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本編
高校生支社長と予測60%
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通学路に咲いた桜が数本少し散り始める中、柚子太が通学していると、
「後輩くん、おはよう」
機嫌が良さそうなマイクロビキニ痴女巨乳に声を掛けられた。
まあ、今は当然マイクロビキニではなく、制服姿にインテリ眼鏡な訳だが。
「先輩はこっちが通学路なんですか?」
「ええ。後輩くんは違うわよね」
「いえ、倒れて親にワンルームからルームシェアに変えられてしまって住所が変わりましたのでこれからはこっちですよ」
「その倒れた・・・30オーバーの話よね」
「ええ、まあ」
「倒れたで思い出したけどーー聞いた?」
「?」
「体力測定の時に一年の女子が喧嘩をして停学になったんだけど、その片割れが停学中にお花見でお酒を飲んで急性アルコール中毒で死んだらしいわ」
「その喧嘩のもう片方は軍法イエローで封印されてますよ」
「そう言えばルカの次に誰かのアナウンスが流れてたわね。へ~、そうなんだ。あれって実はレアなのよ。私が知る限りでもあの2回だけなんだから」
「ーー先輩は長いんですか?」
「高1の夏からだからね」
「ブルーフィールドのクリア条件は何だと思いますか?」
「それなら退役した先輩達から聞いた事があるわ。戦術ランクSSのブルーフィールド内にあるゲートの破壊よ」
当たり前のように新情報を口にした痴女先輩の言葉に、柚子太は背筋を正しながら、
「――それ、エリ姫のプロジェクトに流れてない情報ですよね?」
「ええ。聞いただけで見た人は居ないから。未確認情報って奴よ」
「なら、情報の出所は?」
「戦術ランクSSからの帰還した戦闘員の一人よ。レアアイテムの『使い捨てのエスケープチケット』を運良く支援物資ボックスでゲットしてたらしくてね」
「その人は?」
「高校卒業と同時に戦闘員の資格を失ってナノマシンと記憶を封印されたそうだから情報は得られないわよ」
「本当に高校生だけなんですか、ナノマシン戦闘員って?」
プロジェクトの情報を確認すると、
「ナノマシンが適合するのがそうらしいわ」
「やれやれですね。さっさと終わらせないと」
「それならまずは階級上げよ。一つ星があるなら二つ星や三つ星があるに決まってるんだから」
「なるほど」
柚子太は相槌を打ちながら、
(あれ、喋ってみると意外にまともだ。知性もある。あんなマイクロビキニを着てた癖に。服の趣味がぶっ飛んでるだけで他はまともなタイプか? いや情報が少ない中での即断はこちらにも被害が及ぶ可能性がある。しばらく様子見だな)
などと考えて通学して、
「じゃあ」
下足箱のある玄関で別れた訳だが、
「柚子太、誰なの、あの先輩」
下足箱のところで襟井須恵に声を掛けられた。
「図書委員の先輩だけど」
「それで学年の違う先輩と喋ってたの?」
「駄目なのか」
「そうじゃないけど、妙に親しそうだったから」
須恵の言葉が尻すぼみになったのは柚子太が当たり前のように須恵の左肩に付いてた桜の花びらを取ったからだ。
「ついてたぞ、桜の花びら」
「・・・ありがと」
「行こうぜ、教室」
無自覚主人公らしく柚子太は追及を有耶無耶にして、
「そうだ、体力測定の日にやった新入生歓迎会で言ってたEスポーツ部の入部条件、厳しくなってなかったか?」
「一学期の中間テストで全教科平均点以上って奴? そうよ、今年からそうなったの」
「大変だな」
「柚子太なら余裕な癖に」
そんな事を喋りながら須恵と教室に向かったのだった。
栗虹高校から下校した柚子太の行動範囲は広い。
免許を取ってからは柚子太が裏で出資し、エンジニアもさせてるバイク屋「佐々木モータース」。
この春からは高級スポーツジム「アックス」。
だが、一番の柚子太の出没スポットは当然、家業の露図グループ東京支社ビルだった。
というのも世間的には秘密だが、柚子太は小説や漫画あるあるの高校生経営者だったのだ。
露図グループは、元々は明治時代に成功した関東圏の小財閥が始まりで、地方銀行、証券会社、ホテル、私鉄、デパート、貿易と幅広く事業を展開していたが。
その一事業の証券会社が投資ファンド部門を設立したら、本業の数百倍の利益を叩き出し、日本の高い税金を支払うのが馬鹿らしくなって税金の安いシンガポールに拠点を移した、という歴史がある。
露図グループ東京支社は証券会社を除く小財閥時代の事業を経営しており、柚子太はその経営を16歳の高校生ながら任されていた。それも東京支社のトップの支社長を。
ナノマシンが活性化して普段以上に頭脳明晰の柚子太が的確に重役達に指示を出し、1時間ほどの会議で経営会議は終了し、
「お疲れ様でした、支社長。本日はこの後、音系銀行の頭取との会食がございます」
黒タイツが似合う美人秘書の弘中夢が柚子太に告げ、
「そうだったね。お小言を言われる訳か。仕方ない、向かうよ」
柚子太は車に乗り込んだのだった。
会食は都内の高級中華の個室だったが、店に出向くと、
「どういう事?」
音糸銀行の頭取の代わりに着飾った孫娘の知穂がやってきていた。
「お祖父様は連日のお花見のお誘いで胃がもたれて中華は無理だって。それで私が代理で出向いたのよ」
「えっと、3か月以上前から決まってたよね、このスケジュール? もしかして舐められてる?」
「文句を言わないの。私が来てあげたんだから」
