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春の乙女祭の優勝者
ビュッフェスタイル【セーラside】
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もう今年の春の乙女祭は滅茶苦茶だった。
初日を1回戦で終え、2日目からは2回戦な訳だけど·······
エニスさんの2回戦の相手は【闇竜】 のホルーテさんだったから。
まあ、エニスさんが手加減(多分、してると思うけど)それでもホルーテさんをボロボロにして買っちゃったんだけどね。
で、2日目は3回戦もやったんだけど、エニスさんの次の対戦相手は【雷竜】のカルネだから。
露骨過ぎるのよ、式典委員会っ!
どうして優秀候補が全員1ブロックに集結してるのよっ!
滅茶苦茶じゃないのっ!
ってか、このカルネと1回戦負けのイザベラはルビア様の親衛隊なのよ?
あのわがまま王女のルビア様がこの話を聞いたら、絶対に不正があったって介入してくるのにっ!
因みに結果はエニスさんが勝ったわ。
100合ほど撃ち合った後にね。
エニスさんも困ったものね。
ホルーテさんの時は20合で終わらせた癖に。
初対戦だから腕試しでもしたのかしら?
ともかく、こんな感じだった。
私の方は3回戦でプリテーナと対戦する破目になった。
「本家だからって手加減しませんからね」
だってさ。
私って一族の間では【鋼】を発現出来なかった落ちこぼれ扱いだからね。
対する プリテーナは【鋼】の【2分の1】。
だから、対戦中に【黒ミスリル】を剣を握った右手に溜めて、【鋼】で強化したプリテーナの顔面を【ミスリルパンチ】で殴って、
「げほぉぉぉぉっ!」
ブッ倒しておいたわ。
げほぉぉぉぉって。
品がないわね。
クワナリス伯爵家の分家なんだから、品を保ってよね、もう。
そんな訳で順当に春の乙女祭が進んだ訳だけど・・・・・・
4日目の寮の食堂のディナーで睡眠薬を盛られる破目になった。
正確には、寮の食事はビュッフェスタイルだから、そんなのは無理なんだけど、
「セーラさま、ベスト16入り、おめでとうございます。はい、これはそのお祝い」
寮で部屋がお隣の2年生のアリアにジュースを勧められて、気軽に、
「随分と安上がりなお祝いね、まあいいわ、ありがとう」
って飲んだら、食事を終えた頃には睡魔に襲われて、フラフラと部屋まで歩いてたら・・・
廊下の後ろから、
「どうして、まだ意識があるのよ」
とか声がしたと思ったら麻袋を頭に被せられて、そのままどこかに運ばれて、睡魔の所為で抵抗出来ずに呑気に眠ってしまって・・・
目覚めたら、私は狼車の中に居た。
隣には見慣れた女騎士のマミーさんが居た。
「これって、どういう状態? マミーさん?」
「お嬢様は寮の食堂で睡眠薬を盛られて、ミリアリリー女学園の寮内で誘拐さられました」
「あれ? 【ミスリル】って魔法を弾くって聞いたけど?」
「弾くから余計に発見しやすい、ですよ、お嬢様。まあ、今回の場合は寮にもお嬢様の護衛が付いてたので騎士団が誘拐直後から完全に事態を掌握しており、実行犯を全員捕縛致しました。寮内での捕物はさすがに控え、外にお嬢様が運び出されるのを待ち、ついでにアジトに案内して貰いましたが」
「私を囮に使った訳ね」
と呆れた私は、
「待って。ディナーはビュッフェスタイルで、私が自分で選んだのよ? もしかして他にも被害者が?」
「いえ、寮で隣人のアリアという生徒がお嬢様に睡眠薬を盛っておりましたので、他に被害などはありません」
「アリアが? あっ、もしかして、あのジュース?」
「はい」
「あのバカ」
と呟いた私は、
「黒幕は誰なの?」
「バルット侯爵家です」
聞きたくない家名だった。
エニスさんがアウトス城を吹き飛ばしたから。
まさか、その報復? とは聞けずに黙ってると、マミーさんが、
「今年、ミリアリリー女学園に入学した1年生の中にバルット侯爵家の令嬢が居り、春の乙女祭にも出場して順当に勝ち進み、明日ベスト8を賭けてお嬢様と対戦する事が決まっておりましたから。犯行動機はおそらくはそれかと」
「侯爵家なのに私が騎士団長の娘だとは知らなかったの?」
「普通は知りませんよ。意外と、お嬢様の事は知られてませんから」
「あら、そうなの?」
「はい、騎士団長が注意されてますので」
ふ~ん。落ちこぼれの娘を周囲から隠したかっただけなんじゃないの?
そんなひねくれた考え方をしながらも、
「この後の展開は?」
「お嬢様の明日の最初の試合は不戦勝となられます。ベスト8、おめでとうございます」
「嬉しくないわよ。こんな滅茶苦茶な乙女祭でなっても」
そう言いながら私は満更でもなかった。
初日を1回戦で終え、2日目からは2回戦な訳だけど·······
エニスさんの2回戦の相手は【闇竜】 のホルーテさんだったから。
まあ、エニスさんが手加減(多分、してると思うけど)それでもホルーテさんをボロボロにして買っちゃったんだけどね。
で、2日目は3回戦もやったんだけど、エニスさんの次の対戦相手は【雷竜】のカルネだから。
露骨過ぎるのよ、式典委員会っ!
どうして優秀候補が全員1ブロックに集結してるのよっ!
滅茶苦茶じゃないのっ!
ってか、このカルネと1回戦負けのイザベラはルビア様の親衛隊なのよ?
あのわがまま王女のルビア様がこの話を聞いたら、絶対に不正があったって介入してくるのにっ!
因みに結果はエニスさんが勝ったわ。
100合ほど撃ち合った後にね。
エニスさんも困ったものね。
ホルーテさんの時は20合で終わらせた癖に。
初対戦だから腕試しでもしたのかしら?
ともかく、こんな感じだった。
私の方は3回戦でプリテーナと対戦する破目になった。
「本家だからって手加減しませんからね」
だってさ。
私って一族の間では【鋼】を発現出来なかった落ちこぼれ扱いだからね。
対する プリテーナは【鋼】の【2分の1】。
だから、対戦中に【黒ミスリル】を剣を握った右手に溜めて、【鋼】で強化したプリテーナの顔面を【ミスリルパンチ】で殴って、
「げほぉぉぉぉっ!」
ブッ倒しておいたわ。
げほぉぉぉぉって。
品がないわね。
クワナリス伯爵家の分家なんだから、品を保ってよね、もう。
そんな訳で順当に春の乙女祭が進んだ訳だけど・・・・・・
4日目の寮の食堂のディナーで睡眠薬を盛られる破目になった。
正確には、寮の食事はビュッフェスタイルだから、そんなのは無理なんだけど、
「セーラさま、ベスト16入り、おめでとうございます。はい、これはそのお祝い」
寮で部屋がお隣の2年生のアリアにジュースを勧められて、気軽に、
「随分と安上がりなお祝いね、まあいいわ、ありがとう」
って飲んだら、食事を終えた頃には睡魔に襲われて、フラフラと部屋まで歩いてたら・・・
廊下の後ろから、
「どうして、まだ意識があるのよ」
とか声がしたと思ったら麻袋を頭に被せられて、そのままどこかに運ばれて、睡魔の所為で抵抗出来ずに呑気に眠ってしまって・・・
目覚めたら、私は狼車の中に居た。
隣には見慣れた女騎士のマミーさんが居た。
「これって、どういう状態? マミーさん?」
「お嬢様は寮の食堂で睡眠薬を盛られて、ミリアリリー女学園の寮内で誘拐さられました」
「あれ? 【ミスリル】って魔法を弾くって聞いたけど?」
「弾くから余計に発見しやすい、ですよ、お嬢様。まあ、今回の場合は寮にもお嬢様の護衛が付いてたので騎士団が誘拐直後から完全に事態を掌握しており、実行犯を全員捕縛致しました。寮内での捕物はさすがに控え、外にお嬢様が運び出されるのを待ち、ついでにアジトに案内して貰いましたが」
「私を囮に使った訳ね」
と呆れた私は、
「待って。ディナーはビュッフェスタイルで、私が自分で選んだのよ? もしかして他にも被害者が?」
「いえ、寮で隣人のアリアという生徒がお嬢様に睡眠薬を盛っておりましたので、他に被害などはありません」
「アリアが? あっ、もしかして、あのジュース?」
「はい」
「あのバカ」
と呟いた私は、
「黒幕は誰なの?」
「バルット侯爵家です」
聞きたくない家名だった。
エニスさんがアウトス城を吹き飛ばしたから。
まさか、その報復? とは聞けずに黙ってると、マミーさんが、
「今年、ミリアリリー女学園に入学した1年生の中にバルット侯爵家の令嬢が居り、春の乙女祭にも出場して順当に勝ち進み、明日ベスト8を賭けてお嬢様と対戦する事が決まっておりましたから。犯行動機はおそらくはそれかと」
「侯爵家なのに私が騎士団長の娘だとは知らなかったの?」
「普通は知りませんよ。意外と、お嬢様の事は知られてませんから」
「あら、そうなの?」
「はい、騎士団長が注意されてますので」
ふ~ん。落ちこぼれの娘を周囲から隠したかっただけなんじゃないの?
そんなひねくれた考え方をしながらも、
「この後の展開は?」
「お嬢様の明日の最初の試合は不戦勝となられます。ベスト8、おめでとうございます」
「嬉しくないわよ。こんな滅茶苦茶な乙女祭でなっても」
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