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表舞台から消えた青勇者コレイオス
わき見飛行【3人称side】
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青勇者コレイオスはミリアリリー王国に向かって飛竜で移動していた。
コレイオスは20代で青髪の美青年で、背中には聖剣クライシードを背負う。
そして飛竜の操縦席ではなく、後部席で美女を膝に座らせてイチャイチャしていた。
美女は踊り子風の肌を露出した姿をしてたが、その素性は某国の王女だ。
「あの狂ったバギンが堕ちるとはな。オレでも苦戦するのに」
本心は『勝てない』だったが、それを口にせずにコレイオスは、
「もし本当に倒した奴が女なら傍に置いてやるかな、ニヒヒヒ」
と下心丸出しの笑いを浮かべながら、ミリアリリー王国の王都ラサリリーに向かって飛竜で空を飛んでいたのだが・・・・・・
その王都ラサリリー側からはエニスの師匠であるチンチクリンの老人が飛翔していた。
飛竜に騎乗しない自力での飛翔だった。
その師匠は現在、自分の手を見ていた。
常人には視認すら不可能な【世界創世の力】の結晶を。
「ククク······エドニスもいい仕事をするようになったわい。この功績で男に戻してやってもよかったが・・・私物化しようとしてたしのう。【魔力】も全然鍛えておらなんだし、しばらくは女のまま【魔力】を鍛えさせるか」
と呟いた時、コレイオスが乗る飛竜を轢いた。
それは狼車や蜥蜴車での表現なので、正確には衝突だった。
完全なエニスの師匠の過失で、原因は「わき見」運転ならぬ、「わき見」飛行だったが。
だが、エニスの師匠が【力】を纏い、更に飛行速度が凄い速度だった為、衝突した先方は回避どころか衝突した事実にすら気付かぬまま・・・
青勇者コレイオス。
取り巻きの美女5人。
飛竜2頭。
それらが一瞬で蒸発し、骨も残さず消滅していた。
装備品もだ。
「うん? 今、何かに当たったような?」
と振り返った師匠だったが、空に唯一蒸発しなかった聖剣クライシードだけが浮いてる事に気付き、師匠はUターンして聖剣クライシードを手に取り、
「おお、懐かしい。【羅針盤】を手にした直後に昔、使ってた剣が我が手に戻る、か。さすがは【白の5】の【羅針盤】。ズバ抜けとるのう」
鞘から抜いて懐かしむと、勇者を殺した事に最後まで気付かず、聖剣を持ってそのまま飛行していったのだった。
◇
同時刻、王都ラサリリーのクワナリス侯爵家の自室で【運命女神の羅針盤】を師匠に横取りされて不貞腐れていたエニスは、不意に室内からその方角に視線を向けて、
「はあ?」
呆れながらも、
(勇者を殺して聖剣を奪った? オレには『剣に頼るな』とか言っておきながら自分は勇者を殺して聖剣をゲットって。相変わらず滅茶苦茶だな、あの爺。でも勇者の相手をしなくて済んで助かったぜ。これで空きの勇者席は2つ。【運命女神の羅針盤】が手元にあったら勇者席の独占もあり得たが・・・いや、それよりもまずは爺が口を滑らせた【愛女神の手紙配達係】だ。自力で男の身体に戻る事を目論み、最初に取り込んだ【変身】能力が、まさか、【愛女神の手紙配達係】の末裔だったとはな。爺が言うんだから間違いないだろ。確実に獲得しないと)
不機嫌だったのが一転、御機嫌になったのだった。
コレイオスは20代で青髪の美青年で、背中には聖剣クライシードを背負う。
そして飛竜の操縦席ではなく、後部席で美女を膝に座らせてイチャイチャしていた。
美女は踊り子風の肌を露出した姿をしてたが、その素性は某国の王女だ。
「あの狂ったバギンが堕ちるとはな。オレでも苦戦するのに」
本心は『勝てない』だったが、それを口にせずにコレイオスは、
「もし本当に倒した奴が女なら傍に置いてやるかな、ニヒヒヒ」
と下心丸出しの笑いを浮かべながら、ミリアリリー王国の王都ラサリリーに向かって飛竜で空を飛んでいたのだが・・・・・・
その王都ラサリリー側からはエニスの師匠であるチンチクリンの老人が飛翔していた。
飛竜に騎乗しない自力での飛翔だった。
その師匠は現在、自分の手を見ていた。
常人には視認すら不可能な【世界創世の力】の結晶を。
「ククク······エドニスもいい仕事をするようになったわい。この功績で男に戻してやってもよかったが・・・私物化しようとしてたしのう。【魔力】も全然鍛えておらなんだし、しばらくは女のまま【魔力】を鍛えさせるか」
と呟いた時、コレイオスが乗る飛竜を轢いた。
それは狼車や蜥蜴車での表現なので、正確には衝突だった。
完全なエニスの師匠の過失で、原因は「わき見」運転ならぬ、「わき見」飛行だったが。
だが、エニスの師匠が【力】を纏い、更に飛行速度が凄い速度だった為、衝突した先方は回避どころか衝突した事実にすら気付かぬまま・・・
青勇者コレイオス。
取り巻きの美女5人。
飛竜2頭。
それらが一瞬で蒸発し、骨も残さず消滅していた。
装備品もだ。
「うん? 今、何かに当たったような?」
と振り返った師匠だったが、空に唯一蒸発しなかった聖剣クライシードだけが浮いてる事に気付き、師匠はUターンして聖剣クライシードを手に取り、
「おお、懐かしい。【羅針盤】を手にした直後に昔、使ってた剣が我が手に戻る、か。さすがは【白の5】の【羅針盤】。ズバ抜けとるのう」
鞘から抜いて懐かしむと、勇者を殺した事に最後まで気付かず、聖剣を持ってそのまま飛行していったのだった。
◇
同時刻、王都ラサリリーのクワナリス侯爵家の自室で【運命女神の羅針盤】を師匠に横取りされて不貞腐れていたエニスは、不意に室内からその方角に視線を向けて、
「はあ?」
呆れながらも、
(勇者を殺して聖剣を奪った? オレには『剣に頼るな』とか言っておきながら自分は勇者を殺して聖剣をゲットって。相変わらず滅茶苦茶だな、あの爺。でも勇者の相手をしなくて済んで助かったぜ。これで空きの勇者席は2つ。【運命女神の羅針盤】が手元にあったら勇者席の独占もあり得たが・・・いや、それよりもまずは爺が口を滑らせた【愛女神の手紙配達係】だ。自力で男の身体に戻る事を目論み、最初に取り込んだ【変身】能力が、まさか、【愛女神の手紙配達係】の末裔だったとはな。爺が言うんだから間違いないだろ。確実に獲得しないと)
不機嫌だったのが一転、御機嫌になったのだった。
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