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婚約者である氷の令嬢の悪評調査の為に王家の秘宝を使って猫に変身した王太子はデレデレ顔で赤ちゃん言葉を使う婚約者と隣国の陰謀を知る
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氷の令嬢。
その二つ名で呼ばれてるのがシルバーバイン王国のハドソン公爵家のアイリスだった。
氷は冷たい印象を与える為、氷が重宝される砂漠地帯以外の地域では良い意味で使われる事はない。
アイリス・ハドソン公爵令嬢の氷の令嬢の二つ名もマイナスの意味で使われていた。
アイリスが元々無表情で、言動が静かだった事もあるが、いつの頃からか他人を見下してるとの悪評が広まっていた。
◇
そのアイリスの悪評を聞き、アイリスに嫌悪感を示したのがアイリスの婚約者であるシルバーバイン王国の王太子でもあるカルロス陛下だった。
元々、父王が決めた政略結婚自体に乗り気ではなかったカルロス殿下は、王宮の王太子の執務室で、
「やはりアイリスが貴族学校に通う下位の令嬢を虐げてるという噂は本当だったか」
部下からの報告を聞き、茶色の前髪を掻き上げて不機嫌そうに尋ねた。
側近候補で学生ながら既に騎士侯の資格も持つアデューが、
「いえ、まだ虐げてるとは。その令嬢が申告しているだけで」
「複数の令嬢から同じ陳情が上がってきてるのだろう?」
「はい。ですが、全員がハドソン公爵家と敵対する派閥に属しておりますので」
「偽証による王太子妃候補への中傷の可能性もあるという訳か?」
「はっ」
「それはそれで由々しき事態だな。わかった。この件はもうしばらく様子を見よう。下がってくれ」
「失礼します」
アデューが退室する中、
「そんな悠長な事も言ってはいられんがな。どっちが本当なのか真偽を確かめ、もし噂が事実ならば早々に破談にせねばならんし。よし、やるか」
王太子のカルロス殿下は執務室の金庫を開けて宝石箱を取り出し、その中からシルバーバイン王家に伝わる指輪を出したのだった。
◇
シルバーバイン王家の秘宝の指輪の1つに、猫に変身出来る指輪がある。
本人の意以外では、正体を看破されて名前を呼ばれぬ限りは、変身が解けないので意外に重宝出来た。
王太子のカルロスはこの指輪を使い、数々の問題を解決に導いている。
王太子暗殺未遂事件。
隣国貢物の果物に混入未遂事件。
その他等々を。
そしてカルロスが猫になれる事を知ってるのはこのシルバーバイン王国では王太子の指名と同時に王家の秘宝である指輪を継承させた父王だけだった。
王妃も宰相も王太子の側近も誰一人知らない。
そして王太子カルロスは三毛猫になって王宮を抜け出してハドソン公爵邸に向かったのだった。
◇
王太子カルロスの婚約者に選ばれたハドソン公爵家はシルバーバイン王国内でも3本の指に入る程の実力者で、邸宅も立派で広かった。
庭を訪れた三毛猫のカルロスは平然と庭内を闊歩すると、そこで、
「あら、どこの迷い猫かしら?」
庭で読書中のアイリスと遭遇した。
金髪縦ロールと白肌の美貌で青色のドレスを着飾ったアイリスは氷の令嬢と称されるだけあり、周囲に冷淡な印象を与える令嬢だった。
カルロス自身もアイリスの事を、寡黙で、表情が変わらず、何を考えてるのか分からない、という印象しなかったが、椅子から下りて地面に屈んだアイリスが、
「ほら、ネコちゃん。こっちにおいでぇ~。怖くないでちゅよぉ~」
そう三毛猫のカルロスに言った時は、さすがに単身で公爵邸に乗り込むくらい豪胆なカルロスも一瞬固まった。
アイリスの顔は普段の冷淡な無表情とは違い、デレデレ顔だ。
(何だ? オレは何を見ている?)
