短編集

竹井ゴールド

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見向きもされない底辺の男爵令嬢が花壇に毎日水をやっていた花は精霊の花で、その事実を知るのは身分を隠して留学していた他国の若き王様だけだった

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 ポピー王国の貴族学校には生徒や教官の他にも、関係者と呼べる人種が多数居た。

 生徒が貴族の令息や令嬢なのだから、各家の私兵の介入を許せば収拾が付かなくなるで、貴族学校の警備は騎士団が責任を持って担当した。

 敷地内にこそ存在しないが、貴族学校の正門通りを挟んだはす向かいには騎士団と衛兵が100人単位で駐屯出来る待機場所が存在するくらいだ。

 昼食を食堂で用意する料理人達は騎士団どころか王宮料理人の採用試験も兼ねてるので、腕も良いし、当然、騎士団が身辺調査を終えてから採用してる。

 食堂に野菜の搬入する八百屋も同様だ。

 貴族の令息や令嬢が校舎の掃除などをする訳もなく、校舎の維持の為に掃除夫や掃除婦も欠かせないが、当然、全員の身元も騎士団が確認済み。

 校内には噴水もあり、水道工も雇ってる。

 花壇もあるので、庭師も居る。

 それらも総て調査済みで、何より校内での行動の際には騎士や衛兵、または身分を隠した密偵が同伴するので、変な行動は何1つ出来なかった。





 そんな訳で、生徒達が花壇に手を加える事もない。

 生徒が担当する一角の園芸部の花壇以外は。





 ポピー王国の貴族学校の園芸部の花壇と言っても、所詮は素人花壇なのだから、校内の景観を損ねないように敷地の片隅の、生垣の向こう側の木々が繁った更にその先にあった。

 その為、在籍する生徒ですら存在を知る者は少ない。

 その年、その園芸部の花壇に水をやるのは男爵令嬢のマリエール・リスベン1人だけだった。

 小柄で、前髪で顔を隠した、顔も体型も地味な令嬢だ。

 タイの色から2学年の貴族学校の上級生である事が分かった。

 入学生の部員の獲得に失敗して、晴れの日は毎日1人で水やりをしていた。

 それこそ毎日。





 その園芸部の花壇に1人の令息が顔を出すようになったのは初夏の事だ。

 放課後、日課のようにマリエールが花壇に水をやっていると、1人の令息が現れて、

「へぇ~、こんな場所があったのか。知らなかったな」

 と周囲を見渡しながら呟いたのだった。

 その令息が留学生なのは、制服のタイの色だけで分かったので、ジョウロで水をやっていたマリエールは軽く会釈をしただけで花に視線を戻した。

「ふむ。悪くないな。ここを秘密の休憩場所としよう」

 などと呟いた留学生はそのまま木陰に腰を下ろして無造作に寝転んだのだった。





 それから本当に頻繁に令息は昼休みや放課後にこの花壇の現れるようになった。

 さすがに10回もマリエールと顔を会わせると、令息の方から、

「また居るのか? オレはボル・ベース。ポピー王国の隣国のダンデライオン王国の更に隣国のファゲトミナート王国からの留学生だ」

 と名乗り、つまりは貴族として名乗り返すのが礼儀なので、

「マリエール・リスペンです。男爵家です」

「オレは子爵家だ。よろしくな」

 と挨拶したボルが、

「毎日、花壇に水をやってるのを見るが、誰かにやらされてるのか?」

「いえ、ここは園芸部が受け持ちの花壇ですので、部員として水をあげてるだけですよ」

「だが、他の生徒は・・・」

「園芸部は私だけですから」

「へぇ~、大変なんだ」

