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選抜選手
キャアだから【マリンピーチside】
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都内校交流戦の選抜選手に選ばれた5人は放課後、ミリアリリー女学園の闘技場に来ていた。
5人全員が闘技場の更衣室で訓練着に着替えてる。
1人、御機嫌斜めで、前髪を掻き挙げてるけどね。
「・・・御前対校戦の時は出場選手のこんな練習、無かったと思うけど」
というエニスさんに、セーラさんが、
「そうなの? 普通はあるはずよ。もしかしてパリナさんが個別訓練を申請したのかしら?」
「あの頃はお姉さまのお屋敷で放課後、訓練してたっけ・・・・・・で、私達は何をやるの? ってか、闘技場の観客席に座ってる生徒達は何?」
「大方。エニスさんやマリンピーチさんのファンでしょ」
ってセーラさんは言ったけど、エニスさんの親衛隊じゃないの、殆ど。
「ったく、情報が早いはね」
「そりゃ、放課後の闘技場が選抜選手の為に貸切になってるからね。闘技場を使うクラブから情報が流れたんでしょう」
とセーラさんが言う中、私は時間がもったいないとばかりに、
「それよりも、エニスさん。私達に訓練を付けて」
そう切り出した。
「はい?」
おとぼけを。
「妹のイザベラみたいに鍛えて欲しいんだけど」
「いやいや、僅か3日で強くなったりは・・・」
「それでもお願い」
私が頼むと、リンダさんが、
「あっ、それ、いいわね。私もお願いね」
「私もお願いします、エニスさま」
ソラーサも頼んだ。
「じゃあ、私も。恥を掻きたくないから」
セーラさんもやる気で、
「まあ、いいけど」
エニスさんは渋々と練習を付けてくれた。
練習は個別に、だった。
個別でもこっちはバテバテだったけどね。
私の場合は、模擬戦じゃなくて素振りだった。
私が【加速】で摸擬刀を素振りする中、エニスさんが横で、
「【加速】のリズムが一定過ぎるわよ、マリンピーチさん。もっと緩急を付けて」
私の継承能力の【加速】のオンオフを徹底的にやらされた。
動き始めから私は【加速】を使ってる訳だけど、そうじゃなくて、模擬刀を繰り出してる途中からの【加速】や、逆に動き始めに【加速】を使って、途中で【加速】を切って、普通の剣撃に戻す素振りを。
何の事かと思うかもしれないけど、実はこれ、【加速】の高等技術でメチャクチャ難しいから。
高等技術を要求されて、そんなの出来ないでいると、背後からエニスさんが抱き付いて、腕を前に回して、私の手首を握って、
「こうよ」
って【加速】の緩急を付けてくれたけど・・・・・・・
エニスさんに背後から抱かれててキャアだから。
まあ、実際、闘技場の観客席で座ってる生徒達からキャアって黄色い悲鳴が上がったんだけど。
【加速】なんて3秒、10回が限界なのに。
1秒なら30回出来る計算だけど、1秒だけの【加速】がまだ出来ないのよ、私は。
そんな訳で、魔力や筋力を酷使してるから、すぐに汗だくになってバテたわ。
それで休憩中に他の個別指導も見たんだけど・・・・・・・
リンダさんは2月に【闇極】を開眼したので、素振り以前に闇を模擬刀に乗せる練習をしていた。
元々リンダさんはそれが出来たんだけど、更に上級技法の【闇集約】をやらされていた。
このリンダさんは今でこそ生徒会の書記をやってるけど、元は風紀委員会で本当なら今年、副委員長をやってるはずだったので私も仲が良く、色々と知ってる。
リンダさんは騎士侯オウレ家の出身で、外見の橙髪の三つ編みロングと黒縁眼鏡は完全な偽装。
レンズの入ってない黒縁眼鏡のテンプルのキャップを外したら毒針やヤスリ、三つ編みの髪の先には分銅(ナイフの時もある)が仕込まれてるから。
リンダさんのオウレ家は継承能力こそないが、そういう暗器を扱う一族だった。
そのリンダさんがエニスさんに、
「出来ないわよ、こんなの。それよりも、エニスさん、模擬戦で・・・・・・・」
「リンダさん、頭、大丈夫? 3日間の放課後特訓で強くなれる訳ないでしょ? それよりも攻撃魔法が禁止なんだから摸擬刀への【闇集約】を極めなさい。ってか、【闇極】の能力なら出来るはずよ」
「もうっ! 思ってた練習と違うんだけど・・・・・」
とリンダさんは文句を言いながら摸擬刀に【闇】を集めてた。
実践訓練をしていたのはソラーサとセーラさんだけだった。
でも余り羨ましくなかった。
だってエニスさんが鬼教官丸出しで、エニスさんくらいの長身で、紫髪ロングで茶褐色肌で、胸もエニスさんくらいのソラーサなんて、
「ほら、【黒蜥蜴人化】が遅いっ!」
容赦なく喉に摸擬刀の突きを入れられて試合場で吹き飛ばされてたから。
「ゲホっ! ちょ、エニスさま。少しは手加減を・・・」
「今のは【黒蜥蜴人化】すれば避けれた速度の攻撃よ。ってか、回復したわよね、もう? 【獣化】系の能力なら」
「そうですけど。でも、もう少し優しく・・・」
「何? 私にイチャイチャ教えて欲しかったの? 甘い甘い。私にイチャイチャして欲しかったら都内校交流戦を全勝してからにしなさい」
えっ? そうなの?
