24 / 37
本編
階級:三つ星に到達
しおりを挟む
「げっ、蛇津先輩?」
合流した亜麻が見たのはヘルメットをしていないナノマシン戦闘員、蛇津九羽だった。
亜麻も美人だが、人気、知名度、ギャラでは完全に九羽に負けており、敗北を素直に認めた。「私の方が美人だもん」と言い張っても良かったが、それだと惨め過ぎるので。
「えっ、誰?」
「私ですよ」
問われて亜麻がヘルメットを外す。
「あら、亜麻ちゃんもナノマシン戦闘員だったんだ~」
「知り合いなんですか?」
「ええ、同じ学校の後輩よ」
「へ~」
柚子太もちゃんと弁えてる。
「ねっ、オレの連れの方が美人だったでしょ」と相手の傷口に塩を塗るような真似はせず、
「どうもはじめまして。露図といいます」
「ヘルメット越して挨拶されてもね~」
美人勝負に負けて機嫌の悪い亜麻が柚子太に文句を言った為、仕方なく柚子太もヘルメットの装備を外した。
「これでいいですか?」
「あら、そんな顔をしてたのね、露図くんって」
実は初めて柚子太の顔を見る九羽は想像以上の顔の良さに満足したが、亜麻の方は、
「あれ? もしかして今日の午後のしまった後の病院に居た? 龍馬医大総合病院だけど」
「ええ、居ましたけど。それが?」
「なら、やっぱりあの時のじゃないの」
「?」
「もしかして忘れてるの、私の事?」
「誰?」
マジマジと柚子太は亜麻の顔を見た。
髪型は同じパーマだったが黒髪が銀髪に変わっただけでも印象はガラリと変わる。
本当に柚子太が分かっていないと悟った亜麻が、
「嘘でしょ? 私よ」
「?」
「私のパンツを見たでしょうが、昼間」
そこまで言われて柚子太も、
「ああ、廊下でスカートなのに開脚のストレッチをしてた礼智瑠夏さんの付き添いの」
「付き添いって――信じられない」
亜麻が九羽に助けを求めると、九羽が、
「私の事も知らなかったわよ、露図くんは」
「そうなんですか?」
「芸能関係に本当に疎いらしいから」
「申し訳ない、付き添いさん」
柚子太のその謝罪に、亜麻は代表的なダンスの振り付けポーズ付きで、
「付き添いじゃないわよっ! アイドルグループ月乃丘44の3期生で、14枚目シングルのセンター、出井亜麻よ」
「ああ、思い出した。あのですよね」
「露図くん、良くないわよ。そういう嘘は」
呆れ顔の九羽のツッコミに、柚子太は素直に、
「悪い。人数が多過ぎてマジで分からん。月乃丘はセンターの新名麻衣さん以外は」
「もういいわよ」
不機嫌な亜麻はそれで不毛な会話を打ち切った。
それよりも戦術ランクBのブルーフィールドだ。これは命懸けの戦闘なので舐めてるとマジで死ぬ。なので一緒に行動となったが、そこでネックとなるのが、
「加速ブーツなんて持ってないよな?」
「ええ」
「特別に貸すけど絶対に返せよ。アシュラは貴重だから」
「えっ、アイテムの譲渡って出来るの?」
「ああ。オレも昨日、蛇津さんに教えて貰ったんだけど」
「へ~」
「マジで返せよ」
「あれれ~、もしかしてナンパしてるの? 私とまた会う約束を取り付ける為に?」
「はあ? ーー今のナシ。ああ、実はそうなんだ。バレちゃったか。だからそうならない為にフィールドボスを倒す前に返してね」
「アンタ、マジでムカつくわよね、そういうところ」
「何故か良く言われてる」
そんな訳で高速ブーツを貸したのだが、アシュラの性能は凄く、移動を再開するも亜麻が、
「嘘嘘、これ凄いっ! ほらほら、蛇津先輩。壁走りからの空中に飛んで、更に空中ジャンプ」
ゴーストタウンで飛び跳ねまくっていた。
「出井さん、分かってるよな? それは一時的にレンタルしてるだけであって――」
「ちょうだいよ、これ」
「やる訳ないだろ、検証で空中で履き替えたら連続で6回空中ジャンプが出来る事が判明したんだから」
「マジで? どうやって取るのよ、このブーツ?」
「フィールドランのボーナスだよ。戦術ランクB以上で走りまくれば出るだろうさ」
「へ~」
