王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・春の乙女祭編〜

祭りが終わり

美女神の身体に溺れた男の末路【ルビアside】

　エニスの春の乙女祭の祝勝会が終わってエニスの友人達が帰った後・・・

　私はエニスと真面目な話をする事になった。

　ルビカルお兄様にも厳命された大事な話だ。

　護衛の親衛隊を遠ざけて２人っきりで会談するくらいの。

　そう、私は今日、休憩時間に王宮を抜け出したのではなく、公務で来ていた。

　なので、エニスに、

「ねえ、どうして未来の王妃の妹にあんな事をしたの？」

「あれ、祝勝会で言いませんでした？　ムカついたからですけど？」

　エニスが真顔で言ったので、

「お兄様の婚約者のカウーナお義姉様が黙ってはいない、とは思わなかったの？」

「ああ、王太子殿下に白い結婚を言い渡されて蔑ないがしろにされる？」

　とエニスさんが鼻で笑ったので、私は真面目に、

「エニスは知らないだろうけどね。お兄様とカウーナお義姉様はラブラブなのよ」

　と教えると、エニスの方が私に驚きながら、

「えっ、ルビア様、【美女神】の身体に溺れた男の末路を知らないんですか？　【美女神の寵愛】を抱いたルビア様の兄君の王太子が今更、普通の女で満足する訳がないじゃないですかり不仲は確定事項ですよ、もう」

　さも当然のように言い放ち、

「えっ・・・嘘よね？」

「本当ですよ」

　私はその話を聞くと、慌てて飛竜に乗って王宮へと話を持ち帰り・・・・・・





　王宮の王太子執務室に居るルビカルお兄様に会いにいった。

「ああ、ルビア？　どうだった？」

「その前にお人払いを」

「ん？　この２人は信頼出来るから大丈夫だろう」

　とルビカルお兄様が側近２人の同席を許したので、

「エニスから凄い事を聞きました。【美女神】の身体に溺れた男の末路の話を。もう普通の女では満足出来ないって。白い結婚、または不仲は確定だそうです、お兄様とカウーナお義姉様の結婚生活は」

　私はエニスに聞いた内容をそのまま伝えた。

「今はともかく１年後なら大丈夫だと思うがな」

　それがルビカルお兄様の感想だった。

「本当ですか？」

「後継者を作るのは王族の責務だ。愛してなくても愛してる演技はするさ。おっと、年頃の妹に話す内容としては少し不謹慎だったかな、ハハハ」

　ルビカルお兄様には似合わない渇いた笑いだった。

「そうですか」

「それで、エニス嬢はどうしてあんな事を？」

「友人が毒を盛らされて激怒した、と。後、春の乙女祭の対戦相手を滅茶苦茶に弄いじられて」
「・・・それだけで、あの騒ぎか？」

「はい。騎士団長の娘のセーラも誘拐されてて。今年のミリアリリー女学園の１年生は逮捕者続出だけあって問題のようですね」

　私はそう報告しておいた。