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新生活
トルオン、変則的にズッコケて第3夫人を娶る
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トルオンがエトリア王国の王都アースレナに購入した屋敷は立派な2階建てである。
1階と2階を結ぶ階段は計4つもある。
玄関ホールの吹き抜けの壁側の左右に2つ。
棟の両端に1つずつだ。
そこで問題となるのが吹き抜けの玄関ホールの階段である。
この玄関ホールでは階段を使わない者が居るのだ。
2階から1階に下りる時、狼人族の料理見習いのペスはヤンチャ盛りなので階段を使わずに必ず手すりを越えて飛び降りる。まだ14歳なので、飛び降りたい年頃なのだろう。まあ、バレて祖父母や母親に怒られてるのだが。
だが、他にも玄関ホールの吹き抜けの階段を使わずに往来する者が居た。
それが背中に翼を持つドラゴニュート族のセレシレル、セレーリュ姉妹だ。
廊下を飛行して移動する事はないが、吹き抜けの玄関ホールだと必ず飛んだ。
もう癖なのだそうだ。
パンツが見えるのでトルオンとしては妻のセレシレルには控えて欲しかったのだが。
「いいだろ、別に。器が小さいぞ、トルオン」
と言われて、トルオンも黙認して、毎回、飛んでた訳だが・・・
前にドーベルの公爵屋敷に招かれた際、肖像画がやたらと玄関ホールにある事にトルオンは驚いた。
理由を聞いたら子供の頃からあったので別に理由は知らないらしいが。
そんな訳で、屋敷に美術品を置くかどうかで、ルーヴァ、セレシレル、更には狼人族のメイド長のジョナの3人を連れて、この日は屋敷のインテリアについて相談していた。
平民出身のトルオンとしては別に無くてもいいが、セレシレルは都市国家の王族だ。
もしかしたら屋敷内の装飾に不満を抱いてるかもしれない。
そんな訳で1階の廊下を歩き、玄関ホールに出向いたら、
「えっ、キャア」
「ほへ?」
先頭を歩くトルオンが玄関ホールから滑空してきたセレーリュに押し倒された。
そればかりではなく、押し倒されたトルオンは覆い被さるセレーリュにキスまでされていた。
トルオンとセレーリュがキスをしながら驚いて見つめ合う一部始終を、ルーヴァ、セレシレル、ジョナの3人はモロに目撃する事となった。
(おいおい、こんなのまで【ズッコケ】に入るのか? ・・・入るか。今のオレの実力ならセレーリュくらいなら軽々と受け止められるはずなのに、両足が普段の【ズッコケ】の高さまで上がってたもんな、今。けど、こんなズッコケは今回が初だぞ)
「あっ、ごめんなさい、お義兄様」
慌ててセレーリュが起き上がって謝罪する中、
「唇を奪った責任を取って結婚してね」
「しませんよ。姉様に殺さ――えっ?」
ここで初めてセレーリュは呆れ果ててる姉のセレシレル以下他2人が居た事に気付き、
「ええっと、もしかして今の見てた、姉様?」
「ええ、バッチリね」
妻の貫録なのか、今更その程度ではセレシレルも怒らなかったが、代わりに、
「リュー、アナタ、トルオンの妻になりなさい」
「えっ、何言ってるの、姉様?」
「その方がいいわ。リューだってトルオンに惚れてるんでしょ? そうしなさい。・・・いいわよね、ルーヴァ?」
セレシレルがルーヴァに尋ねて、
「いいと思うわよ」
「ちょっと待ったぁっ!」
勝手に話を進められそうになったセレーリュがそう叫び、
「私、まだお義兄様に愛の告白をされてないわよ?」
「確か、リューは王家の初代がした世界樹の枝の上で告白されるのが夢だったっけ」
「そうなの? じゃあ、ちょこっと行ってくるね」
トルオンはそう言ってセレーリュの手を取って転移魔法で出掛けたのだった。
世界樹。
それは通称だ。
本当の名称は豊穣の女神チョリスサラの御神木。
大陸の東部に生えてる。
全長は3700メートル級。
ペガサスに乗って同じ高度を飛んでれば世界のどこからでも見える木だ。
その木のお陰で方角を見失わないと言っても過言ではない。
まあ、森の中とかを歩いて視界を遮られたら見えないが。
「えっ、ええっ?」
転移魔法で本当に世界樹の枝の上に移動したセレーリュはビックリしていた。
幻影じゃない。本物だ。
セレーリュは王族だったので初めてきたが、詣でをした経験者が語る通り、世界樹が放つ聖気の濃さの凄さからそう認めた。
聖気どころか神聖気でも通るのではないだろうか。
初めての世界樹にセレーリュがパニクる中、トルオンがさらりと、
「愛してるよ、リュー。オレの妻になってね」
告白して、腰を抱き締めてきた。
滅びた都市国家ヒーナのドラゴニュートの王族の初代が世界樹で告白したとの逸話から、少女の頃から夢見た憧れの世界樹での告白を受け、セレーリュは、
「はい。喜んで」
と即答してしまってから、我に返って慌てて、
「いえ、今のは、違・・・・・・お義兄様、違うんです」
赤面しながら否定したが、トルオンが止まらず、
「抱くね」
「待って下さい。こんな誰が見てるか分からない場所では・・・・・・」
「じゃあ、キスだけ」
屈託のない笑顔でトルオンに顔を覗き込まれて、
「・・・はい、お義兄様」
セレーリュも了承し、2人は世界樹の枝の上で長いキスしたのだった。
◇
その後、セレーリュ用のウエディングドレスを4日で作らせ・・・・・・
5日後の吉日を待って、神父を屋敷の礼拝堂に招いて、その礼拝堂にて、結婚式を挙げ、
