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富士の樹海決戦
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また富士の樹海の上空だった。
ただ前回と違うのは、殆ど満ちた十四夜の月が白く、その月に照らされて妙に夜空や富士山が青色な事と、
「遅いよ、桃矢さん」
田中青夜が居た事だった。
当然、腹に穴の開いていない田中青夜がだ。
格好もさっきの学ランではなく、ノースリーブの青色の空手着の下に鎖帷子を着込むという東条院の正規の武装だった。
「田中ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
腹を草薙剣で貫かれてる加我が青夜を睨むと、
「プッ、本当に青龍大学の副学長が『ヤマタノオロチ・伍ノ首』を引いたんだ。笑える。と同時に・・・また周囲に不気味がられるな、こりゃあ」
青夜がちゃんと認識したので、少しだけ加我は嬉しかったが、その青夜が真剣になり、
「さてと、日本国が総力を結集しておまえを倒す、いいな?」
「はん、やれるもんならやってみなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! その前に貴様を倒してくれるはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
と凄むが、背後の桃矢が、
「いやいや、もう幕だろ?」
腹を貫いてる草薙剣を心臓部分までジュバァァァッと斬り上げ、
「ぐぎゃああああああああああああああああああああ」
加我が断末魔を上げた。
「何だ、この程度か。つまらん。まあ、こっちは草薙剣だからな」
勝利を確信した桃矢が草薙剣を抜くのと、
「あっ、ダメ、まだ抜いちゃあぁぁぁっ!」
青夜が叫んだのが重なった。
直後にバシュッとの音とともに心臓を斬られた加我が抜け殻となって、青夜の頭上に転移すると、
「貰ったぞ、小僧ぉぉぉぉぉぉっ! ヤマタノオロチビームぅぅぅぅぅぅっ!」
と構えた両手から禍々しい紫色のビームを放った。
だが、青夜は規格外だ。
当たり前のように、
「東条院流即興奥義、ビーム白刃取り(今、命名)」
禍々しいビームを白刃取りのように両手で素手で受け止めて、
「ほら返すよっ!」
ヤマタノオロチビームを加我に返したのだった。
技後硬直で回避出来ず自分のヤマタノオロチビームの直撃を受けた加我が、
「うぎゃあああああああああああああ」
と吹き飛ぶ。
空中着地してる桃矢が呆れながら、
「相変わらず、おまえ、何でもありだな?」
「そうですか? 今のくらいなら『桃太郎』や『金太郎』でも出来ますよ」
「やりたくねえよ。そんな一か八かの技なんて」
そうツッコむ桃矢が加我を睨みながら青夜に、
「それよりも心臓を草薙剣で斬っても生きてる『ヤマタノオロチ』の倒し方、東条院には伝わってるか?」
「ええ。伝承通り『首を刎ねる』ですよ。通常は『酒を飲ませて寝首を』ですけど、草薙剣があるんなら起きてても大丈夫だと思いますよ」
「ふ~ん、なるほどねぇ~。後、オレが『とどめを刺す』から絶対にいつもみたいに『いいトコ取り』するなよ、青夜っ! オレ今日、誕生日なんだから。19歳の誕生日プレゼントって事でいいな?」
「はいはい、わかってますって」
「だから、そういう嘘臭い笑顔で答えるなよなぁ~、まあいい。行くぜ」
そう言うと同時に桃矢が突っ込んだ。
もう1対1とか子供じみた事は言わない。
桃矢と青夜の2人掛かりで加我と戦った。
「東条院流青龍拳、極太サイズっ!」
青夜がそう叫んで拳じゃなくて中国神話の神仙術らしく掌底で放つと、巨大な200メートル級の青龍の拳圧(?)が出た。
遠くに居る加我に向かって青龍の拳圧が飛んでいく。
「バァ~カめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! そんなもん、この私に効くかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
