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白羽から平良へ
プロローグ、白羽環帰国情報
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アリスが白羽家の大豪邸に滞在して3日目の事である。
長ソファーに座りながら寄り添ってアリスとイチャイチャしていたジュンに執事の桐屋が、
「『環お嬢様が成田に到着した』との報告がございました」
「えっ、母が日本に帰ってきたの? どうして? ニューヨークで何かトラブったのか?」
「おそらくはアリス様の本邸滞在情報をキャッチされたからかと」
桐屋がアリスをチラ見してそう進言した。
「アリスを見て母がどんな反応をすると桐屋は思う?」
「お2人の仲を反対されるかと。アリス様の系譜は白羽家の嫁には相応しくございませんので」
そう言われてアリスは苦笑したが、ジュンの方は、
「・・・龍前との婚約発表を強行するかもな」
「龍前って、龍前ユキさんの事?」
アリスが質問した。
大豪邸に滞在して3日目だ。
ジュンの婚約者、龍前ユキの事も当然話題になり、アリスも既に写真まで見せて貰って相手の素性も知っていた。
「ああ」
ジュンが答える中、桐屋が、
「どうなされますか、ジュンお坊ちゃま。5分程猶予がございますが?」
「アリスを隠せって事か?」
「それが賢明かと・・・・・・いい出会いにはならないと思いますので」
「だが、会わせないともっと拙い事になるぞ」
というのがジュンの考えで、アリスを見て、
「アリス、母に会ってくれる?」
「いいわよ」
と答えたアリスが、
「どんな人なの、ジュン君のお母様って?」
「う~ん」
ジュンが2秒の間を置いて選んだ言葉は、
「悪役マダム?」
だった。
「自分のお母様に悪役って付ける、普通?」
アリスは口元を綻ばしたのを見て、認識の違いに危機感を覚えたジュンが、
「ゴメン、今のはナシにして、アリス」
と前言を撤回して、
「真面目に言うね」
との前置きを挟んだ後、
「最低女。嘘つき女。話が通じない女。自分が間違ってると微塵も疑ってない女。オレが女嫌いになった原因の1つ。犬で例えたら散歩中誰にでもキャンキャン吠える小型犬。馬鹿の1つ覚えみたいに赤ドレスを着てて、付いた二つ名が『白羽家の赤ドレス夫人』。でも宝石はダイヤモンド好き。オレへの責任転嫁が得意で口癖は『アナタの為よ』」
出るわ出るわ。
そんなジュンを見てアリスが、
「ええっと、もしかして苦手なの、お母様の事?」
「苦手? もうそのラインは過ぎたよ。血を分けた親じゃなかったら、とっくに潰してる」
というのがジュンの言葉だった。
長ソファーに座りながら寄り添ってアリスとイチャイチャしていたジュンに執事の桐屋が、
「『環お嬢様が成田に到着した』との報告がございました」
「えっ、母が日本に帰ってきたの? どうして? ニューヨークで何かトラブったのか?」
「おそらくはアリス様の本邸滞在情報をキャッチされたからかと」
桐屋がアリスをチラ見してそう進言した。
「アリスを見て母がどんな反応をすると桐屋は思う?」
「お2人の仲を反対されるかと。アリス様の系譜は白羽家の嫁には相応しくございませんので」
そう言われてアリスは苦笑したが、ジュンの方は、
「・・・龍前との婚約発表を強行するかもな」
「龍前って、龍前ユキさんの事?」
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「ああ」
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「それが賢明かと・・・・・・いい出会いにはならないと思いますので」
「だが、会わせないともっと拙い事になるぞ」
というのがジュンの考えで、アリスを見て、
「アリス、母に会ってくれる?」
「いいわよ」
と答えたアリスが、
「どんな人なの、ジュン君のお母様って?」
「う~ん」
ジュンが2秒の間を置いて選んだ言葉は、
「悪役マダム?」
だった。
「自分のお母様に悪役って付ける、普通?」
アリスは口元を綻ばしたのを見て、認識の違いに危機感を覚えたジュンが、
「ゴメン、今のはナシにして、アリス」
と前言を撤回して、
「真面目に言うね」
との前置きを挟んだ後、
「最低女。嘘つき女。話が通じない女。自分が間違ってると微塵も疑ってない女。オレが女嫌いになった原因の1つ。犬で例えたら散歩中誰にでもキャンキャン吠える小型犬。馬鹿の1つ覚えみたいに赤ドレスを着てて、付いた二つ名が『白羽家の赤ドレス夫人』。でも宝石はダイヤモンド好き。オレへの責任転嫁が得意で口癖は『アナタの為よ』」
出るわ出るわ。
そんなジュンを見てアリスが、
「ええっと、もしかして苦手なの、お母様の事?」
「苦手? もうそのラインは過ぎたよ。血を分けた親じゃなかったら、とっくに潰してる」
というのがジュンの言葉だった。
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