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本編

26、報奨金の取り分は92%

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ハンター庁本部ビルの総監室では五咲の爺様が笑顔で、

「すまんのう。30メートル級の撃退に出動して貰って。場所が場所だったのでのう。早めに対処したかったんじゃ」

「いえいえ」

「以後、気闘法の冷気放出はハンター庁の承認がないと使用禁止じゃからな」

笑顔のまま、さらっと言われた。

「はい?」

「当然じゃろうが。少しは手加減せぬか。都内のど真ん中で全開でぶっ放しよってからに。30メートル級じゃぞ。交差点の中央とは言っても中心に出現したんじゃない事は通り沿いのビルがコスモアネモニーに飲み込まれて溶かされてたから気付いておったはずじゃろうが」

「それが何か?」

「手加減せぬから無傷の隣のビルまで氷結しておると言っておるのじゃ。何じゃ、あの威力は? もう完全に兵器ではないか」

「仕方ないでしょ。今回が初めてで、初代新月の威力があそこまで凄いなんてオレも思わなかったんだから。ってか、ハンターなら免責特権があるんでしょ?」

「そうじゃが世間体もあろうが。よいな、もう無暗に使うでないぞ、あの技は。国民がハンターに対して怯えるからのう」

「基本的には使いませんよ」

「何じゃと?」

「いやいや。ヤバくなったら使うでしょ、そりゃあ。御隠居だってそうでしょ?」

「まあのう」

五咲の爺様が納得した後、報告事項として、

「それと昨夜の件じゃが」

「どれの事?」

「寝込みを襲った者達全員じゃ」

「63人ね」

「そうじゃ。西郷東京家系が38人、柊流が3人、大鳳流が4人、防衛省が2人、命令なしが16人じゃったぞ」

大鳳流が4人も?

防衛省って何?

「命令なしって?」

「横取り屋とか、名を上げようとか、こすい木っ端の連中が自発的に動いたという事じゃよ」

「ったく、実力くらい悟れよな~、雑魚どもが~」

「それだけか、感想は?」

「西郷東京家の手駒は全滅で衰退したっぽいけど、まあ、ドンマイって事で」

「ドンマイで済むか。西郷東京家と誼のある緋山流も今日、出稽古と称して潰しておるよな?」

「あれれ~、緋山流って西郷東京家とつるんでたんだっけ(棒読み)」

「白々しいぞ」

「やっぱり? でも、どうせその内、仕掛けてきたんだし問題ないでしょ」

「まあのう・・・おっと、たった今、ハンター庁の査定部が上位種の30メートル級の討伐の内訳を確定させたぞ。報奨金は上位種なので6億円で92%がおまえさんの取り分だそうじゃ。5%が救助活動者達で等分で、残りが戦った者達じゃな」

6億の92%?

10%が6000万円だから×9で5億4000万円。

1%が600万円だから2%で1200万円。

しめて5億5200万円か~。

「おお、これでやっとシングルからスイートに移れるよ~」

「ん? 本部ビルのスイートの使用はB級からじゃぞ」

「今回ので昇格でしょ?」

「そんな訳あるか。昨日の今日で。国への貢献度が足りておらんじゃろうが。討伐数、最低500は必要なのに」

「ええ~。特別扱いしてよ~」

「もう充分しておるじゃろうが。これ以上はなしじゃ」

「ケチ」

「うっさいわい。それよりもその恰好をどうにかせい」

オレは自分の服を見た。

今風の黒のパーカーに青のジャージパンツ。

「これのどこに問題が?」

「周囲のハンター達を見ろ。ちゃんと派手で目立つ装備をして人気を獲得しようとしておるじゃろうが」

「オレにもあんな恥ずかしい恰好をしろって事?」

「そうじゃ。本部ビルには防具屋も入っておる。よいな。入金がされ次第行くぞ、どんな服にするのか考えておけ」

「ええ~」

マジで?
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