なら全勝狙って頑張ろうかしら。
「ってか、遅過ぎっ! 後、交流戦のルールでは【影渡り】はギリありなんだから、出来ないとか言ってないで、ちゃんと使えるようになりなさいよ。それが出来たら春の乙女祭のリンダさんの魔法爆発も回避出来たんだからっ! 分かってる、ソラーサ?」
「いやいや、2月中旬に能力が開眼したところで、まだ上手く・・・」
「言い訳しないっ!」
とボコボコに摸擬刀でやられてたから。
金髪ポニーテールのセーラさんも摸擬刀での実践訓練だけど、エニスさんに一方的に模擬刀で攻められて、
「ほらほら、セーラさん」
「ちょ、エニスさん。手加減を・・・・・・」
「自覚してるわよね、セーラさん? 5人の中に1人だけ弱い選手が混ざってるって?」
「・・・もう、分かってるわよっ!」
「なら、口応えしないっ! 防御を捨てて相討ちを狙うっ!」
という何故か、セーラさんは防御を捨てた相討ちカウンターを教わってた。
ってか、摸擬刀で殴られ過ぎだから。
大丈夫なの、セーラさん?
こうして3日間の放課後特訓は続き・・・・・・
私は少しだけ、【加速】の切り替えがうまく出来るようになったわ。
エニスさんが言ってた【0・5秒】はまだ無理だけど、【3秒】の他に【1・2秒】の【加速】が使えるようになってたから。
これもエニスさんの特訓のお陰(?)なのかしらね。
5人全員が闘技場の更衣室で訓練着に着替えてる。
1人、御機嫌斜めで、前髪を掻き挙げてるけどね。
「・・・御前対校戦の時は出場選手のこんな練習、無かったと思うけど」
というエニスさんに、セーラさんが、
「そうなの? 普通はあるはずよ。もしかしてパリナさんが個別訓練を申請したのかしら?」
「あの頃はお姉さまのお屋敷で放課後、訓練してたっけ・・・・・・で、私達は何をやるの? ってか、闘技場の観客席に座ってる生徒達は何?」
「大方。エニスさんやマリンピーチさんのファンでしょ」
ってセーラさんは言ったけど、エニスさんの親衛隊じゃないの、殆ど。
「ったく、情報が早いはね」
「そりゃ、放課後の闘技場が選抜選手の為に貸切になってるからね。闘技場を使うクラブから情報が流れたんでしょう」
とセーラさんが言う中、私は時間がもったいないとばかりに、
「それよりも、エニスさん。私達に訓練を付けて」
そう切り出した。
「はい?」
おとぼけを。
「妹のイザベラみたいに鍛えて欲しいんだけど」
「いやいや、僅か3日で強くなったりは・・・」
「それでもお願い」
私が頼むと、リンダさんが、
「あっ、それ、いいわね。私もお願いね」
「私もお願いします、エニスさま」
ソラーサも頼んだ。
「じゃあ、私も。恥を掻きたくないから」
セーラさんもやる気で、
「まあ、いいけど」
エニスさんは渋々と練習を付けてくれた。
練習は個別に、だった。
個別でもこっちはバテバテだったけどね。
私の場合は、模擬戦じゃなくて素振りだった。
私が【加速】で摸擬刀を素振りする中、エニスさんが横で、
「【加速】のリズムが一定過ぎるわよ、マリンピーチさん。もっと緩急を付けて」
私の継承能力の【加速】のオンオフを徹底的にやらされた。
動き始めから私は【加速】を使ってる訳だけど、そうじゃなくて、模擬刀を繰り出してる途中からの【加速】や、逆に動き始めに【加速】を使って、途中で【加速】を切って、普通の剣撃に戻す素振りを。
何の事かと思うかもしれないけど、実はこれ、【加速】の高等技術でメチャクチャ難しいから。
高等技術を要求されて、そんなの出来ないでいると、背後からエニスさんが抱き付いて、腕を前に回して、私の手首を握って、
「こうよ」
って【加速】の緩急を付けてくれたけど・・・・・・・
エニスさんに背後から抱かれててキャアだから。
まあ、実際、闘技場の観客席で座ってる生徒達からキャアって黄色い悲鳴が上がったんだけど。
