【完結】「嘘告されるわよ」というショートメールがきて執着系の御曹司に溺愛されてた事に気付きました

竹井ゴールド

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ショートメール

7日後、日本に帰ればアリスは浦島太郎状態に

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 7日間のパリコレバカンス旅行から日本に戻ったアリスは大鳳学園に通学し、

「アリス、どうしてたのよ、スマホにも出ないで?」

「心配したのよ。ってか、あの映像、本当なの?」

 大鳳学園の2年の同じクラスの仲の良い女子のマキエとモモコから質問攻めに遭っていた。

 マキエは音楽一家のお嬢様でヴァイオリンをたしなむ。

 モモコは親が自動車タイヤメーカーの創業一族。お金持ちだ。

「スマホに出られなかったのは親にスマホを取り上げられてたからで、どうしてスマホを取り上げられたかというとあの映像を見られたからよ」

「やっぱり映像通り、無理矢理キスされたの?」

「ええ」

「うわ、最低ね。あの淫行王子」

「でもフランスで捕まったんでしょ、淫行王子? 笑えるわよね」

 アリスが不思議そうに、

「2人とも、『淫行王子』って何?」

「信じられない。アリスがショウ先輩をビンタした後に言ったんでしょ?」

「うんうん。それで『淫行王子』って呼び方が一気にバズったのに。でも、どうして『淫行王子』って名付けたの、アリス?」

 アリスも『確かに『淫行王子』ってセンスがないかも』と思いながら、

「モモコが『王子様、王子様』って憧れてたからでしょ」

 モモコが嫌そうな顔で、

「止めてよ、昔の事なんだから」

「でもモモコ、淫行王子先輩と付き合ってたらアナタも斡旋モデル先輩と一緒に退学になってたから助かったわよね?」

「だから好きでも何でもないから」

 と2人が喋る中、アリスが、

「斡旋モデル先輩って?」

「淫行王子の恋人だったモデルの桃尻先輩よ。退学だってさ」

「後、ツルんでた生徒会副会長の森先輩とJリーガーの熊切先輩とかもね」

「何それ?」

 完全に浦島太郎状態のアリスが詳しく聞くと、





 理事会が徹底的に調査をして、読者モデルをしていた桃尻カレンが在学中に卒業した嫌いな先輩に淫行王子をけしかけて『恋人がいるのに手を出した』とか騒いで評判を下げ、淫行王子が厭きてポイして失恋した女子に森先輩や熊切先輩、それに他2人が優しく声を掛けて付き合うのがいつものテだったらしく8人以上の被害が出てるとかで、淫行王子の他の関係者達も一斉に退学する事となったらしい。

 退学者は淫行王子、斡旋モデル、森、熊切と他2名の6人で、

 金持ちの淫行王子はフランスで逮捕。

 斡旋モデルは悪行が明るみに出て、読者モデルもクビ。

 医学部狙いの森とJリーグの2軍と契約してた熊切、その他2人の、計4人は淫行王子とは別個に訴えられて御先真っ暗な状態らしい。





「何か大変ね」





 それがアリスの感想だった。





 ◇





 そして大鳳学園では学園長の根津もクビになっていた。

 学園長室に呼ばれたアリスは理事会から派遣された30代のやり手弁護士の黒崎と対面し、

「平良アリスさん、この度は学園が不誠実な対応をしてしまい申し訳なかった」

「いえ、もう終わった事ですから」

「出来れば、学園を訴えるなら集団訴訟を起こしてる卒業生達と一緒にして貰えるとありがたいのだが」

「いえ、雇った弁護士先生が権藤先輩の家族と示談にしたと聞いていますので」

 さすがのアリスも2億円の事は伏せておいた。

 老弁護士の善が東京弁護士協会の会長な事をアリスはまだ知らない。

 『2億円の示談金』も権藤家が『こちらの口を札束で封じに来た結果』だと誤解していた。

「何か困った事があったら便宜を図るが?」

「ええっと、母がフランスに居て、怒って呼び出されたので出席日数の方を・・・」

「フランスに行った本当の目的はパリコレだよね?」

 黒崎は想像以上にやり手の弁護士だった。

 出席日数の便宜を図って貰おうとたくらんだアリスが『バレたか』と舌をペロリと可愛く出して諦めたが、黒崎は苦笑しながら、

「まあ、今回の1週間の欠席くらいならどうにかしよう」

「ありがとうございます。ついでに辞めた根津学園長の四井銀行渋谷支店の口座を本当は誰が使っているのか調査して貰っても構いませんか?」

「どういう意味かな?」

 興味を覚えた黒崎に、

「実はこんなショートメールが来てまして」

 とスマホを見せながら事情を話した。

「インドネシアのメール代行サービスの会社に中国人名義の依頼でこんなのが前日にねぇ~。そしてその中国人の口座に送金した口座が根津もと学園長の・・・確かに根津元学園長が生徒を思ってやったとは思えないな」

「ですよね。なので、よろしくお願いします」

「分かった。確認してみよう」

 そう黒崎は約束したのだった。





 ◇





 学園長室での会話は筒抜けだったらしい。

 昼休みに学園長室に呼ばれて、5限目に授業を受けていたら、同じ6桁の番号のインドネシアのメール代行サービスの会社からアリスのスマホにショートメールが届き、





『16時に常盤書店前に停車している黒塗りの車に乗られたし』





 とナンバープレートの指定まであった。





(少し気持ちが悪いわね。陰湿なストーカーにつきまとわれてる気分だわ)





 そうアリスは思ったのだった。
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