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後ろ盾
【長老side】森ごと氷漬けにされて1人醜く生き残る
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ニニーネシアが喋った黒幕の正体はエトリア帝国内のエルフ族だけが集まったエルフ派の重鎮のリーダレスハだった。
エルフ派の総意ではない。
リーダレスハ個人がルーヴァケビスを狙っていた。
その理由はダークエルフだから。それだけだった。
つまりは種族差別だ。
種族差別は根深い問題で凝り固まった主義や思想が変わる事はない。
なので説得や協調は無理だった。
そんな訳で、リーダレスハが住んでいる旧ファイアス領内のモス森林の中にあるエルフ最大の樹上の里の長老の屋敷では、
「ニニーネシアがアースレナでダークエルフの暗殺に失敗して捕縛されたそうです」
「ふん、役立たずが」
とリーダレスハは報告を受けて吐き捨てた。
エルフで外見年齢81歳。身長は199センチ。長い白髪でとんがり耳、老年のエルフで白髭なども蓄えていた。恰好はエルフらしく質素な白色のローブだ。
リーダレスハがこの森の長老で、その配下のエルフ数人が、
「ニニーネシアの奪還を試みたいのですが?」
「? すればよかろう?」
「いえ、政治的な圧力を掛けていただきたく」
「仕方がないのう」
と答えた時、リーダレスハは不意に室内の温度が少し下がったような錯覚を覚えた。
「?」
気付いた1分後には明らかに温度が下がり、吐く息が白くなり、
「何だ、これは?」
「外を見て参り・・・なっ!」
席を立った配下のエルフが壁が凍り付き始めたのを見て驚く。
「何じゃとぉっ?」
リーダレスハも凍り付いた壁を目撃し、慌てて自ら外に出ると、樹木の上にあるモスの里全域が完全に氷漬けになっていた。
もう住民のエルフの殆どが氷漬けになっている。
長老の屋敷の結界が強固だったので一番被害が少なかっただけで、他は既に大惨事で、もうどうにも出来なかった。
「な、何だ、これは?」
「明らかに戦略級の攻撃魔法ですっ!」
「まさか、ダークエルフ?」
「早過ぎるっ!」
と生き残りの長老とその側近のエルフ達が騒ぎ、里の外に出ると、モス森林全部が氷漬けになっていた。
「し、信じられんっ! ダークエルフにこんな大規模な魔法が使える訳が・・・」
リーダレスハが絶句する中、側近の1人が、
「あ、あちらの方向に魔力反応がっ!」
目敏く発見して指差した。
遠視魔法で確認すると、
◇
モス森林の外側ではグリフォン4頭の傍で、闇の魔術師盗掘組織『黒』の最高幹部6人が勢揃いしていた。
全員が陰の支配者の指示で仮面と単色ローブのフードを被っていた。
「6人の上乗せだとここまでの威力を発揮するのか」
「隕石魔法とマグマ魔法も試したいところだが」
「余り好き勝手な事は止めた方がいいわよ」
「そうだな。我らが主は氷漬けがお望みなのだから」
「それにしても」
「ああ、凄いのう」
などと喋っていた。
◇
その様子を遠視魔法で確認したリーダレスハが、
「仮面に単色ローブじゃとっ? まさか、『東方六花』かっ!」
「大賢者の塔の火山化で被害を受けたと聞いていたのに・・・・・・」
「ぐう、足がっ!」
「こっちもだ。長老様っ! 逃げましょうっ!」
「くぅぅっ! 一先ず森の外に出るぞっ!」
仕方なく里を捨てて逃げた訳だが、
「くぅ、足が・・・先にお逃げ下さいっ!」
「ここまでのようです。長老様、我らの仇を・・・」
側近達が1人、また1人と脱落して、
「くっ! スマン、必ず仇は取るからなっ!」
見捨てながら氷漬けになったモス森林の外まで脱出した時には、リーダレスハの周囲には誰も居なかった。
リーダレスハだけが生きてたのは高位のマジックアイテムのお陰だ。
その後、リーダレスハは『東方六花』への復讐を誓ったが、リーダレスハ嫌いの魔術師達によって『同胞を見捨てて自分だけ生き残った』や『禁呪を使って同胞を殺した』との流言を流されて、卑怯者や同胞殺しの誹りを受けて、報復の仲間を半年間募るも馬鹿にされて誰からも相手にされず、単身で大陸東部に流れて『東方六花』と10年にも及ぶ激しい戦闘を繰り広げ(里を氷漬けにしたのは『黒』なのに)大陸東部で4カ国から極悪人として指名手配されて、最後には毛虫のように嫌われながら意味のない死を迎えるのだった。
まあ、それは10年後の話だが。
◇
報復を考えていたルーヴァがモス森林の氷漬けを聞き、トルオンに、
「トルオン様がやったのですか?」
