士郎は忍耐強く我慢して、
「・・・青夜君も来なさい」
「はぁ~い、お義祖父ちゃん」
こうして正門を入った境内から墓地側へ戻る事となった。
◇
田中一狼之墓と刻まれた巨大な墓石を見て、天士郎が呆れながら、
「趣味が悪いぞ、青夜君」
「えっ、このセンスが分からないなんて・・・後、お墓をこれにしたのはオレじゃなくてママですよ。百提灯家の当主も噛んでますから言葉にはお気を付けを」
そう青夜に教えられて、娘の愛を横目で見て『はぁ~』と呆れながらも、京都人だから常備していたのか、それとも本当は最初から手を合わせるつもりだったのか、ポケットから大層立派な数珠を出して天士郎はお墓に手を合わせた。
ちゃんと2分間。
2分後、巨大な墓石の前で、
「さてと、『出家はしない』。いいな、愛?」
「その前に誰に聞いたの?」
愛が不機嫌そうに問う中、青夜が、
「えっ、濡良狸日代にママが喋ったんじゃないの?」
真相を言い当てて、
「そんな訳・・・ないに決まって・・・あれ? 嘘・・・喋ってる?」
消された記憶を青夜の言葉で思い出した愛が、
「ってか、お父様、まさか需良理と接触したの? 私から聞き出すように依頼した?」
「子供は知らんでいい」
「嘘、お父様が『ぬらりひょん』と取引しただなんて」
「人聞きの悪い事を言うな。別の人間を介してその情報が回ってきただけだ。誰が発信源かまでは知らん」
と吐き捨てた天士郎が、
「それよりも『起請文』だ、愛。いいな?」
「ええっと、出家して亡き夫への熱い想いを・・・」
「計画は露見したんだ、諦めろ」
と天士郎が冷たく諭し、口を滑らせた張本人の愛が甘えるように、
「青夜君があの時、あの女を倒さないからぁ~」
「いやいや、あの時は完全に『ぬらりひょん女』の勝ちゲームでオレも妹の襲撃情報を貰ったから」
責任転嫁された青夜は苦笑したのだった。
◇
愛染寺の本堂内にて、筆を借りて起請文を書く事となった。
起請文とは『神仏に誓う文書』な訳だが、異能力のある世界だ。
一般人が使う約束の証文とは次元が違い、最悪、寿命や魂、異能力に影響が出た。
当然、起請文の用紙にも強力な術式が施されている。
本来ならすぐに作成出来る代物ではなく用意出来ないと思いきや、青夜と天士郎は頗る優秀な為、青夜は4分、天士郎は10分で起請文の製作が可能だったが、
「オレが作りましょうか?」
「細工されたら敵わんのでこの寺のでいい」
そんな訳で、この愛染寺が異能系の寺院だったので起請文を常備しており、青夜と天士郎の確認後、机の前に正座してる愛の前に置かれたのだった。
異能界での起請文に対する認識は『誓いを立てるな』だが、どうしても起請文を書く事を迫られた際には、
守れる誓いしか立てるな。
年数制限を設けるのが望ましい。
それらが鉄則だったので、愛が起請文に誓いを立てた内容は、
田中愛は、
3年間、出家しない。
3年間、再婚しない。
3年間、鴨川家に戻らない。
以上の件に鴨川家が妨害や打診をした時点で起請文は効力を失う。
となった。
「何だ、愛。この3年というのは?」
天士郎の質問に、
「『三回忌』と『意思を継いで青夜君が成人になるまでは面倒を見る』という意思表示かしら? 再婚もする気なんてないし、別にいいわよね、お父様?」
一狼の名前を出したら父親が怒るので名を出さずに愛は答えた。
『再婚しない』の方は鴨川家が持ち込むであろう縁談話への予防対策だ。
本当は『一生』としたかったが、それだと父親の天士郎も納得しない。
『3年』はこの起請文の条件を天士郎に飲ます落とし所の年数だった。
愛は結婚してこの度、未亡人となったが、まだ21歳だ。
3年後は24歳で、起請文の効果が切れてから再婚しても十分人生をやり直せるのだから。
よって、
「まあ、よかろう」
天士郎もこの条件を飲み、愛が起請文に『名前』と『手形』を入れて効力を発揮させたのだった。
起請文を保管する為の、強固で、折り曲げない大きなサイズの特別な封筒に入れて、
「確かに預かった。実家は無理でもたまには京都まで顔を見せるようにな」
