ブルーナイトディスティニー

竹井ゴールド

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本編

介護バトルとデジャブフィールド

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 弐賀絵梨がブルーフィールドを終わらせる為に立ち上げたプロジェクトは柚子太も賛成である。

 最初の頃は近未来の戦闘兵器に「おおっ」と思ったが、敵ロボットが弱過ぎて難易度の低さに幻滅し「さっさと終わらせてしまおう」との考えに傾いたので。

 ブルーフィールドを終わらせる為のプロジェクトの今の方針は全ナノマシン戦闘員の底上げ、つまりは階級:一つ星の獲得だ。

 だが、階級:一つ星の獲得条件はエクセレントクリア。

 エクセレントクリアは高い能力と良い武器やアイテムを持つ戦闘員でないと到達出来ず、階級:一つ星を持つ柚子太はが他の戦闘員の階級:一つ星獲得の為に担ぎ出される事となった。





 夜九時。

「で、呼び出しておいてプロジェクトの言いだしっぺのエリ姫は不参加と」

 弐賀財閥のリムジンカーの中に座る柚子太はそう苦笑し、

「文句があるなら本人に言ったら、柚子太?」

 同じくリムジンカー内に座る四重仁葉里が答えた。

「言える訳ないだろ、ハリー。平等じゃないんだぞ、人は」

「うわ~、凄い発言」

「今回はよろしくね、露図くん」

 そう改めて挨拶したのは黒髪ロングでパッツン前髪の音楽少女、馬音佐英夢である。

 英夢は柚子太が知ってるほどのヴァイオリンの名手だ。私服もハイソなワンピースとかなりポイントが高い。

「ナノマシン戦闘員には有名人や才能に溢れた者が選出されるというのがプロジェクトの分析だったけど音楽系も選ばれるんだな~。ヴァイオリニストが選ばれるんだから」

「余り期待しないでね。弱いから」

「そういう謙遜は困るな、馬音佐さん。ちゃんと戦力として数えてるんだから。特に上空200メートルに情報送信装置が浮いてる場合は狙撃ライフルを持ってる馬音佐さんが倒してよ。オレ、今エアバイクが使えなくて攻撃出来ないから」

「ええ、わかったわ」

「でもさ、柚子太。戦術ランクはEで本当にいいの? フィールドカウント10分前後なのに?」

「その分、フィールドが狭いからな。縦横3~5キロ前後。立体的なのがネックだけど、地下鉄や地下街が含まれないだけ今回はマシさ」

「私達は何をやればいいの?」

「敵機の撃破。オレは出来るだけ遠くの敵を潰すから」

 そんな事を言いながら、戦術ランクEのブルーフィールドに向かったのだった。





【ブルーフィールド展開、戦術ランクE、フィールドカウント7分7秒】





「クソ、たったの7分だと? 無理はするなよ、2人とも。じゃあ行ってくる」

 バトルスーツを纏った柚子太はドアを出て、ブーツを装備して敵機の撃滅に出向いていった。

 残された葉里と英夢も、

「やりますか」

「ええ」

 バトルスーツを纏って外に出た。

 戦歴は当然、始めたばかりの柚子太よりも長い。

 望遠スコープを片手に上空を捜索して、

「本当に浮いてるわ。あれね」

 レイ狙撃ライフルで上空150メートルの情報送信装置を撃ち抜いたのだった。

「ヒュー、やるぅ~。良く当てたわね」

「絶対射程内だったからね」

「やっぱ、凄いな。レイ狙撃ライフル。私も欲しいかも」

「下位互換のライフルを持ってないと選択にも出ないってプロジェクトの情報であったわよ」

「私はマシンガンなんだよな~」

 そんな事を喋りながらぬるく敵機を撃退した。





 一方の柚子太は走る走る。

 低層マンションの屋上を走り、壁をぶち抜いてマンションの個室に鎮座するボックスを撃破して、プロペラを倒して、ムシも倒す。

「このペースなら7分でもエクセレントクリア出来るかも。おっと、フィールドボス、おまえはラストだ。今は見逃してやんよっ!」

 と走ったが、

「ビルの地下の耐震用の謎空間とかどうやって行けっつーんだよ、クソがぁぁぁっ!」

 そう文句を言ったが知覚ナノマシン:23が導き出した最適解により最短ルートで地下の耐震用の空間に隠れてるボックスを20秒で倒し、縦横3キロの敵150機チョイ(柚子太一人で130機オーバー)を全滅させた後、

「残りのフィールドカウント42秒、今回も大変だったな」

 最後にワンボックスカーサイズの胴体に足が6本生えた中型ムシを撃破して、





【フィールドボスの撃破を確認。フィールドボスの撃破に伴い、3秒後にブルーフィールドが解除されます】





 3秒後にはリムジンカーの中に戻ったのだった。

「うわ~、本当に階級:一つ星が付いたわ。私達殆ど何もしてないのに~」

「確かにね」

 葉里と英夢がステータスを見て驚く中、





【戦術ランクEのブルーフィールド、エクセレントクリア。クリアボーナス、全ステータス数値+2。ナノマシンの成長ポイント、150ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】





 との表示が出たので、まずは制限時間5分のエクセレントクリアのボーナスの選択画面に進み、
 NEタンク1000-1、NEタンク500-1の2点セット
 NEタンク900-1、NEタンク600-1の2点セット
 NEタンク800-1、NEタンク700-1の2点セット
 NEタンク500-3
 NEタンク400-3、NEタンク300-1の2点セット
 NEタンク300-5
 NEタンク200-7、NEタンク100-1の2点セット
 NEタンク100-15





 何だ、やっぱり初回だけなのか、NEタンクの合計3000は。

 1500も凄いっちゃあ凄いんだけどさ~。

 それに・・・2回目の時は間違えたからな。

 今度は間違わないぞ。





 階級:一つ星
 敵機撃破スコア:973→1105
 ナノマシン成長LV:13→14(ナノマシン成長ポイント959→1109)
 NE180/180→185/185
 武器庫(次の武器庫解放は20):17
 メイン武器【レイガン-A56・レクイエム】
      【レイバズーカー10X-アポロン】
 ガンファイト・威力/射程補正:6
 ガンファイト・継続/弾数補正:6
 肉体ナノマシン: 17
 知覚ナノマシン:23
 精密ナノマシン: 17
 肉体治癒ナノマシン:17
 NE回復ナノマシン:17



 武器庫リスト(25/33)
 レイガン-LQ12・エチュード
 レイガン-LQ12・エチュード
 レイガン-A56・レクイエム
 レイショットガン-81Jダルク
 レイショットガン-88・Kアーサー
 レイバズーカー10X-アポロン
 レイ電磁手榴弾-イエローローズ30
 NEタンク20-5
 newNEタンク100-1
 NEタンク200-8
 NEタンク400-1
 NEタンク700-4
 新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャー
 滑空型バトルスーツ-16.2バッドオフィサー
 パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
 飛行士用ヘルメット-Bクイーン
 加速ブーツ-04レッドキャップ
 加速ブーツ-06 アシュラ
 レイシールド-A200
 レイシールド-AA10
 レイシールド-SSA97
 治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
 治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
 戦術ランクBCDE専用レーダー、スパイダーネット-BCDE
 戦術ランクD専用レーダー、スパイダーネット-D



 武器庫2リスト(スペース9/32→10/32)
 パワードスーツ-BEジャブ・兵装1aタイプ(スペース3)
 【チューンナップ中:完了まで93時間41分】エアバイク-GXアナコンダ(スペース2)
 BE専用パワードスーツ修理キット
 エアバイク修復キット
 NEタンク20-1
 NEタンク400-2
 NEタンク500-3





「おお、エアバイクをゲット。ありがとね、柚子太」

 リムジンカーの中で葉里が感激して柚子太に抱き付いた。

「いえいえ、どう致しまして」

「二人とも、プロジェクト内では恋愛禁止よ」

「えっ、ハグぐらいはいいわよね?」

「と思うけど、今度エリ姫に聞いておくよ。それよりも報告をーー」

 と喜んでいたブルーフィールドをクリアした僅か1分後、





【ブルーフィールド展開、戦術ランクE、フィールドカウント7分7秒】





 本日2回目のブルーフィールドに引き込まれた。

「はあ?」

「同じ戦術ランクで、同じカウント?」

 葉里と英夢が驚く中、

「ラッキー、もう1回NEタンクの合計1500が補充出来るなんて」

 バトルスーツを纏った柚子太は嬉々としてリムジンカーから飛び出そうとしたが、

「待った、柚子太っ!」

「駄目よっ!」

 葉里と英夢の両方が慌てて柚子太を止めた。

「何?」

「『何?』じゃないでしょっ! どうしてヤバイと思わないのよっ!」

「情報送信装置だけを破壊して、今回はクリアを見送りましょう」

 葉里と英夢がそう主張したのはナノマシンのステータス数値は関係ない。

 葉里はプロレーサーなので成果とリスクの天秤が絶妙だったし、英夢は元々思慮深い性格だった。なので1分後に発生した今回のブルーフィールドの戦術ランクとフィールドカウントがクリアした直後のブルーフィールドと同じだった事に着目して「何かがおかしい」と本能的に警戒したのだ。

