短編集

竹井ゴールド

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ただの脇役の男爵令嬢なのに婚約破棄計画書なる物騒なメモを正門で拾った事から卒業パーティーの日まで公爵令嬢の為に暗躍する事になってしまいました

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「ベアリーヌ・ブンスカインっ! 貴様は王太子であるこの私、アルフレッド・ランタナの妃候補なのをいい事に、ここに居るフランシスカ・アルマーの私物を盗み、悪評を流して孤立させ、更には噴水に突き落とすばかりか、階段から突き落ちして殺そうとしたなっ! そのような恐ろしい女を未来の国母にさせる訳にはゆかぬっ! よって、ここにこの私、アルフレッド・ランタナはベアリーヌ・プンスカインとの婚約を破棄し、真実の愛の相手、フランシスカ・アルマーと新たに婚約する事を発表するっ!」

 ランタナ王国の貴族学校の卒業パーティーでそう叫ぶように盛大にやらかしたのはお恥ずかしい事に我が国の王太子であるアルフレッド殿下でした。

 アルフレッド殿下の横には新たな婚約者に指名されたフランシスカ様が既にエスコートされておられ、2人と対峙するようにベアリーヌ様が立って居られたのですが・・・・・・・

 やっぱり起きてしまいましたのね、アルフレッド殿下による婚約破棄。

 御可哀想に、アルフレッド殿下・・・・・・・・

 えっ、どうして婚約破棄されて王太子妃になれなくなったベアリーヌ様ではなくて、婚約破棄をした側のアルフレッド殿下が御可哀想なのか、ですって?

 それはですね。

 ベアリーヌ様が迎え撃つ準備が万端だからです。

 この婚約破棄騒動を遠巻きに見ている男爵令嬢のこの私、ヘレン・ベールも陰ながらベアリーヌ様のお手伝いを少々致しましたから。

 どうして男爵令嬢でしかないこの私が公爵令嬢のベアリーヌ様のお手伝いをする破目になったのかというと・・・





 事の起こりは2年生の夏休み明けのある日でした。





 貴族学校から帰宅する馬車の中で、忘れ物に気付き、馬車を貴族学校へと戻して正門から歩いて校舎に向かっていた時の事。

 正門から校舎へと続く石畳に1枚のメモが落ちていました。

 それを拾ったのが不運の始まりで、その内容は婚約破棄計画書。

 令嬢を陥れて令嬢の有責で婚約破棄するという最低の物でした。

 何の瑕疵かしもない令嬢に卒業パーティーで罪をなすりつけるだなんて。

 私も女ですから、最低だわ、と思い、教室で忘れ物を回収する前に生徒会に届けたのですが、その時、生徒会室に居たのはベアリーヌ・ブンスカイン様お1人だけで、生徒会室のドアの前で、

「あら、どうされたのかしら? 生徒会に何か御用?」

「それが悪戯いたずらかもしれないのですが、先程、正門と校舎の間の通りでこのような最低なメモを拾ってしまい、生徒会に届けるべきだと判断しました」

 とメモを渡すと、ベアリーヌ様がメモの内容を確認された後、

「そう、ありがとね。ええっと、お名前は?」

「ヘレン・ベールです」

「そう。この事は他言無用でお願いね。生徒の皆さんに動揺が走るといけないから」

 生徒会室のドアの前での会話はそれだけで済んだのですが・・・





 3日後には私の家のベール男爵家にプンスカイン公爵家から招待状が届き、両親とお兄様が、

「貴族学校で何かやったのか?」

「ヘレンちゃん、何をやっちゃったの?」

「ヘレン、おまえ、未来の王太子妃に眼を付けられるなんて、どういう学生生活を送ってるんだ?」

 みんなして私を変な眼で見て、

「何もやってないわよ、失礼ね」

 そう返事する破目になったのでした。





 そしてプンスカイン公爵家に出向けば、豪華な部屋にベアリーヌ様が居られて、

「良く来てくれたわね、ヘレン嬢」

「本日は私のような男爵家の人間をお招き下さりありがとうございます」

「あら、爵位なんて関係ないわ。大袈裟ね」

「いえ、でも・・・・・・」

「そのドレス、似合ってるわよ」

「ありがとうございます」

 との社交辞令の応酬の後、ベアリーヌ様がメイドを遠ざけられて、

「そうそう、この前のメモの筆跡鑑定が済みましたわ。メモを記載したのは宰相令息のアレジ・ドムシデンでしたのよ」

「では、ドムシデン様が婚約破棄を計画されて・・・」

「いいえ、アレジ様はまだ婚約者がいないはずよ」

「? では、あれは悪戯だったのですね。よかったぁ~」

「いいえ、違うわ。このメモの標的はわたくし、という事よ」

「はあ?」

 私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまいました。

 そして、その失態を誤魔化すかのように、

「あり得ません。だってベアリーヌ様のお相手はアルフレッド殿下でベアリーヌ様は未来の王太子妃ではありませんか?」

 と否定してから、

「・・・・・・あっ、まさか、フランシスカ様?」

 貴族学校で最近、アルフレッド殿下と一緒に居る男爵令嬢の名前を挙げると、ベアリーヌ様が皮肉げに、

「そのようね」

「そんな、だってベアリーヌ様は王太子妃教育をずっとされてきたのに」

「まあね。そこでヘレン嬢、アナタに頼みたい事があるのだけど」

 私は嫌な予感がしながらも、

「何でしょうか?」

「このメモにある協力者をあぶり出して欲しいの」

「あぶり出すってどうやってですか?」

「アルフレッド殿下と接触した令息と令嬢の情報を私に伝えてくれるだけでいいわ」

「いえ、でも、そんなのは私ではなく、もっと他のーー」

 否定的な言葉を私が口走った瞬間、ベアリーヌ様が、

「王太子妃から外されるわたくしのお願いを断るのは貴族令嬢としては正しくて大変御立派だわ、ヘレン嬢。でもね、ヘレン嬢、よくお考えになってね。これはアナタがわたくしに恩を売れるチャンスではないかしら? 協力なさいな。ねえ、お願い」

「お願い? こんなの上位貴族から下位貴族への命令じゃないですかっ!」

 と思わずツッコミを入れてしまい、

「あら、そんな事はないわ。お願いなんだから。わたくしも困ってるの、ねえ、ヘレン嬢? いえ、そんな他人行儀な呼び方は止めましょう。今からヘレンと呼ぶわね。ねえ、ヘレン、お願い。アナタだってメモの内容を見た時、最低な行為だと思ったのでしょ。無実の罪を令嬢に着せるだなんて」

 と逃げ場のない室内で何度もお願いされて、私はその後、貴族学校内でアルフレッド殿下とその取り巻きをスパイする破目になったのでした。





 その貴族学校のスパイ活動で一番危なかったのは年明けの事でした。

「おまえ、最近、ずっとアルフレッド殿下の事を見てるなっ! オレに付いてこい」

 そう騎士団長の御令息のダン・ゴルバス様に言われて付いていくと、アルフレッド殿下とフランシスカ様、それに殿下の側近の方々がおられました。

「名を聞こうか?」

 フランシスカ様の腰に手を回して座り、堂々と浮気されてるアルフレッド殿下に質問されて、

「ヘ、ヘ、ヘレン・ベールです、殿下」

 そう私がドモったのはドキドキだったからです。

 実際にベアリーヌ様に頼まれてアルフレッド殿下に対して後ろ暗いスパイ活動をしていた訳ですから。

 バレたら、どうなるかと心配で。

「ベール家、聞かんな・・・・・ベール家の爵位は?」

「だ、男爵です」

「それで? どうして最近、私を見ていたのだ?」

「えっと、それは・・・」

「それは?」

「言いたくないというか・・・」

 私が本当の事を白状するかどうか迷いながら、そう返事すると、アルフレッド殿下が、

「ああ、優しく質問し過ぎたか? 命令だ、答えろ。どうして私を見ていた?」

 と強く言われたので、私は座るアルフレッド殿下の背後に立って控えていて、視界に入った人物を見て、少し恥ずかしげな表情を作りながら、

「ア、アルフレッド殿下を見ていたのではありません。その、アレジ様の事を・・・キャア、言っちゃったぁ♡ この際だから言っちゃいます。ずっと見てました。分かってます。分不相応だって事は。でも、これからもアレジ様の事を陰ながら応援してますっ!」

 そうファンクラブの令嬢のような事を言うと、呆れ果てたアルフレッド殿下が、

「相変わらずモテモテだな、アレジは?」

「いえ、そんな」

 満更でもなさそうにアレジ様は照れてらっしゃいます。

 あれ? アレジ様って意外にチョロイ?