防御特化型の『伍ノ首』の加我が青刃の青龍の拳圧を受けた時のように、わざと防御をせずに受けるが、
「うぎゃあああああああああああああああああ」
青龍の拳圧が効いて吹き飛んでいた。
「オレの青龍は他とは一味違うんだよっ!」
と青夜が勝ち誇る中、青龍の拳圧と共に加我が吹き飛んでくるのを先回りして待っていた桃矢が、
「吉備鬼切流最終奥義、鬼ヶ島斬りっ!」
草薙剣で斬撃を放った。
遠距離から斬撃を撃ち下ろす。
肩口から左右に真っ二つに加我の身体がジュバァァッと斬れるが、
「ぐあああああああああああ」
加我はまだ生きていた。
剣筋の延長線上の地上の樹海の森は吹き飛んでいたが。
「やっぱり心臓を斬られても死なない訳ね」
と桃矢が再確認する中、青夜が更に、
「東条院流青龍拳、極太サイズ、双龍っ!」
両手の掌底を左右に打って、200メートル級の青龍の拳圧(?)を2本同時に出した。
脱皮で斬られた身体を治した加我が、
「ちぃぃぃっ! ここは一旦退いて態勢を立て直すのが得策か・・・なっ!」
転移で逃げようとして転移が出来ない事に気付き驚く。
「逃げられる訳ないだろうがっ! 月御門の閻魔サマが結界を張ってるのによっ!」
桃矢がネタバラシをして斬りかかる。
斬られた加我が、
「ぎゃああああああああ、月御門閻魔まで来てるのか? 私が何をしたって言うんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?」
「存在自体が『悪』なんだよ、ヤマタノオロチはぁぁぁぁぁぁっ!」
と言った桃矢が離れると同時に、青夜が放った青龍の拳圧2頭が左右から空中に居る加我を挟み撃ちにした。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
「おら、終わりだっ!」
ヒット&アウェイでまた間合いを詰めた桃矢が加我の首をジュバァッと刎ねる。
「ぎゃああああああああああああああああっ!」
断末魔と共に加我の首は落ちたが、違和感を覚えた百戦錬磨の桃矢が、
「何だ?」
勝ち誇らずに周囲を見渡した。
「おい、青夜? 気付いてるか?」
「ええ、これは・・・・・・」
青夜も周囲を警戒しながら、何かに気付いて、
「桃矢さん、後ろっ!」
そう叫ぶのと、
「ーーっ!」
桃矢が独自で気付き、身体を横に移動させたのは同時だった。
桃矢が背後からの攻撃に左肩を負傷する中、
「外したか、心臓を狙ったんだがな」
と笑ったのは半透明の加我だった。
「イッツゥゥっ! 『脱皮』の空蝉と『透明』のコンボかよ。ってか、『ヤマタノオロチ・伍ノ首』の『皮』って『透明』にもなれたのかよっ! 初耳だぞっ? 記録に残しとけよな、そんな大切な事はっ! 先人どもめっ!」
桃矢が悪態を吐く中、
「さあ、おまえら、覚悟しろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
半透明だった加我の姿が同化するように夜空に完全に消えていった。
さすがは『ヤマタノオロチ』だ。
『普通の消え方じゃない』と桃矢も青夜も瞬時に見抜いた。
「マジかよ、オレの桃の香りにも反応しなかったぞ、今?」
「ええ、まったく視えず、何も感じもしないなんて、さすがは『日本神話ヤマタノオロチ』。ここまで『感知不可能』だと、もしかして負けるかも」
青夜が桃矢が背中合わせで空中に着地して警戒する中、
「打開策は?」
「手当たり次第に斬撃を放って・・・・・・」
「そんなのは打開策とは言わないぞ、青夜っ!」
負傷した桃矢が苛立つように叫び、青夜も桃矢の出血具合から長期戦は無理だと理解してたので、
「・・・仕方ないな。出し惜しみはなしにするか。3秒だけですからね。それ以上はオレの方が無理ですから」
「何をする気だ?」
「見てれば分かりますよ・・・・・・はああああああああっ!」
青夜が仙気を解放した。
膨大な量だ。
青夜の半径10メートルを覆う、可視化出来るくらいの高密度の青白色の仙気を噴出し、
「うお、凄いかもっ!」
桃矢が驚く中、青夜が、