 とひょうしながらボルは木陰で気軽に寝転がったのだった。





 それからも顔を合わせ、気が向いた時にはボルも水やりを手伝い、

「花壇は小さいが水を汲む場所が遠いから大変だな、水やりも」

「そうですか? もう慣れましたが」

「・・・この花、綺麗だな。何て名前だ?」

「さあ、名前までは」

 などと会話してマリエールと少しずつ仲良くなったのだった。





 夏休みになった。

 夏休みは貴族学校も休みだ。

 マリエールもリスベン男爵家に居た。

 リスペン男爵家は領地を持たない貴族な事から、収入も少なく、正直、貴族と名乗る割には貧乏だった。

 後継者である兄も居るので、婿入りして男爵家を継げる訳でもないのだから、まだマリエールに決まった婚約者はいなかった。

 そもそも底辺の貴族家の令嬢のもとにくる縁談はロクな相手が居らず、父親役リスベン男爵が、

「マリエール、アストル辺境伯から縁談話が来てるのだが」

 と申し訳なさそうに切り出したのは、これで5度目だったので、

「お相手の御年はいくつなんですか?」

 実家だと前髪を分けて顔を隠してないマリエールが尋ねると、

「46歳だ」

「私は17歳ですよ? 娘のような年齢ですけど?」

「分かってる」

「そもそも、デビュタントもしてない私にどうして縁談が? まさか、お父様から持ちかけたのですか?」

「・・・いや、そんな事は」

 眼を泳がせながらリスペン男爵が答える中、

「お断りします」

 前髪で顔を隠した物静かな貴族学校の時とは違い、そうキッパリと答えたのは、家での顔を隠さない髪型からも分かるようにマリエールが内弁慶な性格だったからだ。

「では、やはりスレード商会の・・・」

「その話はお断りしたはずですよ、お父様?」

「断るにしても辺境伯に会うだけ会って・・・」

「お父様、気軽に言われますけど、着飾る為のドレスはどうするんですの? そんなお金、我が家にはありませんのに」

「そこはドレスを借りて・・・」

「貸し衣装など相手に足元を見られるだけじゃないですか」

「では、どうするつもりだ、マリエールは?」

「お花屋さんを開くのもいいですかもね?」

「マリエール、そろそろ現実を見てくれ」

 というリスベン男爵に向かって、マリエールが、

「現実を見るのはお父様の方ですわ。どうして男爵家に出資出来そうな裕福な嫁ぎ先ばかりを見繕ってきているのですか? 笑われるのはお父様なのですよ? 娘を売った、と?」

「だが、貧乏貴族では良くある事で・・・・・・」

「そして、結婚した数年後に捨てられるか、自殺すればよろしいのですか?」

「いや、そうでは・・・・・・」

「なら、もう少しマシな相手を探してきて下さい」

 とマリエールは外とは違う、少しキツめの性格で父親に注文したのだった。





 夏休みで貴族学校は休みでも、園芸部なので水をやらないと花壇の花は枯れる。

 そんな訳でマリエールは1人、正門で顔見知りの守衛に挨拶をして、花壇にジョウロで水を撒いていたのだが、さすがに気落ちしたのか気付けば泣いていた。

 泣くだけなら良かったが、

「誰だ、おまえ? 花壇の花を摘むつもりなら止めて貰おうか。これでも毎日水をやりにきてる生徒が・・・・・・んん、マリエールか? 前髪から顔が出てて分からなかったぞ・・・何だ、泣いてるのか?」

 何故か夏休みに貴族学校に顔を出していたボルに声を掛けられて、

「ち、違ーー眼に前髪が・・・」

 夏休みで学校には誰も居ないのと、夏まで前髪で顔を隠すのは鬱陶しいので顔を晒していたマリエールは泣き顔を見られて慌てて言い繕ったが、近付いてきたボルがハンカチを出してマリエールの涙を拭きながら、