「なら、今日は喧嘩はなしで。頭取のドタキャンのお詫びなんだから、知穂お嬢様はオレの太股に座ってオレに料理を食べさせてね」
「怒るわよ」
「でも隣に座るくらいいいよね?」
「正面だとダメなの?」
「正面よりも横からのシルエットの方が知穂お嬢様は映えるからね」
「怒るわよ、本当に」
結局は回転テーブルの対面に座られて会食が始まった。
二人っきりだ。
頭取が相手なら話題は露図グループの業績についての世間話なのだが、知穂が相手なのでブルーフィールドの話となり、
「そう言えば、階級:一つ星の獲得方法が確定したらしいわね。近々私も取るから協力してよ」
「いいけど」
「蘭は噛まないのよね、エリ姫のプロジェクト?」
「オレが参加してるからね。戦力にはならないだろ」
「何だ、蘭が露図の前で猫被ってたの知ってたの?」
「露図?」
「はいはい。今日だけよ、柚子太くん」
「知穂さんにはそう呼ばれる方がしっくりくるな、やっぱり」
でも、どうして露図と呼ばれるようになったのかには二人とも触れないで、
「で?」
「何が」
「蘭の事よ」
「子供の頃から家族ぐるみなんだから、そりゃあ気付いてるよ」
と喋ってた時、
【ブルーフィールド展開、戦術ランクB、飛行&レーダー禁止フィールド、フィールドカウント69分8秒】
視界に青色のフィルターが掛かってブルーフィールドの中に放り込まれた。
「何で? 10分前のアナウンスが無かったぞ? オレ、レーダーを持ってるのに。レーダー禁止フィールドだからか?」
「いえ、予測が外れる40%の方だからよ。こっちは毎回突然だから。それにしても飛行&レーダー禁止フィールドって。まだジェットウィングを持ってないのに」
柚子太と知穂はそう喋りながら同時にバトルスーツを纏ったのだった。
Hカップでスタイル抜群のボディーラインが如実に出てる。
「何よ、その眼? 私が怒るような事、今考えてるわよね?」
「いいや。面倒臭いからこのブルーフィールドでエクセレントクリアを取りたいんだけど、知穂さんはやる気があるかな~、って考えてる」
「フィールド内の敵機を全滅させるだなんて無理に決まってるでしょ、レーダー禁止フィールドなんだから」
「そこは聴覚で」
「まあ、やるだけはやりましょう」
柚子太と知穂は中華店を出たのだった。
今回の戦術ランクBのブルーフィールドはプロペラ一色のフィールドだった。
「敵が飛んでるのに飛行禁止って鬼だろ、未来のロボット軍団」
柚子太はそう文句を言いながらレイショットガンで、
プロペラ-戦闘03型
レイシールド耐久値20、耐久値8
レイガン、レイライフル、レイシールドを装備したプロペラを撃ち抜いた。
「さすがは戦術ランクBね。耐久値の低いプロペラで助かってはいるけど」
「ってか、何、そのヘルメット?」
「狙撃手用のヘルメットよ。レーダー系は使えなくなってるけどレイライフルの補正と望遠は生きてるから」
「望遠の距離は?」
「ポーンだから500メートルね」
「敵機の他に情報送信装置の捜索も頼むな」
「支援物資ボックスもでしょ」
「あれって誰かが一回だけなんだよな、貰えるの?」
「らしいわね」
「ったく、ケチ臭いな。未来の人類も」
「ロボット軍団に察知されない為じゃないの」
「かもな」
喋りながら進んだ。
戦術ランクBのブルーフィールドの広さは縦横15キロ。
徒歩だと4時間は掛かりそうだが、ナノマシン戦闘員なので余裕で走ってた訳だが、知穂が、
「ねえ、フィールドボスを倒せるんでしょ? なら、さっさと終わらせましょうよ」
(やっぱり、そうなるよな~。遠距離ライフル仕様と車サイズのがたまに出てきてヒヤヒヤする以外はプロペラは耐久値が低くて一撃で倒すだけの単純作業だから~)
「やるだけはやるという話だったけど?」
「でも」
「走るのが嫌になっただけだろ?」
セレブ界は狭い。子供の頃からの知った仲なので柚子太が指摘すると、
「分かってるならさっさと終わらせましょう」
「仕方ない」
柚子太は渋々と背を向けて蹲った。
ブルーフィールドを早々にクリアする事に同意した訳ではない。折衷案の提示だ。
「何?」
「背負って運んでやるから付き合うように」
「ーー邪な事を考えてるでしょ」
「バトルスーツ越しだと何も伝わらないから安心していいぞ」
「どうして知ってるのよ?」
「蘭をエアバイクに乗せた時、抱き付かれたけど、何も背中に伝わらなかったからな」
「あっそ。なら安心ね」
と納得した知穂が、
「もう少しだけ付き合ってあげましょ」
柚子太の背中に身体を預けたのだった。
「オレがわがままを言ってるみたいに言ってるけど、これ、人類の存亡を賭けた代理戦争だからな」
「あら。その設定、本当に信じてるの?」
「信じてないのか?」
「30%は疑ってるわね」
「なるほど」
柚子太は知穂を背負って走り始めた。
背負った知穂が背中からプロペラを攻撃しつつ、柚子太が3キロほど走った時、
「ストップ、左」
知穂の指示で柚子太がブーツの底を滑らせながら幹線道路のど真ん中で停止して視線を向けると、レイ手榴弾の爆発が200メートル先で見えた。
「オレ達以外にも誰か居るって事ね」
「合流する?」
「エリ姫か蘭だったか?」
「いえ、見えなかったわ」
「仕方ない。合流するか」
「その心は?」
「プロジェクト所属の戦闘員だったら見捨てたら絶対にエリ姫に文句を言われるし、プロジェクト所属の戦闘員じゃなかったら何かプロジェクトが知らない情報を持ってるかもしれないから、かな」