「それよりも戦術ランクBのエクセレントクリアだ。敵機を殲滅するからマジで頼むぞ。出来れば蛇津さんの成長LV上げも込みで」
「えっ、そんな事をやってるの、先輩?」
「まあね。そういう協定を組んでるから」
「協定って何?」
「ブルーフィールドを終わらせる為のプロジェクトさ」
「ああ~、何か中国の都市が消滅したらしいわね」
「そういう事。ナノマシン戦闘員の底上げをしてるから協力よろしくな」
柚子太はその後もプロジェクトの説明をしながら戦術ランクBのブルーフィールドを高速で走り続けた。
◇
戦術ランクBのフィールドカウントは約1時間。
そして一つ星以上のナノマシン戦闘員が二人居る。
はっきり言って楽勝で、20分後には地下を平らげた千が地上に出てエアバイクに乗って合流してきた。
柚子太がビルの窓面を駆け上がって高層の屋内に居るボックスを窓ごとレイバズーカーで撃ち 抜くのを見た亜麻が、
「私もそれやりたい」
と再現してレイショットガンで窓ごと屋内のボックスを吹っ飛ばしたはいいが、その後、柚子太はウイング機能で滑空したのに対して、亜麻は空中ジャンプで降りようとして、
「へ?」
NE量のチェックを怠るという初歩的なミスで2歩目の空中ジャンプが発動せず、
「キャアアア」
墜落して、
「ったく」
地上の柚子太が仕方なくジャンプ力増幅で跳んで、空中で墜落中の亜麻をお姫様だっこでキャッチして、
「頼むぞ、出井さん」
「ごめんごめん。後、助けて貰って何だけど、ドサクサ紛れに変なんところ触らないでよ」
「触っても感触がないのにか」
「そうよ」
なんて喋りながら、当たり前のように空中ジャンプで段差を降りるように地上に着地した時に千が乗るエアバイクがやってきたのだった。
「ちょ、何よ、それ?」
柚子太にお姫様だっこされてる亜麻が初見のエアバイクに素直に驚き、九羽も初見だったので無言で驚く中、合流した千は、
「露図くん、地上でトロトロしてると思ってたら彼女達とイチャイチャしながら遊んでたの?」
「まさか。こちらの蛇津さんがプロジェクトと部分協定を組んてたから成長LV上げをしてたんだよ。こっちの子はその付き添い」
「誰が付き添いよっ!」
腕から下ろされて地上に立った亜麻はツッコんだ。
「随分と綺麗な人ね」
「えっ、そうなの? 利々場さんもオレ側なの?」
九羽を見た千の感想に柚子太が喰い付いた。
「オレ側って何がなの?」
「蛇津さんの下の名前、九羽だけど知ってる?」
「えっ、蛇津九羽って女優の?」
「何だ、知ってたのか。どこかにオレみたいに蛇津さんの事知らない人居ないかな~」
「あのね~、露図くん。私の居ないところでしてくれない、その呟き?」
九羽が呆れる中、柚子太が、
「因みに利々場さんはこっちの出井亜麻さんは知ってる?」
「いえ、そっちの人は知らないわね」
「悪かったわね。アイドルグループ月乃丘44の3期生の出井亜麻よ。覚えておきなさい」
「・・・つまり女優さんとアイドルとイチャイチャしてたのね、露図くんは?」
「どうしてそうなるんだよ? プロジェクトは恋愛禁止だぞ。する訳ないでしょ。それにスピードもそれほど遅くもないし。まだ30分以上あってブルーフィールドの3分の2を綺麗に掃除したんだから」
「エアバイクを使えば、もっと早いんじゃないの」
「120時間のチューンナップ中でまだ使えないよ、オレのは。それで加速ブーツで移動さ」
「フィールドを走り回ったらランボーナスで出るアイテム?」
「そういう事。そんな訳でもうちょい走る予定なんだけどね」
「なるほどね。戦術ランクBのエクセレントクリアの条件はまだ未確定。取れなかった時の事も考えてる訳ね。好きにして。でも私も敵機を潰していくから」
「それはありがたい」
こうして千はエアバイクで飛んでいったのだが、
「あの人、相当アナタに惚れてるわね。お姫様だっこされてた私を睨んだところを見ると」
亜麻が指摘した。
「まさか。ブルーフィールドで喋ったくらいで面と向かって喋ったのはこれが初めてなのに」
