嫌味なエリート治癒師は森の中で追放を宣言されて仲間に殺されかけるがギフト【痛いの痛いの飛んでいけぇ〜】には意外な使い方があり

２、勇者候補の死

　次の瞬間、





「グアアアアアア」





　アレクトロが倒れて、





「ふっかぁ～つっ！」





　マークが復活した。

　マークの傷はもう完全に完治されていた。

　それは本当だ。

　アレクトロに斬られた血塗れのローブの下に見える肌は綺麗で怪我１つなかったのだから。

「あぁ～あ、傷は治ってもローブがボロボロだぜ。どう言い訳をしよう」

　立ち上がったマークが自分が着てる斬られたローブを見てひとりごち中・・・

　対照的に倒れたアレクトロは激痛で苦しみ、

「グアアアアアア・・・カサブランカ、助けてくれ・・・・・・」

　と助けを求めたのだった。

　聖女のカサブランカが戸惑い気味に、

「どうしたの？」

「･･････痛みが・・・ゲホッ」

　痛みを訴えたアレクトロが吐血する。

　それで初めて緊急事態だと悟ったカサブランカが慌てて、

「【治癒】っ！」

　治癒魔法を掛けるも、

「ハアハア・・・・・・痛い・・・・・・何とかしてくれ・・・・・・」

　アレクトロから痛みが引く事はなく、アレクトロが装備してる鎧の下から血が流れてるのに気付いて、

「鎧の下はどうなってるの？　ちょっと脱がせるのを手伝ってっ！」

「ああ」

　カサブランカが戦士のバッカスと一緒にアレクトロの鎧を脱がせた。

　すると服に血が滲んでいて、その服を脱がすと、どこで負傷したのか身体には傷があった。

　背中に斬られた傷と、腹に刺された傷が。

「嘘、何よ、これ？」

「ハアハア・・・痛い、早く・・・カサブラ･･････」

「【治癒】、【治癒】っ！」

　聖女のカサブランカが必死に治癒魔法を唱えるも、傷は一向に塞がらず、全員の見てる前で、

「・・・（ガク）」

　アレクトロは死に絶えたのだった。