「ついでに恩を売ってプロジェクトに引き入れられる、と?」
「それはエリ姫が決める事だろ」
「確かにね。なら助けに行きましょ。ほら早く向かいなさい」
「言い方」
柚子太は文句を言いつつも知穂を背負って走ったのだった。
柚子太と知穂が見たレイ手榴弾の爆発の場所で戦ってたのは、プロジェクト所属の城路那須羽だった。
弐賀邸のプールの水着美女達の中で一番胸に母性が溢れてたので柚子太も覚えてる。
「この、しつこいのよ」
レイ手榴弾をプロペラに投げてるがプロペラに当たるも爆発せず、地面に落ちてから爆発してるのでプロペラが減る事もない。
仕方なく柚子太に背負われた知穂がレイライフルで8機を撃ち抜いて合流した。
「大丈夫?」
知穂がヘルメットを取って声を掛け、那須羽も気付き、
「助かったわ。えっと、弐賀のお嬢様のお付きの人よね?」
「失礼ね。せめてエリ姫の右大臣左大臣って言いなさいよ」
「そっちの彼とは仲が悪かったんじゃなかったの?」
「なので馬代わりに使ってるわ」
「だから言い方」
柚子太が呆れつつ、
「エクセレントクリアを狙いたいんだけど、どう思う?」
「ブルーフィールド内の敵全部を撃退って事?」
「ああ」
「いいわね」
那須羽はノータイムでその話に乗った。
「だろ。でもこのフィールド広過ぎてさ。何かいい案とかない?」
「私、支援物資ボックスで引き当てたブラッドレインを持ってるわよ」
「何それ?」
「スピーカー」
「用途は?」
「半径500メートル以内の敵機の引き付け」
「いいね~」
今度は柚子太が飛び付き、嫌な予感を覚えた知穂が、
「ちょっと待ちなさいっ! 何を考えているのかしら、柚子太くん?」
「分かってるのに聞くなよ、知穂さん」
柚子太はそう笑ったのだった。
スピーカー-ブラッドレインはラジカセのような形状だった。
タイマー設定も出来る。
だが、柚子太達が使った方法は、
「やるわよ」
「頼む」
見晴らしの良い場所ーー交差点の真ん中で普通に使用するだけだった。
音は聞こえない。
だが音波は出てるらしく、一気に周辺のプロペラが集まってきた。
「信じられないから」
遠距離を撃てるライフル所有の知穂が撃退担当で撃ちまくる。狙撃手用ヘルメットの補正で絶対射程が100メートル以上になってるので敵機が攻撃してこないユルいシューティングゲームの様相を呈していた。
「ちょ、NEタンクがなくなったんだけど」
「はい、200」
「いいの?」
「ああ。後、もう撃たなくていいから」
「どうするのよ」
「こうするのさ」
そう言って集まってきたところに柚子太はレイ電磁手榴弾を投げた。
電磁波の射程は直径50メートルで電磁波を浴びたロボットは15秒間、誤作動を起こす。ナノマシン戦闘員は電磁波を浴びても影響を受けない。
そしてイエローローズの最大の効果は誤作動中のロボットはレイシールドを発生させられない事だった。
「そんないいのがあるんなら最初から使いなさいよね」
誤作動を起こして地上に落下したプロペラ群に向かって知穂がレイ手榴弾を投げて倒す中、那須羽の方は考えるように、
「そうじゃないでしょ。このコンボって、もしかして」
「ああ、エクセレントクリアは目前って事さ」
柚子太はそう笑ったのだった。
青色のフィルターが掛かったロボットと戦闘員だけがいる無人のブルーフィールド内の車道には現実世界で走ってた車が停止状態で残ってる訳だが、柚子太は救急車にタッチした。
【支援物資ボックスより加速ブーツ-04レッドキャップが支給されました】
「あっ、もしかしてそれなの?」
那須羽が気付き、
「早い者勝ちでいいよな」
加速ブーツを引き当てた柚子太が事後承諾で確認した。
「赤い救急車なんていない訳ね。前にも取った事があるの?」
「いいや、今回が初めてだよ、このタイプは。おお、凄い。壁走りに壁立ち、大ジャンプが出来る訳ね」
「ったく。そんな事よりも、ほら早く走って」
柚子太に背負われてる知穂がそう指示し、
「だから言い方」
柚子太は走ったのだった。
敵機を引き寄せてはレイ電磁手榴弾で叩き落としてからの撃破を繰り返し、途中でビルの屋上にある情報送信装置を発見して、柚子太が壁走りで屋上に出向いて撃破して、進みに進み、フィールドカウントが残り10分になった頃、
「もうあのフィールドボス以外、居ないんじゃない?」
「確認したくてもフィールドが広過ぎて時間的に不可能だし。仕方ない。倒すか」
柚子太は巨大ドローンに乗る5階建サイズの立体駐車場のようなフィールドボスに視線を向けた。
b飛行空母型プロペラ-308
シールド耐久値3200、耐久値800
搭載機、プロペラa-戦闘03型100機、プロペラa- 爆撃01型50機、プロペラa-爆撃02型20機。
「出来るの?」
「一つ星ってのは凄くてね」
柚子太はパイロットスーツを纏ってからパワードスーツを出して搭乗する。
「頑張ってくるよ、援護よろしく」
柚子太がパワードスーツで接近するとフィールドボスから小型のプロペラが多数出撃してくる。
問題は当然、爆撃型のプロペラだ。爆撃とは言ってもレイ手榴弾なのだが、あんなのを何発も喰らってたら堪らない。
柚子太の方が先にパワードスーツ用のレイ手榴弾を投擲した。パワードスーツ用のレイ手榴弾は戦闘員のレイ手榴弾とは効果範囲が段違いで50メートルは爆発した。威力もある。戦術ランクBの耐久値のプロペラなど一撃だ。
それを2個投げて搭載機を全滅させた後、サブマシンガンでダダダッと連射してあっさりと戦術ランクBのフィールドボスを撃破し、
