1 / 5
1、追放と斬撃
しおりを挟む
「マーク、おまえをこのパーティーから追放するっ!」
冒険者パーティーのリーダーの勇者候補の剣士のアレクトロに突然言われて、
「? 何言ってるんだ、おまえ? 頭、大丈夫か?」
名指しされた治癒師のマークは軽蔑よりも残念な子供を見るような顔でアレクトロを見た。
ここは拠点として村から徒歩3時間の距離にある森の中。
なのに、突然、こんな事を言い出したのだから。
上級治癒師として王国に仕えるマークが優秀な頭脳で導き出した結論は、
「もしかしてオレの見てないところで、また変なキノコでも拾い食いしたのか、アレクトロ? これだからド田舎出身の村人あがりは。森に生ってる木の実やキノコや花の蜜の拾い食いは止めろ、とあれほど言ったのに。こんな男が勇者候補とは聞いて呆れるが禄を食み、王国から派遣されてる身では仕方がない。診てやるよ」
マークは、やれやれ、とアレクトロの身体を心配したが、
「そういうトコだっ! おまえを追放する理由はっ!」
アレクトロは怒り任せにビシッとマークを指差した。
「はん?」
「事ある毎に勇者候補のオレを村人あがりだとバカにしやがってっ! そもそも、おまえなんか仲間でも何でもねぇんだよっ! 王国がどうしてもって言うから一緒に居てやってるのにっ!」
「何を今更そんな分かり切った事を言ってるんだ、ド低能? おまえが勇者かどうかを王国が見定める為にオレが派遣されてるんだから、おまえの一存でオレを『追放』なんかには出来ないんだよ。理解したか、自分の立場を? なら進むぞ」
とマークがいつものようにアレクトロに自分の立場を再認識させてから、目的地に向かって歩もうとした時、マークの背中に激痛が走った。
「グアアアア」
悲鳴を上げたマークが背後に振り返ると、剣を抜いたアレクトロがニヤニヤ顔でマークを見ていた。
(ド低能の下民に斬られただと?)
マークは理解した。
治癒師のマークの装備は鎧ではなくてローブだ。
アレクトロが持つ上等な剣だと一溜まりもない。
「何を・・・」
「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」
アレクトロが狂人のような事を言う中、マークが注目したのは他の仲間達だった。
魔術師ビキニととんがり帽子とマントの女魔術師のナーダ。
神官ローブを纏った聖女のカサブランカ。
2人とも斬られたマークを見ても驚いていない。
それどころか、笑っていた。
先頭を歩いてた重そうな鎧と盾と斧槍を持った戦士のバッカスも、
「おいおい、マジでやったのか、アレクトロ?」
と呆れてる。
(・・・・オレがやられる事を事前に知ってただと? まさか、こいつら)
優秀なマークは瞬時に図式に気付き、
「・・・おまえら、まさか。王国から派遣されてるオレを謀殺する気か?」
「何を言ってる? おまえは魔物に敗北して死んだ事になるんだよっ!」
アレクトロが笑って更に倒れてるマークの胸に剣を突き刺したのだった。
「グアア」
悲鳴を上げながら、マークは、
(なるほど、その手があったか。意外に頭が回るじゃないか、下民にしては)
とアレクトロが意外に悪知恵が働く事を称賛した。
「ゲフッ・・・・・・」
血を吐いたマークが剣を抜いたアレクトロに、
「ハアハアハア・・・おまえ達、忘れてないか? オレの【ギフト】を?」
「【痛いの痛いの飛んでいけぇ~】か? そんなの治癒師の治癒魔法に補正が掛かるだけで全然役に立ってないだろうがよっ!」
普段からマークにバカにされてて余程欝憤が溜まってたのか、アレクトロがマークを蹴る中、蹴られたマークは、
「ハアハア・・・・・・痛いの、痛いの、飛んでいけぇ~」
そうギフトの名前を唱えたのだった。
冒険者パーティーのリーダーの勇者候補の剣士のアレクトロに突然言われて、
「? 何言ってるんだ、おまえ? 頭、大丈夫か?」
名指しされた治癒師のマークは軽蔑よりも残念な子供を見るような顔でアレクトロを見た。
ここは拠点として村から徒歩3時間の距離にある森の中。
なのに、突然、こんな事を言い出したのだから。
上級治癒師として王国に仕えるマークが優秀な頭脳で導き出した結論は、
「もしかしてオレの見てないところで、また変なキノコでも拾い食いしたのか、アレクトロ? これだからド田舎出身の村人あがりは。森に生ってる木の実やキノコや花の蜜の拾い食いは止めろ、とあれほど言ったのに。こんな男が勇者候補とは聞いて呆れるが禄を食み、王国から派遣されてる身では仕方がない。診てやるよ」
マークは、やれやれ、とアレクトロの身体を心配したが、
「そういうトコだっ! おまえを追放する理由はっ!」
アレクトロは怒り任せにビシッとマークを指差した。
「はん?」
「事ある毎に勇者候補のオレを村人あがりだとバカにしやがってっ! そもそも、おまえなんか仲間でも何でもねぇんだよっ! 王国がどうしてもって言うから一緒に居てやってるのにっ!」
「何を今更そんな分かり切った事を言ってるんだ、ド低能? おまえが勇者かどうかを王国が見定める為にオレが派遣されてるんだから、おまえの一存でオレを『追放』なんかには出来ないんだよ。理解したか、自分の立場を? なら進むぞ」
とマークがいつものようにアレクトロに自分の立場を再認識させてから、目的地に向かって歩もうとした時、マークの背中に激痛が走った。
「グアアアア」
悲鳴を上げたマークが背後に振り返ると、剣を抜いたアレクトロがニヤニヤ顔でマークを見ていた。
(ド低能の下民に斬られただと?)