「東条院流青龍拳奥義、百龍の渦穴っ!」
技を繰り出した。
『中国神話神仙術・北斗派青龍』の『下巻奥義』の1つで、本当は中国側にバレたら拙いのだが、ここで『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首』の鍋島加我に逃げられて、永遠と付け狙われる方がもっと拙いのだから仕方がない。
そんな訳で、本当に空中を足場に舞うように一回転しただけで50メートル級の青龍の形の気100頭が周囲に出現したのだった。
幻術ではなく本当に100頭の青龍の気が渦巻くように周囲を飛来し始める。
「マジで? こんな事も出来るのかよ、東条院って? って、今はそんな事よりもっ!」
桃矢も驚いたが、さすがは歴戦の英雄『桃太郎』だ。
すぐに思考を切り替えて周囲を確認したが・・・・・・
100頭の渦巻く青龍の気が透明の加我に衝突する事はなかった。
「馬鹿なっ! どこにも居ないだと? まさか・・・・・・逃げた?」
と桃矢が疑ったのは実は演技で、次の瞬間には真上に空中ジャンプで超高速で跳躍していた。
つまりは渦巻いてる青龍の気の大群が通過していない中心線を。
草薙剣を突き立ててジャンプすると、剣への手応えと共に、
「グアアアアアアアアアアアアア」
との苦痛の悲鳴が上がり、(草薙剣の効果で透明化が解除されて)加我が姿を見せる。
見事に心臓を貫いてるのは『桃太郎』ならではだが、加我はまだ生きていた。
(マジで最強か、『ヤマタノオロチ』って?)
桃矢はそう思いながらも、加我に、
「よう、これで終わりだっ!」
草薙剣を振るい、
「うぎゃああああああああああああああああ」
加我の首を刎ねたのだった。
直後に斬られた加我の胴体から膨大な量の紫色の邪気が溢れ、
「うおっ!」
と桃矢が驚いて離れる中、3秒経過で本当に青夜が出現させた100頭の青龍の気は消えており、その膨大な邪気は天に昇って消えていったのだった。
こうして『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首』は発現して僅か3時間と20分で討伐されたのだった。
ただ前回と違うのは、殆ど満ちた十四夜の月が白く、その月に照らされて妙に夜空や富士山が青色な事と、
「遅いよ、桃矢さん」
田中青夜が居た事だった。
当然、腹に穴の開いていない田中青夜がだ。
格好もさっきの学ランではなく、ノースリーブの青色の空手着の下に鎖帷子を着込むという東条院の正規の武装だった。
「田中ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
腹を草薙剣で貫かれてる加我が青夜を睨むと、
「プッ、本当に青龍大学の副学長が『ヤマタノオロチ・伍ノ首』を引いたんだ。笑える。と同時に・・・また周囲に不気味がられるな、こりゃあ」
青夜がちゃんと認識したので、少しだけ加我は嬉しかったが、その青夜が真剣になり、
「さてと、日本国が総力を結集しておまえを倒す、いいな?」
「はん、やれるもんならやってみなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! その前に貴様を倒してくれるはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
と凄むが、背後の桃矢が、
「いやいや、もう幕だろ?」
腹を貫いてる草薙剣を心臓部分までジュバァァァッと斬り上げ、
「ぐぎゃああああああああああああああああああああ」
加我が断末魔を上げた。
「何だ、この程度か。つまらん。まあ、こっちは草薙剣だからな」
勝利を確信した桃矢が草薙剣を抜くのと、
「あっ、ダメ、まだ抜いちゃあぁぁぁっ!」
青夜が叫んだのが重なった。
直後にバシュッとの音とともに心臓を斬られた加我が抜け殻となって、青夜の頭上に転移すると、
「貰ったぞ、小僧ぉぉぉぉぉぉっ! ヤマタノオロチビームぅぅぅぅぅぅっ!」
と構えた両手から禍々しい紫色のビームを放った。
だが、青夜は規格外だ。
当たり前のように、
「東条院流即興奥義、ビーム白刃取り(今、命名)」