【フィールドボスの撃破を確認。フィールドボスの撃破に伴い、3秒後にブルーフィールドが解除されます】
と表示されて、ブルーフィールドが解除されて柚子太達は高級中華の個室に戻ったのだった。
【禁止フィールドのクリアボーナス、ナノマシンの成長ポイント、20ポイント】
【戦術ランクB、フィールドMVP&300機撃破ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、80ポイント。アイテムを2つ選択出来ます(制限時間5分)】
【戦術ランクBのフィールド情報送信装置、2基の破壊ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、40ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】
【フィールドラン72キロメートル、ボーナス、アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】
「クソ、エクセレントクリアじゃない。取りこぼしたか」
「元々三人であの広いブルーフィールドの敵の掃討は無理があったのよ」
「そうだけどさ」
まずはMVPの選択画面を見ると、
武器庫スペース+4
NEタンク100-2
レイシールド-AAA20
ジェットウィング-イーグル01
ジェットウイング-イーグル02
ジェットウィング-イーグル03
レイ手榴弾-ウルフ32
レイ手榴弾-タイガー16
武器庫2スペース+1とNEタンク100-8
武器庫2スペース+1とレイシールド-SAA50
武器庫2スペース+1と飛行士用ヘルメット-Bクイーン
武器庫2スペース+1とエアバイク・チューンナップドッグ使用権(1回使い捨て)
ダントツで一つだけいいのがあるが、他はどれもパッとしないな~。
フィールド情報送信装置の画面は案の定で、フィールドランの画面を見ると、
加速ブーツ-01ゴブリン
加速ブーツ-02ボブゴブリン
加速ブーツ-03ゴブリンライダー
加速ブーツ-04レッドキャップ
加速ブーツ-05ゴブリンキング
加速ブーツ-06 アシュラ
今回の支援物資ボックスとモロ被りじゃん。
階級:一つ星
敵機撃破スコア:399→720
ナノマシン成長LV:8→10(ナノマシン成長ポイント519→659)
NE155/155→165/165
武器庫(次の武器庫解放は20):17
メイン武器【レイショットガン-81・Jダルク】
【レイガン-A56・レクイエム】
ガンファイト・威力/射程補正:6
ガンファイト・継続/弾数補正:6
肉体ナノマシン:17
知覚ナノマシン:23
精密ナノマシン:17
肉体治癒ナノマシン:17
NE回復ナノマシン:17
武器庫リスト(20/33→23/33)
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-A56・レクイエム
レイショットガン-81・Jダルク
レイショットガン-88・Kアーサー
レイバズーカー10X-アポロン
レイ電磁手榴弾-イエローローズ30
NEタンク20-5
NEタンク200-1
NEタンク400-1
NEタンク500-3
NEタンク700-4
新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャー
滑空型バトルスーツ-16.2バッドオフィサー
パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
new飛行士用ヘルメット-Bクイーン
new加速ブーツ-04レッドキャップ
new 加速ブーツ-06 アシュラ
レイシールド-SSA20
治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
new戦術ランクBCDE専用レーダー、スパイダーネット-BCDE
戦術ランクD専用レーダー、スパイダーネット-D
武器庫2リスト(スペース9/30→9/32)
パワードスーツ-BEジャブ・兵装1 aタイプ(スペース3)
【チューンナップ中:完了まで120時間】エアバイク-GXアナコンダ(スペース2)
BE専用パワードスーツ修理キット
エアバイク修復キット
NEタンク20-1
NEタンク400-2
アイテムの選択を終えてSNSでエリ姫のプロジェクトに報告を終えた後、
「どうだった?」
「アイテムが被り始めたかな」
「それだけ?」
「いや」
「何よ、ジロジロ見て」
「オレに背負われて損をしたな~と思って。フィールドラン72キロでボーナスが出てたから」
「72キロも走ってたの?」
「そりゃあ1時間近くもあの速度で走ってたら、戦いながらでもそれくらいの距離はいくでしょ」
「どんなアイテムが出たの?」
「加速ブーツ」
「ああ、支援物資ボックスの?」
「そういう事」
その後も柚子太と知穂は楽しく高級中華を食べ、
「えっと、女子にしては食べてるけど大丈夫?」
「ええ、ナノマシンが作用してるのか理想の体型を維持してるわ」
「へ~」
「何? 胸は元々よ。ナノマシン戦闘員になってから成長したんじゃないからね」
「そもそも、いつからなの?」
「高1の冬よ」
「全然気付かなかったな」
などと喋り、食事を終えて、
「それじゃあね、柚子太くん」
「お別れのハグとかはないの?」
「調子に乗らないの。まだ許してないんだからね」
