13 / 30
アテニナ・バスラ生尻折檻事件
前例がないわ【セーラside】
しおりを挟む
(前日の続き)
「私を妹にして」
と(いくらミリアリリー女学園では年下の生徒の名前を呼び捨てにする伝統だからって、バスラ公爵家の令嬢を呼び捨てになんてさすがに出来ないので)アテニナ嬢がそう言う中、エニスさんが私の方を向いて、
「セーラさん、どう思うーーって、アナタ、【黒ミスリル】の癖に、いつまで【魔眼】なんかに掛かってるの? 早く解除しなさいよね」
そう言ってきて、初耳だったのかバスラ公爵が、
「はあ? 【黒ミスリル】だと? まさか、【鋼】の特異体質の上位体質の事か? 騎士団長、貴様、そんな重要な能力情報を隠匿していたのか?」
「いやいや、陛下にはちゃんと御報告を・・・」
「【ミスリル】に魔法は効かぬから、魔法兵団殺しには最適な要員ではないか。それを隠してるなど我がバスラ公爵家への敵意があるとしか・・・」
「いやいや、御覧の通り、まだ娘は未熟でして・・・・・・」
とお父様とバスラ公爵が喋る中、エニスさんが、
「ほら、眼に【黒ミスリル】を集めて」
言われて、本当に両眼に【黒ミスリル】の血を集めたら、
「・・・あっ、ホントだ。動ける」
簡単に【覇眼】の金縛りが解除されたのだった。
「十分、【覇眼】に対抗してるではないか?」
「あれ、変ですな?」
「白々しくとぼけよって」
バスラ公爵がお父様に詰め寄る中、エニスさんが、
「ねえ、この子を妹にする案、どう思う?」
「どう思うって・・・・・・逆に聞くけど、エニスさん。アナタ、イザベラを捨てる気なの?」
「冗談でしょ。どれだけ私が手塩に掛けてイザベラを鍛えたと思ってるのよ。そうじゃなくて、2人目として・・・」
エニスさんは本当に思考が柔軟というか自分勝手というか、そんな事を言ってきたけど、
「はあ? そんなの無理に決まってるでしょ。前例がないわ」
「何言ってるの、セーラさん? ミリアリリー女学園史には最大5人まで妹にして、劣等生達に口移しで魔力を供給したって記録されてたわよ?」
「それは、魔力が扱えない劣等生に口移しで魔力を供給してた時代の話でしょ? 今の時代は1人が伝統よ」
「ふ~ん」
と呟いたエニスさんがアテニナ嬢を見て、
「アナタ、今『妹にして』って言ったけど、妹って立場は意外と辛いわよ? お姉さまの命令にも絶対服従だし。ちゃんと私の言う事が聞けるの?」
「言う事って、例えば?」
「『生徒会選挙に出馬しなさい』とか、『冬の乙女祭に出場しなさい』とかよ」
「夏の乙女祭の出場は絶対に許さんからな」
と言うのはバスラ公爵の言葉だった。
「まあ、それはないけど······『ホッペに仲直りのキスをしなさい』とか、『あれだけ言ったのにまた【魔眼】を使ったわね。お尻を叩くからパンツは自分で下げなさい』とかあるかもしれないわよ?」
「ダメだ。絶対に許さんっ!」
とバスラ公爵が反対する中、アテニナ嬢の方は、
「それくらいなら」
「剣は使えるの?」
「それがあんまり」
「完全に魔眼魔術師の家系だものね。いいわ。剣くらいなら軽く教えましょう。でもお姉さまには敬語が必須よ。私に敬語で喋れるの?」
「はい、もちろんですわ」
との会話の後・・・・・・
エニスさんが私のお父様を見て、
「騎士団長の小父さま、お願い。2人目の妹が持てるようにミリアリリー女学園の学園長センセイに圧力を掛けて♡」
と可愛くおねだりしたが、お父様は、
「私よりも最適者がこの室内に居るので、そちらに頼みなさい」
と言うと、エニスさんは当然のように、
「アテニナ、お姉さま命令よ。アナタの小父さまにお頼みして」
そう命令して、悪ノリしたアテニナ嬢が可愛く、
「お父様、お願い♡」
「いやいや、待ちなさい。アテちゃん」
「お父様、ねっ?」
「だから・・・」
「お願い♡」
娘の可愛いおねだり攻撃の前に、怖いと評判の魔法兵団長のバスラ公爵はあっさりと陥落したのだった。
このエニスさんが引き起こしたミリアリリー女学園の騒動が呼び水となって、バスラ公爵が魔法兵団の団員を王都ラサリリーの貴族区に大動員した事で・・・・・・
実はこの時、別の場所の警備が手薄になって、ミリアリリー王国を揺るがす大事件が水面下で既に起こってたんだけど・・・
それが表面化するのは数日後だったので、私はこの時、
助かったぁ~。
と呑気に思ったのだった。
「私を妹にして」
と(いくらミリアリリー女学園では年下の生徒の名前を呼び捨てにする伝統だからって、バスラ公爵家の令嬢を呼び捨てになんてさすがに出来ないので)アテニナ嬢がそう言う中、エニスさんが私の方を向いて、
「セーラさん、どう思うーーって、アナタ、【黒ミスリル】の癖に、いつまで【魔眼】なんかに掛かってるの? 早く解除しなさいよね」
そう言ってきて、初耳だったのかバスラ公爵が、
「はあ? 【黒ミスリル】だと? まさか、【鋼】の特異体質の上位体質の事か? 騎士団長、貴様、そんな重要な能力情報を隠匿していたのか?」
「いやいや、陛下にはちゃんと御報告を・・・」
「【ミスリル】に魔法は効かぬから、魔法兵団殺しには最適な要員ではないか。それを隠してるなど我がバスラ公爵家への敵意があるとしか・・・」
「いやいや、御覧の通り、まだ娘は未熟でして・・・・・・」
とお父様とバスラ公爵が喋る中、エニスさんが、
「ほら、眼に【黒ミスリル】を集めて」
言われて、本当に両眼に【黒ミスリル】の血を集めたら、
「・・・あっ、ホントだ。動ける」
簡単に【覇眼】の金縛りが解除されたのだった。
「十分、【覇眼】に対抗してるではないか?」
「あれ、変ですな?」
「白々しくとぼけよって」
バスラ公爵がお父様に詰め寄る中、エニスさんが、
「ねえ、この子を妹にする案、どう思う?」
「どう思うって・・・・・・逆に聞くけど、エニスさん。アナタ、イザベラを捨てる気なの?」
「冗談でしょ。どれだけ私が手塩に掛けてイザベラを鍛えたと思ってるのよ。そうじゃなくて、2人目として・・・」
エニスさんは本当に思考が柔軟というか自分勝手というか、そんな事を言ってきたけど、
「はあ? そんなの無理に決まってるでしょ。前例がないわ」
「何言ってるの、セーラさん? ミリアリリー女学園史には最大5人まで妹にして、劣等生達に口移しで魔力を供給したって記録されてたわよ?」
「それは、魔力が扱えない劣等生に口移しで魔力を供給してた時代の話でしょ? 今の時代は1人が伝統よ」
「ふ~ん」
と呟いたエニスさんがアテニナ嬢を見て、
「アナタ、今『妹にして』って言ったけど、妹って立場は意外と辛いわよ? お姉さまの命令にも絶対服従だし。ちゃんと私の言う事が聞けるの?」
「言う事って、例えば?」
「『生徒会選挙に出馬しなさい』とか、『冬の乙女祭に出場しなさい』とかよ」
「夏の乙女祭の出場は絶対に許さんからな」
と言うのはバスラ公爵の言葉だった。
「まあ、それはないけど······『ホッペに仲直りのキスをしなさい』とか、『あれだけ言ったのにまた【魔眼】を使ったわね。お尻を叩くからパンツは自分で下げなさい』とかあるかもしれないわよ?」
「ダメだ。絶対に許さんっ!」
とバスラ公爵が反対する中、アテニナ嬢の方は、
「それくらいなら」
「剣は使えるの?」
「それがあんまり」
「完全に魔眼魔術師の家系だものね。いいわ。剣くらいなら軽く教えましょう。でもお姉さまには敬語が必須よ。私に敬語で喋れるの?」
「はい、もちろんですわ」
との会話の後・・・・・・
エニスさんが私のお父様を見て、
「騎士団長の小父さま、お願い。2人目の妹が持てるようにミリアリリー女学園の学園長センセイに圧力を掛けて♡」
と可愛くおねだりしたが、お父様は、
「私よりも最適者がこの室内に居るので、そちらに頼みなさい」
と言うと、エニスさんは当然のように、
「アテニナ、お姉さま命令よ。アナタの小父さまにお頼みして」
そう命令して、悪ノリしたアテニナ嬢が可愛く、
「お父様、お願い♡」
「いやいや、待ちなさい。アテちゃん」
「お父様、ねっ?」
「だから・・・」
「お願い♡」
娘の可愛いおねだり攻撃の前に、怖いと評判の魔法兵団長のバスラ公爵はあっさりと陥落したのだった。
このエニスさんが引き起こしたミリアリリー女学園の騒動が呼び水となって、バスラ公爵が魔法兵団の団員を王都ラサリリーの貴族区に大動員した事で・・・・・・
実はこの時、別の場所の警備が手薄になって、ミリアリリー王国を揺るがす大事件が水面下で既に起こってたんだけど・・・
それが表面化するのは数日後だったので、私はこの時、
助かったぁ~。
と呑気に思ったのだった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

TS転移勇者、隣国で冒険者として生きていく~召喚されて早々、ニセ勇者と罵られ王国に処分されそうになった俺。実は最強のチートスキル持ちだった~
夏芽空
ファンタジー
しがないサラリーマンをしていたユウリは、勇者として異世界に召喚された。
そんなユウリに対し、召喚元の国王はこう言ったのだ――『ニセ勇者』と。
召喚された勇者は通常、大いなる力を持つとされている。
だが、ユウリが所持していたスキルは初級魔法である【ファイアボール】、そして、【勇者覚醒】という効果の分からないスキルのみだった。
多大な準備を費やして召喚した勇者が役立たずだったことに大きく憤慨した国王は、ユウリを殺処分しようとする。
それを知ったユウリは逃亡。
しかし、追手に見つかり殺されそうになってしまう。
そのとき、【勇者覚醒】の効果が発動した。
【勇者覚醒】の効果は、全てのステータスを極限レベルまで引き上げるという、とんでもないチートスキルだった。
チートスキルによって追手を処理したユウリは、他国へ潜伏。
その地で、冒険者として生きていくことを決めたのだった。
※TS要素があります(主人公)

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる