実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド

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4月1日、発生源は東条院の宗家屋敷

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 そして4月になった。

 4月は田中家では誕生日ラッシュだ。

 3日が一狼。

 4日が青夜。

 5日がアンジェリカ。

 10日がシャンリー。

 だが、青夜にとっては4月1日の東条院宗家当主の青蓮の誕生に催される『当主生誕の儀』が頭に染み付いてた。

 まあ、今年は出席しなくて済んだが。

 正直、解放されて清々しい気分だ。

 日本の重鎮や一族連中の相手をしなくて済んで。





 一狼は出席したらしく、今年の『生誕の儀』で『青夜の廃嫡』と『青刃の次期後継』が発表されたと夕食時に教えられ、内心ではガッツポーズをしてたが、表面上は、

「そう。まあ、無能なオレは何も言う権利はないからね」

 と悲しんだフリをしたのだが、これが拙かった。





 『沈んでる』と思われたのか、4月1日の晩、風呂に入ってたら葉月ばかりか、アンジェリカまで突入してきたのだから。

「落ち込んでるでしょうから綺麗なお姉さんが慰めてあげるわね」

「うんうん、一番綺麗な私がね・・・・・・ってか、慣れてない、葉月? もしかしてこれが初めてじゃないの?」

「ここ最近は偶然・・ね」

「はあ? ズルくない? 私もこれからは4階に住むわ」

 と喋る葉月とアンジェリカの裸は凄かった。

 三女のアンジェリカはやはりアメリカサイズだが、葉月もアンジェリカの姉だけあって勝てこそしないが、それでも日本人の平均を大きく上回っていたのだから。

「どう、私の裸は?」

 アンジェリカに質問されて、

「いつも通り綺麗だよ、アン」

「待ちなさい。『いつも通り』っていつ見たのよ?」

「初日来た時に3階のリビングに入ったら裸だったよ」

 葉月に青夜が説明すると、

「アン、アナタね。気に入らなかったら青夜の事、殺してたでしょ?」

「気に入ったんだからいいでしょ」

 何か不穏な事を喋る中、シャワーで身体を清めた2人も湯船に入ってきた。

 田中家のバスタブは普通サイズのバスタブだ。

 よって2人でも窮屈なのに3人も入ったらギュウギュウだった。

「ええっと、オレ、洗い場の方に」

「ダメよ。一緒に入ってなさい」

「そうよ。せっかく私が入って上げてるんだから」

 脱出に失敗した青夜は湯船に浸かる破目になった。

 肩が湯から出てる上、寛げない。

 というか何故か青夜が中央で右側に葉月、左側にアンジェリカが居た。

 双方とも青夜の方を向いてるから柔らかい胸が密着してる。

「どう、お姉さんとお風呂に入れて嬉しい?」

「うん、葉月さん」

「どっちがより嬉しいの、青夜?」

 この質問はめる者であるアンジェリカのだ。

「両方だよ、もちろん」

「どうしてよ。私の方があるでしょ、胸?」

「分かってないわね、アン。あり過ぎると嫌われるのよ」

「そうなの? 青夜?」

「いや、アンの胸は好きだよ」

「ほら見なさい、葉月」

 などと喋っていたが、不意に3人全員が邪気の高まりを感じてそちらの方向、風呂の壁側に視線を向けたのだった。

「ナニ、今の?」

 葉月が警戒し、

「邪悪な感じだったわね」

 アンジェリカが呟き、2人して本能的に恐怖を感じたのか、青夜に抱き付く中、青夜は、

(わお、この方角と距離、発生源は東条院の宗家屋敷か・・・・・・これか、死んだお母様が言ってた『16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす』って言ってた奴は。『当主生誕の儀』の夜に起こるって。巻き込まれなくて助かったな。いや、まだこれで終わったとは限らない、か。が居るから。東条院宗家に帰るのはやっぱりナシだな。死にたくないもん)

 などと考えてた。

 30秒後にはお風呂のドアが開いて、

「青夜、今の気付ーーって3人とも何をやってるんだ?」

 湯船の中で青夜が娘2人に抱き付かれてるを見た一狼が呆れながらも、

「青夜、一緒に来なさい」

「いやいや、宗家命令は絶対だよ、パパ。1人で行ってきて」

「やっぱり今の邪気の高まり・・・東条院の宗家屋敷なのか?」

「っぽいね」

「・・・ええっと、もしかして青夜はこの事、事前に知ってた?」

「それはないから安心してよ。オレはこれには何も噛んでないから」

「ふむ。ともかくオレは出るから。3人とも今日は『子作り』はしないようにな」

 そう言って一狼は出て行き、悪ノリした葉月とアンジェリカが、

「私、怖ぁ~い、青夜」

「慰めてぇ~」

 チャンスとばかりに、ずっと裸で青夜に抱き付いたのだった。
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