ブルーナイトディスティニー

竹井ゴールド

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本編

始業式の始まりと徐瀬芙杏の誕生日パーティー

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  栗虹高校の新学年が始まり、露図柚子太も通学した訳だが、その通学路にて、

「有名人、どこに雲隠れしてたのよ」

 眼鏡女子の伊佐部いさべ留子るこに話し掛けられた。

 新聞部なので学校の情報は大概留子の耳に入る。

 柚子太が隠れセレブな事を唯一嗅ぎ当てた人物でもあった。

 柚子太はセレブと性格を隠してるが、陽キャラなので普通に女子とも話せるので、

「何だ、それ?」

「春休み中にぶっ倒れて行方不明になってたんでしょ? それで有名って訳」

「こっちはぶっ倒れた所為で、親が予定よりも早く日本に戻ってきて、ワンルームから大学生が住むルームシェアに放り込まれてワンルームの部屋の契約を勝手に解除されて大変だったってのに」

「大学生とルームシェアってーーまさか、ラブコメの王道、女子大生達とルームシェアする夢のパラダイス?」

「ルコ、おまえ、女子だろ。野郎みたいな発想は勘弁してくれ。野郎二人とだよ。その上、親が勝手にEスポーツ部も退部にしてくれて踏んだり蹴ったりさ」

「あら、そうなの?」

「ああ。Eスポーツ部は入部に親の同意が必要だからな。退部も親が顧問の坂東に電話一本で簡単って訳さ」

「ふ~ん。そういや聞いた、柚子太? 陸上部の兵泉へいぜん先輩が死んだの?」

「兵泉ーー日焼け美人の?」

「いや、そうだけどさ。せめて100メートル走、全国ベスト8で覚えましょうよ」

 と呆れながら、

「練習のし過ぎの過労って話よ。最悪よね。スポーツの練習で死んでたら」

 そんな事を喋りながら登校したのだった。





 新学年の最初の儀式は張り出されたクラスの確認だ。

 柚子太は留子と一緒のクラスだった。

「マネージャーの登場みたいね。じゃあね。部室に寄るから」

「柚子太、アンタ、部活辞めたって本当なの?」

 入れ替わるように同じEスポーツ部だった襟井えりい須恵すえが声を掛けてきた。

 また女子だ。茶髪ショートカットだったが。

「まあね。元々親に反対されてたから。ぶっ倒れたのをいい事にこれ幸いにと」

「説得出来なかったの」

「外国に連れて行かれないようにするのがやっとだったよ」

「ふ~ん、柚子太が抜けた穴はちゃんとカバーするから任せておきなさい」

「ありがとよ、須恵」

「どういたしまして」

 一緒のクラスだったので須恵と一緒に下足箱前で名簿を持って立つ教師達にクラスと名前を伝えて、下足箱の鍵を貰って通学靴を入れて、上履きを履いて教室に向かうべく階段を登ってると、階段の前を歩いてた女子が、