【加速】なんて3秒、10回が限界なのに。
1秒なら30回出来る計算だけど、1秒だけの【加速】がまだ出来ないのよ、私は。
そんな訳で、魔力や筋力を酷使してるから、すぐに汗だくになってバテたわ。
それで休憩中に他の個別指導も見たんだけど・・・・・・・
リンダさんは2月に【闇極】を開眼したので、素振り以前に闇を模擬刀に乗せる練習をしていた。
元々リンダさんはそれが出来たんだけど、更に上級技法の【闇集約】をやらされていた。
このリンダさんは今でこそ生徒会の書記をやってるけど、元は風紀委員会で本当なら今年、副委員長をやってるはずだったので私も仲が良く、色々と知ってる。
リンダさんは騎士侯オウレ家の出身で、外見の橙髪の三つ編みロングと黒縁眼鏡は完全な偽装。
レンズの入ってない黒縁眼鏡のテンプルのキャップを外したら毒針やヤスリ、三つ編みの髪の先には分銅(ナイフの時もある)が仕込まれてるから。
リンダさんのオウレ家は継承能力こそないが、そういう暗器を扱う一族だった。
そのリンダさんがエニスさんに、
「出来ないわよ、こんなの。それよりも、エニスさん、模擬戦で・・・・・・・」
「リンダさん、頭、大丈夫? 3日間の放課後特訓で強くなれる訳ないでしょ? それよりも攻撃魔法が禁止なんだから摸擬刀への【闇集約】を極めなさい。ってか、【闇極】の能力なら出来るはずよ」
「もうっ! 思ってた練習と違うんだけど・・・・・」
とリンダさんは文句を言いながら摸擬刀に【闇】を集めてた。
実践訓練をしていたのはソラーサとセーラさんだけだった。
でも余り羨ましくなかった。
だってエニスさんが鬼教官丸出しで、エニスさんくらいの長身で、紫髪ロングで茶褐色肌で、胸もエニスさんくらいのソラーサなんて、
「ほら、【黒蜥蜴人化】が遅いっ!」
容赦なく喉に摸擬刀の突きを入れられて試合場で吹き飛ばされてたから。
「ゲホっ! ちょ、エニスさま。少しは手加減を・・・」
「今のは【黒蜥蜴人化】すれば避けれた速度の攻撃よ。ってか、回復したわよね、もう? 【獣化】系の能力なら」
「そうですけど。でも、もう少し優しく・・・」
「何? 私にイチャイチャ教えて欲しかったの? 甘い甘い。私にイチャイチャして欲しかったら都内校交流戦を全勝してからにしなさい」
えっ? そうなの?
なら全勝狙って頑張ろうかしら。
「ってか、遅過ぎっ! 後、交流戦のルールでは【影渡り】はギリありなんだから、出来ないとか言ってないで、ちゃんと使えるようになりなさいよ。それが出来たら春の乙女祭のリンダさんの魔法爆発も回避出来たんだからっ! 分かってる、ソラーサ?」
「いやいや、2月中旬に能力が開眼したところで、まだ上手く・・・」
「言い訳しないっ!」
とボコボコに摸擬刀でやられてたから。
金髪ポニーテールのセーラさんも摸擬刀での実践訓練だけど、エニスさんに一方的に模擬刀で攻められて、
「ほらほら、セーラさん」
「ちょ、エニスさん。手加減を・・・・・・」
「自覚してるわよね、セーラさん? 5人の中に1人だけ弱い選手が混ざってるって?」
「・・・もう、分かってるわよっ!」
「なら、口応えしないっ! 防御を捨てて相討ちを狙うっ!」
という何故か、セーラさんは防御を捨てた相討ちカウンターを教わってた。
ってか、摸擬刀で殴られ過ぎだから。
大丈夫なの、セーラさん?
こうして3日間の放課後特訓は続き・・・・・・
私は少しだけ、【加速】の切り替えがうまく出来るようになったわ。
エニスさんが言ってた【0・5秒】はまだ無理だけど、【3秒】の他に【1・2秒】の【加速】が使えるようになってたから。
これもエニスさんの特訓のお陰(?)なのかしらね。
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