「この令嬢はどうしましょうか?」

 ダン様が質問されると、

「ああ、もういい」

 面倒臭そうにアルフレッド殿下が言われて、私はアレジ様に一礼してから何とか解放されたのでした。





 どこでその情報を入手されたのか、翌日の定期連絡の際にはベアリーヌ様に、

「ヘレンってアレジ様の事が好きだったの?」

「そんな訳ないじゃないですか、ベアリーヌ様。あれはスパイ活動がバレて咄嗟にいた嘘ですよ。ってか、殿下をスパイしていたのがバレたらどうなるかとヒヤヒヤだったんですからね」

「あらあら。でも、その嘘のお陰でこれからは大っぴらにアルフレッド殿下の事を見ていられるわね。これからも期待してるわよ、ヘレン」

「まだやるんですか? 先日、捕まってマークされてるのに?」

「当然よ。わたくしの未来が懸かってるんだから」

 との事で、私はアルフレッド殿下をスパイして接触があった学生の令息や令嬢のリストをベアリーヌ様に伝え続けたのでした。





 そして、卒業パーティーの今日、断罪劇が始まった訳ですが・・・・・





 蓋を開ければ、

「私はアレジ様にベアリーヌ様がフランシスカ様の私物を盗んでるよう偽証すれば家の借金を肩代わりしてやろう、と言われました」

「オレは、ベアリーヌ様の側近がフランシスカ様の悪評を立ててると偽証したら、騎士団入団後の地位を約束する、とダン様に言われました」

「私はフランシスカ様が噴水に落ちてズブ濡れだったと証言しろ、とアルフレッド殿下本人に命令されましたが、さすがにそんな人の道に外れた命令には従えないので、ここできっぱりと拒否させていただきますっ!」

「オレは階段からフランシスカ様が落ちたのをアルフレッド殿下が受け止めた事にしろ、とそちらの寄り親の令息のオスカン様に命令されました」

 証言者が次々に偽証を強要された事を証言しました。

 私も苦労した甲斐があったわ。

 取りこぼしもナシだったし。

 そう感慨深げにパーティー会場の様子を見てる私とは対照的に、アルフレッド殿下とその側近達は事態を掌握出来ずに青ざめておられました。

「これはどういう事でしょうか、アルフレッド殿下?」

 勝ち誇ったベアリーヌ様が歌うように質問されると、

「だ、黙れっ! これはおまえがこの者達を買収したからであろうがっ!」

 などとアルフレッド殿下が訳の分からない事を言われた時、卒業パーティーの入口のドアがバンッと勢い良く開き、ベアリーヌ様の仕込み通り、国王陛下と王妃殿下が登場されました。

「なっ、父上、母上? どうして、ここに?」

 アルフレッド殿下が面白いくらいに狼狽されましたわ。

「どうしてだと? ベアリーヌから卒業パーティーでおまえが王太子にあるまじき失態を演じるから止めて欲しいと言われたから来たのだっ!」

「何の瑕疵のないベアリーヌに冤罪を被せるなど見損ないましたよ、アル」

 国王陛下と王妃殿下の2人に呆れ果てられながらも、アルフレッド殿下は、

「ち、違います。こいつらが偽証を・・・」

「これだけの数の人間が偽証などする訳がなかろうがっ! そんな事も分からないのか、この愚か者がっ!」

 と国王陛下が一喝されて、

「おまえと側近達の実力はよぉ~く分かった。アルフレッド、おまえとベアリーヌの婚約の破棄を認め、そこのフランシスカ・アルマー男爵令嬢との婚約を認めよう。それと同時に、アルフレッドを廃太子とし、王籍も剥奪。北の辺境への追放とするっ!」

「なっ、父上、私を追放など、何をおっしゃっているのか分かっておられるのですか? 御正気なのですか?」

「無論だっ! 正気でないのはおまえの方だ、アルフレッドっ! この大バカ者がっ! 婚約破棄計画書などという愚かな物まで作成しおってっ! 更にはそのメモを落とすなどっ!」

 国王陛下はそう言って私がベアリーヌ様に渡したメモをアルフレッド様に見せられましたわ。

「こ、これは、どうしてこんな物が父上の手に?」

「ベアリーヌから手渡されたわっ! それも9月の段階でなっ! 筆跡はアレジ、おまえの物と一致してるっ! 今回の騒動を側近全員が止めるどころか、逆に加担してる事は既に調べが付いているっ! アルフレッドだけではなく、側近全員も処分するから覚悟しておけっ!」

 と激昂する国王陛下に全員が恐縮する中、アルフレッド殿下だけが、

「お、お待ちを・・・母上からも父上に何とか言って下さいっ!」

「何をですか? 本当に残念ですよ、アル。北の辺境で幸せに暮らしなさいね。そうそう、子供は作れないように去勢させますから、そのつもりでね。それにしても、どうしてこんなおバカに育ってしまったのかしら?」

 と我が子に発言するとは思えぬほど冷たく言い放つと、国王陛下が、

「この愚か者達を引っ立てろっ!」

 そう言って、騎士団によってアルフレッド殿下とフランシスカ様、それに側近の皆様が連行されていかれました。

 国王陛下がベアリーヌ様に、 

「すまなかったな、ベアリーヌ。この不始末の借りはちゃんと返す事を、国王として約束しよう」

「こちらの偽証を強要されながらも勇気ある証言をした皆様への褒美もお願いしますね」

 ベアリーヌ様がそう答え、

「ああ、良かろう」

 と約束した国王陛下が、

「今日は卒業パーティーだ。思う存分、楽しむように」

 こうして茶番の婚約破棄騒動は終結して、私達は卒業パーティーを楽しんだのでした。





 後始末の事を少々報告します。

 アルフレッド様は王太子と王籍を剥奪されて去勢されて北の辺境へと追放されました。

 去勢は無能な王族の子孫を残さぬ為の処置で不可欠だそうです。

 真実の愛の相手のフランシスカ様も一緒に北の辺境に出向かれましたわ。

 御実家のアルマー男爵家は当然、王太子失脚の責任を取らされて廃絶。

 よって、お2人は平民として夫婦になられた訳です。

 アルフレッド様の側近だった宰相家の令息、騎士団長の令息、侯爵家の令息の3人は揃って廃嫡された上、貴族籍を抜かれ、鉱山送りとなられたそうです。

 なまじアルフレッド様の側近だった事からランタナ王国の機密に関わってる為に、放逐はもちろん、下級官として採用する訳にもいかない、との判断だったそうですわ。

 つまりは、鉱山送りの際には喉を潰され、喋れなくされた、という事です。





 そうそう。

 王太子妃になられるはずだったベアリーヌ様は、新たに王太子となられたアルフレッド様の弟のカルオーガン様と婚約されました。

 優秀過ぎてランタナ王家がベアリーヌ様を手放せなかったから、このような処置となったようです。





 そして、この私、ヘレン・ベールはと言えば·······

 男爵令嬢でありながら、王太子妃候補のベアリーヌ様の3側近の1人になって王宮に仕える破目になってしまいましたわ。

「あの、ベアリーヌ様。どうして私は王宮で女官なんかをしているのでしょうか?」

「無論、卒業パーティーでの一件の論功行賞の結果よ。あのメモをヘレンが拾わなければ、後手を踏んで、わたくしは今頃、辺境に追放されていたのですからね」

「ご褒美でしたら、出来れば、就職先よりもいい夫を紹介して欲しかったのですが」

「あら、自力で見つけられないの、ヘレン? 約書が山ほど届いてると聞いてるけど?」

「ベアリーヌ様の側近として取り立てられた直後からですけどね。それまでは1通も来なかったのに。気持ちいいくらいに下心が分かって、逆に清々しいですわ」

 と私が皮肉げに言い、

「お陰で、どれが良い相手か、全く見分ける事が出来ず家族一同、困っております。ベアリーヌ様にも選別を手伝って欲しいくらいですわ」

 そう口を滑らせたのが運の尽きで、

「仕方ないわね。それくらいならわたくしも手伝ってあげましょう」

 私の夫選びにベアリーヌ様の介入した事で、私は貴族学校を卒業した翌年の内に、何とアレジ様のやらかしの連座で交替し、新宰相となったナルーゼス侯爵家の嫡男に嫁ぐ破目になったのでした。

 無論、政略ですわ。

 その上、相手は上位貴族の侯爵家。

 対する私は貴族の底辺の男爵家。

 お陰で、イビられ・・・はしませんでしたけどね。

 何せ、私は飛ぶ鳥を落とす勢いのベアリーヌ様の寵愛を受けた側近の1人でしたので。

 そりゃ、もう旦那様からも侯爵家の皆様からも使用人からも大切に扱われて幸せになりましたわよ。





 その後も王太子妃、王妃と順当になったベアリーヌ様の私への寵愛は続き・・・・・・

 ベアリーヌ様が産んだ王太子の乳母までやらされて、ベアリーヌ様が亡くなられた際には後の事をたくされ、ベアリーヌ様亡き後にはランタナ王国の影の王太后とまで国内外で呼ばれるようになってしまいましたが。

 総ては貴族学校であんなメモを拾った所為せいです。

 人生、何が起こるかわかりませんわ。





 おわり
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