マークは理解した。
治癒師のマークの装備は鎧ではなくてローブだ。
アレクトロが持つ上等な剣だと一溜まりもない。
「何を・・・」
「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」
アレクトロが狂人のような事を言う中、マークが注目したのは他の仲間達だった。
魔術師ビキニととんがり帽子とマントの女魔術師のナーダ。
神官ローブを纏った聖女のカサブランカ。
2人とも斬られたマークを見ても驚いていない。
それどころか、笑っていた。
先頭を歩いてた重そうな鎧と盾と斧槍を持った戦士のバッカスも、
「おいおい、マジでやったのか、アレクトロ?」
と呆れてる。
(・・・・オレがやられる事を事前に知ってただと? まさか、こいつら)
優秀なマークは瞬時に図式に気付き、
「・・・おまえら、まさか。王国から派遣されてるオレを謀殺する気か?」
「何を言ってる? おまえは魔物に敗北して死んだ事になるんだよっ!」
アレクトロが笑って更に倒れてるマークの胸に剣を突き刺したのだった。
「グアア」
悲鳴を上げながら、マークは、
(なるほど、その手があったか。意外に頭が回るじゃないか、下民にしては)
とアレクトロが意外に悪知恵が働く事を称賛した。
「ゲフッ・・・・・・」
血を吐いたマークが剣を抜いたアレクトロに、
「ハアハアハア・・・おまえ達、忘れてないか? オレの【ギフト】を?」
「【痛いの痛いの飛んでいけぇ~】か? そんなの治癒師の治癒魔法に補正が掛かるだけで全然役に立ってないだろうがよっ!」
普段からマークにバカにされてて余程欝憤が溜まってたのか、アレクトロがマークを蹴る中、蹴られたマークは、
「ハアハア・・・・・・痛いの、痛いの、飛んでいけぇ~」
そうギフトの名前を唱えたのだった。
54
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
パーティのお荷物と言われて追放されたけど、豪運持ちの俺がいなくなって大丈夫?今更やり直そうと言われても、もふもふ系パーティを作ったから無理!
蒼衣翼
ファンタジー
今年十九歳になった冒険者ラキは、十四歳から既に五年、冒険者として活動している。
ところが、Sランクパーティとなった途端、さほど目立った活躍をしていないお荷物と言われて追放されてしまう。
しかしパーティがSランクに昇格出来たのは、ラキの豪運スキルのおかげだった。
強力なスキルの代償として、口外出来ないというマイナス効果があり、そのせいで、自己弁護の出来ないラキは、裏切られたショックで人間嫌いになってしまう。
そんな彼が出会ったのが、ケモノ族と蔑まれる、狼族の少女ユメだった。
一方、ラキの抜けたパーティはこんなはずでは……という出来事の連続で、崩壊して行くのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ギフトが【バナナ】の青年は役立たずと冒険者パーティーを追放される
竹井ゴールド
ファンタジー
ギフトが【バナナ】の青年はバナナを食べただけで体力や傷が回復するお得な能力だったが、役立たずを理由に冒険者パーティーを追放される。
だが、そのギフト【バナナ】には隠された能力があり、追放した側の冒険者パーティーは・・・
【2023/1/3、出版申請、2023/2/3、慰めメール】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる