【完結】「嘘告されるわよ」というショートメールがきて執着系の御曹司に溺愛されてた事に気付きました

竹井ゴールド

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ショートメール

淫行王子、フランスで実刑30年

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 ◇





 日本で大企業ゴンドーは大変な事態となった。





 発端は大鳳学園でショウがアリスに無理矢理キスした準強制猥褻の証拠の映像の拡散だったが、示談になった翌日には集団訴訟を起こされ、週刊誌では実父の隠し子騒動が素っ破抜かれて、





 ショウがフランスで高額絵画窃盗の共犯で逮捕された事で、ばっちりと週刊誌やスポーツ新聞どころか、国営やキー局のニュース番組で報道される破目になった。





 これが完全な潮の変わり目となり、





 それまで大企業ゴンドーの巨額の広告費に遠慮していた報道各社が一斉にバッシングを始め、

 一族経営だったのが祟って、大企業ゴンドーの不正やパワハラや不当解雇が出るわ出るわ。





 気付けば、親族や幹部が3人、不正経理で逮捕されるまでに至っていた。





 どうも内部情報をリークしてるのが権藤家を追われたショウの父親とかで更に大盛り上がりを見せ、





 株価が低迷している裏側では、ゴンドー乗っ取りを企む外資系が10パーセント以上の株を取得してしまっており、日本政府や銀行の支援の条件が外部の人間の大企業ゴンドーの会長就任で、飲むしか外資の乗っ取りを防ぐ手立てはなく、外部の人間をゴンドーの会長にして権藤章三は勇退する破目なったのだった。





 ◇





 6月下旬のパリコレでアリスは、日本人の女性ならば必ず1度は聞いた事のあるハイブランドのランウェイを歩いていた。

 アリス自身ファッションモデルとして英才教育を叩き込まれていたが、

 前回同様、このパリコレ出場は殆どコネみたいなものだった。

 アリスの母親であるアイナの恋人さんのフィリップの。

 そして、アリスは、母親のアイナの指示でパリコレに出場していた。

 日本で1人暮らしをする条件だったので拒否出来ずに。

 コネなのは少しカッコ悪いが、パリコレはパリコレだ。

 きらびやかなランウェイの真横の特等席では、実母のアイナと異父弟のアレクサンド、それにアイナの恋人さんでアレクサンドの父親の50代ながらトレーニングジムでも自室に持っているのか、金髪白人のナイスミドルのフィリップが座っていた。

 ランウェイをウォーキングしながら、ウィンクや手で家族に合図をし、アリスもパリコレを楽しんだのだった。





 その日のディナーはフィリップをプラスした家族でのレストランとなった。

「そうそう、アリス、頼まれてた番号を調べたよ」

 フィリップの言葉に、アレクが、

「何の番号?」

「嘘告されて無理矢理、男にキスされてビンタした話をアレクにもしたでしょ?」

「ああ。それって今、3000万ユーロ(日本円で約45億円)のゴッハの絵の窃盗で捕まってる日本人の金持ちの男の事でしょ?」

 ショウは今やフランスでは有名人なので、アレクがそう言った。

「ええ。問題はその男じゃなくて、その男に『嘘告される』って知ってて、前日に私にメールを送ってきた人物でね。少し気持ち悪いでしょ? それでフィリップさんに頼んだの」

「そこは『パパン』と言ってくれていいんだよ?」

 気軽にフィリップは言ったが、アリスの方が、

「いえ、前にお小遣いで1000万ユーロ(日本円で約15億円)を貰った時に住んでる世界が違うと思い知りましたので」

 そう苦笑した。

 お金は返そうとしたが断られて、アリスの海外口座にそのまま手付かずで入ってる。

「1000万ユーロくらい貰っておいたらいいのに」

 完全に金銭感覚が毒されてる異父弟のアレクがさらりと言い、アリスは苦笑しながらフィリップに、

「それで番号の持ち主は?」

「ショートメッセージを扱うインドネシアの会社だったよ」

 それだけで終わらないのが軍事産業のCEOで、

「それでその会社に依頼した口座の所有者の名前がこれで、その口座に送金した口座の名義がこれね」

 とメモを渡された。

 最初の口座の名義は中国人の名前で見ず知らずのものだったが、送金元の名前が書かれたメモを見て、

「あら、想像してた人と違うわね」

 そう苦笑したのだった。





 ◇





 因みにフランスの高額絵画窃盗の共犯で捕まったショウは英語が喋れるフランスの弁護士に、

「現物の絵画がプライベートジェットの機内で発見された以上、無実を訴え続けても有罪判決が出ます。その場合、20年は喰らい込むので、ここは所有を認めて、返還するつもりで再度絵画をフランスに持ち込んだ事にして5年未満の微罪を勝ち取りましょう」

「待て。それじゃあ、どっち道、牢屋に入る事になるのか?」

「ええ」

「オレ、マジであの絵画の事は知らないんだが?」

「それを一か八かで陪審員に訴えますか? 失敗したら20年以上牢屋ですよ?」

 他はともかく全く覚えのない罪で(まあ、覚えがあってもだが)有罪など絶対に御免だが、数年の牢屋生活も御免だ。

「陪審員を買収とか出来ないのか?」

「他の裁判ならともかく、ゴッハはフランスでも人気の巨匠で注目度が高く、今回はアナタが金持ちなのが知れ渡っていて陪審員にも警備が付いていて接近は無理ですね。バレたら洒落になりませんし」

「マジかよ」

 と弁護士に説得されて、仕方なくその法廷戦略を取ったら、一緒に逮捕された社員の木野が司法取引をしていて、





「出発前に絵画を売る相談を誰かとしていました。間違いなく返還ではなく、金に困ってて売る気でした」





 と証言したので、裁判に負けて『悪質だ』と30年の実刑判決を受けるのだが、





 まあ、それは3ヶ月後の話だ。

 その頃には祖父の章三も大企業ゴンドーの会長職を勇退しており、誰もフランスのショウを助ける者はおらず、その後、言葉も通じないフランスの監獄で、看守やら屈強な囚人に気に入られて男娼となるのが女好きのショウの末路だった。





 無論、ショウの弁護士や不利な証言をした社員の木野を操ったのはアイナの恋人のフィリップだった訳だが。

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