王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・春の乙女祭編〜

竹井ゴールド

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式典委員34人自主退学事件

全員登校していないのよ【セーラside】

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 寮住まいだった前新聞部部長のメリッサさまが卒業したからか、私はその情報をキャッチ出来なかった。

 知ったのは春の乙女祭が終わって、翌日の休日の次の日のミリアリリー女学園が通常通りにあった昼休みだ。

 もう昼休みの食堂では色分けがされてて・・・・・・

 私はエニスさんのグループのテーブルに一緒に座ってた。

 肩飾り付きの幹部生徒だけで、エニスさん、イザベラ、私、リンダさん、ラライア、アテニナ嬢、ホルーテさんと居る訳で、更にそこにマルチールさんとコリーユさんが加わってる、もうミリアリリー女学園でも目立つグループだった訳だけど。

 そこに風紀委員長のマリンピーチ・レコリーズさんがやってきた。

 銀髪ロングの巻き毛で、長身の女騎士風なタイプだ。

 レコリーズ家は伯爵家で、能力は【加速】。

 持続時間は本人の資質次第らしいわ。

 彼女の家も騎士団幹部を排出する家柄で、私のクワナリス伯爵家と一緒で騎士団系統の貴族だった。

「エニスさん、少しいいかしら?」

「何? 場所を変える内容? もしかして愛の告白?」

「冗談でもそういう事言わないでくれる? アナタの親衛隊に殺されるから」

「親衛隊? 勘弁してよ、マリンピーチさん。友達の事をそんな風に言われるのは心外なんだけど」

 そうエニスさんは周囲との認識の違いをありありと披露しながら、

「で、何?」

 席を立とうとして、

「いえ、ここでいいわ。もう騒ぎになってるから隠す必要もないし」

「なら、どうぞ」

 座り直したエニスさんにマリンピーチさんが、

「式典委員会所属の生徒が今日全員登校していないのよ」

「何、サボり?」

「いえ、昨日の休日から行方不明の生徒が結構出てるらしいわ。センセイ達が騒いでた」

「そんな事どうして私に・・・・・・ああ、そういう事」

 と呆れたエニスさんが、何かに気付いて、

「アテニナ、アナタ、何かやった?」

「どうして、私に質問するんですか、お姉さま? 何もしていない私を疑うなんてあんまりです。泣いちゃいます」

「そういう演技はいいから。どうなの?」

「私じゃ、ありませんよ。だって、春の乙女祭は私にとっては最高の結果だったんですから。お姉さまが優勝して、イザベラさまは一回戦負けぇ~(クスクス)」

 可愛く泣き真似の演技をしてるかと思えば、クスクス顔で意地悪く笑った。

「あのねぇ~。そういう事を言わないの。私の中ではイザベラは準優勝なんだから」

 あれ? 【竜属性】の2人よりもイザベラの方が強いんだぁ~。

 と私がエニスさんの戦力分析に興味を持つ中、エニスさんがアテニナ嬢に、

「それよりも何か知ってる?」

「はい、春の乙女祭ではどっかの公爵令嬢が1回戦負けして怒髪天に来てましたからね、そう言えば彼女、今日、お休みだったような?」

「誰なの、それ?」

 とマリンピーチさんが質問すると、アテニナ嬢が、

「3年生だからって気安く話しかけないで貰えます?」

 そう真顔でツンと言った。

 そういう困った性格の子だ、アテニナ嬢は。

 春の乙女蔡ではエニスさんの親衛隊を何人も潰しに掛かってて、コリーユさんの件がなかったら、後手に回ってて本当に何人かは退学する破目になってたし。

 ってか、エニスさんがアテニナ嬢を妹にしていなかったら、今頃は確実にアテニナ嬢が中心になって今年の1年生達が大暴れして、ミリアリリー女学園が大変な事になってたから。

 そう考えてると、あの折檻事件はプラスに働いてるかもね。

「エニスさん、お願い」

 とマリンピーチさんがエニスさんに通訳を頼んで、

「アテニナ、誰なの?」

「【雷剣】一族の総元締め、ラディーゼル公爵令嬢のスライアさんですわ」

「知り合いなの?」

「はい、昔から」

「どういう子なの?」

「えっ? どうしてそんな質問をお姉さまがされるんですか? もしかしてまた妹を・・・」

「どうしてそうなるのよ。私が質問したのは、すぐに殺す性格なのか、拷問してから殺す性格なのか、のどっち? って意味よ」

 エニスさんも少しズレてるから、そう質問の真意をアテニナ嬢に説明した。

「それは・・・その、すっごく言いにくいんですが、もう御臨終してるかも♡」

 すっごく言いにくい、と言いながらアテニナ嬢が笑顔で言ったわ。

 語尾にハートマーク付きで。

 エニスさんよりもアテニナ嬢の方がヤバイわよね、絶対。

 エニスさんが卒業したらミリアリリー女学園はどうなるのかしら?

 まあ、その時には私も卒業してるから、関係はないんだけど。

「だそうよ。マリンピーチさん」

「ありがとね、エニスさん。お食事中、失礼したわね、じゃあ」

 そう言ってマリンピーチさんは私達の席の傍からカッコよく去っていった。






 風紀委員会の伝統かしらね?

 全員、女性だけの歌劇団の男役みたいに振る舞うのって。
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