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遭遇
トルオン、執務室でズッコケる
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『エトリア帝国だけに一極投資するのが拙い』と学習したトルオンは、他の場所にも頻繁に出没していた。
中でも大陸西部のゼッタリア聖王国のクワン独立特別区はかなり旨味があった訳だが、トルオンから言わせると大陸西部の大国、ゼッタリア聖王国は少し面倒な国家だった。
何が面倒かと言えば、ズバリ、執政で姫騎士のアレキレーネだ。
19歳と年頃で、そして、色恋に鈍感なトルオンでも分かるくらいの好き好き熱視線をトルオンに向けて放ってくるので面倒だった。
それ以前に、トルオンがクワン独立特別区に訪問すると2回か3回に1回の確率でクワン独立特別区の官庁に居た。
トルオンは今日もクワン独立特別区に出向いた訳だが、大国の執政として忙しいはずのアレキレーネが居た。
それも胸元どころか、ヘソまで露出された青色のホルターネックドレスを纏っていた。背中側もバックレスタイプで素肌の露出が多い。完全に女をアピールしていた。
「お久しぶりです、トルオン様」
「これはアレキレーネ姫。お久しぶりです。相変わらずお美しい」
「トルオン様ったら、美しいだなんて・・・ありがとうございます」
「ですが、そのドレスは少し視線のやり場に困りますね」
「トルオン様はこういうドレスはお嫌いですか?」
「好きですが、アレキレーネ姫のその姿を他の男どもに見られるのはちょっと」
「まあ、トルオン様は独占欲が強いんですね、ウフフ」
とトルオンがアレキレーネと世間話をする中、周囲が緊張でピリ付いてるのがトルオンにも分かった。
(旨味があるが、その分、この国は大変だな。もうお姫様には興味がないのに)
そうなのだ。
エトリア帝国の2トップとの交際によってトルオンの中ではもう『英雄譚のようなお姫様との大恋愛』にさほど興味がなくなっていた。
その割にはお姫様率は結構高かったが。
「トルオン様は4人目の妻が欲しいと思われないのですか?」
それとなく諦めさせる為に既婚者だと教えたのに、そんな事をアレキレーネが質問してくる。
「いえ、3人の妻達だけでも大変ですので」
「では一夜の相手などは・・・」
更に質問しようとする中、見かねた女騎士が、
「姫様、トルオン殿に見ていただく書類があったはずですが」
「そうね、トルオン殿、どうぞ執務室に」
こうしてアレキレーネの案内で執務室に出向いた。
トルオンは知力の能力値が高いので難しい行政や経済の書類等々も完全に理解出来る。
税収も凄い。
ネレシオは開発段階でまだチャッチイが、このクワンは本当に凄かった。
その税が丸々トルオンの物となっていた訳だが。
実際にその税の一部を毎回アイテムボックスに入れてるくらいだった。
「では、オレはそろそろ」
「もうですか? まだ滞在して38分ですよ?」
正確に滞在時間を数えてるのが少し怖かった。
「いや、他にも行くところが・・・・・・」
と席を立った時、トルオンのギフトが発動した。
御存知、ズッコケだ。
「のわっ!」
なので、思いっきりズッコケる。
それもアレキレーネを巻き込んで。
1秒後には、床にアレキレーネを押し倒し、更にはアレキレーネのドレスの胸元の布地が指に引っ掛かった事で左右にズレ、簡単に素肌を晒し、ナマ乳の谷間にトルオンは顔を埋めるというありえない状態になっていた。
「なっ!」
執務室には『トルオンとアレキレーネを2人っきりにはさせまい』と女騎士が3人居り、その全員が唖然とする中、アレキレーネが、
「トルオン様、大好き♡」
とトルオンを抱き締めて、トルオンは、
「違っ、今のは不運系のギフト【転倒】が働いただけで・・・・・・うぷっ」
と言い訳しながらも、頭に絡むアレキレーネの腕の拘束によって顔を上げる事がなかなか出来なかった。
どうにか女騎士達が30秒後に2人を引き離し、女騎士達によって乱れたドレスを整えられたアレキレーネが、
「トルオン様、ちゃんと責任を取って下さいね」
「ええっと・・・」
「一国の姫を押し倒したのですから責任を。ねっ?」
断ったら闇落ちしそうな危うさを秘めていたので、
「それは、つまり・・・・・・」
「はい、総てを委ねます」
「では、いずれ」
「約束ですよ」
「ええ」
アレキレーネの迫力ある笑顔でそう念を押されて、
「ええ」