天士郎は愛に向かって言ったのだが、
「わかったよ、お義祖父ちゃん」
即答したのは青夜だった。
「青夜君には言っていない。愛に言ったんだ」
「ええぇ~、酷いなぁ~。義理とは言え、祖父と孫なんだからもう少し仲良くしてくれないと」
「・・・考えておこう。ではな」
そう言って、さっさと天士郎は本堂から出口へと通じる廊下を歩いていき、天士郎が居なくなってから、ようやくずっと臨戦態勢だった愛が息を吐いて、
「ありがとね、青夜君。守ってくれて」
「出てきたパパに免じて助けただけだよ」
「まだ居るの?」
「ううん、お義祖父ちゃんがお墓に手を合わせたら帰っていったよ」
「何か言ってた?」
「・・・『愛は喪服も似合うな』って」
青夜が興味無さそうに言ったが、愛が看破して追及するように、
「本当はなんて言ってたの? 怒らないから教えて全部。お願い、青夜君」
「・・・『着物の時はノーパンがいいって何度も言ったのに紐Tって。それも赤。そりゃあ確かに好きだった下着を穿いてオレを偲んでくれてる気持ちはありがたいが着物の下はノーパンだろ・・・ないわ』 『その点、亜月はノーパンでちゃんと分かってる』『マリコも喪服ドレスの下は黒パンツと黒ガーターだし』『ご近所さんに高貴なお姫様や未亡人が一杯だから、ニヒヒ』『シスターよりも尼僧だな、愛は』『えっ、御曹司には視えてたの。ヤバッ、愛じゃなくて、久しぶりのマリコのスカートの中にずっと居たの告げ口しないでくれよ』『手を合わせたって事はオレと愛の事を認めたって事だよな、愛のオヤジさんも? あれ、今睨まれたけど声も聞こえるのか、もしかして?』『じゃあ、後はよろしく』かな?」
青夜が仕方なく教えると、愛は呆れながらも懐かしそうに、
「もう、一狼さんったら。死んでも全然その性格、直ってないじゃないの」
「ってか、ママって喪服の下、赤の紐Tなの、今?」
「子供は知らなくていいのよ。そういう事は」
愛は無意識に天士郎と似たような事を言って青夜を窘めたのだった。
細身でナイスミドルでもある。所作に気品もあった。
衣服はオシャレなスーツ姿だ。
境内の石畳を歩いてるが足音1つしない。
青夜は既にその男とは挨拶程度だが面識があった。
京都陰陽師、鴨川家27代目当主、天士郎。
つまりは愛の父親だ。
愛の前まで移動した天士郎が怒りたいのを我慢してぶっきらぼうに、
「帰るぞ、愛」
「ええっと・・・」
愛は眼を泳がせた。
愛は鴨川家のお嬢様だったにも関わらず、何も言わずに家出同然で実家から姿を消している。そればかりか、父親よりも年上で結婚歴7回の田中一狼と結婚していた。
当時19歳の身空でだ。
正直、愛としては父親に合わせる顔がなく、バツが悪い事この上なかったのだ。
「四十九日法要が終わるまで待ってやったんだ、異存はないよな?」
「青夜君、お願い」
愛が青夜の腕を取って話を振ると、天士郎が、
「白鳳院の御前から許可は貰ってある。東条院は黙ってて貰おう」
そう青夜に告げた。
青夜がキョトンとして、
「そうなんですか?」
「そうだ」
「ふ~ん、せっかく新しい家に引っ越したところだったけど今度は京都暮らしか。まあ、東条院は京都で興ったから一度住むのも悪くないかもね」
と青夜が自己完結して、笑いながら、
「これからよろしくお願いしますね、お義祖父ちゃん」
天士郎に挨拶すると、挨拶を受けた天士郎が怪訝な心情を片眉を軽く上げて表現しつつ、
「どういう意味だ?」
「えっ? 『子供達も一緒でいいから鴨川家に帰って来い』って事ですよね?」
青夜のその認識に天士郎が慌てて、
「待て。愛と一緒に付いてくる気か、おまえ?」
「だって、オレ、未成年ですし。ええっ、義理とはいえ、親と子を引き離すつもりだったんですか? なんて酷い事を。人としての情がないんですか? これだから京都の陰陽師連中は」
そう演技っぽく呆れた青夜が一転、冷淡に、
「で、白鳳院の御前は厳密には何と?」
「・・・忘れたな」
天士郎はそうとぼけたが、青夜の追及は止まらず、眼を細めて、
「御前の事だからどうせ笑いながら『ああ、好きにしてよかろう。但し、ワシは余りお勧めせんがな』程度だと思いますけど」
そう指摘した。
厳密には『娘を取り返したい気持ちは分からんでもないから止めはせんが。関わらん方がいいと思うぞ』というのが白鳳院令の言葉だったが。
「ふ~ん。まあ、引っ越しの手続き等々は閻魔さんに頼んだら楽勝だからいいか。今日からですか?」
青夜の前向き発言に(というか月御門の当主の名前の登場に)、
「待て。ハッタリは止めろ。おまえは東条院だから東京からは・・・」
と言い掛けて言葉を止めた。
『宗家』や『次期後継』ではなく『副宗家』だったからだ。
過去に東条院の副宗家が地方に住んだ例はある。
なので、天士郎が、
「吽近衛大将が東京から離れて住むなど聞いた事がないぞ」
「白鳳院の御前の許可が出てるんなら大丈夫ですって。ねえ?」
青夜がさらりと言い、天士郎が、
(拙い。こんな火薬庫のような男を京都に住まわせたら京都が火の海になるぞ。被害にもよるが招き入れた元凶となってしまったら鴨川家の京都での立場が・・・・・・)
『娘だけを連れて帰るのが不可能だ』と悟ると、目的を下方修正した。
「夢で娘に気付かれぬように接触したらアメリカ経由で『出家してシスターになる』との情報を得たが、せんよな、そんな事は?」
天士郎のその言葉には青夜が『嘘だな、さすがに。そうか。濡良理日代がここで絡む訳か』と理解し、父親がよっぽど怖いのか青夜の腕を離さずに掴んでる愛にアイコンタクトをして、愛も内心の動揺を見せず、
「ヤダわ。いったい誰の夢と間違ったの、お父様は? 出家してシスター? 尼僧じゃなくて? 意味が分からないのだけど?」
そう淀みなく否定した。
情報を得てる天士郎が、
「つまり、出家はしないんだな?」
「ええ、もちろん」
「死んだ男の次に、そこの義理の息子とやらと付き合うような事もしない?」
眼の前で娘が青夜と腕を組んでたので一応、天士郎が確認し、
「ええ、もちろん」
と愛は言ったが、青夜が天士郎に、
「それがお義祖父ちゃん、ボクの寝室に欲求不満のママが何度もやってきてベッドに潜り込んできて・・・・・・」
そう告げ口をした。
「全然違うからっ! ホテルでの事は部屋を純粋に間違えただけだからっ!」
愛が強く否定する中、天士郎が呆れながら、
「・・・付き合ったら鴨川の家に連れ戻すからな」
「ヤダな、お義祖父ちゃん。手を付けた瞬間にこのオレがママを手放す訳がないでしょうが」
青夜がそう笑った。
「つまり娘を恋愛対象として見ていると?」
「まさか。まだ白鳳院とのケリが付いてもいないのに」
邪推を鼻で笑って一蹴した。
「なら、どうして先程から妨害するんだ?」
との天士郎の疑問に、青夜が愛の背後を人差指で指差して、
「鴨川家の当主は確か眼が良かったはずだから、かすかに視えますよね?」
「つまらん異能力で娘を誑かし、死んでからも娘に纏わり付いてる最低男の事か?」
と天士郎が言った瞬間、一狼の幽体が居る事を知り、全員が注目した。
田中家の中では、
「えっ? 居るの、一狼さんの幽霊?」
愛以下、弥生、葉月は全く見えず、
「微かに何か居る気配はするけど」
アンジェリカは気配だけ察知する中、
「ぼやけた輪郭だけよ? お寺の中だから野良の幽霊だと思ったけど、本当にパパなの、これ?」
辛うじてシャンリーだけが視えていた。
「えっ、視えるの、シャンリー?」
「ええ、ギリ」
と娘達が会話を交わし、青夜はと言えば、
「ママを心配して無理して出てきたパパに免じてママを守ってるだけです。『田中愛には手を出すな』って事ですよ」
そう凄んだ。
『東条院の嫡子を怒らすのは拙い』と知ってる側の天士郎が、
「『出家しない』との起請文が貰えるのならば引き下がろう」
「四十九日法要に菩提寺まで足を運んで死んだ義理の息子の墓前で手も合わせない、ねぇ~。どれだけ京都人は礼儀知らずなんだかぁ~」
呆れ果てた様子で青夜がそう言葉を吐くと、天士郎が吐き捨てるように、
