ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

竹井ゴールド

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知恵の女神ジュピマーズ

トルオン、四半神になって300日を越える

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 トルオンがエトリア王国の王都アースレナに拠点を構えて100日が経過した。

 つまりはトルオンが四半神になって300日チョットが過ぎた訳で・・・





 トルオンの容姿にまた変化が見られた。

 トルオンの髪の色はこれまでは全体が黒色で金色のメッシュだったが、その色合いが完全に逆転し、全体が金髪で黒髪のメッシュになっていた。

 眼の色も、もう殆ど金色で時折、光の加減で橙色に見える程度だった。

 身長や体格の方はもう変化はない。

 身長は198センチで固定されて、肉体も美術品の彫刻像さながらのままだ。

 300日が経過した事で1歳、年を取って19歳になったが、若さも18歳のままだった。

 1年なのでまだ誤差など分からぬが、トルオンは四半神なのだから不老長寿は確実で、魂が封滅されぬ限りは何千年と生きる事となった。

 まあ、トルオンはその事実をまだ知らないのだが。





 なので、トルオンはのんびりと過ごしていた。

 トルオンの生活はおもに、





 新妻3人とのイチャイチャ。

 ドーベルとのドラゴン素材関連の打ち合わせや売却金の納金。

 免許皆伝になるまでやらされたセレシレル、セレーリュ姉妹による都市国家ヒーナ王族流の礼儀作法教室。

 転移魔法で10分外出のお手軽魔物退治。

 ペガサスでの遠駆け。

 屋敷の人件費や諸経費の支払い等々の雑務。





 この6つだったのだが、最近は他に、





 自称、強者からの決闘の申し込み。





 というのが追加されるようになっていた。

 『エトリア王国にドラゴンを狩猟する強者が居る』という噂がドラゴンを売却した事で流れ、稀にエトリア王国の貴族から聞き付けた凄腕冒険者が腕試しにトルオンの屋敷までやってくるのだ。

 腕試しなんかしても1鋼貨にもならないのに。

 『そんな事をしてる暇があったら魔物でも狩猟しに出かけろよ』とトルオンは思うのだが。

 まあ、トルオンは相手にしない。

 その自称、強者の相手をするのは、トルオンの妻でドラゴニュートのセレシレル、セレーリュ姉妹だった。

 ドラゴニュートという種族は人間と比べて元々強く、更にその王族ともなればドラゴニュート族の中でも能力が突出していた。それでもテーレ連合に捕縛されたのは裏切り者の同胞に薬を飲まされたからだそうだが。

 因みにダークエルフの戦士ルーヴァケビスもそれなりに強い。

 だが、魔法が初級止まりだったのでダークエルフの中では末端扱いだった。





 この日も自称、冒険者ギルドのランクSの剣士がやってきて、中庭でセレーリュに半殺しにされて帰っていった。

「ウンザリだな」

 というのがソファーに腰掛けるトルオンのべんだが、トルオンの太股に跨って向かい合って座り、トルオンの首に愛しげに両腕を絡めるセレシレルの反応は、

「いいじゃないか。私は楽しいぞ。最近身体がなまってたから」

 これだった。

 昼間なので服は着てる。セレシレルは考え方がお固いので色々と注文が多かった。

 ルーヴァなら昼でもOKなのに。

「暴れたいのか、レルは?」

「たまにはな」

「ふ~ん。なら狩りにでも出掛ける?」

「それもいいな」

 などと喋ってた訳だが・・・・・・・





 トルオン自身は『そろそろ面倒臭い事になってきたな』とチラリと思っていた。
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