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本編
86、VS氷坂鳳蓮
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電話から僅か20分後、本当に来やがった。
高速道路を逆走したバイクで。
永坂鳳蓮。
44歳。
三大剣豪の一人で「東北の氷坂鳳蓮」。
バイク用のライダースーツなんて着て、背中に剣道用の竹刀入れ袋を背負ってるという雑魚丸出しの恰好なんだけど・・・この気配、強い。
本物で確定だ。
マジかよ?
テンションが爆上がりなんだけど~。
当然、こっちも職員さんに車を止めさせて、オレは後続の車が一台も走って来ない高速道路に降りた。
スマホが鳴った。
五咲の爺様だ。
電源はオフね。当然だけど。
「電話に出なくていいのか?」
「この勝負を邪魔されるとかマジでないから」
「勝てるつもりでいるのか?」
「さてね。でも強者に挑むチャンスをふいにする奴は剣を捨てればいい」
「ふむ。覇気は合格だな。では、これより先は言葉は不要だ」
そう言って氷坂は当たり前のようにレッドムーン鉱刀を抜いて刀身に炎を纏わせた。
ああ、言い忘れてたけど、氷坂って名字だけど、炎使いね、こいつは。
名前の「鳳」の火の鳥の方が具現化したって事で。
刀の長さは紅桜の中でも1.5メートルタイプ。
「勝負の合図はどうするので?」
オレは居合抜刀の構えをしたままで尋ねた。
「構わんぞ、おまえのタイミングで」
「ちょっとっ! 対等な真剣勝負のはずだろうがっ!」
何、その上から目線?
オレをカス扱いするなんて。
「――それは悪かったな。非礼を詫びよう」
次の瞬間、氷坂が乗ってたバイクが炎に包まれて、
「ガソリンに引火して爆発したらそれが開始の合図だ、いいな」
「了解」
オレは居合抜刀の構えで氷坂を見据えながらバイクが爆発するのを待った。
このおっさん、マジで強いわ。
ビシビシと肌で強さを感じる。
勝てるのか、オレ?
いや、やる前から弱気になるな。
居合抜刀で相手の攻撃が当たる前にこちらの攻撃を当てる。
それだけを考えろ。
明鏡止水の境地に入りながらオレは爆発を待った。
・・・
・・・
・・・はあ?
あのバイク、全然爆発しないんだけど。
拙い。
集中力が途切れる。
ドゴンッ。
って、今、爆発かよっ!
もしかして炎で爆発時間を操った?
ズルくないか、それっ!
「貰ったっ!」
高速で突いてくる。
炎を纏った刀剣で。
ん?
おっそ。
いや、遅くはないが、それでも早くもない。
もしかして・・・手を抜かれた?
オレは突きを避けながら居合抜刀で氷坂のガラ空きの胴を払った。
レッドムーン鉱刀なので氷坂の胴体は真っ二つだ。
オレの勝ちと思うだろ?
永坂との勝負はここからが本番なのだよ。
◇
元の世界で「不死鳥」と言えばゲームで良く出てくるフェニックスだ。
炎を纏った不死の鳥。
文字通り「死なない」って事だ。
こっちの世界でもそれは同じで、その能力を気闘法の属性「特異」で発現したのがこの氷坂だった。
それも、どうも「時間が巻き戻る」系らしい。
オッサンの癖にネット小説の死に戻りヒロインって。
それが氷坂の気闘法の能力らしく、体験した生存者数名の証言でどうにかネタバレしてるものの、敗北をノーカンにして勝利のみを現実にするこのチート能力には攻略法が一切見当たらなかった。
それで、この男はのうのうと三大剣豪の一人にまで上り詰めているのだ。
なので、バイクの爆発前に戻った仕切り直しの二回戦では突きでは「無理だ」と悟った氷坂が袈裟斬りをしてくるが、はい、オレの勝ち。
三回戦では上段から斬りかかるも、オレの勝ち。
四回戦では炎攻撃をしてきたが、オレの勝ち。
五回戦では一歩引いたが追撃して、オレの勝ち。
高速道路を逆走したバイクで。
永坂鳳蓮。
44歳。
三大剣豪の一人で「東北の氷坂鳳蓮」。
バイク用のライダースーツなんて着て、背中に剣道用の竹刀入れ袋を背負ってるという雑魚丸出しの恰好なんだけど・・・この気配、強い。
本物で確定だ。
マジかよ?