「手など合わせる訳がないだろうがっ! 娘を誑かした男の墓なんぞにっ!」
「なら、起請文はなしって事で」
「話にならんっ!」
「それはこっちのセリフですよ。『嘘でも手を合わせろ、起請文の話はその後に決まってるだろうが』ですよ」
青夜がそう不機嫌そうに言い放ってから笑顔を作って、
「ほら、『ぶぶ漬け文化』の京都人らしく、ねえ? 手を合わせましょうよ、1回くらい? 実はウチのパパのお墓、結構、見物でしてね。自慢したくって」
天士郎を誘った。
だが、よっぽど娘を奪った一狼の事を嫌ってるのか、
「ふざけるなっ! 帰らせて貰おうっ!」
背を向けて歩いていこうとし、青夜がその後ろ姿に、
「えっ? いいんですか、『出家しない』というママの起請文をこの場で手に入れなくて? ママの行動力は四十九日法要を終えた直後に現れた父親であるそちらの方が御存知だと思いましたけど。お義祖父ちゃんだから特別に教えますけど『今日だよ、ママの出家日』。つまり、このタイミングが唯一のチャンスだった訳です。それをフイにするなんて『ママの出家をお義祖父ちゃんも認めた』と世間に吹聴してもいいんですよね?」
と喋ってると、足が止まって、天士郎が戻ってきた。
憎々しげに青夜を睨みながら、
「手を合わせたら『出家しない』という起請文を愛に書かせるんだな?」
「えっ? そんな約束、誰がしたんです?」
青夜がとぼける中、天士郎が愛を見て、
「・・・まずは墓に手を合わそう。案内して貰おうか。愛と東条院に」
「えっ、オレも? ここは久しぶりっぽいので親子水入らずで・・・」
「青夜君も一緒に来て。お願い」
父親と2人っきりなど絶対に嫌な愛が助けを求め、天士郎の方も、
「おまえも来い。おまえが視界から消えると問題があるように思えてならないから」
「おまえだなんて他人行儀な。ママと一緒で『青夜君』でいいですよ」
一々癇に障る青夜の物言いにも、天士郎は忍耐強く我慢して、
「・・・青夜君も来なさい」
「はぁ~い、お義祖父ちゃん」
こうして正門を入った境内から墓地側へ戻る事となった。
◇
田中一狼之墓と刻まれた巨大な墓石を見て、天士郎が呆れながら、
「趣味が悪いぞ、青夜君」
「えっ、このセンスが分からないなんて・・・後、お墓をこれにしたのはオレじゃなくてママですよ。百提灯家の当主も噛んでますから言葉にはお気を付けを」
そう青夜に教えられて、娘の愛を横目で見て『はぁ~』と呆れながらも、京都人だから常備していたのか、それとも本当は最初から手を合わせるつもりだったのか、ポケットから大層立派な数珠を出して天士郎はお墓に手を合わせた。
ちゃんと2分間。
2分後、巨大な墓石の前で、
「さてと、『出家はしない』。いいな、愛?」
「その前に誰に聞いたの?」
愛が不機嫌そうに問う中、青夜が、
「えっ、濡良狸日代にママが喋ったんじゃないの?」
真相を言い当てて、
「そんな訳・・・ないに決まって・・・あれ? 嘘・・・喋ってる?」
消された記憶を青夜の言葉で思い出した愛が、
「ってか、お父様、まさか需良理と接触したの? 私から聞き出すように依頼した?」
「子供は知らんでいい」
「嘘、お父様が『ぬらりひょん』と取引しただなんて」
「人聞きの悪い事を言うな。別の人間を介してその情報が回ってきただけだ。誰が発信源かまでは知らん」
と吐き捨てた天士郎が、
「それよりも『起請文』だ、愛。いいな?」
「ええっと、出家して亡き夫への熱い想いを・・・」
「計画は露見したんだ、諦めろ」
と天士郎が冷たく諭し、口を滑らせた張本人の愛が甘えるように、
「青夜君があの時、あの女を倒さないからぁ~」
「いやいや、あの時は完全に『ぬらりひょん女』の勝ちゲームでオレも妹の襲撃情報を貰ったから」
責任転嫁された青夜は苦笑したのだった。
◇
愛染寺の本堂内にて、筆を借りて起請文を書く事となった。
起請文とは『神仏に誓う文書』な訳だが、異能力のある世界だ。
一般人が使う約束の証文とは次元が違い、最悪、寿命や魂、異能力に影響が出た。
当然、起請文の用紙にも強力な術式が施されている。
