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アテニナ・バスラ生尻折檻事件
前例がないわ【セーラside】
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(前日の続き)
「私を妹にして」
と(いくらミリアリリー女学園では年下の生徒の名前を呼び捨てにする伝統だからって、バスラ公爵家の令嬢を呼び捨てになんてさすがに出来ないので)アテニナ嬢がそう言う中、エニスさんが私の方を向いて、
「セーラさん、どう思うーーって、アナタ、【黒ミスリル】の癖に、いつまで【魔眼】なんかに掛かってるの? 早く解除しなさいよね」
そう言ってきて、初耳だったのかバスラ公爵が、
「はあ? 【黒ミスリル】だと? まさか、【鋼】の特異体質の上位体質の事か? 騎士団長、貴様、そんな重要な能力情報を隠匿していたのか?」
「いやいや、陛下にはちゃんと御報告を・・・」
「【ミスリル】に魔法は効かぬから、魔法兵団殺しには最適な要員ではないか。それを隠してるなど我がバスラ公爵家への敵意があるとしか・・・」
「いやいや、御覧の通り、まだ娘は未熟でして・・・・・・」
とお父様とバスラ公爵が喋る中、エニスさんが、
「ほら、眼に【黒ミスリル】を集めて」
言われて、本当に両眼に【黒ミスリル】の血を集めたら、
「・・・あっ、ホントだ。動ける」
簡単に【覇眼】の金縛りが解除されたのだった。
「十分、【覇眼】に対抗してるではないか?」
「あれ、変ですな?」
「白々しくとぼけよって」
バスラ公爵がお父様に詰め寄る中、エニスさんが、
「ねえ、この子を妹にする案、どう思う?」
「どう思うって・・・・・・逆に聞くけど、エニスさん。アナタ、イザベラを捨てる気なの?」
「冗談でしょ。どれだけ私が手塩に掛けてイザベラを鍛えたと思ってるのよ。そうじゃなくて、2人目として・・・」
エニスさんは本当に思考が柔軟というか自分勝手というか、そんな事を言ってきたけど、
「はあ? そんなの無理に決まってるでしょ。前例がないわ」
「何言ってるの、セーラさん? ミリアリリー女学園史には最大5人まで妹にして、劣等生達に口移しで魔力を供給したって記録されてたわよ?」
「それは、魔力が扱えない劣等生に口移しで魔力を供給してた時代の話でしょ? 今の時代は1人が伝統よ」
「ふ~ん」
と呟いたエニスさんがアテニナ嬢を見て、
「アナタ、今『妹にして』って言ったけど、妹って立場は意外と辛いわよ? お姉さまの命令にも絶対服従だし。ちゃんと私の言う事が聞けるの?」
「言う事って、例えば?」
「『生徒会選挙に出馬しなさい』とか、『冬の乙女祭に出場しなさい』とかよ」
「夏の乙女祭の出場は絶対に許さんからな」
と言うのはバスラ公爵の言葉だった。
「まあ、それはないけど······『ホッペに仲直りのキスをしなさい』とか、『あれだけ言ったのにまた【魔眼】を使ったわね。お尻を叩くからパンツは自分で下げなさい』とかあるかもしれないわよ?」
「ダメだ。絶対に許さんっ!」
とバスラ公爵が反対する中、アテニナ嬢の方は、
「それくらいなら」
「剣は使えるの?」
「それがあんまり」
「完全に魔眼魔術師の家系だものね。いいわ。剣くらいなら軽く教えましょう。でもお姉さまには敬語が必須よ。私に敬語で喋れるの?」
「はい、もちろんですわ」
との会話の後・・・・・・
エニスさんが私のお父様を見て、
「騎士団長の小父さま、お願い。2人目の妹が持てるようにミリアリリー女学園の学園長センセイに圧力を掛けて♡」
と可愛くおねだりしたが、お父様は、
「私よりも最適者がこの室内に居るので、そちらに頼みなさい」
と言うと、エニスさんは当然のように、
「アテニナ、お姉さま命令よ。アナタの小父さまにお頼みして」
そう命令して、悪ノリしたアテニナ嬢が可愛く、
「お父様、お願い♡」
「いやいや、待ちなさい。アテちゃん」
「お父様、ねっ?」
「だから・・・」
「お願い♡」
娘の可愛いおねだり攻撃の前に、怖いと評判の魔法兵団長のバスラ公爵はあっさりと陥落したのだった。
このエニスさんが引き起こしたミリアリリー女学園の騒動が呼び水となって、バスラ公爵が魔法兵団の団員を王都ラサリリーの貴族区に大動員した事で・・・・・・
実はこの時、別の場所の警備が手薄になって、ミリアリリー王国を揺るがす大事件が水面下で既に起こってたんだけど・・・
それが表面化するのは数日後だったので、私はこの時、
助かったぁ~。
と呑気に思ったのだった。
「私を妹にして」
と(いくらミリアリリー女学園では年下の生徒の名前を呼び捨てにする伝統だからって、バスラ公爵家の令嬢を呼び捨てになんてさすがに出来ないので)アテニナ嬢がそう言う中、エニスさんが私の方を向いて、
「セーラさん、どう思うーーって、アナタ、【黒ミスリル】の癖に、いつまで【魔眼】なんかに掛かってるの? 早く解除しなさいよね」
そう言ってきて、初耳だったのかバスラ公爵が、
「はあ? 【黒ミスリル】だと? まさか、【鋼】の特異体質の上位体質の事か? 騎士団長、貴様、そんな重要な能力情報を隠匿していたのか?」
「いやいや、陛下にはちゃんと御報告を・・・」
「【ミスリル】に魔法は効かぬから、魔法兵団殺しには最適な要員ではないか。それを隠してるなど我がバスラ公爵家への敵意があるとしか・・・」
「いやいや、御覧の通り、まだ娘は未熟でして・・・・・・」
とお父様とバスラ公爵が喋る中、エニスさんが、
「ほら、眼に【黒ミスリル】を集めて」
言われて、本当に両眼に【黒ミスリル】の血を集めたら、
「・・・あっ、ホントだ。動ける」
簡単に【覇眼】の金縛りが解除されたのだった。
「十分、【覇眼】に対抗してるではないか?」
「あれ、変ですな?」
「白々しくとぼけよって」
バスラ公爵がお父様に詰め寄る中、エニスさんが、
「ねえ、この子を妹にする案、どう思う?」
「どう思うって・・・・・・逆に聞くけど、エニスさん。アナタ、イザベラを捨てる気なの?」
「冗談でしょ。どれだけ私が手塩に掛けてイザベラを鍛えたと思ってるのよ。そうじゃなくて、2人目として・・・」
エニスさんは本当に思考が柔軟というか自分勝手というか、そんな事を言ってきたけど、
「はあ? そんなの無理に決まってるでしょ。前例がないわ」
「何言ってるの、セーラさん? ミリアリリー女学園史には最大5人まで妹にして、劣等生達に口移しで魔力を供給したって記録されてたわよ?」
「それは、魔力が扱えない劣等生に口移しで魔力を供給してた時代の話でしょ? 今の時代は1人が伝統よ」
「ふ~ん」
と呟いたエニスさんがアテニナ嬢を見て、
「アナタ、今『妹にして』って言ったけど、妹って立場は意外と辛いわよ? お姉さまの命令にも絶対服従だし。ちゃんと私の言う事が聞けるの?」
「言う事って、例えば?」
「『生徒会選挙に出馬しなさい』とか、『冬の乙女祭に出場しなさい』とかよ」
「夏の乙女祭の出場は絶対に許さんからな」
と言うのはバスラ公爵の言葉だった。
「まあ、それはないけど······『ホッペに仲直りのキスをしなさい』とか、『あれだけ言ったのにまた【魔眼】を使ったわね。お尻を叩くからパンツは自分で下げなさい』とかあるかもしれないわよ?」
「ダメだ。絶対に許さんっ!」
とバスラ公爵が反対する中、アテニナ嬢の方は、
「それくらいなら」
「剣は使えるの?」
「それがあんまり」
「完全に魔眼魔術師の家系だものね。いいわ。剣くらいなら軽く教えましょう。でもお姉さまには敬語が必須よ。私に敬語で喋れるの?」
「はい、もちろんですわ」
との会話の後・・・・・・
エニスさんが私のお父様を見て、
「騎士団長の小父さま、お願い。2人目の妹が持てるようにミリアリリー女学園の学園長センセイに圧力を掛けて♡」
と可愛くおねだりしたが、お父様は、
「私よりも最適者がこの室内に居るので、そちらに頼みなさい」
と言うと、エニスさんは当然のように、
「アテニナ、お姉さま命令よ。アナタの小父さまにお頼みして」
そう命令して、悪ノリしたアテニナ嬢が可愛く、
「お父様、お願い♡」
「いやいや、待ちなさい。アテちゃん」
「お父様、ねっ?」
「だから・・・」
「お願い♡」
娘の可愛いおねだり攻撃の前に、怖いと評判の魔法兵団長のバスラ公爵はあっさりと陥落したのだった。
このエニスさんが引き起こしたミリアリリー女学園の騒動が呼び水となって、バスラ公爵が魔法兵団の団員を王都ラサリリーの貴族区に大動員した事で・・・・・・
実はこの時、別の場所の警備が手薄になって、ミリアリリー王国を揺るがす大事件が水面下で既に起こってたんだけど・・・
それが表面化するのは数日後だったので、私はこの時、
助かったぁ~。
と呑気に思ったのだった。
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