「あら、そうなの?」
それには九羽も異論があるようで、
「なら、どこかで見られてたんじゃない?」
「今はそれよりも――戦術ランクBをエクセレントクリアだね。走るよ」
柚子太達も動き出したのだった。
高速ブーツの部隊とエアバイクを使っての敵機の撃破だ。
僅か10分後には戦術ランクBのブルーフィールド内の居た500機以上の総ての敵機を倒して、残る敵はフィールドボスだけとなり、
『倒すわよ、露図くん?』
「ああ、頼む」
千の通信に応答した柚子太が九羽と亜麻に向かって、
「二人ともアイテムを返して欲しいんだけど」
「いいわよ」
「ええ~」
九羽は快く返品して、亜麻が渋った瞬間、
【フィールドボスの撃破を確認。フィールドボスの撃破に伴い、3秒後にブルーフィールドが解除されます】
3秒後にはフレンチ店の個室に柚子太は戻ったのだった。
【戦術ランクBのブルーフィールド、エクセレントクリア。クリアボーナス、階級:三つ星。NE全体量+200。メイン武器スペース+1。全ステータス数値+2。ナノマシンの成長ポイント、240ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】
【階級:三つ星の男性戦闘員のステータスの合計数値は150までです。どの項目の上昇を抑えるか設定して下さい】
ん?
階級:三つ星が付いたぞ。どうしてだ?
戦術ランクはBCDEでエクセレントかパーフェクトを取っただけでAはまだなのに。
いや待てよ。怜が戦術ランクAのクリア後に一つ星が付いたって言ってたな。
Aもその判定が出てる?
ってか、二つ星の合計数値が140なのに、三つ星の合計数値が150なのは酷くないか?
男の戦闘員って可哀想過ぎない?
女は上限なんてないらしいのに。
柚子太はアイテムの選択画面に向かったが、
パワードスーツBE専用パイロットスーツ-27Eプロトジェネラル
パワードスーツBF専用パイロットスーツ-27Fスカイジェネラル
パワードスーツBG専用パイロットスーツ-27Gユニバースジェネラル
これだけなのか?
でも内容が少しヤバイっぽいな。
試作タイプの次は空と宇宙かよ。
さすがは未来の代理戦争。ぶっ飛んでるね~。
宇宙に行けとか言ってくれるなよ。
【武器庫20に到達しました。アイテムが1つ選択出来ます(制限時間なし)】
レイライフル-PX69・オードリー
レイショットガン-88・Kアーサー
レイマシンガン-255A・ニューヨーク
武器庫スペース4と軍隊式格闘術ナノマシン
武器庫スペース4とタイムトンネル粒子NE変換装置
武器庫スペース4と滑空型バトルスーツ-26.2バッドジェネラル
こんなのノータイムだろうが。
階級:二つ星→三つ星
スペシャルナノマシン【ビースト】
敵機撃破スコア:1525→1559
ナノマシン成長LV:25(ナノマシン成長ポイント2305→2545)
NE400/400→600/600
武器庫(次の武器庫解放は23):19→20
メイン武器【レイアサルトライフル-307C・ドーン】
【レイバズーカー10X-アポロン】
【レイ電磁手榴弾-イエローローズ30】
ガンファイト・威力/射程補正:8
ガンファイト・継続/弾数補正:8
肉体ナノマシン:20+α→22+α
知覚ナノマシン:25+α→26+α
精密ナノマシン:20→22
肉体治癒ナノマシン:20+α→22+α
NE回復ナノマシン:20+α→22+α
武器庫リスト(スペース41/49→42/53)
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-A56・レクイエム
レイマシンガン-255A・ニューヨーク
レイショットガン-81・Jダルク
レイショットガン-88・Kアーサー
レイ狙撃ライフル-エルキュールp38
レイアサルトライフル-307C・ドーン
レイバズーカー10X-アポロン
2連装レイカノン砲-44・プロキオン
レイロッド-グランドキャニオン
レイ電磁手榴弾-イエローローズ30
レイ手榴弾-ウルフ10
レイ手榴弾-タイガー30
レイ手榴弾-レオ10
NEタンク20-6
NEタンク100-1
NEタンク200-9
NEタンク400-3
NEタンク500-4
NEタンク700-4
newタイムトンネル粒子NE変換装置
新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャ
装甲型バトルスーツ-14.5アイアンファングオフィサー
滑空型バトルスーツ-16.2バッドオフィサー
パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
newパワードスーツBE専用パイロットスーツ-27Eプロトジェネラル
飛行士用ヘルメット・Bクイーン
艦長用ヘルメット・Bキング
加速ブーツ-04レッドキャップ
加速ブーツ-06アシュラ
レイシールド-A200
レイシールド-AA30
レイシールド-AAA60
レイシールド-SAA25
レイシールド-SSA130
治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
戦術ランクBCDE専用レーダー、スパイダーネット-BCDE
戦術ランクD専用レーダー、スパイダーネット-D
戦術ランクSSのエスケープチケット(使い捨て)
戦術ランクBCDEのエスケープチケット(使い捨て)
武器庫2リスト(スペース10/32→7/32)
パワードスーツ-BEジャブ・兵装1aタイプ(スペース3)
【チューンナップ中: 完了まで48時間12分】エアバイク-GXアナコンダ(スペー ス2)
BE専用パワードスーツ修理キット
エアバイク修復キット
あっ、アシュラが戻ってきてない。
あのアイドルめ。
合流した亜麻が見たのはヘルメットをしていないナノマシン戦闘員、蛇津九羽だった。
亜麻も美人だが、人気、知名度、ギャラでは完全に九羽に負けており、敗北を素直に認めた。「私の方が美人だもん」と言い張っても良かったが、それだと惨め過ぎるので。
「えっ、誰?」
「私ですよ」
問われて亜麻がヘルメットを外す。
「あら、亜麻ちゃんもナノマシン戦闘員だったんだ~」
「知り合いなんですか?」
「ええ、同じ学校の後輩よ」
「へ~」
柚子太もちゃんと弁えてる。
「ねっ、オレの連れの方が美人だったでしょ」と相手の傷口に塩を塗るような真似はせず、
「どうもはじめまして。露図といいます」
「ヘルメット越して挨拶されてもね~」
美人勝負に負けて機嫌の悪い亜麻が柚子太に文句を言った為、仕方なく柚子太もヘルメットの装備を外した。
「これでいいですか?」
「あら、そんな顔をしてたのね、露図くんって」
実は初めて柚子太の顔を見る九羽は想像以上の顔の良さに満足したが、亜麻の方は、
「あれ? もしかして今日の午後のしまった後の病院に居た? 龍馬医大総合病院だけど」
「ええ、居ましたけど。それが?」
「なら、やっぱりあの時のじゃないの」
「?」
「もしかして忘れてるの、私の事?」
「誰?」
マジマジと柚子太は亜麻の顔を見た。
髪型は同じパーマだったが黒髪が銀髪に変わっただけでも印象はガラリと変わる。
本当に柚子太が分かっていないと悟った亜麻が、
「嘘でしょ? 私よ」
「?」
「私のパンツを見たでしょうが、昼間」
そこまで言われて柚子太も、
「ああ、廊下でスカートなのに開脚のストレッチをしてた礼智瑠夏さんの付き添いの」
「付き添いって――信じられない」
亜麻が九羽に助けを求めると、九羽が、
「私の事も知らなかったわよ、露図くんは」
「そうなんですか?」
「芸能関係に本当に疎いらしいから」
「申し訳ない、付き添いさん」
柚子太のその謝罪に、亜麻は代表的なダンスの振り付けポーズ付きで、