禍々しいビームを白刃取りのように両手で素手で受け止めて、
「ほら返すよっ!」
ヤマタノオロチビームを加我に返したのだった。
技後硬直で回避出来ず自分のヤマタノオロチビームの直撃を受けた加我が、
「うぎゃあああああああああああああ」
と吹き飛ぶ。
空中着地してる桃矢が呆れながら、
「相変わらず、おまえ、何でもありだな?」
「そうですか? 今のくらいなら『桃太郎』や『金太郎』でも出来ますよ」
「やりたくねえよ。そんな一か八かの技なんて」
そうツッコむ桃矢が加我を睨みながら青夜に、
「それよりも心臓を草薙剣で斬っても生きてる『ヤマタノオロチ』の倒し方、東条院には伝わってるか?」
「ええ。伝承通り『首を刎ねる』ですよ。通常は『酒を飲ませて寝首を』ですけど、草薙剣があるんなら起きてても大丈夫だと思いますよ」
「ふ~ん、なるほどねぇ~。後、オレが『とどめを刺す』から絶対にいつもみたいに『いいトコ取り』するなよ、青夜っ! オレ今日、誕生日なんだから。19歳の誕生日プレゼントって事でいいな?」
「はいはい、わかってますって」
「だから、そういう嘘臭い笑顔で答えるなよなぁ~、まあいい。行くぜ」
そう言うと同時に桃矢が突っ込んだ。
もう1対1とか子供じみた事は言わない。
桃矢と青夜の2人掛かりで加我と戦った。
「東条院流青龍拳、極太サイズっ!」
青夜がそう叫んで拳じゃなくて中国神話の神仙術らしく掌底で放つと、巨大な200メートル級の青龍の拳圧(?)が出た。
遠くに居る加我に向かって青龍の拳圧が飛んでいく。
「バァ~カめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! そんなもん、この私に効くかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
防御特化型の『伍ノ首』の加我が青刃の青龍の拳圧を受けた時のように、わざと防御をせずに受けるが、
「うぎゃあああああああああああああああああ」
青龍の拳圧が効いて吹き飛んでいた。
「オレの青龍は他とは一味違うんだよっ!」
と青夜が勝ち誇る中、青龍の拳圧と共に加我が吹き飛んでくるのを先回りして待っていた桃矢が、
「吉備鬼切流最終奥義、鬼ヶ島斬りっ!」
草薙剣で斬撃を放った。
遠距離から斬撃を撃ち下ろす。
肩口から左右に真っ二つに加我の身体がジュバァァッと斬れるが、
「ぐあああああああああああ」
加我はまだ生きていた。
剣筋の延長線上の地上の樹海の森は吹き飛んでいたが。
「やっぱり心臓を斬られても死なない訳ね」
と桃矢が再確認する中、青夜が更に、
「東条院流青龍拳、極太サイズ、双龍っ!」
両手の掌底を左右に打って、200メートル級の青龍の拳圧(?)を2本同時に出した。
脱皮で斬られた身体を治した加我が、
「ちぃぃぃっ! ここは一旦退いて態勢を立て直すのが得策か・・・なっ!」
転移で逃げようとして転移が出来ない事に気付き驚く。
「逃げられる訳ないだろうがっ! 月御門の閻魔サマが結界を張ってるのによっ!」
桃矢がネタバラシをして斬りかかる。
斬られた加我が、
「ぎゃああああああああ、月御門閻魔まで来てるのか? 私が何をしたって言うんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?」
「存在自体が『悪』なんだよ、ヤマタノオロチはぁぁぁぁぁぁっ!」
と言った桃矢が離れると同時に、青夜が放った青龍の拳圧2頭が左右から空中に居る加我を挟み撃ちにした。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
「おら、終わりだっ!」
ヒット&アウェイでまた間合いを詰めた桃矢が加我の首をジュバァッと刎ねる。
「ぎゃああああああああああああああああっ!」
断末魔と共に加我の首は落ちたが、違和感を覚えた百戦錬磨の桃矢が、
「何だ?」
勝ち誇らずに周囲を見渡した。
「おい、青夜? 気付いてるか?」
「ええ、これは・・・・・・」
青夜も周囲を警戒しながら、何かに気付いて、