「何があった? 言ってみろ?」

「ボ、ボル様には関係のない事ですわ」

 素顔を見られただけでも恥ずかしいのに涙まで拭かれて照れたマリエールがそう気丈に振る舞ったのに、

「んん。親につまらない話でも聞かされたのか?」

 そう言い当てられて、眼を丸くしたのだった。

「ど、どうして分かったんですか?」

「オレも経験があるからな。無理矢理婚約させられ掛けた」

「その時はどう解決を?」

「ポピー王国に留学する、と言って逃げてきた。隣国だと面倒なので更に遠い国に。ついでに自分の嫁くらい自分で見つけるとも言ったがな」

 そうニヤリと笑ったボルが、

「オレと結婚するか、マリエール? その場合、住むのはオレの出身国のファゲトミナート王国になるが」

 軽いながらも、いきなりのプロポーズに、

「な、何を言って・・・」

 マリエールは驚いたが、ボルはシリアスな顔を作り、

「意外と本気だぞ、オレ。マリエールの素顔がオレが予想していた以上に美人だったからな」

 マリエールの素顔を覗くように見つめたのだった。

 しかし、それ以上の事はするつもりはなかったのか、

「まあ、考えておいてくれ」

 そうボルは顔を離したのだった。

 対するマリエールの方は夏休みだけでも父親と同年代の縁談を3つも持って来られており、ボル以上の嫁ぎ先はない、と思ったのか、即決で、

「よろしくお願いします」

 気付けば答えていた。

 その後、自分の大胆さにマリエールは眼を伏せながら赤面したほどだったが。

「ええっと、ヤケッパチになって・・・ないよな?」

「もちろんです」

「わかった。じゃあ、本国に花嫁が見つかった、と手紙を送るな」

「はい」

「マリエールはオレと婚約したと両親に伝えるようにな。変な縁談を言われる前に」

「はい」

「じゃあ、これは手付けって事で」

 そう屈託なく笑ったボルはシリアスな顔を作って顔を近付けてきて、マリエールの方もこれから何をされるのか理解したので、

「ちょ、ここで、ですか?」

 焦ったが、ボルがマリエールにゆっくりと顔を近付けながら、

「ああ。ほら、眼を瞑って。それとも花達が見てて恥ずかしいか?」

「・・・もう、冗談ばっかり」

 マリエールは照れながらも眼を閉じて、ボルの唇を受け入れたのだった。





 その日の夕食時に両親に報告すると、

「ダメだ、ダメだっ! いくら子爵家の令息だろうとファゲトミナート王国なんてどこの国かも分からない貴族なんてっ!」

 リスベン男爵は大反対した。

 母親の方は、

「あら、他国の貴族の令息との結婚なんて憧れるわぁ~」

 と好意的だったが。

 兄の方は、

「向こうに住むのか?」

「はい」

「その令息は跡継ぎなのか?」

「そう聞いてます」

「へぇ~」

 と答え、賛否は何も言わなかった。





 翌日、頭の固い父親のリスベン男爵はどうにかマリエールが打診した他国の貴族との結婚を潰すべく、勝手にアストル辺境伯との縁談を進めようとすぐにでも動きたかったが・・・

 ポピー王国の外務大臣に名指しで呼び出されてしまい、王宮に出向いていた。

 何事か、と出向けば、国王陛下と謁見する謁見の間に引き出されて、

「その方の娘が、貴族学校に留学してるファゲトミナート王国の貴族令息と国際結婚するらしいな?」

 既に国王陛下の耳にも入っており、リスベン男爵が否定する前に、国王陛下が、

「実にめでたい。国を挙げて支援しよう」

 そう言葉を続けて許可を出したので、返答に困ってしまった。

「ええっと、その・・・」

「何か問題でもあるのか?」

 国王陛下自らが男爵家の令嬢ごときの婚姻に口を挟むのは、昨日の内にファゲトミナート王国の大使を通して、多額の献上金の約束があったからだ。

 その対価が名前も知らないような男爵家の令嬢1人。

 その話に飛び付いたのが、今この場に居る国王陛下以下、宰相や外務大臣達だった。

「嫁ぎ先が遠過ぎると言いますか・・・・・・」

「問題なかろう」

 外務大臣も乗り気なので間髪入れずに言い、宰相も、

「何だったら、その方もファゲトミナート王国に移住しても構わんぞ」

「いえ、私はポピー王国のしんですので」

「ともかく、本日より、その令嬢には護衛の騎士団を付けるな。まあ、出発は今月中になると思うが」

 大乗り気の国王陛下がそう言い、卒業まで時間がある、と思っていた父親のリスベン男爵は寝耳に水で、

「いえ、せめて貴族学校の卒業までは・・・」

「安心しろ。特例の措置として貴族学校の卒業を認めるから」

 宰相がサラリと言い、国王と宰相と外務大臣を相手にリスベン男爵では勝負にならず、まだ会った事もいないボル・ベースという他国の子爵令息と娘のマリエールの結婚式の日程までが、その謁見で勝手に決められたのだった。





 本当にその日からリスベン男爵の屋敷の内外を騎士団が守る事となった。

 それも100人体制で。

 さすがに少し変な事にマリエールも気付き始め・・・・・・・





 ボルがリスペン男爵家に挨拶に来たのはその4日後だったが・・・・・・・





 その更に3日後にはファゲトミナート王国への出発する日となっており、あっという間に旅立つ日が来た。

 自分が居なくなった後の貴族学校の花壇の花の事をマリエールが心配すると、花壇の花総てを鉢に移し替えて、ファゲトミナート王国へ持って行く事となり、

「それでは、お父様、お母様、お兄様、行って参ります」

「ああ、向こうでも元気でな」

 渋々と出発を見送るリスベン男爵と、

「本当に付いて行かなくていいの?」

 娘の門出を祝う母親が尋ねる中、

「ええ。だって、ポピー王国からファゲトミナート王国はダンテライオン王国を挟んでるから80日だもの。往復半年なんだから」

「遠くに行くのね」

「じゃあな、マリエール。嫌な事があったらすぐに戻ってこいよ」

 兄にそう言われて、

「はい、お兄様。では、行ってきます」

 マリエールはそう笑顔で答え、馬車の前に立つボルが、

「お嬢さんは必ず幸せにします」

 そう約束して、2人して馬車に乗り込み、出発したのだった。

 その行列は明らかに子爵令息には相応しくなく大行列だった。





 80日間の馬車での旅路はマリエールにとっては退屈ではなかった。

 馬車内で会話もしてたが、ふと、

「ボル様は私のどこが良かったんですか?」

 と質問したら、マリエールのいいところを褒め始めて、

「・・・も、もういいですから止めて下さい」

 恥ずかしくて赤面したマリエールが止めるように懇願するも止めずに、恥ずかし泣きするまで褒め殺しにされて・・・・・・・

 座りっ放しでお尻が痛いと言えば、

「なら、オレの膝に乗るといいだろう」

 マリエールをお姫様だっこして、膝に乗せられてずっと抱き締められた。

 それだけでは済まず、

「いいよな?」

「ちょ、ダメですって・・・アン」

 まだ結婚式前なので身体こそ許していないが、唇を許してしまい、ずっとチュッチュして、首筋へのキスも許してしまったりと、完全にアツアツのバカップルのような関係になってしまって馬車移動はあっという間に過ぎてしまった。





