【完結】「嘘告されるわよ」というショートメールがきて執着系の御曹司に溺愛されてた事に気付きました

竹井ゴールド

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白羽家と聖ミカエル女子大学高等部

白羽家の大豪邸

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 白羽家の大豪邸は海外ドラマのセットのような豪邸だった。

 西洋風で、明治建築風だった。

 はっきり言って、こんな建物が日本にあるとはアリスは想像もしていなかった。

 何せ、門を潜ってから建物まで車で数分進んだのだから。

 庭も広大だが、屋敷も宮殿で通るくらい巨大だった。

「凄い御屋敷ね」

 と言うのがアリスの感想で、玄関前には老執事以下メイドが2人も立っていた。

「お帰りなさいませ、ジュンお坊ちゃま」

「ああ、ただいま、桐屋」

 と普通に喋るジュンに、アリスが、

「ジュンお坊ちゃま?」

 大袈裟なリアクションを取ると、

「桐屋のこの口癖はもう直らないから諦めてる」

 そうジュンは苦笑した。

 その後、

「この男は桐屋ね。こっちはオレの妻の平良アリス。本日より屋敷に住むから」

 アリスと桐屋をそれぞれ紹介した。

 老執事の桐屋が、

まなぶ様の了承はおありなのですか?」

「無論だ」

「畏まりました」

「但し、祖父じい様だけだ。頼んだぞ」

「・・・畏まりました」

 こうして大豪邸に入った訳だが、





 玄関ホールから凄かった。

 まるでフランス王朝の宮殿のようだ。

 大きな階段もあって、シャンデリアもキラキラで、床もピカピカで。

「ドラマだと絶対に遺産相続の殺人事件が起こる現場の1つよね?」

「どういう発想だよ、アリス。あんなのはドラマだけだよ。本物の金持ちの家には、ほら」

 と天井を指差したジュンに釣られて視線を向ければ監視カメラがあった。

「防犯対策はちゃんとされてる訳ね」

「ああ、特にこの玄関ホールは過去に実際に何回か突き飛ばし事件が起きてて・・・」

 ジュンが面白がって言い、アリスが嫌そうに、

「やっぱりそうじゃないのっ! こんな階段から落ちたら・・・まさか、死んだの?」

「いや、死んでは・・・」

 ジュンが否定しようとしたが、桐屋が、

「大正時代に1人死んだと記録が残っております。大奥様のイビリに耐え兼ねた奥様が突き飛ばし、その大奥様は死亡。事故で処理されましたが、その転落事故が原因で『離婚された』との記録も。その痛ましい事故を忘れぬように階段名も『緑子階段』とされたとか。くれぐれもアリス様も奥様を突き飛ばしたりしないで下さいね?」

 そう伝えたが、名探偵アリスは怖がるどころか、

「自らの手で犯行を犯した? 使用人じゃなくて? 何か嘘臭いわね、真相が故意に隠蔽されてる匂いがするわ」

「イビリが酷くて『ノイローゼ気味だった』と当時の記録には残っております」

「そこまで追い詰めた相手に不用意に背を向けた? それはそれでマヌケな大奥様ね。まあ、ミステリーでは定番の嫌われ者の第1被害者像だけど」

「確かに」

 と桐屋が同調する中、ジュンが呆れながら、

「桐屋、アリスをからかうのはそこまでにしろ。アリス、この屋敷は昭和の敗戦後に土地を買い叩いて建築してるから大正時代の話は別の屋敷の話だ。この屋敷ではそんな血生臭い事件は起きてないから安心してくれ」

