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祭りが終わり
えっ? ええっ? えええっ?【コリーユside】
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私は春の乙女祭のエニスさんの祝勝会にドレスを纏って出席していた。
というか、昨日のエニスさんの春の乙女祭の優勝の雄姿も見学してたんだけどね。
確かに私が毒を飲んだ時、あの場に居たけど・・・
どうしてエニスさんが決勝戦で未来の王妃様の妹を吹き飛ばしたんだろうと思ってたけど、私の為に怒ってくれたからなんだぁ~。
エニスさん、大好きぃ~。
でも・・・
私は毒を飲んだけど、私の肌には毒の痣が1つも残っていないのよね。
どうしてかって?
むふふ、それは3日前・・・
◇
睡眠薬だって言ったから飲んだのに、私が飲んだのは猛毒だった。
お陰で猛毒の液体に触れた口や食道や胃が溶けて、最初に処置した治癒医が役立たずだったらしくて・・・
起きた時には毒が全身に回って綺麗な白肌が紫色に変色してたわ。
それで私はずっと集中治療室の魔法液の入ったカプセルの中に裸で浸かっていた。
ずっとよ。
それでも全身のあちこちが痛いし。
時々、カプセルの外でお父様やお母様やメイド達が泣きそうな顔でこちらを見てるのが見えたわ。
よっぽど酷い状態なのね、私って。
そんな状態が続いててカプセルに満ちた魔法液の中に居たはずなんだけど・・・
魔法液の中で漂っていた私は・・・・・・
気付いたらベッドに居た。
時間は夜だった。
それも裸で誰かに抱かれて。
最初は、
ヒィ、誰よ? まさか、男? いたずらされた?
って思ったけど、その相手が裸のエニスさんだと気付いてからは心臓が大暴れで、ずっとドキドキしてたわ。
えっ? どうしてエニスさんと一緒にベッドで寝てるの?
それも裸で?
ってか、エニスさんも裸よね、この感触って?
えっ? ええっ? えええっ?
私が困惑しながらカチンコチンに固まってエニスさんに抱かれてると、エニスさんが目覚めて、
「ああ、起きたのね、コリーユさん?」
エニスさんが眼を覚まして、身体を起こして、
「少しアナタの身体を見せて貰うわね」
「ま、待って、エニスさん。毒に侵された汚い身体なんてエニスさんに見られたくは・・・」
羞恥以前の問題で、私は慌てて言ったけど、
「何を言ってるの、もう綺麗なはずよ」
とエニスさんに言われて、私も星明かりに照らされた室内で自分の身体を見たら、
「・・・あれ、毒の痣は?」
「治しておいたわ」
「エニスさんが治してくれたの?」
「――皆には内緒よ?」
と悪戯っぽく言ったエニスさんは魔力を放出してエニスさんと私の身体をその魔力で覆った。
エニスさんの魔力は紫色だけど、今の魔力の色は半透明のダイヤモンドっぽい色だった。
そして魔力の属性は【聖】。
「これって【聖属性】の魔力? 凄い」
私は驚いた。
【聖属性】の魔力は選ばれた者だけが使える属性だったから。
同時に、エニスさんがこの【聖属性】の魔力を私に浴びせ続けてくれて、私の毒を消し去ってくれた事を私は理解した。
何でも出来るのね、エニスさんって。
・・・・・・やっぱり素敵。
「助けていただいてありがとうございます、エニスさん」
私が感激する中、エニスさんは、
「アナタだけ特別によ、コリーユさん。他の子にはしないんだからね」
そう言ってくれたけど、エニスさんは優しいから他の子が窮地ならすると思うわ。
「意識が戻ったって事は完治したみたいね。じゃあ、私はこれで」
星明かりを浴びて眩し過ぎる完璧なプロポーションの裸のエニスさんがベッドから立とうとしたけど、
「・・・あの、朝まで一緒に居て下さい」
心細い私が消えそうな声でそう懇願すると、
「そうね、コリーユさんには言わなくちゃならない事があるから、そうしましょうか」
と笑ったエニスさんがベッドに戻ってきて裸の私に抱き締めたのだった。
やっぱり裸同士の抱擁は凄い。
エニスさんの素肌が色々なところに当たって体温だって直に伝わって、すぐに身体が熱くなって。
それにエニスさんの甘い匂いもするし。
