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醜聞は闇に葬られた

お姉さまは不機嫌でした【イザベラside】

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 4月になり、新2年生になって、ミリアリリー女学園の新年度が始まったのだけど・・・

 もう散々だった。

 2月中旬のお別れ会の舞踏会の魔力汚染で【闇竜属性】になったホルーテさまが蜥蜴車に一緒に乗ってるから、お姉さまと2人っきりになれる時間が無くなっただけでもショックなのに·······

 体力測定の日にお姉さまが公爵令嬢を校舎の1階の廊下でお尻ペンペンした尻拭いで、1年生のアテニナを2人目の妹にする事になって、そのアテニナも一緒に蜥蜴車で通学する事になったのだから。

 それで、王妃様の崩御の喪が明けた4月中旬に、一緒にミリアリリー女学園に通学する事になったのだけど·······





 (王妃様の崩御の休校を挟んだ)校外狩猟学習の2日目だったので、制服ではなく青虎皮の鎧を纏ったお姉さまは不機嫌そうに前髪を掻き上げて・・・・・・

 見るからに不機嫌でした。





 もうお姉さまが不機嫌なのは車内に居る3人全員が分かってて、制服ではなくピンク色なので一見弱そうだけど、実は凄いらしい毛皮鎧姿のホルーテさまが、

「エニスさん、どうしてそんなに不機嫌なの?」

「自分の強さに限界を感じててね」

 と答えたお姉さまは明らかに別の事を考えてるのが私にも分かりました。

「もう充分強いでしょうが、エニスさんは? 王都ラサリリーに迫る災害級の3頭を倒すくらい」

 そのホルーテさまの言葉に、お姉さまとお揃いの青虎皮の鎧を着てる私は、

「えっ? あれをやった仮面の女騎士ってお姉さまだったんですか?」

「まあね。内緒よ」

 とお姉さまが私に言われましたけど・・・あれ?

「もしかして、アテニナはその事・・・・・・」

「ええ、知ってたわよ、もちろん」

 1年生なので狩猟学習がなくて制服姿のアテニナが胸を張って言ってきたので、私は心にズキッとショックを受けながら、

「お姉さま、どうして私が知らなくてアテニナが知ってるんですか?」

「それはもちろん、ホルーテさんの所為せいよ」

 ビシッと指差し、指差されたホーテルさまが呆れながら、

「どうして私の所為なのよ?」

「【闇竜】は秩序を嫌い、混沌を好むからよ。私とイザベラが仲違いするように運命を仕組んでるだけだから気にしちゃダメよ、イザベラ」

 そう言うとお姉さまは本当に気軽に、チュッと私の頬にキスされたのでした。

「・・・えっ? ええっ?」

 お姉さまとの初キスですよね、これって?

 ダメです、表情のニマァ~ッが止まりません。

「ちょっと、お姉さまっ! 妹には平等に接するべきだと思います」

 とアテニナが主張し、お姉さまが、

「ええっと、それってつまり・・・キスして欲しいの?」

「はい」

「ったく、アナタには前にしたでしょ」

「いつですか?」

「足を舐めろとせがんだ時に内股に」

 とお姉さまがさらりと言って、私が、

「何ですか、それ?」

 と驚きましたが・・・・・・・

 ホッペタのキスの余韻でニマァ~ちゅうの私はまったく傷付きませんでした。

「あれは・・・でもぉ~」

 可愛く口を尖らせるアテニナに、

「はいはい。アナタにはここよ」

 お姉さまはそう言うとアテニナさんの手を取って甲にキスしたのでした。

 手の甲にキスを貰って、アテニナは満足そうにキスされた手を眺めてました。

 分かります、アテニナの気持ち。

 手の甲にキスだけで十分幸せですから。

「朝から大変ね。妹が2人も居ると」

 ホルーテさまが呆れる中、お姉さまが、

「あれ? もしかしてホルーテさんもして欲しいの?」

「そんな訳ないじゃないの」

「わかったわ。今度、妹達が見てないところでね」

「だから、いらないってば」

 とホルーテさまは言ってましたが、見るからにして欲しそうでした。





 今日は最高の1日になりそうです(ニマァ~)。
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