本来ならすぐに作成出来る代物ではなく用意出来ないと思いきや、青夜と天士郎は頗る優秀な為、青夜は4分、天士郎は10分で起請文の製作が可能だったが、
「オレが作りましょうか?」
「細工されたら敵わんのでこの寺のでいい」
そんな訳で、この愛染寺が異能系の寺院だったので起請文を常備しており、青夜と天士郎の確認後、机の前に正座してる愛の前に置かれたのだった。
異能界での起請文に対する認識は『誓いを立てるな』だが、どうしても起請文を書く事を迫られた際には、
守れる誓いしか立てるな。
年数制限を設けるのが望ましい。
それらが鉄則だったので、愛が起請文に誓いを立てた内容は、
田中愛は、
3年間、出家しない。
3年間、再婚しない。
3年間、鴨川家に戻らない。
以上の件に鴨川家が妨害や打診をした時点で起請文は効力を失う。
となった。
「何だ、愛。この3年というのは?」
天士郎の質問に、
「『三回忌』と『意思を継いで青夜君が成人になるまでは面倒を見る』という意思表示かしら? 再婚もする気なんてないし、別にいいわよね、お父様?」
一狼の名前を出したら父親が怒るので名を出さずに愛は答えた。
『再婚しない』の方は鴨川家が持ち込むであろう縁談話への予防対策だ。
本当は『一生』としたかったが、それだと父親の天士郎も納得しない。
『3年』はこの起請文の条件を天士郎に飲ます落とし所の年数だった。
愛は結婚してこの度、未亡人となったが、まだ21歳だ。
3年後は24歳で、起請文の効果が切れてから再婚しても十分人生をやり直せるのだから。
よって、
「まあ、よかろう」
天士郎もこの条件を飲み、愛が起請文に『名前』と『手形』を入れて効力を発揮させたのだった。
起請文を保管する為の、強固で、折り曲げない大きなサイズの特別な封筒に入れて、
「確かに預かった。実家は無理でもたまには京都まで顔を見せるようにな」
天士郎は愛に向かって言ったのだが、
「わかったよ、お義祖父ちゃん」
即答したのは青夜だった。
「青夜君には言っていない。愛に言ったんだ」
「ええぇ~、酷いなぁ~。義理とは言え、祖父と孫なんだからもう少し仲良くしてくれないと」
「・・・考えておこう。ではな」
そう言って、さっさと天士郎は本堂から出口へと通じる廊下を歩いていき、天士郎が居なくなってから、ようやくずっと臨戦態勢だった愛が息を吐いて、
「ありがとね、青夜君。守ってくれて」
「出てきたパパに免じて助けただけだよ」
「まだ居るの?」
「ううん、お義祖父ちゃんがお墓に手を合わせたら帰っていったよ」
「何か言ってた?」
「・・・『愛は喪服も似合うな』って」
青夜が興味無さそうに言ったが、愛が看破して追及するように、
「本当はなんて言ってたの? 怒らないから教えて全部。お願い、青夜君」
「・・・『着物の時はノーパンがいいって何度も言ったのに紐Tって。それも赤。そりゃあ確かに好きだった下着を穿いてオレを偲んでくれてる気持ちはありがたいが着物の下はノーパンだろ・・・ないわ』 『その点、亜月はノーパンでちゃんと分かってる』『マリコも喪服ドレスの下は黒パンツと黒ガーターだし』『ご近所さんに高貴なお姫様や未亡人が一杯だから、ニヒヒ』『シスターよりも尼僧だな、愛は』『えっ、御曹司には視えてたの。ヤバッ、愛じゃなくて、久しぶりのマリコのスカートの中にずっと居たの告げ口しないでくれよ』『手を合わせたって事はオレと愛の事を認めたって事だよな、愛のオヤジさんも? あれ、今睨まれたけど声も聞こえるのか、もしかして?』『じゃあ、後はよろしく』かな?」
青夜が仕方なく教えると、愛は呆れながらも懐かしそうに、
「もう、一狼さんったら。死んでも全然その性格、直ってないじゃないの」
「ってか、ママって喪服の下、赤の紐Tなの、今?」
「子供は知らなくていいのよ。そういう事は」
愛は無意識に天士郎と似たような事を言って青夜を窘めたのだった。
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