とトルオンは約束させられる破目になったのだった。
トルオンはこうして早々に逃げるようにクワン独立特別区からペガサスで帰っていったのだった。
中でも大陸西部のゼッタリア聖王国のクワン独立特別区はかなり旨味があった訳だが、トルオンから言わせると大陸西部の大国、ゼッタリア聖王国は少し面倒な国家だった。
何が面倒かと言えば、ズバリ、執政で姫騎士のアレキレーネだ。
19歳と年頃で、そして、色恋に鈍感なトルオンでも分かるくらいの好き好き熱視線をトルオンに向けて放ってくるので面倒だった。
それ以前に、トルオンがクワン独立特別区に訪問すると2回か3回に1回の確率でクワン独立特別区の官庁に居た。
トルオンは今日もクワン独立特別区に出向いた訳だが、大国の執政として忙しいはずのアレキレーネが居た。
それも胸元どころか、ヘソまで露出された青色のホルターネックドレスを纏っていた。背中側もバックレスタイプで素肌の露出が多い。完全に女をアピールしていた。
「お久しぶりです、トルオン様」
「これはアレキレーネ姫。お久しぶりです。相変わらずお美しい」
「トルオン様ったら、美しいだなんて・・・ありがとうございます」
「ですが、そのドレスは少し視線のやり場に困りますね」
「トルオン様はこういうドレスはお嫌いですか?」
「好きですが、アレキレーネ姫のその姿を他の男どもに見られるのはちょっと」
「まあ、トルオン様は独占欲が強いんですね、ウフフ」
とトルオンがアレキレーネと世間話をする中、周囲が緊張でピリ付いてるのがトルオンにも分かった。
(旨味があるが、その分、この国は大変だな。もうお姫様には興味がないのに)
そうなのだ。
エトリア帝国の2トップとの交際によってトルオンの中ではもう『英雄譚のようなお姫様との大恋愛』にさほど興味がなくなっていた。
その割にはお姫様率は結構高かったが。
「トルオン様は4人目の妻が欲しいと思われないのですか?」
それとなく諦めさせる為に既婚者だと教えたのに、そんな事をアレキレーネが質問してくる。
「いえ、3人の妻達だけでも大変ですので」
「では一夜の相手などは・・・」
更に質問しようとする中、見かねた女騎士が、
「姫様、トルオン殿に見ていただく書類があったはずですが」
「そうね、トルオン殿、どうぞ執務室に」
こうしてアレキレーネの案内で執務室に出向いた。
トルオンは知力の能力値が高いので難しい行政や経済の書類等々も完全に理解出来る。
税収も凄い。
ネレシオは開発段階でまだチャッチイが、このクワンは本当に凄かった。
その税が丸々トルオンの物となっていた訳だが。
実際にその税の一部を毎回アイテムボックスに入れてるくらいだった。
「では、オレはそろそろ」
「もうですか? まだ滞在して38分ですよ?」
正確に滞在時間を数えてるのが少し怖かった。
「いや、他にも行くところが・・・・・・」
と席を立った時、トルオンのギフトが発動した。
御存知、ズッコケだ。
「のわっ!」
なので、思いっきりズッコケる。
それもアレキレーネを巻き込んで。
1秒後には、床にアレキレーネを押し倒し、更にはアレキレーネのドレスの胸元の布地が指に引っ掛かった事で左右にズレ、簡単に素肌を晒し、ナマ乳の谷間にトルオンは顔を埋めるというありえない状態になっていた。
「なっ!」
執務室には『トルオンとアレキレーネを2人っきりにはさせまい』と女騎士が3人居り、その全員が唖然とする中、アレキレーネが、
「トルオン様、大好き♡」
とトルオンを抱き締めて、トルオンは、
「違っ、今のは不運系のギフト【転倒】が働いただけで・・・・・・うぷっ」
と言い訳しながらも、頭に絡むアレキレーネの腕の拘束によって顔を上げる事がなかなか出来なかった。
どうにか女騎士達が30秒後に2人を引き離し、女騎士達によって乱れたドレスを整えられたアレキレーネが、
「トルオン様、ちゃんと責任を取って下さいね」
「ええっと・・・」
「一国の姫を押し倒したのですから責任を。ねっ?」
断ったら闇落ちしそうな危うさを秘めていたので、
「それは、つまり・・・・・・」
「はい、総てを委ねます」
「では、いずれ」
「約束ですよ」
「ええ」
アレキレーネの迫力ある笑顔でそう念を押されて、
「ええ」
とトルオンは約束させられる破目になったのだった。
トルオンはこうして早々に逃げるようにクワン独立特別区からペガサスで帰っていったのだった。
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