ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

竹井ゴールド

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トルオン、転移魔法で変則的にズッコケる

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 踏める雲から突き抜けたトルオンはそのまま空を落下していた。

「くそったらぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ピューッ、ピューッと指笛を鳴らしてペガサスを必死に呼ぶ。

 だが、来ない。

「あんにゃろうっ! ふざけるなよっ!」

 トルオンは【超思考】を使った。

 トルオンが使える魔法は天空神殿で習得した光魔法だけだ。

 四半神になったので、他の魔法も習得すれば使えるかも知れないが、仮面の剣士レーゼやルーヴァとイチャイチャするのに忙しく、魔法の習得など一切していないので、まだ使えない。

 マジックアイテムのたぐいもない。

 バカ高な奴隷を購入してもなお、白金塊をまだ7000個以上貯め込んでるが、それでマジックアイテムを購入するという発想はなかった。

 つまり、この状況を打開する方法は・・・

 光転移魔法だっ!

 (本当は剣技を習った際の【空中着地】もあり、実は余裕で対処出来たのだが)トルオンがこの時、導き出したのは転移魔法での打開だった。

 頭から地上に落下中のトルオンが咄嗟に思い描いた場所はテーレ連合の首都ソルンに購入した屋敷ではなく、常駐してた高級ホテルの一室だった。

 この窮地を脱する為だ。別に問題なかろう。

「【光転移】っ!」

 トルオンは転移魔法を使用して落下する空から移動したのだった。





 転移魔法したトルオンはテーレ連合の首都ソルンの高級ホテルの一室に出た。

 正確にはその床に頭から落ちた。

 でも頭部は痛くなかった。

 柔らかい胸があったから。

 状況を確認すれば美女を押し倒していた。

 16歳前後の容姿で、長い茶髪で緑眼の気の強そうな女だった。胸の膨らみもある。

 だが人間ではなかった。

 背中に天使の――いや、鷹の翼があったのだから。

 有翼人だろう。

「きっ、きっ、きっ・・・・・・」

「おっと、少し黙ろうか」

 トルオンは悲鳴を上げる予備動作に入っていた相手の口を手で押さえた。

 有翼人の女からしたら突然乱入した不審な男に押し倒されて口まで塞がれてるのだ。

 もう現行犯以外の何物でもないが、

「オレの話を聞いてくれ。これは純然たる事故だ。別に、オレはおまえをどうにかしようなんて思っちゃあいない。それを証拠にすぐに立ち去る。OK?」

 トルオンの説得が通じたのか、相手はコクンッと頷いた。

「よかった。話が通じて助かったぜ」

 トルオンはそう口元から手を離して、立ち上がると、

「じゃあな。邪魔したな」

 そんな別れの言葉の後に転移魔法で屋敷に帰っていったが・・・





 背中に翼を持つ種族によっては、仰向けに押し倒して翼側を地面に押し付ける行為を屈辱や敵対と取る場合がある。

 何せ、自慢の翼を地に押し付けられてるのだから。

 この有翼人の少女の種族では、まさに屈服させられた屈辱行為に該当した。





 その為、速攻で手配された。





 それもテーレ連合の北隣国のモード獣王国の第2王女イーグフィアの暗殺未遂、並びに侮辱行為で。
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