 ダンデライオン王国を抜けてファゲトミナート王国に到着した時には、出迎えは更に増えて、ファゲトミナート王国の王都に到着するとマリエールは王宮へと連れて行かれた。

 80日間の道中、馬車の中でマリエールはずっとボルに口説かれていたので、到着した時にはもうすっかり恋人になっていた。

 人前なので恥ずかしがりながらも腕を組んで王宮の廊下を歩き、到着した先は謁見の間で、ボルがそのまま上座の空席へと移動して、明らかに玉座に座り、

「よく来たな、マリエール」

 と声を掛けた。

 侍従達が王冠を玉座に座ったボルの頭に乗せる。

「ええっと? 何の冗談なの、ボル様?」

「ははは、お初にお目に掛かる。子爵令息というのは真っ赤な嘘で、ファゲトミナート王国の国王、ボルジェイ・ファゲトミナートだ。よろしくな、マリエール」

 そう王冠を被ったボルが名乗り、マリエールが謁見の間に居た周囲の人達に視線を向け、視線を浴びた全員が苦笑混じりに頷き、そこでようやく、

「ボル様がこの国の国王様ぁ?」

 マリエールは仰天した。

 実は道中、おかしな事が結構あったのだが、ボルとイチャイチャしてた事もあり、マリエールは思考の片隅に押し退けていたのだ。

「本当に気付かなかったのか、マリエール?」

「ええっと、ダンデライオン王国の国王様と面会して対等に喋ってた時は、さすがに変だな、と少しは思いましたけど」

「ははは、確かにな。王都に到着と同時に王宮に呼び出されたもんな。あの時はあのオヤジ、どうしてくれようかと思ったが」

「ええっと、本当にボルが国王様なのよね? コホン、なのですよね?」

「ああ」

「なのに、どうして私を選んだのですか? 他国の男爵令嬢なんかを? 国王様なら妻もり取り見取りでしょ?」

 マリエールの真面目な質問に、椅子から立ち上がってマリエールの前へと移動したボルジェイ国王は、

「そうか、マリエールはえなかったんだったな」

「?」

 不思議がるマリエールの周囲には、ボルジェイ国王の視界を通すと、多数の精霊達が踊ってるのが、はっきりと視えた。

「マリエールが精霊に愛されているからさ」

「精霊? お伽噺の?」

「ああ、心清らかな者にしか精霊は愛されないからな。まあ、マリエールは他にも素晴らしいところがたくさんあるが・・・・・・褒めたら恥ずかし泣きするのでここでは控えよう」

 そうボルジェイ国王は笑ったのだった。

「ええっと、別段、私、他の令嬢よりも優れてるようには思えないのですが?」

「そう思ってるのはマリエールだけだよ。マリエールの欠点は、その美醜に疎いところだな。人間に興味がないのか、自分の美貌にも気付かない。まあ、マリエールはオレだけを見ていればいいさ。それよりもすぐに結婚だから覚悟するようにな」

 そう笑うと、ボルジェイ国王は馬車内の時のように気軽にマリエールを抱き寄せて唇を奪ったのだった。





 王妃教育等々の前に結婚式が先に行われ、マリエールは精霊とファゲトミナート王国の民から祝福されて結婚し、ボルジェイ国王に大切に守られていつまで幸せに暮らしたのだった。





 因みに、ファゲトミナート王国の国王であるボルジェイが直接、隣国の更に先のポピー王国にまで出向いたのは精霊に、愛し子を助けて欲しい、と頼まれたからだ。

 その為、極秘裡ごくひりに動く事となり、ポピー王国側には、ボルがファゲトミナート王国の国王とは知らせなかった。

 ポピー王国の首脳部はいまだに、他国の有力貴族の令息の色恋沙汰に便宜を図っただけ、と思ってる。

 だが、精霊の愛し子のマリエールの放出をに、マリエールを失ったポピー王国は少しずつ作物の収穫を減らして衰退するのだった。

 精霊の存在を忘れ去ったポピー王国では衰退の原因がマリエールの放出だとは王国が滅亡する最後の時まで気付かなかった。





 おわり
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