「いや、大陸東部の連中にやらせただけだよ。可愛いルーヴァを狙った報いさ」
トルオンの無自覚な言葉にルーヴァは感激して更に愛が深くなったのは言うまでもない。
エルフ派の総意ではない。
リーダレスハ個人がルーヴァケビスを狙っていた。
その理由はダークエルフだから。それだけだった。
つまりは種族差別だ。
種族差別は根深い問題で凝り固まった主義や思想が変わる事はない。
なので説得や協調は無理だった。
そんな訳で、リーダレスハが住んでいる旧ファイアス領内のモス森林の中にあるエルフ最大の樹上の里の長老の屋敷では、
「ニニーネシアがアースレナでダークエルフの暗殺に失敗して捕縛されたそうです」
「ふん、役立たずが」
とリーダレスハは報告を受けて吐き捨てた。
エルフで外見年齢81歳。身長は199センチ。長い白髪でとんがり耳、老年のエルフで白髭なども蓄えていた。恰好はエルフらしく質素な白色のローブだ。
リーダレスハがこの森の長老で、その配下のエルフ数人が、
「ニニーネシアの奪還を試みたいのですが?」
「? すればよかろう?」
「いえ、政治的な圧力を掛けていただきたく」
「仕方がないのう」
と答えた時、リーダレスハは不意に室内の温度が少し下がったような錯覚を覚えた。
「?」
気付いた1分後には明らかに温度が下がり、吐く息が白くなり、
「何だ、これは?」
「外を見て参り・・・なっ!」
席を立った配下のエルフが壁が凍り付き始めたのを見て驚く。
「何じゃとぉっ?」
リーダレスハも凍り付いた壁を目撃し、慌てて自ら外に出ると、樹木の上にあるモスの里全域が完全に氷漬けになっていた。
もう住民のエルフの殆どが氷漬けになっている。
長老の屋敷の結界が強固だったので一番被害が少なかっただけで、他は既に大惨事で、もうどうにも出来なかった。
「な、何だ、これは?」
「明らかに戦略級の攻撃魔法ですっ!」
「まさか、ダークエルフ?」
「早過ぎるっ!」
と生き残りの長老とその側近のエルフ達が騒ぎ、里の外に出ると、モス森林全部が氷漬けになっていた。
「し、信じられんっ! ダークエルフにこんな大規模な魔法が使える訳が・・・」
リーダレスハが絶句する中、側近の1人が、
「あ、あちらの方向に魔力反応がっ!」
目敏く発見して指差した。
遠視魔法で確認すると、
◇
モス森林の外側ではグリフォン4頭の傍で、闇の魔術師盗掘組織『黒』の最高幹部6人が勢揃いしていた。
全員が陰の支配者の指示で仮面と単色ローブのフードを被っていた。
「6人の上乗せだとここまでの威力を発揮するのか」
「隕石魔法とマグマ魔法も試したいところだが」
「余り好き勝手な事は止めた方がいいわよ」
「そうだな。我らが主は氷漬けがお望みなのだから」
「それにしても」
「ああ、凄いのう」
などと喋っていた。
◇
その様子を遠視魔法で確認したリーダレスハが、
「仮面に単色ローブじゃとっ? まさか、『東方六花』かっ!」
「大賢者の塔の火山化で被害を受けたと聞いていたのに・・・・・・」
「ぐう、足がっ!」
「こっちもだ。長老様っ! 逃げましょうっ!」
「くぅぅっ! 一先ず森の外に出るぞっ!」
仕方なく里を捨てて逃げた訳だが、
「くぅ、足が・・・先にお逃げ下さいっ!」
「ここまでのようです。長老様、我らの仇を・・・」
側近達が1人、また1人と脱落して、
「くっ! スマン、必ず仇は取るからなっ!」
見捨てながら氷漬けになったモス森林の外まで脱出した時には、リーダレスハの周囲には誰も居なかった。
リーダレスハだけが生きてたのは高位のマジックアイテムのお陰だ。
その後、リーダレスハは『東方六花』への復讐を誓ったが、リーダレスハ嫌いの魔術師達によって『同胞を見捨てて自分だけ生き残った』や『禁呪を使って同胞を殺した』との流言を流されて、卑怯者や同胞殺しの誹りを受けて、報復の仲間を半年間募るも馬鹿にされて誰からも相手にされず、単身で大陸東部に流れて『東方六花』と10年にも及ぶ激しい戦闘を繰り広げ(里を氷漬けにしたのは『黒』なのに)大陸東部で4カ国から極悪人として指名手配されて、最後には毛虫のように嫌われながら意味のない死を迎えるのだった。
まあ、それは10年後の話だが。
◇
報復を考えていたルーヴァがモス森林の氷漬けを聞き、トルオンに、
「トルオン様がやったのですか?」
「いや、大陸東部の連中にやらせただけだよ。可愛いルーヴァを狙った報いさ」
トルオンの無自覚な言葉にルーヴァは感激して更に愛が深くなったのは言うまでもない。
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