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王妃様の崩御

最悪の誕生日【マルチールside】

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 ミリアリリー王国では4月は誕生日ラッシュだ。

 それは学校の入学式や政府の仕官式が4月な事が関係しているらしい。

 誕生月が4月の方が有利で、それに合わせて王家や高位貴族が子供を儲けており、それが市井しせいにまで広がって4月の誕生日が縁起がいい、とされているとかで。

 そんな訳で私も市井の出身でありながら、生まれてくる子供の幸せを願った両親によって、4月の中旬生まれとなっていた。

 私の誕生日はミリアリリー女学園の生徒の誰の誕生日とも被っておらず、エニスさんが私の家にやってきて、誕生日をお祝いしてくれるはずだったのに・・・





 だったのに・・・





 新しく出来た2人目の妹の1年生のアテニナ・バスラが私と同じ誕生日で・・・

 エニスさんはそちらの出席する事となり・・・





「では、マルチールさんの誕生日を祝って乾杯」





 明日誕生日のコリーユさんの音頭で、放課後に私の家で私の誕生会は始まった。

 私の家は平民にしては大きいけど、それでも平民の家なので、出席してるのは親衛隊の幹部の私、コリーユさん、ロマニボアさん、ルルテルの4人のみ。

 本当はここにエニスさんも来ていただく予定だったのに。

 がっかりだわ。

「マルチールさん、アナタ、1度、神殿に礼拝に行ったら?」

 誕生会を祝って貰ってるとコリーユさんがそんな事を言ってきた。

「どうしてよ?」

「だって、マルチールさん、最近、不運続きだから。クラス替えに誕生日、両方ともエニスさんと離されて」

 確かに。言われてみると最近、変かも。

 普通の占い好きの女の子だったら、信心深く神殿に礼拝に行くけど、私はお父さんが死んでからそういうのは信じていないので、

「必要ないわ。信じてないから」

「そう? でも縁起は担いだ方はいいわよ」

「ええ、忠告ありがとね」

 なんて喋って私は友人達に誕生日を祝って貰ったのだった。
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