「キャアア」

 足を滑らせて、背中から倒れ込んできた。

「うおっと」

 柚子太が慌ててキャッチする。

 偶然回した手が胸に触れたのは幸運な事故だった訳だが。

「ごめんなさい。止めてくれて、ありがと」

「いえいえ」

「本当にありがと。じゃあ」

 すぐに離れて、その女生徒は階段を上っていった。

「鼻の下伸びてるわよ、柚子太」

「そんな訳ないだろ。名前も知らない相手に」

「えっ、知らないの。根利先輩の事?」

「有名なのか?」

「さあね」

「何だよ、それ」

「自分で調べたら」

「興味もないよ」

 柚子太は本当に興味がなく調べもしなかった。





 始業式も無事終了し、柚子太はこの日はさっさと帰る事とした。





 とはいえ、ルームシェアをしてる新たな住居に戻った訳ではない。

 日本の高校の新学年の始業式は大抵、あるイベントと被り、日本の金持ちはスケジュールが大変なのだ。

 母親の華羅もこのイベントがある為に、まだシンガポールには帰っておらず、お陰で華羅に連れられて柚子太もそのイベントに出向く破目になった。





 弐賀財閥総帥の弐賀桂敏の48歳の誕生日パーティー。





 屋敷に招きたくないのか、知園尾ホテルのパーティー会場を借り切ってやっていた。

 それも昼間に。

 子供よりも日本の権力者である大人達が集まる会合だが、それでも昼間に催すのは「忠誠心を見せて予定を空けろ」という事なのだろう。

 柚子太も出向いてつつが無く、もはや御馴染みの顔ぶれの同世代と集まって会話をした訳だが。





 この日、誕生日なのは何も弐賀財閥総帥の弐賀桂敏だけではない。

 365分の1で誰かの誕生日なのだ。

 四月に産み月を計算してれば、その確率はより高いかもしれない。

 もし弐賀財閥総帥の弐賀桂敏の誕生日パーティーに出席出来る程の特権層であれば、その人物の誕生日パーティーは夕方以降となり、





 この日は家族ぐるみで付き合いのある徐頼芙家の蘭の母親の杏の誕生日でもあった。

 当然、柚子太も招かれてる。

 レストランを借り切ったパーティーだ。

 徐瀬芙モータースの社長になる事が決まってる専務の夫人の誕生日パーティーなので、徐瀬芙モータースの会社の人間も大勢居て、柚子太の方が場違いな存在だったが、まあ、子供の頃から顔を出してるので、大人達も、

「誰、あの子供?」

「専務一家が懇意にしてる露図グループの跡取りのはずだ」

 認識しており会釈くらいはしてる訳だが、娘の蘭が、

「(ちょっと、エリ姫から連絡があったんだけど。柚子太、喋っちゃったの?)」

「(エリ姫に喋らないという選択肢はないから)」

「(ったく)」

「(それよりも後11分だけどいいのか、蘭)」

「(あら、予測レーダーをゲットしたの?)」

「(まさか、エリ姫のプロジェクトの恩恵だよ。的中率60%の予測情報を毎日公開してくれてるから。ってか、プロジェクトに入ってないの?)」

「(正直余り変な事には関わりたくないからね)」

 などと喋ってると、





【10分後に発生予定のブルーフィールド展開予想地点内に居ます。予想戦術ランクはD。戦う意思ののない戦闘員は退避して下さい】





「(退避しないのか?)」

「(ママの誕生日パーティーなのに外出なんてあり得ないでしょ)」

「(違いない)」





 そして10分後、





【ブルーフィールド展開、戦術ランクD、フィールドカウント31分31秒】





 柚子太は早速ステータスの数値を割り振った。





 階級:一つ星
 敵機撃破スコア:103
 ナノマシン成長LV:4(ナノマシン成長ポイント339→309)
 NE135/135
 武器庫(次の武器庫解放は17):13→15
 メイン武器【レイショットガン-81・Jダルク】
      【レイガン-A56・レクイエム】
 ガンファイト・威力/射程補正:3→5
 ガンファイト・継続/弾数補正:3→5
 肉体ナノマシン:12→15
 知覚ナノマシン:21
 精密ナノマシン:15
 肉体治癒ナノマシン:5→15
 NE回復ナノマシン:4→15



 武器庫リスト(スペース16/29)
 レイガン-LQ12・エチュード
 レイガン-A56・レクイエム
 レイショットガン-81・Jダルク
 レイショットガン-88・Kアーサー
 レイバズーカー10X-アポロン
 NEタンク20-6
 NEタンク200-1
 NEタンク400-3
 NEタンク700-4
 新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャー
 滑空型バトルスーツ-16.2バッドオフィサー
 パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
 レイシールド-SSA20
 治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
 治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
 戦術ランクBDE専用レーダー、スパイダーネット-BDE



 武器庫2リスト(スペース6/30)
 パワードスーツ-BEジャブ・兵装1aタイプ(スペース3)
 エアバイク-GXアナコンダ(スペース2)
 エアバイク修復キット



「これでよし」

 ニヤリとした柚子太はバトルスーツを纏いながら、バトルスーツを纏った蘭に、

「オレ、フィールドタイムぎりぎりまでロボットを潰して回るから」

「えっ、そうなの? 私はさっさとブルーフィールドから出たいんだけど」

「LV上げをしないと駄目だから。そこは許してよ、蘭」

「ったく。これだから、柚子太は。私はここで時間を潰してるわね」

「うん、じゃあ」

 そう言って柚子太はレストランから出たのだった。





 レーダーを見ながら走りながら敵機を倒していく。

 プロジェクト情報で肉体ナノマシン:15なら壁走りも出来る、との事でビルの壁を駆け上がったりして。

 ムシ、ボックス、プロペラ。

 プロジェクトの情報ではこの三種類しかロボット軍団には存在しないらしい。

 戦術ランクDならば耐久値も低く、レイショットガンやレイハンドガンで余裕で撃破した。

 NE回復ナノマシン:15だと1分で1NEが回復する。

 これもプロジェクトの情報通り。

 敵のボックスは本当に無人の屋内に鎮座しており、4階のクリニックまで地上からジャンプして辿り付き、ブルーフィールドの建造物は、戻った時に修復されてるとのプロジェクト情報から遠慮なくガラスのドア越しにショットガンで貫通させて倒した。

「これで50機。今回はLVが上がってくれよ」

 更に敵機を殲滅していく。

 今回はフィールドタイムが30分あるので余裕だ。

 まだ残り19分。

 レーダーに味方施設の反応があり、向かうと幹線道路で、ビーコンはその1台の車を示していた。片側二車線の幹線道路の車列の中で1台だけ逆向きの無人の自家用車。

 プロジェクト情報によれば支援物資ボックスの擬態らしい。

 触れると、





【支援物資ボックスよりレイガトリングガン-03G・サクラメントが支給されました】





「マジで? それもエアバイクに搭載可能? エアバイクって武器が付いてないから乗らなかったけど、これでーーあっ、駄目だ。1発、威力70を最低21連射でNE消費80だから。雑魚には使えないか。でも1秒3発だからパワードスーツのサブマシンガンよりも段違いで威力がある?」

 操作してエアバイクに早速レイガトリングガン-03G・サクラメントを搭載し、エアバイクにも乗ったが、足として使っただけだ。

 レーダーを頼りに柚子太はエアバイクでかっ飛ぶ。

 戦術ランクDのブルーフィールドは縦横5~7キロ(プロジェクト情報)。

 肉体ナノマシン:15ではブルーフィールドが立体的なのでフィールド全部を走って敵機を倒して回るのは不可能だが、エアバイクなら網羅出来るフィールドの広さだ。

 屋内に展開されてるボックスが鬱陶しいが外からレイガトリングガンで壁ごと撃破してたが、基本はエアバイクのシートから手持ちのハンドガンやショットガンで敵機を倒した。

 そして気付く。

 ロボット軍団陣営の情報送信装置がレーダーに映っていない、と。

「プロジェクト情報にあったステルス型の情報送信装置って奴か。視認で空間の歪み以外は判別は不可能っと。どこだ? そう言えば空にも浮いてたな」

 青色の夜空を見渡す。

 試しに見上げただけだったのだが、本当に浮いていた。

「そこかっ!」

 エアバイクでかっ飛んで地上から200メートル上空のドローンの台座に乗ってる小型の基地局をレイガトリングガンで撃ち抜く。





【ロボット軍団陣営の情報送信装置の破壊を確認】





「拙い。残り1分20秒」

 柚子太はフィールドボスである車サイズのムシを目指す。





 攻撃型ビッグムシb-11
 耐久値750





「また遭ったな」

 レイガトリングガンで簡単に撃ち抜き、





【フィールドボスの撃破を確認。フィールドボスの撃破に伴い、3秒後にブルーフィールドが解除されます】





 3秒後にはパーティー会場に戻ったのだった。

「(どうだった?)」

「(敵全機を倒すのは無理だったよ)」

「(当然でしょ。戦術ランクDでも広いんだから)」





【戦術ランクD、フィールドMVP&200機撃破ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、40ポイント。アイテムを2つ選択出来ます(制限時間5分)】

【戦術ランクDのフィールド情報送信装置、破壊ボーナス、ナノマシンの成長ポイント、20ポイント。アイテムを1つ選択出来ます(制限時間5分)】





 選択画面を開くと、

 レイライフル-PX69・オードリー
 レイショットガン-88・Kアーサー
 レイマシンガン-255A・ニューヨーク
 小隊長型バトルスーツ-10ノーマルオフィサー
 兵士用ヘルメット-Bナイト
 通信士用ヘルメット-Bルーク
 レイシールド-AAA10
 レイシールド-AA50
 NEタンク100-2
 NEタンク50-5
 治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-6
 治癒ナノマシン注射器(重傷用)-2
 武器庫スペース+1とレイシールド-AAA80
 武器庫スペース+1とNEタンク200-3
 武器庫スペース+1とレイ電磁手榴弾-イエローローズ30
 武器庫スペース+1とレイ手榴弾-タイガー20
 武器庫スペース+1と加速ブーツ-01ゴブリン
 武器庫スペース+1とエアバイク修理キット





 柚子太は当然、武器庫スペース+1とレイ手榴弾-タイガー20を2回選ぼうとしたが選べなかったのでガッカリし、情報送信装置破壊ボーナスは選びたくなかったので制限時間が終わるまで粘ったが結局は勝手に選ばれて、





 階級:一つ星
 敵機撃破スコア:103→348
 ナノマシン成長LV:4→7(ナノマシン成長ポイント309→369)
 NE135/135→150/150
 武器庫(次の武器庫解放は17):15
 メイン武器【レイショットガン-81・Jダルク】
      【レイガン-A56・レクイエム】
 ガンファイト・威力/射程補正:5
 ガンファイト・継続/弾数補正:5
 肉体ナノマシン:15
 知覚ナノマシン:21
 精密ナノマシン:15
 肉体治癒ナノマシン:15
 NE回復ナノマシン:15



 武器庫リスト(スペース16/29→18/31)
 レイガン-LQ12・エチュード
 レイガン-A56・レクイエム
 レイショットガン-81・Jダルク
 レイショットガン-88・Kアーサー
 レイバズーカー10X-アポロン
 newレイ電磁手榴弾-イエローローズ30
 NEタンク20-6
 NEタンク200-1
 NEタンク400-3
 NEタンク700-4
 新兵用バトルスーツ-01ルーキーソルジャー
 滑空型バトルスーツ-16・2バッドオフィサー
 パワードスーツBE専用パイロットスーツ-17Eプロトオフィサー
 レイシールド-SSA20
 治癒ナノマシン注射器(軽傷用)-3
 治癒ナノマシン注射器(重傷用)-1
 戦術ランクBDE専用レーダー、スパイダーネット-BDE
 new戦術ランクD専用レーダー、スパイダーネット-D



 武器庫2リスト(スペース6/30)
 パワードスーツ-BEジャブ・兵装1 aタイプ(スペース3)
 newエアバイク-GXアナコンダ(スペース2)
 エアバイク修復キット

 ※レイ手榴弾タイガー20はエアバイクの投下ボックスに搭載





「(これっていつまで続くのかしらね?)」

「(えっ、送り込まれた敵ロボ全部を潰すまでだろ?)」

「(未来の人類が反乱ロボット軍団を制圧してタイムトンネルの装置を破壊して決着じゃないの? それを期待してるんだけど、私)」

「(まあ、確かにそれが一番だけど)」

 と喋ってると、

「蘭、柚子太くん。二人で何イチャイチャしてるの? こっちに来なさい」

 パーティーの主役に呼ばれてそちらに向かったのだった。

 その後も夜9時まで誕生日パーティーは続いた。

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