 ネタバラシをした。

 真相を知ったアリスがガッカリしながら、

「もう、桐屋さん」

 と咎める中、

「アリス様が『緑子様転落事故』のような事件を起こされぬように教訓話をしたまでです」

「そんな事よりも、桐屋。アリスの部屋の案内を頼む」

「1階でお願いね、ジュン君。『ニセ緑子階段』なんて使いたくないから」

「はいはい」

 こうしてアリスの希望が通り、宿泊部屋は1階になった。





 アリスは下校直後だ。

 つまりは大鳳学園の制服姿。

 学校から帰れば通常、学生は着替える訳でアリスも着替える訳だが、アリスは学校と自宅で下着を変えてたので、そこで問題が発生した。

 用意された服に着替えて、ジュンも制服から着替えて別室で合流し、

「おっ、似合ってるよ、アリス」

 アリスが纏うハイブランドのワンピースを見てジュンは褒めたが、アリスの方は不機嫌そうに、

「ジュン君にクイズを出題するわね。私のブラのサイズはなぁ~んだ?」

「・・・ええっと、Bカップくらいかなぁ~」

 眼を泳がしたジュンがそう言葉を濁したが、

 無論、ちゃんとアリスのサイズをジュンは知っていた。

 アリスに用意されてたブラのサイズがピッタリで、つまりはサイズがジュンに知られていたのでアリスは不機嫌になっていたのだ。

「・・・いつから知ってたの?」

「10歳からずっと」

 身長が早めに伸びて成長が速かったアリスが最初にブラを付けたのは10歳だ。

 つまりは最初からだった。

「ストーカーが過ぎるわよ、ジュン君っ!」

「だって、好きな相手の事は何でも知りたいでしょ?」

「ジュン君が知る前に何人の男が私の情報を知ったと思ってるのよっ!」

「分かった、そいつらを全員クビにして・・・・・・」

「そういう事を言ってるんじゃなくて程々にしてよねって言ってるのっ!」

「分かったよ」

「じゃあ、これが何かも知ってるのよね?」

 アリスが学校以外で右手の人差指に嵌めてる指輪を見せた。

「ポイズンリングでしょ? 針が飛び出す。オレには使わないでね」

「あら、もしかして使われるような事をするの? 夜這いとか?」

「しないよ」

「じゃあ、何をするの?」

 ジュンに抱き付くようにアリスが両腕をジュンの首の後ろに回した。

 さっきまで怒ってたのが嘘のように、もうイチャイチャモードだ。

 アリスが頬を染めながら上目遣いでジュンに甘える。

 ジュンも明確にその態度の変化に気付いており、照れながら、

「ええっと」

「ジュン君に特別に伝えておくけど『これ』だからね」

 と言うと、ジュンの上唇に触れるか触れないかチュッとアリスはキスしたのだった。

 意味が分からずにただ赤面してるジュンが、

「・・・ええっと、何が?」

「私のファーストキスよ。まあ、ノーカンだけど。10歳の時にママの恋人さんのフランス人のフィリップさんが気軽に挨拶でしてくれて」

「ええぇ~」

 と言ったが、甘えてくるアリスが目の前に居るのでジュンも不機嫌にならず赤面しながら、

「分かった。その報復はまた今度に・・・」

「必要ないわ、ノーカンなんだから。それよりも忘れさせてくれないの?」

「いいの?」

「うん。ちゃんと『愛してる』って言ってからね」

「愛してるよ、アリス」 

 と言ってジュンがアリスにキスしようとした時、





「んんんっ!」





 と喉を鳴らしたのはジュンやアリスではなかった。

 いつの間にか抱き合う2人の横まで移動していたアリスには見知らぬ人物だった。

 女で30代前半。

 釣り目だが、派手な美人だった。

 茶髪ロングをアップにしてハイブランドのセレブドレスを纏っている。

 だが日本は玄関で靴を脱ぐスタイルで白羽家の大豪邸も同様のスタイルだったので、足元はスリッパだったが。

 後、ハイブランドの香水を使ってるが、少し量が多くて匂いがキツイ。

「何? オバサン、居たの?」

 ジュンが明らかに『邪魔なんだけど』というニュアンスでお邪魔虫に言ったのだった。

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