「誓います」
トルオンと誓いのキスをして、セレーリュはトルオンの第3夫人になったのだった。
1階と2階を結ぶ階段は計4つもある。
玄関ホールの吹き抜けの壁側の左右に2つ。
棟の両端に1つずつだ。
そこで問題となるのが吹き抜けの玄関ホールの階段である。
この玄関ホールでは階段を使わない者が居るのだ。
2階から1階に下りる時、狼人族の料理見習いのペスはヤンチャ盛りなので階段を使わずに必ず手すりを越えて飛び降りる。まだ14歳なので、飛び降りたい年頃なのだろう。まあ、バレて祖父母や母親に怒られてるのだが。
だが、他にも玄関ホールの吹き抜けの階段を使わずに往来する者が居た。
それが背中に翼を持つドラゴニュート族のセレシレル、セレーリュ姉妹だ。
廊下を飛行して移動する事はないが、吹き抜けの玄関ホールだと必ず飛んだ。
もう癖なのだそうだ。
パンツが見えるのでトルオンとしては妻のセレシレルには控えて欲しかったのだが。
「いいだろ、別に。器が小さいぞ、トルオン」
と言われて、トルオンも黙認して、毎回、飛んでた訳だが・・・
前にドーベルの公爵屋敷に招かれた際、肖像画がやたらと玄関ホールにある事にトルオンは驚いた。
理由を聞いたら子供の頃からあったので別に理由は知らないらしいが。
そんな訳で、屋敷に美術品を置くかどうかで、ルーヴァ、セレシレル、更には狼人族のメイド長のジョナの3人を連れて、この日は屋敷のインテリアについて相談していた。
平民出身のトルオンとしては別に無くてもいいが、セレシレルは都市国家の王族だ。
もしかしたら屋敷内の装飾に不満を抱いてるかもしれない。
そんな訳で1階の廊下を歩き、玄関ホールに出向いたら、
「えっ、キャア」
「ほへ?」
先頭を歩くトルオンが玄関ホールから滑空してきたセレーリュに押し倒された。
そればかりではなく、押し倒されたトルオンは覆い被さるセレーリュにキスまでされていた。
トルオンとセレーリュがキスをしながら驚いて見つめ合う一部始終を、ルーヴァ、セレシレル、ジョナの3人はモロに目撃する事となった。
(おいおい、こんなのまで【ズッコケ】に入るのか? ・・・入るか。今のオレの実力ならセレーリュくらいなら軽々と受け止められるはずなのに、両足が普段の【ズッコケ】の高さまで上がってたもんな、今。けど、こんなズッコケは今回が初だぞ)
「あっ、ごめんなさい、お義兄様」
慌ててセレーリュが起き上がって謝罪する中、
「唇を奪った責任を取って結婚してね」
「しませんよ。姉様に殺さ――えっ?」
ここで初めてセレーリュは呆れ果ててる姉のセレシレル以下他2人が居た事に気付き、
「ええっと、もしかして今の見てた、姉様?」
「ええ、バッチリね」
妻の貫録なのか、今更その程度ではセレシレルも怒らなかったが、代わりに、
「リュー、アナタ、トルオンの妻になりなさい」
「えっ、何言ってるの、姉様?」
「その方がいいわ。リューだってトルオンに惚れてるんでしょ? そうしなさい。・・・いいわよね、ルーヴァ?」
セレシレルがルーヴァに尋ねて、
「いいと思うわよ」
「ちょっと待ったぁっ!」
勝手に話を進められそうになったセレーリュがそう叫び、
「私、まだお義兄様に愛の告白をされてないわよ?」
「確か、リューは王家の初代がした世界樹の枝の上で告白されるのが夢だったっけ」
「そうなの? じゃあ、ちょこっと行ってくるね」
トルオンはそう言ってセレーリュの手を取って転移魔法で出掛けたのだった。
世界樹。
それは通称だ。
本当の名称は豊穣の女神チョリスサラの御神木。
大陸の東部に生えてる。
全長は3700メートル級。
ペガサスに乗って同じ高度を飛んでれば世界のどこからでも見える木だ。
その木のお陰で方角を見失わないと言っても過言ではない。
まあ、森の中とかを歩いて視界を遮られたら見えないが。
「えっ、ええっ?」
転移魔法で本当に世界樹の枝の上に移動したセレーリュはビックリしていた。
幻影じゃない。本物だ。
セレーリュは王族だったので初めてきたが、詣でをした経験者が語る通り、世界樹が放つ聖気の濃さの凄さからそう認めた。
聖気どころか神聖気でも通るのではないだろうか。
初めての世界樹にセレーリュがパニクる中、トルオンがさらりと、
「愛してるよ、リュー。オレの妻になってね」
告白して、腰を抱き締めてきた。
滅びた都市国家ヒーナのドラゴニュートの王族の初代が世界樹で告白したとの逸話から、少女の頃から夢見た憧れの世界樹での告白を受け、セレーリュは、
「はい。喜んで」
と即答してしまってから、我に返って慌てて、
「いえ、今のは、違・・・・・・お義兄様、違うんです」
赤面しながら否定したが、トルオンが止まらず、
「抱くね」
「待って下さい。こんな誰が見てるか分からない場所では・・・・・・」
「じゃあ、キスだけ」
屈託のない笑顔でトルオンに顔を覗き込まれて、
「・・・はい、お義兄様」
セレーリュも了承し、2人は世界樹の枝の上で長いキスしたのだった。
◇
その後、セレーリュ用のウエディングドレスを4日で作らせ・・・・・・
5日後の吉日を待って、神父を屋敷の礼拝堂に招いて、その礼拝堂にて、結婚式を挙げ、
「誓います」
トルオンと誓いのキスをして、セレーリュはトルオンの第3夫人になったのだった。
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