「桃矢さん、後ろっ!」
そう叫ぶのと、
「ーーっ!」
桃矢が独自で気付き、身体を横に移動させたのは同時だった。
桃矢が背後からの攻撃に左肩を負傷する中、
「外したか、心臓を狙ったんだがな」
と笑ったのは半透明の加我だった。
「イッツゥゥっ! 『脱皮』の空蝉と『透明』のコンボかよ。ってか、『ヤマタノオロチ・伍ノ首』の『皮』って『透明』にもなれたのかよっ! 初耳だぞっ? 記録に残しとけよな、そんな大切な事はっ! 先人どもめっ!」
桃矢が悪態を吐く中、
「さあ、おまえら、覚悟しろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
半透明だった加我の姿が同化するように夜空に完全に消えていった。
さすがは『ヤマタノオロチ』だ。
『普通の消え方じゃない』と桃矢も青夜も瞬時に見抜いた。
「マジかよ、オレの桃の香りにも反応しなかったぞ、今?」
「ええ、まったく視えず、何も感じもしないなんて、さすがは『日本神話ヤマタノオロチ』。ここまで『感知不可能』だと、もしかして負けるかも」
青夜が桃矢が背中合わせで空中に着地して警戒する中、
「打開策は?」
「手当たり次第に斬撃を放って・・・・・・」
「そんなのは打開策とは言わないぞ、青夜っ!」
負傷した桃矢が苛立つように叫び、青夜も桃矢の出血具合から長期戦は無理だと理解してたので、
「・・・仕方ないな。出し惜しみはなしにするか。3秒だけですからね。それ以上はオレの方が無理ですから」
「何をする気だ?」
「見てれば分かりますよ・・・・・・はああああああああっ!」
青夜が仙気を解放した。
膨大な量だ。
青夜の半径10メートルを覆う、可視化出来るくらいの高密度の青白色の仙気を噴出し、
「うお、凄いかもっ!」
桃矢が驚く中、青夜が、
「東条院流青龍拳奥義、百龍の渦穴っ!」
技を繰り出した。
『中国神話神仙術・北斗派青龍』の『下巻奥義』の1つで、本当は中国側にバレたら拙いのだが、ここで『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首』の鍋島加我に逃げられて、永遠と付け狙われる方がもっと拙いのだから仕方がない。
そんな訳で、本当に空中を足場に舞うように一回転しただけで50メートル級の青龍の形の気100頭が周囲に出現したのだった。
幻術ではなく本当に100頭の青龍の気が渦巻くように周囲を飛来し始める。
「マジで? こんな事も出来るのかよ、東条院って? って、今はそんな事よりもっ!」
桃矢も驚いたが、さすがは歴戦の英雄『桃太郎』だ。
すぐに思考を切り替えて周囲を確認したが・・・・・・
100頭の渦巻く青龍の気が透明の加我に衝突する事はなかった。
「馬鹿なっ! どこにも居ないだと? まさか・・・・・・逃げた?」
と桃矢が疑ったのは実は演技で、次の瞬間には真上に空中ジャンプで超高速で跳躍していた。
つまりは渦巻いてる青龍の気の大群が通過していない中心線を。
草薙剣を突き立ててジャンプすると、剣への手応えと共に、
「グアアアアアアアアアアアアア」
との苦痛の悲鳴が上がり、(草薙剣の効果で透明化が解除されて)加我が姿を見せる。
見事に心臓を貫いてるのは『桃太郎』ならではだが、加我はまだ生きていた。
(マジで最強か、『ヤマタノオロチ』って?)
桃矢はそう思いながらも、加我に、
「よう、これで終わりだっ!」
草薙剣を振るい、
「うぎゃああああああああああああああああ」
加我の首を刎ねたのだった。
直後に斬られた加我の胴体から膨大な量の紫色の邪気が溢れ、
「うおっ!」
と桃矢が驚いて離れる中、3秒経過で本当に青夜が出現させた100頭の青龍の気は消えており、その膨大な邪気は天に昇って消えていったのだった。
こうして『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首』は発現して僅か3時間と20分で討伐されたのだった。
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