「ああ、また、お嬢様の悪い癖が。お嬢様、野良猫を相手にお止め下さい」
「そうです。アイリス様は王太子妃になられるのですよ? 猫に引っかかれたりしたらどうされるのです、お止め下さい」
アイリスの周囲に控えていた公爵仕えのメイド達が慌てる中、
「大丈夫よ。あんなに可愛いのに爪など立てないわ」
とメイドには普段通りに対応したが、三毛猫のカルロスには、
「ほら、ミケちゃん。こっちでちゅよぉ~。おいででちゅ~」
とデレデレ顔で声を掛けてきた。
(ミケちゃんって。もう名前を付けたのか。そうか、猫が好きだったのか、アイリスは。これまで猫の姿で会いに来た事はなかったが。オレと会う時とプライベートの時は随分違うらしいな。こっちの方が好感が持てるが・・・ふむ。だとしたら下位貴族の令嬢を虐げてるという噂もただの王太子妃になるアイリスを羨む中傷か)
と三毛猫のカルロスは苦笑しながら、アイリスから遠ざかり、
「ああぁ~、ミケちゃん。行かないでぇ~。せめて背中を触らせてぇ~」
と背後からアイリスが残念がる声が聞こえたのだった。
◇
調査はこれで終わりではない。
アイリスを虐げられてると訴えた令嬢の生家のボスワン男爵の屋敷に三毛猫のカルロスは出向き、屋敷の窓の近くの木に登って屋敷内の様子を窺うと、男爵令嬢のリューナが、
「あぁ~、だるぅ~」
行儀悪く長椅子の肘掛けに片足を乗せて寝転んでいた。
(まあ、下位貴族だからな。屋敷ではこんな物か。さてと、男爵は居るかな?)
と様子を探ると、執務室では何やら商人風の男との商談の真っ最中で、
「これはボスワン男爵の御令嬢がハドソン公爵令嬢を訴えられた約束の分です」
硬貨が入ってると思われる革袋10個をやり取りしていた。
ボスワン男爵が1つの革袋の中身を確かめると金貨が入っていた。
「うむ。確かに。しかし、ダンデライオン王国も妙な事を頼んでくるな。まあ、敵対派閥の失脚願いだったから話には乗ったが」
(ダンデライオン王国だとぉ? 最近やたらとちょっかいを掛けて来てる隣国ではないか。と言うか、隣国の諜報員とつるむとは。これだから下位貴族は)
耳を立てて三毛猫のカルロスが会話の続きを聞くと、
「ボスワン男爵は知る必要のない事ですよ。それよりも訴えた後の展開ですが・・・」
「大丈夫さ。大事になっても貴族学校内の話だ。虐けてる虐げてないの水掛け論になって、最後には大物貴族が介入して意地の張り合いになって有耶無耶になるだけさ」
「ならば結構です。我らの関係はくれぐれもご内密に」
「もちろんさ」
との悪巧みを聞いた三毛猫のカルロスは男爵邸から帰る商人の馬車の屋根に乗ってアジトの商会まで案内して貰ってから、王宮に帰ったのだった。
◇
王太子のカルロスが王宮に帰ると同時に騎士団がアジトの商会を調査して隣国のダンデライオン王国のスパイは簡単に捕縛された。
他国のスパイだけあり、賄賂を渡した貴族の事を質問しても口は割らなかったが、几帳面な男だったのか、会った貴族のイニシャルを記してたので、騎士団が簡単に接触した貴族5名全員を割り出した。
5人全員が下位貴族ばかりだったので、2家の降格、3家の断絶、残った2家の貴族の家も親族に当主交替で決着した。
総てが王太子妃候補のアイリスを誹謗した貴族家だったので、王太子妃候補のアイリスの悪評は隣国の陰謀として決着したのだった。
◇
そして王宮のパーティーでカルロス殿下は婚約者のアイリスとダンスを踊りながら、
「此度の騒動は、隣国に介入を許す隙を作った我々にも反省すべき点があると思うのだが」
「はい、殿下。申し訳ございません」
氷の令嬢らしく無表情でアイリスは答えただけで、何を考えているのか分からなかったので・・・
◇
本来はシルバーバイン王国の為にしか使ってはいけないのだが、三毛猫になってカルロスが公爵邸に出向くと庭で、
「ああ、ミケちゃん。会いたかったでちゅよぉ~」
デレデレ顔のアイリスが出迎え、三毛猫のカルロスが背中を撫でさせてやると、
「ミケちゃんはいい子でちゅねぇ~。私は悪い子でちゅ~。婚約者の殿下にも迷惑ばかり掛けてまちゅからぁ~」
と心の内を漏らしたが、ヒョイッと抱き抱えられて、
「お風呂に入ってキレイキレイしましょうねぇ~」
と言われたので、既に身体を猫好きに洗われた事のある三毛猫のカルロスは、
(別に身体を洗われるくらいならいいか)
と気軽に思ったが、信じられない事に婚約者のアイリスも裸になって入浴した為、アイリスの裸から目を背けた三毛猫のカルロスは、
(うおっーー見てないっ! 見てないぞっ! 見てないからなっ!)
内心で動揺したが、アイリスが、
「ミケちゃん、どうちたんでちゅかぁ~? お外なんか向いてぇ~?」
そっぽを向いたカルロスを抱き上げて、ギュッと抱き締めたので、
(ぬぉっ、柔らかな弾力が背中にダイレクトに。アイリスって胸があったんだなぁ。いい匂いもするしーーじゃない。もし、この状況で名前を言い当てられて人間の姿に戻ったら幾ら婚約者の王太子でも確実に公爵家の人間に殺されるぞ。そもそも廃嫡モノの失態だ。だが陛下にだけは言い訳の意味も含めて帰ったら報告しよう。すぐに報告しておかないとバレた時に邪推されて人格が疑われる)
その後、三毛猫のカルロスは借りてきた猫のように、大人しく公爵邸の浴室で身体を一緒に入浴したアイリスに洗われたのだった。
これを機に王太子のカルロス殿下の方から婚約者のアイリスに大幅に歩み寄り、アイリスとの仲を進展させたのは言うまでもない。
おわり
その二つ名で呼ばれてるのがシルバーバイン王国のハドソン公爵家のアイリスだった。
氷は冷たい印象を与える為、氷が重宝される砂漠地帯以外の地域では良い意味で使われる事はない。
アイリス・ハドソン公爵令嬢の氷の令嬢の二つ名もマイナスの意味で使われていた。
アイリスが元々無表情で、言動が静かだった事もあるが、いつの頃からか他人を見下してるとの悪評が広まっていた。
◇
そのアイリスの悪評を聞き、アイリスに嫌悪感を示したのがアイリスの婚約者であるシルバーバイン王国の王太子でもあるカルロス陛下だった。
元々、父王が決めた政略結婚自体に乗り気ではなかったカルロス殿下は、王宮の王太子の執務室で、
「やはりアイリスが貴族学校に通う下位の令嬢を虐げてるという噂は本当だったか」
部下からの報告を聞き、茶色の前髪を掻き上げて不機嫌そうに尋ねた。
側近候補で学生ながら既に騎士侯の資格も持つアデューが、
「いえ、まだ虐げてるとは。その令嬢が申告しているだけで」
「複数の令嬢から同じ陳情が上がってきてるのだろう?」
「はい。ですが、全員がハドソン公爵家と敵対する派閥に属しておりますので」
「偽証による王太子妃候補への中傷の可能性もあるという訳か?」
「はっ」
「それはそれで由々しき事態だな。わかった。この件はもうしばらく様子を見よう。下がってくれ」
「失礼します」
アデューが退室する中、
「そんな悠長な事も言ってはいられんがな。どっちが本当なのか真偽を確かめ、もし噂が事実ならば早々に破談にせねばならんし。よし、やるか」
王太子のカルロス殿下は執務室の金庫を開けて宝石箱を取り出し、その中からシルバーバイン王家に伝わる指輪を出したのだった。
◇
シルバーバイン王家の秘宝の指輪の1つに、猫に変身出来る指輪がある。
本人の意以外では、正体を看破されて名前を呼ばれぬ限りは、変身が解けないので意外に重宝出来た。
王太子のカルロスはこの指輪を使い、数々の問題を解決に導いている。
王太子暗殺未遂事件。
隣国貢物の果物に混入未遂事件。
その他等々を。
そしてカルロスが猫になれる事を知ってるのはこのシルバーバイン王国では王太子の指名と同時に王家の秘宝である指輪を継承させた父王だけだった。
王妃も宰相も王太子の側近も誰一人知らない。
そして王太子カルロスは三毛猫になって王宮を抜け出してハドソン公爵邸に向かったのだった。
◇
王太子カルロスの婚約者に選ばれたハドソン公爵家はシルバーバイン王国内でも3本の指に入る程の実力者で、邸宅も立派で広かった。
庭を訪れた三毛猫のカルロスは平然と庭内を闊歩すると、そこで、
「あら、どこの迷い猫かしら?」
庭で読書中のアイリスと遭遇した。
金髪縦ロールと白肌の美貌で青色のドレスを着飾ったアイリスは氷の令嬢と称されるだけあり、周囲に冷淡な印象を与える令嬢だった。
カルロス自身もアイリスの事を、寡黙で、表情が変わらず、何を考えてるのか分からない、という印象しなかったが、椅子から下りて地面に屈んだアイリスが、
「ほら、ネコちゃん。こっちにおいでぇ~。怖くないでちゅよぉ~」
そう三毛猫のカルロスに言った時は、さすがに単身で公爵邸に乗り込むくらい豪胆なカルロスも一瞬固まった。
アイリスの顔は普段の冷淡な無表情とは違い、デレデレ顔だ。
(何だ? オレは何を見ている?)
「ああ、また、お嬢様の悪い癖が。お嬢様、野良猫を相手にお止め下さい」
「そうです。アイリス様は王太子妃になられるのですよ? 猫に引っかかれたりしたらどうされるのです、お止め下さい」
アイリスの周囲に控えていた公爵仕えのメイド達が慌てる中、
「大丈夫よ。あんなに可愛いのに爪など立てないわ」
とメイドには普段通りに対応したが、三毛猫のカルロスには、
「ほら、ミケちゃん。こっちでちゅよぉ~。おいででちゅ~」
とデレデレ顔で声を掛けてきた。
(ミケちゃんって。もう名前を付けたのか。そうか、猫が好きだったのか、アイリスは。これまで猫の姿で会いに来た事はなかったが。オレと会う時とプライベートの時は随分違うらしいな。こっちの方が好感が持てるが・・・ふむ。だとしたら下位貴族の令嬢を虐げてるという噂もただの王太子妃になるアイリスを羨む中傷か)
と三毛猫のカルロスは苦笑しながら、アイリスから遠ざかり、
「ああぁ~、ミケちゃん。行かないでぇ~。せめて背中を触らせてぇ~」
と背後からアイリスが残念がる声が聞こえたのだった。
◇
調査はこれで終わりではない。
アイリスを虐げられてると訴えた令嬢の生家のボスワン男爵の屋敷に三毛猫のカルロスは出向き、屋敷の窓の近くの木に登って屋敷内の様子を窺うと、男爵令嬢のリューナが、
「あぁ~、だるぅ~」
行儀悪く長椅子の肘掛けに片足を乗せて寝転んでいた。
(まあ、下位貴族だからな。屋敷ではこんな物か。さてと、男爵は居るかな?)
と様子を探ると、執務室では何やら商人風の男との商談の真っ最中で、
「これはボスワン男爵の御令嬢がハドソン公爵令嬢を訴えられた約束の分です」
硬貨が入ってると思われる革袋10個をやり取りしていた。
ボスワン男爵が1つの革袋の中身を確かめると金貨が入っていた。
「うむ。確かに。しかし、ダンデライオン王国も妙な事を頼んでくるな。まあ、敵対派閥の失脚願いだったから話には乗ったが」
(ダンデライオン王国だとぉ? 最近やたらとちょっかいを掛けて来てる隣国ではないか。と言うか、隣国の諜報員とつるむとは。これだから下位貴族は)
耳を立てて三毛猫のカルロスが会話の続きを聞くと、
「ボスワン男爵は知る必要のない事ですよ。それよりも訴えた後の展開ですが・・・」
「大丈夫さ。大事になっても貴族学校内の話だ。虐けてる虐げてないの水掛け論になって、最後には大物貴族が介入して意地の張り合いになって有耶無耶になるだけさ」
「ならば結構です。我らの関係はくれぐれもご内密に」
「もちろんさ」
との悪巧みを聞いた三毛猫のカルロスは男爵邸から帰る商人の馬車の屋根に乗ってアジトの商会まで案内して貰ってから、王宮に帰ったのだった。
◇
王太子のカルロスが王宮に帰ると同時に騎士団がアジトの商会を調査して隣国のダンデライオン王国のスパイは簡単に捕縛された。
他国のスパイだけあり、賄賂を渡した貴族の事を質問しても口は割らなかったが、几帳面な男だったのか、会った貴族のイニシャルを記してたので、騎士団が簡単に接触した貴族5名全員を割り出した。
5人全員が下位貴族ばかりだったので、2家の降格、3家の断絶、残った2家の貴族の家も親族に当主交替で決着した。
総てが王太子妃候補のアイリスを誹謗した貴族家だったので、王太子妃候補のアイリスの悪評は隣国の陰謀として決着したのだった。
◇
そして王宮のパーティーでカルロス殿下は婚約者のアイリスとダンスを踊りながら、
「此度の騒動は、隣国に介入を許す隙を作った我々にも反省すべき点があると思うのだが」
「はい、殿下。申し訳ございません」
氷の令嬢らしく無表情でアイリスは答えただけで、何を考えているのか分からなかったので・・・
◇
本来はシルバーバイン王国の為にしか使ってはいけないのだが、三毛猫になってカルロスが公爵邸に出向くと庭で、
「ああ、ミケちゃん。会いたかったでちゅよぉ~」
デレデレ顔のアイリスが出迎え、三毛猫のカルロスが背中を撫でさせてやると、
「ミケちゃんはいい子でちゅねぇ~。私は悪い子でちゅ~。婚約者の殿下にも迷惑ばかり掛けてまちゅからぁ~」
と心の内を漏らしたが、ヒョイッと抱き抱えられて、
「お風呂に入ってキレイキレイしましょうねぇ~」
と言われたので、既に身体を猫好きに洗われた事のある三毛猫のカルロスは、
(別に身体を洗われるくらいならいいか)
と気軽に思ったが、信じられない事に婚約者のアイリスも裸になって入浴した為、アイリスの裸から目を背けた三毛猫のカルロスは、
(うおっーー見てないっ! 見てないぞっ! 見てないからなっ!)
内心で動揺したが、アイリスが、
「ミケちゃん、どうちたんでちゅかぁ~? お外なんか向いてぇ~?」
そっぽを向いたカルロスを抱き上げて、ギュッと抱き締めたので、
(ぬぉっ、柔らかな弾力が背中にダイレクトに。アイリスって胸があったんだなぁ。いい匂いもするしーーじゃない。もし、この状況で名前を言い当てられて人間の姿に戻ったら幾ら婚約者の王太子でも確実に公爵家の人間に殺されるぞ。そもそも廃嫡モノの失態だ。だが陛下にだけは言い訳の意味も含めて帰ったら報告しよう。すぐに報告しておかないとバレた時に邪推されて人格が疑われる)
その後、三毛猫のカルロスは借りてきた猫のように、大人しく公爵邸の浴室で身体を一緒に入浴したアイリスに洗われたのだった。
これを機に王太子のカルロス殿下の方から婚約者のアイリスに大幅に歩み寄り、アイリスとの仲を進展させたのは言うまでもない。
おわり
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