テンションが爆上がりなんだけど~。
当然、こっちも職員さんに車を止めさせて、オレは後続の車が一台も走って来ない高速道路に降りた。
スマホが鳴った。
五咲の爺様だ。
電源はオフね。当然だけど。
「電話に出なくていいのか?」
「この勝負を邪魔されるとかマジでないから」
「勝てるつもりでいるのか?」
「さてね。でも強者に挑むチャンスをふいにする奴は剣を捨てればいい」
「ふむ。覇気は合格だな。では、これより先は言葉は不要だ」
そう言って氷坂は当たり前のようにレッドムーン鉱刀を抜いて刀身に炎を纏わせた。
ああ、言い忘れてたけど、氷坂って名字だけど、炎使いね、こいつは。
名前の「鳳」の火の鳥の方が具現化したって事で。
刀の長さは紅桜の中でも1.5メートルタイプ。
「勝負の合図はどうするので?」
オレは居合抜刀の構えをしたままで尋ねた。
「構わんぞ、おまえのタイミングで」
「ちょっとっ! 対等な真剣勝負のはずだろうがっ!」
何、その上から目線?
オレをカス扱いするなんて。
「――それは悪かったな。非礼を詫びよう」
次の瞬間、氷坂が乗ってたバイクが炎に包まれて、
「ガソリンに引火して爆発したらそれが開始の合図だ、いいな」
「了解」
オレは居合抜刀の構えで氷坂を見据えながらバイクが爆発するのを待った。
このおっさん、マジで強いわ。
ビシビシと肌で強さを感じる。
勝てるのか、オレ?
いや、やる前から弱気になるな。
居合抜刀で相手の攻撃が当たる前にこちらの攻撃を当てる。
それだけを考えろ。
明鏡止水の境地に入りながらオレは爆発を待った。
・・・
・・・
・・・はあ?
あのバイク、全然爆発しないんだけど。
拙い。
集中力が途切れる。
ドゴンッ。
って、今、爆発かよっ!
もしかして炎で爆発時間を操った?
ズルくないか、それっ!
「貰ったっ!」
高速で突いてくる。
炎を纏った刀剣で。
ん?
おっそ。
いや、遅くはないが、それでも早くもない。
もしかして・・・手を抜かれた?
オレは突きを避けながら居合抜刀で氷坂のガラ空きの胴を払った。
レッドムーン鉱刀なので氷坂の胴体は真っ二つだ。
オレの勝ちと思うだろ?
永坂との勝負はここからが本番なのだよ。
◇
元の世界で「不死鳥」と言えばゲームで良く出てくるフェニックスだ。
炎を纏った不死の鳥。
文字通り「死なない」って事だ。
こっちの世界でもそれは同じで、その能力を気闘法の属性「特異」で発現したのがこの氷坂だった。
それも、どうも「時間が巻き戻る」系らしい。
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それが氷坂の気闘法の能力らしく、体験した生存者数名の証言でどうにかネタバレしてるものの、敗北をノーカンにして勝利のみを現実にするこのチート能力には攻略法が一切見当たらなかった。
それで、この男はのうのうと三大剣豪の一人にまで上り詰めているのだ。
なので、バイクの爆発前に戻った仕切り直しの二回戦では突きでは「無理だ」と悟った氷坂が袈裟斬りをしてくるが、はい、オレの勝ち。
三回戦では上段から斬りかかるも、オレの勝ち。
四回戦では炎攻撃をしてきたが、オレの勝ち。
五回戦では一歩引いたが追撃して、オレの勝ち。
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