「わかってるよ」
二人は中華店から出てそれぞれの迎えの車で帰っていったのだった。
「後輩くん、おはよう」
機嫌が良さそうなマイクロビキニ痴女巨乳に声を掛けられた。
まあ、今は当然マイクロビキニではなく、制服姿にインテリ眼鏡な訳だが。
「先輩はこっちが通学路なんですか?」
「ええ。後輩くんは違うわよね」
「いえ、倒れて親にワンルームからルームシェアに変えられてしまって住所が変わりましたのでこれからはこっちですよ」
「その倒れた・・・30オーバーの話よね」
「ええ、まあ」
「倒れたで思い出したけどーー聞いた?」
「?」
「体力測定の時に一年の女子が喧嘩をして停学になったんだけど、その片割れが停学中にお花見でお酒を飲んで急性アルコール中毒で死んだらしいわ」
「その喧嘩のもう片方は軍法イエローで封印されてますよ」
「そう言えばルカの次に誰かのアナウンスが流れてたわね。へ~、そうなんだ。あれって実はレアなのよ。私が知る限りでもあの2回だけなんだから」
「ーー先輩は長いんですか?」
「高1の夏からだからね」
「ブルーフィールドのクリア条件は何だと思いますか?」
「それなら退役した先輩達から聞いた事があるわ。戦術ランクSSのブルーフィールド内にあるゲートの破壊よ」
当たり前のように新情報を口にした痴女先輩の言葉に、柚子太は背筋を正しながら、
「――それ、エリ姫のプロジェクトに流れてない情報ですよね?」
「ええ。聞いただけで見た人は居ないから。未確認情報って奴よ」
「なら、情報の出所は?」
「戦術ランクSSからの帰還した戦闘員の一人よ。レアアイテムの『使い捨てのエスケープチケット』を運良く支援物資ボックスでゲットしてたらしくてね」
「その人は?」
「高校卒業と同時に戦闘員の資格を失ってナノマシンと記憶を封印されたそうだから情報は得られないわよ」
「本当に高校生だけなんですか、ナノマシン戦闘員って?」
プロジェクトの情報を確認すると、
「ナノマシンが適合するのがそうらしいわ」
「やれやれですね。さっさと終わらせないと」
「それならまずは階級上げよ。一つ星があるなら二つ星や三つ星があるに決まってるんだから」
「なるほど」
柚子太は相槌を打ちながら、
(あれ、喋ってみると意外にまともだ。知性もある。あんなマイクロビキニを着てた癖に。服の趣味がぶっ飛んでるだけで他はまともなタイプか? いや情報が少ない中での即断はこちらにも被害が及ぶ可能性がある。しばらく様子見だな)
などと考えて通学して、
「じゃあ」
下足箱のある玄関で別れた訳だが、
「柚子太、誰なの、あの先輩」
下足箱のところで襟井須恵に声を掛けられた。
「図書委員の先輩だけど」
「それで学年の違う先輩と喋ってたの?」
「駄目なのか」
「そうじゃないけど、妙に親しそうだったから」
須恵の言葉が尻すぼみになったのは柚子太が当たり前のように須恵の左肩に付いてた桜の花びらを取ったからだ。
「ついてたぞ、桜の花びら」
「・・・ありがと」
「行こうぜ、教室」
無自覚主人公らしく柚子太は追及を有耶無耶にして、
「そうだ、体力測定の日にやった新入生歓迎会で言ってたEスポーツ部の入部条件、厳しくなってなかったか?」
「一学期の中間テストで全教科平均点以上って奴? そうよ、今年からそうなったの」
「大変だな」
「柚子太なら余裕な癖に」
そんな事を喋りながら須恵と教室に向かったのだった。
栗虹高校から下校した柚子太の行動範囲は広い。
免許を取ってからは柚子太が裏で出資し、エンジニアもさせてるバイク屋「佐々木モータース」。
この春からは高級スポーツジム「アックス」。
だが、一番の柚子太の出没スポットは当然、家業の露図グループ東京支社ビルだった。
というのも世間的には秘密だが、柚子太は小説や漫画あるあるの高校生経営者だったのだ。
露図グループは、元々は明治時代に成功した関東圏の小財閥が始まりで、地方銀行、証券会社、ホテル、私鉄、デパート、貿易と幅広く事業を展開していたが。
その一事業の証券会社が投資ファンド部門を設立したら、本業の数百倍の利益を叩き出し、日本の高い税金を支払うのが馬鹿らしくなって税金の安いシンガポールに拠点を移した、という歴史がある。
露図グループ東京支社は証券会社を除く小財閥時代の事業を経営しており、柚子太はその経営を16歳の高校生ながら任されていた。それも東京支社のトップの支社長を。
ナノマシンが活性化して普段以上に頭脳明晰の柚子太が的確に重役達に指示を出し、1時間ほどの会議で経営会議は終了し、
「お疲れ様でした、支社長。本日はこの後、音系銀行の頭取との会食がございます」
黒タイツが似合う美人秘書の弘中夢が柚子太に告げ、
「そうだったね。お小言を言われる訳か。仕方ない、向かうよ」
柚子太は車に乗り込んだのだった。
会食は都内の高級中華の個室だったが、店に出向くと、
「どういう事?」
音糸銀行の頭取の代わりに着飾った孫娘の知穂がやってきていた。
「お祖父様は連日のお花見のお誘いで胃がもたれて中華は無理だって。それで私が代理で出向いたのよ」
「えっと、3か月以上前から決まってたよね、このスケジュール? もしかして舐められてる?」
「文句を言わないの。私が来てあげたんだから」
「なら、今日は喧嘩はなしで。頭取のドタキャンのお詫びなんだから、知穂お嬢様はオレの太股に座ってオレに料理を食べさせてね」
「怒るわよ」
「でも隣に座るくらいいいよね?」
「正面だとダメなの?」
