ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

ペガサスとの契約

トルオン、男なのにペガサスと契約する

　トルオンは二重生活者だ。

　表向きはレーゼ王国でランクＣのソロの冒険者。

　裏では仮面の剣士レーゼで無双して大金を稼ぎ、その金でテーレ連合で豪遊。

　正直、トルオン自身、何度となく『レーゼ王国のランクＣのソロの冒険の肩書はもう要らないのでは』と考えるのだが、その度にズッコケて『増長は良くない』と気を引き締めていた。

　ギフト【ズッコケ】。

　この名称が悪い。何か人生の落とし穴に落ちそうで。

　【運命改変】なら【運命改変】と記してくれればいい物を。

　そんな訳で、トルオンは今日もレーゼ王国東部のボスの街の渓谷の西エリアに来ていた。





　渓谷の西エリアは広い。

　というよりも高低差がある。

　見晴らしの良い場所からならボスの街が一望出来るのだから。

　そして西エリアは南エリアよりも魔物の数が多い。

　今回の目的はランクＤの青熊だった。

　エーヴァは連れてきていない。

　本人は来たがったがエーヴァはダークエルフの上に美人過ぎる。

　目立つので連れてこなかった。

　なので、さっさと帰る為に青熊など余裕で討伐した。

　トルオンが今、使用してる剣はランクＣの冒険者が持つに相応しいそれなりの剣だ。

　アイテムボックスにはドラゴンの牙で鍛えた剣を５本持ってたが。

　それでも青熊ごときに遅れを取る訳もなく倒して、さっさと剥ぎをした。

　青熊の討伐証明は両手、または頭部。

　頭部を提出して、両手は売却。

　熊の毛皮も当然、売れる。

　熊肉は食用なので剥ぐ。熊の肝や心臓も売却用に綺麗に解体だ。

　３メートル級なのでトルオンを持ってしても10分の時間が必要だった訳だが・・・

　その剥ぎの最中にヒヒンッと声がして視線を向ければ、白馬が居た。

　翼があったので、すぐにペガサスだと理解したトルオンは素直に、

（うわ、ペガサスだ。乗ってみてぇ～）

　と思った。

　だが、ペガサスというのはエロイ生き物で処女の女しか乗せないので、

（まあ、オレは男だから無理か）

　と諦めたが、トルオンは４分の１が神の四半神だったので、ペガサスが近付いてきて鼻先をトルオンの鎧の胸の箇所に当てると契約されてしまった。

「えっ、これって？　乗っていいって事か？」

　トルオンが問うとヒヒンッとペガサスが喜ぶ。

　トルオンはまだ18歳だ。

　つまり、まだ童心を持つ少年だった。

　なので、素材剥ぎを終えると、ペガサスの背に乗って大空を駆けていったのだった。