「付き添いじゃないわよっ! アイドルグループ月乃丘44の3期生で、14枚目シングルのセンター、出井亜麻よ」
「ああ、思い出した。あのですよね」
「露図くん、良くないわよ。そういう嘘は」
呆れ顔の九羽のツッコミに、柚子太は素直に、
「悪い。人数が多過ぎてマジで分からん。月乃丘はセンターの新名麻衣さん以外は」
「もういいわよ」
不機嫌な亜麻はそれで不毛な会話を打ち切った。
それよりも戦術ランクBのブルーフィールドだ。これは命懸けの戦闘なので舐めてるとマジで死ぬ。なので一緒に行動となったが、そこでネックとなるのが、
「加速ブーツなんて持ってないよな?」
「ええ」
「特別に貸すけど絶対に返せよ。アシュラは貴重だから」
「えっ、アイテムの譲渡って出来るの?」
「ああ。オレも昨日、蛇津さんに教えて貰ったんだけど」
「へ~」
「マジで返せよ」
「あれれ~、もしかしてナンパしてるの? 私とまた会う約束を取り付ける為に?」
「はあ? ーー今のナシ。ああ、実はそうなんだ。バレちゃったか。だからそうならない為にフィールドボスを倒す前に返してね」
「アンタ、マジでムカつくわよね、そういうところ」
「何故か良く言われてる」
そんな訳で高速ブーツを貸したのだが、アシュラの性能は凄く、移動を再開するも亜麻が、
「嘘嘘、これ凄いっ! ほらほら、蛇津先輩。壁走りからの空中に飛んで、更に空中ジャンプ」
ゴーストタウンで飛び跳ねまくっていた。
「出井さん、分かってるよな? それは一時的にレンタルしてるだけであって――」
「ちょうだいよ、これ」
「やる訳ないだろ、検証で空中で履き替えたら連続で6回空中ジャンプが出来る事が判明したんだから」
「マジで? どうやって取るのよ、このブーツ?」
「フィールドランのボーナスだよ。戦術ランクB以上で走りまくれば出るだろうさ」
「へ~」
「それよりも戦術ランクBのエクセレントクリアだ。敵機を殲滅するからマジで頼むぞ。出来れば蛇津さんの成長LV上げも込みで」
「えっ、そんな事をやってるの、先輩?」
「まあね。そういう協定を組んでるから」
「協定って何?」
「ブルーフィールドを終わらせる為のプロジェクトさ」
「ああ~、何か中国の都市が消滅したらしいわね」
「そういう事。ナノマシン戦闘員の底上げをしてるから協力よろしくな」
柚子太はその後もプロジェクトの説明をしながら戦術ランクBのブルーフィールドを高速で走り続けた。
◇
戦術ランクBのフィールドカウントは約1時間。
そして一つ星以上のナノマシン戦闘員が二人居る。
はっきり言って楽勝で、20分後には地下を平らげた千が地上に出てエアバイクに乗って合流してきた。
柚子太がビルの窓面を駆け上がって高層の屋内に居るボックスを窓ごとレイバズーカーで撃ち 抜くのを見た亜麻が、
「私もそれやりたい」
と再現してレイショットガンで窓ごと屋内のボックスを吹っ飛ばしたはいいが、その後、柚子太はウイング機能で滑空したのに対して、亜麻は空中ジャンプで降りようとして、
「へ?」
NE量のチェックを怠るという初歩的なミスで2歩目の空中ジャンプが発動せず、
「キャアアア」
墜落して、
「ったく」
地上の柚子太が仕方なくジャンプ力増幅で跳んで、空中で墜落中の亜麻をお姫様だっこでキャッチして、
「頼むぞ、出井さん」
「ごめんごめん。後、助けて貰って何だけど、ドサクサ紛れに変なんところ触らないでよ」
「触っても感触がないのにか」
「そうよ」
なんて喋りながら、当たり前のように空中ジャンプで段差を降りるように地上に着地した時に千が乗るエアバイクがやってきたのだった。
「ちょ、何よ、それ?」
柚子太にお姫様だっこされてる亜麻が初見のエアバイクに素直に驚き、九羽も初見だったので無言で驚く中、合流した千は、
「露図くん、地上でトロトロしてると思ってたら彼女達とイチャイチャしながら遊んでたの?」
「まさか。こちらの蛇津さんがプロジェクトと部分協定を組んてたから成長LV上げをしてたんだよ。こっちの子はその付き添い」
「誰が付き添いよっ!」
腕から下ろされて地上に立った亜麻はツッコんだ。
「随分と綺麗な人ね」
「えっ、そうなの? 利々場さんもオレ側なの?」
九羽を見た千の感想に柚子太が喰い付いた。
「オレ側って何がなの?」
「蛇津さんの下の名前、九羽だけど知ってる?」
「えっ、蛇津九羽って女優の?」
「何だ、知ってたのか。どこかにオレみたいに蛇津さんの事知らない人居ないかな~」
「あのね~、露図くん。私の居ないところでしてくれない、その呟き?」
九羽が呆れる中、柚子太が、
「因みに利々場さんはこっちの出井亜麻さんは知ってる?」
「いえ、そっちの人は知らないわね」
「悪かったわね。アイドルグループ月乃丘44の3期生の出井亜麻よ。覚えておきなさい」
「・・・つまり女優さんとアイドルとイチャイチャしてたのね、露図くんは?」
「どうしてそうなるんだよ? プロジェクトは恋愛禁止だぞ。する訳ないでしょ。それにスピードもそれほど遅くもないし。まだ30分以上あってブルーフィールドの3分の2を綺麗に掃除したんだから」
「エアバイクを使えば、もっと早いんじゃないの」
「120時間のチューンナップ中でまだ使えないよ、オレのは。それで加速ブーツで移動さ」
「フィールドを走り回ったらランボーナスで出るアイテム?」
「そういう事。そんな訳でもうちょい走る予定なんだけどね」
「なるほどね。戦術ランクBのエクセレントクリアの条件はまだ未確定。取れなかった時の事も考えてる訳ね。好きにして。でも私も敵機を潰していくから」
「それはありがたい」
こうして千はエアバイクで飛んでいったのだが、
「あの人、相当アナタに惚れてるわね。お姫様だっこされてた私を睨んだところを見ると」
亜麻が指摘した。
「まさか。ブルーフィールドで喋ったくらいで面と向かって喋ったのはこれが初めてなのに」
「あら、そうなの?」
それには九羽も異論があるようで、
「なら、どこかで見られてたんじゃない?」
「今はそれよりも――戦術ランクBをエクセレントクリアだね。走るよ」
柚子太達も動き出したのだった。
高速ブーツの部隊とエアバイクを使っての敵機の撃破だ。
僅か10分後には戦術ランクBのブルーフィールド内の居た500機以上の総ての敵機を倒して、残る敵はフィールドボスだけとなり、
『倒すわよ、露図くん?』
「ああ、頼む」
千の通信に応答した柚子太が九羽と亜麻に向かって、
「二人ともアイテムを返して欲しいんだけど」
「いいわよ」
「ええ~」
九羽は快く返品して、亜麻が渋った瞬間、
【フィールドボスの撃破を確認。フィールドボスの撃破に伴い、3秒後にブルーフィールドが解除されます】
3秒後にはフレンチ店の個室に柚子太は戻ったのだった。
【戦術ランクBのブルーフィールド、エクセレントクリア。クリアボーナス、階級:三つ星。NE全体量+200。メイン武器スペース+1。全ステータス数値+2。ナノマシンの成長ポイント、240ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】
【階級:三つ星の男性戦闘員のステータスの合計数値は150までです。どの項目の上昇を抑えるか設定して下さい】
ん?
階級:三つ星が付いたぞ。どうしてだ?
戦術ランクはBCDEでエクセレントかパーフェクトを取っただけでAはまだなのに。
いや待てよ。怜が戦術ランクAのクリア後に一つ星が付いたって言ってたな。
Aもその判定が出てる?
ってか、二つ星の合計数値が140なのに、三つ星の合計数値が150なのは酷くないか?
男の戦闘員って可哀想過ぎない?
女は上限なんてないらしいのに。
柚子太はアイテムの選択画面に向かったが、
パワードスーツBE専用パイロットスーツ-27Eプロトジェネラル
パワードスーツBF専用パイロットスーツ-27Fスカイジェネラル
パワードスーツBG専用パイロットスーツ-27Gユニバースジェネラル
これだけなのか?