というか、エニスさんの柔らかな胸が私の胸に当たって潰れるように密着してるから。
「コリーユさん、二度と私の為に毒なんて飲んじゃダメよ?」
「えっと、それだけは約束出来ません、エニスさん。私、エニスさんの為なら多分、同じ事を・・・」
「でしょうね、コリーユさんなら。コリーユさんに恥ずかしい事をして無理矢理、ここで約束させてもいいんだけど、コリーユさんは約束を守りそうもないから、少し困ったわね」
とエニスさんが溜息を吐く中、私が、
「恥ずかしい事って何ですか?」
質問した瞬間、エニスさんが少し悪戯な顔をして、私の右腕を上に上げて、
「例えば、コリーユさんのワキの匂いを嗅ぐとか」
それには私は慌てながら、
「ま、待って下さい。私、お風呂に何日も入ってなくて・・・お願いです、エニスさん。それだけはやらないで・・・」
私が涙眼になって懇願すると、エニスさんは私の腕を下げさせて、
「しないわよ、コリーユさんの嫌がるような事は。私の為に毒を飲んでくれた子に誰がそんな意地悪をしますか」
エニスさんはそう笑ったけど、私は恥ずかしくて涙を流してて、
「・・・」
「ほら、泣かないの。私のコリーユ。アナタはもう私の為に生きて、私の為に死ぬんだから。自信を持ちなさい」
エニスさんに指で涙を拭かれて頭を撫でられて励まされながら、私は心の中で、
エニスさんの為に生きて、エニスさんの為に死ぬ。
なんて素敵な言葉なの。
それにエニスさんに呼び捨てにされるのって、エニスさんとの距離が一気に縮まったみたいで凄く心地良い。
と思ったのだった。
その後も朝まで裸の私は、裸のエニスさんとベッドで抱き合い、エニスさんの体温を感じながら、エニスさんと色々と喋った。
エニスさんとは、この夜は裸の抱擁だけだったけど・・・・・・それでも生涯の宝物だわ、この夜の事は。
そして翌朝、エニスさんが【聖属性】の魔力が使える事は内緒だから、エニスさんに治療された事も内緒な訳で、カプセルの魔法液の中に戻った私を見た騎士団の女治癒師が、
「嘘、治ってる。奇跡だわ」
と驚いてたわ。
そう、奇跡よ、私が愛するエニスさんが起こした。
◇
祝勝会で私がその事を思い出してエニスさんに見惚れてると、マルチールさんが、
「良かったわね、毒の痣が治って」
「ええ。でも、お父様とお母様にかなり怒られたけどね」
「そりゃ、毒なんて飲むからよ。まあ、私もコリーユさんの立場なら同じ事をしたと思うけど」
とマルチールさんと喋りながらエニスさんを眺めて、楽しい祝勝会は終わったのだった。
というか、昨日のエニスさんの春の乙女祭の優勝の雄姿も見学してたんだけどね。
確かに私が毒を飲んだ時、あの場に居たけど・・・
どうしてエニスさんが決勝戦で未来の王妃様の妹を吹き飛ばしたんだろうと思ってたけど、私の為に怒ってくれたからなんだぁ~。
エニスさん、大好きぃ~。
でも・・・
私は毒を飲んだけど、私の肌には毒の痣が1つも残っていないのよね。
どうしてかって?
むふふ、それは3日前・・・
◇
睡眠薬だって言ったから飲んだのに、私が飲んだのは猛毒だった。
お陰で猛毒の液体に触れた口や食道や胃が溶けて、最初に処置した治癒医が役立たずだったらしくて・・・
起きた時には毒が全身に回って綺麗な白肌が紫色に変色してたわ。
それで私はずっと集中治療室の魔法液の入ったカプセルの中に裸で浸かっていた。
ずっとよ。
それでも全身のあちこちが痛いし。
時々、カプセルの外でお父様やお母様やメイド達が泣きそうな顔でこちらを見てるのが見えたわ。
よっぽど酷い状態なのね、私って。
そんな状態が続いててカプセルに満ちた魔法液の中に居たはずなんだけど・・・
魔法液の中で漂っていた私は・・・・・・
気付いたらベッドに居た。
時間は夜だった。
それも裸で誰かに抱かれて。
最初は、
ヒィ、誰よ? まさか、男? いたずらされた?
って思ったけど、その相手が裸のエニスさんだと気付いてからは心臓が大暴れで、ずっとドキドキしてたわ。
えっ? どうしてエニスさんと一緒にベッドで寝てるの?
それも裸で?
ってか、エニスさんも裸よね、この感触って?
えっ? ええっ? えええっ?
私が困惑しながらカチンコチンに固まってエニスさんに抱かれてると、エニスさんが目覚めて、
「ああ、起きたのね、コリーユさん?」
エニスさんが眼を覚まして、身体を起こして、
「少しアナタの身体を見せて貰うわね」
「ま、待って、エニスさん。毒に侵された汚い身体なんてエニスさんに見られたくは・・・」
羞恥以前の問題で、私は慌てて言ったけど、
「何を言ってるの、もう綺麗なはずよ」
とエニスさんに言われて、私も星明かりに照らされた室内で自分の身体を見たら、
「・・・あれ、毒の痣は?」
「治しておいたわ」
「エニスさんが治してくれたの?」
「――皆には内緒よ?」
と悪戯っぽく言ったエニスさんは魔力を放出してエニスさんと私の身体をその魔力で覆った。
エニスさんの魔力は紫色だけど、今の魔力の色は半透明のダイヤモンドっぽい色だった。
そして魔力の属性は【聖】。
「これって【聖属性】の魔力? 凄い」
私は驚いた。
【聖属性】の魔力は選ばれた者だけが使える属性だったから。
同時に、エニスさんがこの【聖属性】の魔力を私に浴びせ続けてくれて、私の毒を消し去ってくれた事を私は理解した。
何でも出来るのね、エニスさんって。
・・・・・・やっぱり素敵。
「助けていただいてありがとうございます、エニスさん」
私が感激する中、エニスさんは、
「アナタだけ特別によ、コリーユさん。他の子にはしないんだからね」
そう言ってくれたけど、エニスさんは優しいから他の子が窮地ならすると思うわ。
「意識が戻ったって事は完治したみたいね。じゃあ、私はこれで」
星明かりを浴びて眩し過ぎる完璧なプロポーションの裸のエニスさんがベッドから立とうとしたけど、
「・・・あの、朝まで一緒に居て下さい」
心細い私が消えそうな声でそう懇願すると、
「そうね、コリーユさんには言わなくちゃならない事があるから、そうしましょうか」
と笑ったエニスさんがベッドに戻ってきて裸の私に抱き締めたのだった。
やっぱり裸同士の抱擁は凄い。
エニスさんの素肌が色々なところに当たって体温だって直に伝わって、すぐに身体が熱くなって。
それにエニスさんの甘い匂いもするし。
というか、エニスさんの柔らかな胸が私の胸に当たって潰れるように密着してるから。
「コリーユさん、二度と私の為に毒なんて飲んじゃダメよ?」
「えっと、それだけは約束出来ません、エニスさん。私、エニスさんの為なら多分、同じ事を・・・」
「でしょうね、コリーユさんなら。コリーユさんに恥ずかしい事をして無理矢理、ここで約束させてもいいんだけど、コリーユさんは約束を守りそうもないから、少し困ったわね」
とエニスさんが溜息を吐く中、私が、
「恥ずかしい事って何ですか?」
質問した瞬間、エニスさんが少し悪戯な顔をして、私の右腕を上に上げて、
「例えば、コリーユさんのワキの匂いを嗅ぐとか」
それには私は慌てながら、
「ま、待って下さい。私、お風呂に何日も入ってなくて・・・お願いです、エニスさん。それだけはやらないで・・・」
私が涙眼になって懇願すると、エニスさんは私の腕を下げさせて、
「しないわよ、コリーユさんの嫌がるような事は。私の為に毒を飲んでくれた子に誰がそんな意地悪をしますか」
エニスさんはそう笑ったけど、私は恥ずかしくて涙を流してて、
「・・・」
「ほら、泣かないの。私のコリーユ。アナタはもう私の為に生きて、私の為に死ぬんだから。自信を持ちなさい」
エニスさんに指で涙を拭かれて頭を撫でられて励まされながら、私は心の中で、
エニスさんの為に生きて、エニスさんの為に死ぬ。
なんて素敵な言葉なの。
それにエニスさんに呼び捨てにされるのって、エニスさんとの距離が一気に縮まったみたいで凄く心地良い。
と思ったのだった。
その後も朝まで裸の私は、裸のエニスさんとベッドで抱き合い、エニスさんの体温を感じながら、エニスさんと色々と喋った。
エニスさんとは、この夜は裸の抱擁だけだったけど・・・・・・それでも生涯の宝物だわ、この夜の事は。
そして翌朝、エニスさんが【聖属性】の魔力が使える事は内緒だから、エニスさんに治療された事も内緒な訳で、カプセルの魔法液の中に戻った私を見た騎士団の女治癒師が、
「嘘、治ってる。奇跡だわ」
と驚いてたわ。
そう、奇跡よ、私が愛するエニスさんが起こした。
◇
祝勝会で私がその事を思い出してエニスさんに見惚れてると、マルチールさんが、
「良かったわね、毒の痣が治って」
「ええ。でも、お父様とお母様にかなり怒られたけどね」
「そりゃ、毒なんて飲むからよ。まあ、私もコリーユさんの立場なら同じ事をしたと思うけど」
とマルチールさんと喋りながらエニスさんを眺めて、楽しい祝勝会は終わったのだった。
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