「正面よりも横からのシルエットの方が知穂お嬢様は映えるからね」
「怒るわよ、本当に」
結局は回転テーブルの対面に座られて会食が始まった。
二人っきりだ。
頭取が相手なら話題は露図グループの業績についての世間話なのだが、知穂が相手なのでブルーフィールドの話となり、
「そう言えば、階級:一つ星の獲得方法が確定したらしいわね。近々私も取るから協力してよ」
「いいけど」
「蘭は噛まないのよね、エリ姫のプロジェクト?」
「オレが参加してるからね。戦力にはならないだろ」
「何だ、蘭が露図の前で猫被ってたの知ってたの?」
「露図?」
「はいはい。今日だけよ、柚子太くん」
「知穂さんにはそう呼ばれる方がしっくりくるな、やっぱり」
でも、どうして露図と呼ばれるようになったのかには二人とも触れないで、
「で?」
「何が」
「蘭の事よ」
「子供の頃から家族ぐるみなんだから、そりゃあ気付いてるよ」
と喋ってた時、
【ブルーフィールド展開、戦術ランクB、飛行&レーダー禁止フィールド、フィールドカウント69分8秒】
視界に青色のフィルターが掛かってブルーフィールドの中に放り込まれた。
「何で? 10分前のアナウンスが無かったぞ? オレ、レーダーを持ってるのに。レーダー禁止フィールドだからか?」
「いえ、予測が外れる40%の方だからよ。こっちは毎回突然だから。それにしても飛行&レーダー禁止フィールドって。まだジェットウィングを持ってないのに」
柚子太と知穂はそう喋りながら同時にバトルスーツを纏ったのだった。
Hカップでスタイル抜群のボディーラインが如実に出てる。
「何よ、その眼? 私が怒るような事、今考えてるわよね?」
「いいや。面倒臭いからこのブルーフィールドでエクセレントクリアを取りたいんだけど、知穂さんはやる気があるかな~、って考えてる」
「フィールド内の敵機を全滅させるだなんて無理に決まってるでしょ、レーダー禁止フィールドなんだから」
「そこは聴覚で」
「まあ、やるだけはやりましょう」
柚子太と知穂は中華店を出たのだった。
今回の戦術ランクBのブルーフィールドはプロペラ一色のフィールドだった。
「敵が飛んでるのに飛行禁止って鬼だろ、未来のロボット軍団」
柚子太はそう文句を言いながらレイショットガンで、
プロペラ-戦闘03型
レイシールド耐久値20、耐久値8
レイガン、レイライフル、レイシールドを装備したプロペラを撃ち抜いた。
「さすがは戦術ランクBね。耐久値の低いプロペラで助かってはいるけど」
「ってか、何、そのヘルメット?」
「狙撃手用のヘルメットよ。レーダー系は使えなくなってるけどレイライフルの補正と望遠は生きてるから」
「望遠の距離は?」
「ポーンだから500メートルね」
「敵機の他に情報送信装置の捜索も頼むな」
「支援物資ボックスもでしょ」
「あれって誰かが一回だけなんだよな、貰えるの?」
「らしいわね」
「ったく、ケチ臭いな。未来の人類も」
「ロボット軍団に察知されない為じゃないの」
「かもな」
喋りながら進んだ。
戦術ランクBのブルーフィールドの広さは縦横15キロ。
徒歩だと4時間は掛かりそうだが、ナノマシン戦闘員なので余裕で走ってた訳だが、知穂が、
「ねえ、フィールドボスを倒せるんでしょ? なら、さっさと終わらせましょうよ」
(やっぱり、そうなるよな~。遠距離ライフル仕様と車サイズのがたまに出てきてヒヤヒヤする以外はプロペラは耐久値が低くて一撃で倒すだけの単純作業だから~)
「やるだけはやるという話だったけど?」
「でも」
「走るのが嫌になっただけだろ?」
セレブ界は狭い。子供の頃からの知った仲なので柚子太が指摘すると、
「分かってるならさっさと終わらせましょう」
「仕方ない」
柚子太は渋々と背を向けて蹲った。
ブルーフィールドを早々にクリアする事に同意した訳ではない。折衷案の提示だ。
「何?」
「背負って運んでやるから付き合うように」
「ーー邪な事を考えてるでしょ」
「バトルスーツ越しだと何も伝わらないから安心していいぞ」
「どうして知ってるのよ?」
「蘭をエアバイクに乗せた時、抱き付かれたけど、何も背中に伝わらなかったからな」
「あっそ。なら安心ね」
と納得した知穂が、
「もう少しだけ付き合ってあげましょ」
柚子太の背中に身体を預けたのだった。
「オレがわがままを言ってるみたいに言ってるけど、これ、人類の存亡を賭けた代理戦争だからな」
「あら。その設定、本当に信じてるの?」
「信じてないのか?」
「30%は疑ってるわね」
「なるほど」
柚子太は知穂を背負って走り始めた。
背負った知穂が背中からプロペラを攻撃しつつ、柚子太が3キロほど走った時、
「ストップ、左」
知穂の指示で柚子太がブーツの底を滑らせながら幹線道路のど真ん中で停止して視線を向けると、レイ手榴弾の爆発が200メートル先で見えた。
「オレ達以外にも誰か居るって事ね」
「合流する?」
「エリ姫か蘭だったか?」
「いえ、見えなかったわ」
「仕方ない。合流するか」
「その心は?」
「プロジェクト所属の戦闘員だったら見捨てたら絶対にエリ姫に文句を言われるし、プロジェクト所属の戦闘員じゃなかったら何かプロジェクトが知らない情報を持ってるかもしれないから、かな」
「ついでに恩を売ってプロジェクトに引き入れられる、と?」
「それはエリ姫が決める事だろ」
「確かにね。なら助けに行きましょ。ほら早く向かいなさい」
「言い方」
柚子太は文句を言いつつも知穂を背負って走ったのだった。