 だが、フルスロットルが信条の柚子太は必死に止める二人をつまらなそうに見て、

「冗談はよしてくれよ、二人とも? ただのラッキー7なだけだって。クリアをしようぜ~」

(これが弐賀のお嬢様が言ってた柚子太のヤバイ性格な訳ね)

(拙いわ。今にも飛び出しそう。その後、何が起こるの? 絶対にロクな事じゃあないわよね? フィールドカウント30秒経過、クリアするつもりならそろそろリミットだけど、あっ、ドアをチラ見した。私達を無視して飛び出すつもりね。こうなったら・・・)

 英夢は柚子太を引き止める最後の手段として、

「私が今穿いてるパンツの色はな~んだ?」

「はあ? 何言ってるの、馬音佐さん?」

 嬉しがるどころか軽蔑の声で柚子太が問う中、英夢は気にせず、

「回答権は1回。当てられたら生で脱いで進呈するわよ」

 英夢の狙いを悟った葉里もバトルスーツを纏った柚子太の腕に抱き付きながら、

「今日はもう止めにしましょう。ね?」

 上目使いで誘惑する。

 柚子太もさすがに二人の突然のお色気作戦の真の目的に気付き、呆れながら、

「そこまでしてこのブルーフィールドのクリアを阻止したい訳ね、二人は」

「違うわ、柚子太とイチャイチャしたいだけよ」

「ええ、親睦も大切だからね」

「とりあえず情報送信装置の撃破だけはよろしく。敵にこちらの情報をやるのは拙いと思うし」

「わかったわ」

 英夢がリムジンカーから出て、先程クリアした場所と同じ上空に浮いてる情報送信装置をレイ狙撃ライフルで撃ち抜き、近付いてくるムシとプロペラを撃破したのだった。

 7分なんてあっという間で、





【フィールドカウント0。3秒後にブルーフィールドが解除されます】





 3秒後にはリムジンカーの中に戻ったのだが、柚子太が冷淡に、

「二人がクリア阻止に動いた理由を知りたいのだが?」

「1分後に再スタートなんて『何かがおかしい』でしょうが」

「うんうん。エクセレントクリアの直後なだけに」

「とてもそうは思わないけど」

 NEタンクの大量補充のチャンスを逃した柚子太は不服そうに呟いた。

 その後も柚子太が不機嫌そうにブスッとしてるので葉里が、

「そうだ、英夢の下着は当てないの?」

「ハリー、何言ってるの? 本人もそんな気はないだろうし、それに貰っても困るし」

「あら、当てれるつもりなの?」

 英夢が馬鹿にしたように柚子太を見たのを受けて、柚子太が当たり前のようにサラッと、

「黒紐にピンク布地のミニTでしょ?」

「あのね~、柚子太。そんなのこのお嬢様が穿く訳がーー」

 呆れた葉里が英夢を見たら、その英夢が眼を白黒させていたので、

「えっ、そんなの穿いてるの?」

「ど、どうかしらね」

「ドモってるわよ」

「普段からよ」

「別にいらないから」

「穿いてないわよ、そんなの」

「なら正解は後で葉里だけに見せるという事で。今日はもう終わりだよね? さっさと帰ろ」

 リムジンカー内のスピーカーで運転手に慣れた様子で柚子太は指示を出したのだった。










 エリ姫:本当に同じブルーフィールドが1分後に発生したのね?

 ハリー:ええ。危なかったわ。

 ハリー:柚子太がクリアしようとして

 ハリー:フィールドカウント0でどうにか解除させたけど。

 知穂:待って。

 知穂:どうやってあの露図を止めたの?

 ハリー:馬音佐さんが自分の穿いてるパンツをクイズにして止めたのよ。

 知穂:えっ? 嘘よね?

 エイム:今にも飛び出しそうで仕方なくよ。

 知穂:そうじゃなくて。当てられたでしょ。

 エイム:ノーコメント。

 ハリー:えっ、やっぱり当たってたの、あれ?

 エイム:だからノーコメント。





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