王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・春の乙女祭編〜

春の乙女祭の優勝者

どうなってるのよ？【スライアside】

　私はラディーゼル公爵家の令嬢だ。





　ミリアリリー王国に仕えるラディーゼル公爵家の人間は【雷剣】の特異体質を持ち、私も継承していた。

　【雷剣】というのは魔法の雷で剣の形を作る魔法剣の事で、意外と簡単に誰でも使えるんだけど・・・

　私の一族が使うと、その威力は段違いなのだそうだ。

　ラディーゼル公爵家を筆頭に【雷剣】の能力だけで、分家貴族が４家、騎士侯が10家のミリアリリー王国でも大派閥だった。

　人によるけど、直系の娘の私は一般人の【雷剣】の70倍の威力があり、まあ、自分で言うのも何だけど、それは凄かった。

　本当なら、そのままミリアリリー王国の最高峰の王都ラサリリーにあるロスタード魔法学院に入学するところなんだけど······

　私はミリアリリー女学園に入学していた。





　元々は大物貴族の令嬢はミリアリリー女学園に入学してたけど、最近はパッとしなかったから、みんな避けてたけど・・・

　去年から徐々にミリアリリー女学園の名前が売れてきたからね。





　そのミリアリリー女学園には乙女祭というのがあり、優勝するのは名誉な事らしい。

　なので、ミリアリリー女学園に入学した私も優勝を狙い、出場する事にした。





　なのに、なのにっ！





　１回戦で信じられない事が起こってた。

　この私が押されていた。

　相手があの段違いのエニスって３年生なら私も諦めが付く。

　でも、私の１回戦の対戦相手は名も知らない３年生だった。





「リリー式、剣撃突進、最大雷剣っ！」





　模擬刀に最大級の雷を私はバリバリバリッと纏わせた。

　模擬刀からはみ出た３メートル級の【雷剣】が出来るくらいに。

　それで私はその対戦相手に斬りかかった。

　バリバリバリッと直撃してるのに、





「だから、私は【雷防御】だから効かないんだってばっ！」





　とか言いながら、雷を受けても全然平気で間合いを詰めて摸擬刀で殴りかかってきた。





　私はラディーゼル公爵家の令嬢なのよっ！

　なのに・・・どうなってるのよ、これは？

　ドゴッと摸擬刀で側頭部を殴られた私は、名もない３年生に１回戦で敗北したのだった。