王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・都内校交流戦編〜

竹井ゴールド

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予選が始まる

ちょいと、よろしいかな?【セーラside】

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 エニスさんが帰った直後の事だった。





 その妙な老人が現れたのは。





「ちょいと、よろしいかな?」

 と声を掛けられて振り向けば・・・

 顔に皺と髭があり、背は低く、毛皮の帽子と服を纏ってる、80歳は絶対に越えてる老人が居た。

「私に何か?」

 と私が問うと、

「エニスちゃんを探しとるのだが、どこに行けば会えるかね?」

「失礼ですが、そのエニスちゃんとはどのような風貌なのでしょうか?」

 と私が尋ねたのはミリアリリー女学園にはエニスという名前の生徒が2人居るからだった。

「17歳で、長い茶髪で、緑眼で、凛とした感じで・・・・・・」

 私の家に下宿してる方のエニスさんだったので、

「ええっと、そのエニスさんとどういった御関係でしょうか?」

 私が興味を覚えて問うと、

・・・かな?」

 とその老人は答えた。

「えっ? エニスさんのお師匠様なのですか?」

「未熟なアヤツを弟子とは言いたくないがな」

 とその老人は答えたが、私は『嘘臭ぁ~』と思った。

「失礼ですが、お名前は?」

「聞いてどうするのかね? エニスが師の名前を口にする訳もないのに」

 と言われて『あれ、本物かも』と思い直した。

 エニスさんは師匠関係のガードが固いから。

「それでエニスは?」

「先に帰りましたよ」

「接近に気付いて気配と匂いを断って逃げたか。手間をかけよる」

 と呟いた老人は、

「では、失礼」

 と言った時、観客席から歓声が湧いて、試合場に優勝候補のアスラーズ学校の選手が出て来てた。

 そして、視線を戻すと、そのエニスさんの師匠と名乗った老人は居なくなっていた。

「どうしたの、セーラさん?」

 リンダさんが私に質問する中、

「いえ、今、ここに変なお爺さまが・・・・・・」

「? そんな人、居た?」

 と言うのがリンダさんの返事だった。

 それで私は初めて気付いた。

 そう言えば、私以外、誰もあの老人に気付いてなかったような?

 本当にエニスさんのお師匠様なら大魚を逃がした?

 ・・・あれ? 顔が思い出せない?

「まあ、嘘っぽかったし、問題ないか」

 と私は試合を観戦したのだった。
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