柚子太と知穂が見たレイ手榴弾の爆発の場所で戦ってたのは、プロジェクト所属の城路那須羽だった。
弐賀邸のプールの水着美女達の中で一番胸に母性が溢れてたので柚子太も覚えてる。
「この、しつこいのよ」
レイ手榴弾をプロペラに投げてるがプロペラに当たるも爆発せず、地面に落ちてから爆発してるのでプロペラが減る事もない。
仕方なく柚子太に背負われた知穂がレイライフルで8機を撃ち抜いて合流した。
「大丈夫?」
知穂がヘルメットを取って声を掛け、那須羽も気付き、
「助かったわ。えっと、弐賀のお嬢様のお付きの人よね?」
「失礼ね。せめてエリ姫の右大臣左大臣って言いなさいよ」
「そっちの彼とは仲が悪かったんじゃなかったの?」
「なので馬代わりに使ってるわ」
「だから言い方」
柚子太が呆れつつ、
「エクセレントクリアを狙いたいんだけど、どう思う?」
「ブルーフィールド内の敵全部を撃退って事?」
「ああ」
「いいわね」
那須羽はノータイムでその話に乗った。
「だろ。でもこのフィールド広過ぎてさ。何かいい案とかない?」
「私、支援物資ボックスで引き当てたブラッドレインを持ってるわよ」
「何それ?」
「スピーカー」
「用途は?」
「半径500メートル以内の敵機の引き付け」
「いいね~」
今度は柚子太が飛び付き、嫌な予感を覚えた知穂が、
「ちょっと待ちなさいっ! 何を考えているのかしら、柚子太くん?」
「分かってるのに聞くなよ、知穂さん」
柚子太はそう笑ったのだった。
スピーカー-ブラッドレインはラジカセのような形状だった。
タイマー設定も出来る。
だが、柚子太達が使った方法は、
「やるわよ」
「頼む」
見晴らしの良い場所ーー交差点の真ん中で普通に使用するだけだった。
音は聞こえない。
だが音波は出てるらしく、一気に周辺のプロペラが集まってきた。
「信じられないから」
遠距離を撃てるライフル所有の知穂が撃退担当で撃ちまくる。狙撃手用ヘルメットの補正で絶対射程が100メートル以上になってるので敵機が攻撃してこないユルいシューティングゲームの様相を呈していた。
「ちょ、NEタンクがなくなったんだけど」
「はい、200」
「いいの?」
「ああ。後、もう撃たなくていいから」
「どうするのよ」
「こうするのさ」
そう言って集まってきたところに柚子太はレイ電磁手榴弾を投げた。
電磁波の射程は直径50メートルで電磁波を浴びたロボットは15秒間、誤作動を起こす。ナノマシン戦闘員は電磁波を浴びても影響を受けない。
そしてイエローローズの最大の効果は誤作動中のロボットはレイシールドを発生させられない事だった。
「そんないいのがあるんなら最初から使いなさいよね」
誤作動を起こして地上に落下したプロペラ群に向かって知穂がレイ手榴弾を投げて倒す中、那須羽の方は考えるように、
「そうじゃないでしょ。このコンボって、もしかして」
「ああ、エクセレントクリアは目前って事さ」
柚子太はそう笑ったのだった。
青色のフィルターが掛かったロボットと戦闘員だけがいる無人のブルーフィールド内の車道には現実世界で走ってた車が停止状態で残ってる訳だが、柚子太は救急車にタッチした。
【支援物資ボックスより加速ブーツ-04レッドキャップが支給されました】
「あっ、もしかしてそれなの?」
那須羽が気付き、
「早い者勝ちでいいよな」
加速ブーツを引き当てた柚子太が事後承諾で確認した。
「赤い救急車なんていない訳ね。前にも取った事があるの?」
「いいや、今回が初めてだよ、このタイプは。おお、凄い。壁走りに壁立ち、大ジャンプが出来る訳ね」
「ったく。そんな事よりも、ほら早く走って」
柚子太に背負われてる知穂がそう指示し、
「だから言い方」
柚子太は走ったのだった。
敵機を引き寄せてはレイ電磁手榴弾で叩き落としてからの撃破を繰り返し、途中でビルの屋上にある情報送信装置を発見して、柚子太が壁走りで屋上に出向いて撃破して、進みに進み、フィールドカウントが残り10分になった頃、
「もうあのフィールドボス以外、居ないんじゃない?」
「確認したくてもフィールドが広過ぎて時間的に不可能だし。仕方ない。倒すか」
柚子太は巨大ドローンに乗る5階建サイズの立体駐車場のようなフィールドボスに視線を向けた。
b飛行空母型プロペラ-308
シールド耐久値3200、耐久値800
搭載機、プロペラa-戦闘03型100機、プロペラa- 爆撃01型50機、プロペラa-爆撃02型20機。
「出来るの?」
「一つ星ってのは凄くてね」
柚子太はパイロットスーツを纏ってからパワードスーツを出して搭乗する。
「頑張ってくるよ、援護よろしく」
柚子太がパワードスーツで接近するとフィールドボスから小型のプロペラが多数出撃してくる。
問題は当然、爆撃型のプロペラだ。爆撃とは言ってもレイ手榴弾なのだが、あんなのを何発も喰らってたら堪らない。
柚子太の方が先にパワードスーツ用のレイ手榴弾を投擲した。パワードスーツ用のレイ手榴弾は戦闘員のレイ手榴弾とは効果範囲が段違いで50メートルは爆発した。威力もある。戦術ランクBの耐久値のプロペラなど一撃だ。
それを2個投げて搭載機を全滅させた後、サブマシンガンでダダダッと連射してあっさりと戦術ランクBのフィールドボスを撃破し、
【フィールドボスの撃破を確認。フィールドボスの撃破に伴い、3秒後にブルーフィールドが解除されます】
と表示されて、ブルーフィールドが解除されて柚子太達は高級中華の個室に戻ったのだった。
【禁止フィールドのクリアボーナス、ナノマシンの成長ポイント、20ポイント】
【戦術ランクB、フィールドMVP&300機撃破ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、80ポイント。アイテムを2つ選択出来ます(制限時間5分)】
【戦術ランクBのフィールド情報送信装置、2基の破壊ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、40ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】
【フィールドラン72キロメートル、ボーナス、アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】
「クソ、エクセレントクリアじゃない。取りこぼしたか」
「元々三人であの広いブルーフィールドの敵の掃討は無理があったのよ」
「そうだけどさ」
まずはMVPの選択画面を見ると、
武器庫スペース+4
NEタンク100-2
レイシールド-AAA20
ジェットウィング-イーグル01
ジェットウイング-イーグル02
ジェットウィング-イーグル03
レイ手榴弾-ウルフ32
レイ手榴弾-タイガー16
武器庫2スペース+1とNEタンク100-8
武器庫2スペース+1とレイシールド-SAA50
武器庫2スペース+1と飛行士用ヘルメット-Bクイーン
武器庫2スペース+1とエアバイク・チューンナップドッグ使用権(1回使い捨て)
ダントツで一つだけいいのがあるが、他はどれもパッとしないな~。
フィールド情報送信装置の画面は案の定で、フィールドランの画面を見ると、
加速ブーツ-01ゴブリン
加速ブーツ-02ボブゴブリン
加速ブーツ-03ゴブリンライダー
加速ブーツ-04レッドキャップ
加速ブーツ-05ゴブリンキング
加速ブーツ-06 アシュラ
今回の支援物資ボックスとモロ被りじゃん。
階級:一つ星
敵機撃破スコア:399→720
ナノマシン成長LV:8→10(ナノマシン成長ポイント519→659)
NE155/155→165/165
武器庫(次の武器庫解放は20):17
メイン武器【レイショットガン-81・Jダルク】
【レイガン-A56・レクイエム】
ガンファイト・威力/射程補正:6
ガンファイト・継続/弾数補正:6
肉体ナノマシン:17
知覚ナノマシン:23
精密ナノマシン:17
肉体治癒ナノマシン:17
NE回復ナノマシン:17
武器庫リスト(20/33→23/33)
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-LQ12・エチュード
レイガン-A56・レクイエム
レイショットガン-81・Jダルク
レイショットガン-88・Kアーサー
レイバズーカー10X-アポロン
レイ電磁手榴弾-イエローローズ30
NEタンク20-5
NEタンク200-1
NEタンク400-1
NEタンク500-3
NEタンク700-4
新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャー
滑空型バトルスーツ-16.2バッドオフィサー
パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
new飛行士用ヘルメット-Bクイーン
new加速ブーツ-04レッドキャップ
new 加速ブーツ-06 アシュラ
レイシールド-SSA20
治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
new戦術ランクBCDE専用レーダー、スパイダーネット-BCDE
戦術ランクD専用レーダー、スパイダーネット-D
武器庫2リスト(スペース9/30→9/32)
パワードスーツ-BEジャブ・兵装1 aタイプ(スペース3)
【チューンナップ中:完了まで120時間】エアバイク-GXアナコンダ(スペース2)
BE専用パワードスーツ修理キット
エアバイク修復キット
NEタンク20-1
NEタンク400-2
アイテムの選択を終えてSNSでエリ姫のプロジェクトに報告を終えた後、
「どうだった?」
「アイテムが被り始めたかな」
「それだけ?」
「いや」
「何よ、ジロジロ見て」
「オレに背負われて損をしたな~と思って。フィールドラン72キロでボーナスが出てたから」
「72キロも走ってたの?」
「そりゃあ1時間近くもあの速度で走ってたら、戦いながらでもそれくらいの距離はいくでしょ」
「どんなアイテムが出たの?」
「加速ブーツ」
「ああ、支援物資ボックスの?」
「そういう事」
その後も柚子太と知穂は楽しく高級中華を食べ、
「えっと、女子にしては食べてるけど大丈夫?」
「ええ、ナノマシンが作用してるのか理想の体型を維持してるわ」
「へ~」
「何? 胸は元々よ。ナノマシン戦闘員になってから成長したんじゃないからね」
「そもそも、いつからなの?」
「高1の冬よ」
「全然気付かなかったな」
などと喋り、食事を終えて、
「それじゃあね、柚子太くん」
「お別れのハグとかはないの?」
「調子に乗らないの。まだ許してないんだからね」
「わかってるよ」
二人は中華店から出てそれぞれの迎えの車で帰っていったのだった。
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