でも内容が少しヤバイっぽいな。
試作タイプの次は空と宇宙かよ。
さすがは未来の代理戦争。ぶっ飛んでるね~。
宇宙に行けとか言ってくれるなよ。
【武器庫20に到達しました。アイテムが1つ選択出来ます(制限時間なし)】
レイライフル-PX69・オードリー
レイショットガン-88・Kアーサー
レイマシンガン-255A・ニューヨーク
武器庫スペース4と軍隊式格闘術ナノマシン
武器庫スペース4とタイムトンネル粒子NE変換装置
武器庫スペース4と滑空型バトルスーツ-26.2バッドジェネラル
こんなのノータイムだろうが。
階級:二つ星→三つ星
スペシャルナノマシン【ビースト】
敵機撃破スコア:1525→1559
ナノマシン成長LV:25(ナノマシン成長ポイント2305→2545)
NE400/400→600/600
武器庫(次の武器庫解放は23):19→20
メイン武器【レイアサルトライフル-307C・ドーン】
【レイバズーカー10X-アポロン】
【レイ電磁手榴弾-イエローローズ30】
ガンファイト・威力/射程補正:8
ガンファイト・継続/弾数補正:8
肉体ナノマシン:20+α→22+α
知覚ナノマシン:25+α→26+α
精密ナノマシン:20→22
肉体治癒ナノマシン:20+α→22+α
NE回復ナノマシン:20+α→22+α
武器庫リスト(スペース41/49→42/53)
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-A56・レクイエム
レイマシンガン-255A・ニューヨーク
レイショットガン-81・Jダルク
レイショットガン-88・Kアーサー
レイ狙撃ライフル-エルキュールp38
レイアサルトライフル-307C・ドーン
レイバズーカー10X-アポロン
2連装レイカノン砲-44・プロキオン
レイロッド-グランドキャニオン
レイ電磁手榴弾-イエローローズ30
レイ手榴弾-ウルフ10
レイ手榴弾-タイガー30
レイ手榴弾-レオ10
NEタンク20-6
NEタンク100-1
NEタンク200-9
NEタンク400-3
NEタンク500-4
NEタンク700-4
newタイムトンネル粒子NE変換装置
新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャ
装甲型バトルスーツ-14.5アイアンファングオフィサー
滑空型バトルスーツ-16.2バッドオフィサー
パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
newパワードスーツBE専用パイロットスーツ-27Eプロトジェネラル
飛行士用ヘルメット・Bクイーン
艦長用ヘルメット・Bキング
加速ブーツ-04レッドキャップ
加速ブーツ-06アシュラ
レイシールド-A200
レイシールド-AA30
レイシールド-AAA60
レイシールド-SAA25
レイシールド-SSA130
治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
戦術ランクBCDE専用レーダー、スパイダーネット-BCDE
戦術ランクD専用レーダー、スパイダーネット-D
戦術ランクSSのエスケープチケット(使い捨て)
戦術ランクBCDEのエスケープチケット(使い捨て)
武器庫2リスト(スペース10/32→7/32)
パワードスーツ-BEジャブ・兵装1aタイプ(スペース3)
【チューンナップ中: 完了まで48時間12分】エアバイク-GXアナコンダ(スペー ス2)
BE専用パワードスーツ修理キット
エアバイク修復キット
あっ、アシュラが戻ってきてない。
あのアイドルめ。
10
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説



パワハラ女上司からのラッキースケベが止まらない
セカイ
ライト文芸
新入社員の『俺』草野新一は入社して半年以上の間、上司である椿原麗香からの執拗なパワハラに苦しめられていた。
しかしそんな屈辱的な時間の中で毎回発生するラッキースケベな展開が、パワハラによる苦しみを相殺させている。
高身長でスタイルのいい超美人。おまけにすごく巨乳。性格以外は最高に魅力的な美人上司が、パワハラ中に引き起こす無自覚ラッキースケベの数々。
パワハラはしんどくて嫌だけれど、ムフフが美味しすぎて堪らない。そんな彼の日常の中のとある日の物語。
※他サイト(小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラス)でも掲載。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

夢の中でもう一人のオレに丸投げされたがそこは宇宙生物の撃退に刀が重宝されている平行世界だった
竹井ゴールド
キャラ文芸
オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー
平行世界のオレと入れ替わってしまった。
平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。



ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる