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ショートメール
淫行王子、逮捕される(正確には補導、2時間で釈放)
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実はアリスが放課後に無理矢理キスされた10分後には大鳳学園の新聞部のサイトにショウとアリスのキスの動画が公開されていた。
どうやら新聞部の誰かが途中から非常階段の様子を隠れて盗撮していたらしい。
40分後には学園の教師陣が気付いたのか削除されたが、拡散されて、あっという間に全校生徒にキスの事が知れ渡ったのだった。
『淫行王子』という二つ名と共に。
◇
そんな訳で翌朝、登校と同時に権藤ショウは生徒指導室を飛び越えて学園長室に呼び出されていた。
「何ですか、先生方?」
「権藤君、アナタ、昨日の放課後、非常階段で女生徒に無理矢理キスしたらしいわね?」
と詰問したのは学園長室に同席した生徒指導のヒスババアの新垣だった。
ババアと言っても、まだ40代だったが。
「無理矢理じゃありません。合意の上ですよ」
ショウはそうノラリクラリと新垣の質問を躱し、
「新垣先生、その辺で。もう片方の当事者の生徒が居ない事には・・・・・・」
日和見主義の学園長の根津がそう答えようとした時、コンコンッとノックがされて、学年が違うのでショウには名前の分からない中年教師が入室してきて、
「学園長先生、警察の方が来られてますが」
「警察? 用件は?」
「当学園の女生徒がキスを無理矢理、男子生徒にされて、学園の先生が信じてくれなかったので警察に被害届が出したとかで・・・」
その言葉で、学園長室に居る全員の視線がショウの集まる中、
(あの女、ふざけるなよっ! ちょっとキスしただけで警察に被害届を出しただとっ!)
「お通しして」
という訳で、私服警察官の男女の2人組が通されて、
「学園長ですか? 実は権藤ショウという3年生の男子生徒と話がしたいのですが・・・って、そこにいる彼なのですが」
「ええっと、被害届を出されたとか?」
学園長が堪らず問う中、
「ええ、昨日、学園長に話したけど信じて貰えなかったとかで、委任状を持った弁護士先生が警察署に来られて・・・」
(あの女、マジか)
「ちょっと待って下さい。あれは合意の上で・・・・・・」
とのショウの言葉など、
「では、その件を署の方で聞かせて貰っても?」
私服刑事がさらっと言い、学園長が、
「待って下さい。もう少し穏便に・・・・・・」
「無理ですな。その弁護士先生が善一郎氏だった以上は」
(誰だ、それ?)
とスマホを片手に名前を入力したら、人の良さそうな老人の写真に出てきた。
但し、その肩書は、
(東京弁護士協会の・・・会長?)
「これですか?」
ショウがスマホの画面を見せる中、刑事が皮肉げに頷いて、
「ええ。お陰でもうウチの署内どころか警視庁のお偉方までがこの被害届の件を知っていて『絶対に身柄を押さえろ』との命令を受けてますから。ああ、抵抗はしないで下さいね。パトカーがこの学園に出動する事になりますから」
と言ってる傍からサイレンこそ鳴らしていないが、2台のパトカーが更に追加で正門を潜ったのだった。
ショウが、
「ま、待って下さい。あの女とこの弁護士、どういう関係なんですか?」
「さあ。依頼人なだけじゃないですか?」
(そんな訳あるかっ! 会長って弁護士のトップなのにっ!)
とショウは心の中で絶叫したが、教師陣やショウではどうする事も出来ず、結局は覆面パトカーにショウは乗せられて警察署へと運行されていった。
無論、その様子もバッチリと映像に収められて、またもや新聞部のサイトに投稿されて拡散されたのだった。
◇
ショウの方は大企業ゴンドーの顧問弁護士5人掛かりで、どうにか2時間後には釈放となった。
だが大問題になっているとショウが気付いたのは、
「あの、ショウ様。キスした相手がどこに居るか御存知ですか?」
顧問弁護士の合田がそう質問した時だった。
「学校だろ?」
「いえ、本日は通学していません」
「キスされたショックで休んだ? なら自宅に居るんじゃないのか?」
「それが居ませんで。交渉しようにも相手の居場所が分からないのでは・・・」
「つまり示談交渉が出来ない?」
「はい」
『何をやってるんだ、コイツラは』と思ったが、すぐに、
「そうだ、あの女の弁護士に聞けばいいだろ? 東京弁護士協会の会長の」
「嫌ですよ。こんな事で会長に顔を覚えられたくないですから」
「こんな事って・・・・・金を出してるんだ、仕事をしろ」
そうショウは言ったのだが、
この時にはネット上で淫行王子にキスされた被害者が募られており、集団訴訟の準備が整えられていた。
どうやら新聞部の誰かが途中から非常階段の様子を隠れて盗撮していたらしい。
40分後には学園の教師陣が気付いたのか削除されたが、拡散されて、あっという間に全校生徒にキスの事が知れ渡ったのだった。
『淫行王子』という二つ名と共に。
◇
そんな訳で翌朝、登校と同時に権藤ショウは生徒指導室を飛び越えて学園長室に呼び出されていた。
「何ですか、先生方?」
「権藤君、アナタ、昨日の放課後、非常階段で女生徒に無理矢理キスしたらしいわね?」
と詰問したのは学園長室に同席した生徒指導のヒスババアの新垣だった。
ババアと言っても、まだ40代だったが。
「無理矢理じゃありません。合意の上ですよ」
ショウはそうノラリクラリと新垣の質問を躱し、
「新垣先生、その辺で。もう片方の当事者の生徒が居ない事には・・・・・・」
日和見主義の学園長の根津がそう答えようとした時、コンコンッとノックがされて、学年が違うのでショウには名前の分からない中年教師が入室してきて、
「学園長先生、警察の方が来られてますが」
「警察? 用件は?」
「当学園の女生徒がキスを無理矢理、男子生徒にされて、学園の先生が信じてくれなかったので警察に被害届が出したとかで・・・」
その言葉で、学園長室に居る全員の視線がショウの集まる中、
(あの女、ふざけるなよっ! ちょっとキスしただけで警察に被害届を出しただとっ!)
「お通しして」
という訳で、私服警察官の男女の2人組が通されて、
「学園長ですか? 実は権藤ショウという3年生の男子生徒と話がしたいのですが・・・って、そこにいる彼なのですが」
「ええっと、被害届を出されたとか?」
学園長が堪らず問う中、
「ええ、昨日、学園長に話したけど信じて貰えなかったとかで、委任状を持った弁護士先生が警察署に来られて・・・」
(あの女、マジか)
「ちょっと待って下さい。あれは合意の上で・・・・・・」
とのショウの言葉など、
「では、その件を署の方で聞かせて貰っても?」
私服刑事がさらっと言い、学園長が、
「待って下さい。もう少し穏便に・・・・・・」
「無理ですな。その弁護士先生が善一郎氏だった以上は」
(誰だ、それ?)
とスマホを片手に名前を入力したら、人の良さそうな老人の写真に出てきた。
但し、その肩書は、
(東京弁護士協会の・・・会長?)
「これですか?」
ショウがスマホの画面を見せる中、刑事が皮肉げに頷いて、
「ええ。お陰でもうウチの署内どころか警視庁のお偉方までがこの被害届の件を知っていて『絶対に身柄を押さえろ』との命令を受けてますから。ああ、抵抗はしないで下さいね。パトカーがこの学園に出動する事になりますから」
と言ってる傍からサイレンこそ鳴らしていないが、2台のパトカーが更に追加で正門を潜ったのだった。
ショウが、
「ま、待って下さい。あの女とこの弁護士、どういう関係なんですか?」
「さあ。依頼人なだけじゃないですか?」
(そんな訳あるかっ! 会長って弁護士のトップなのにっ!)
とショウは心の中で絶叫したが、教師陣やショウではどうする事も出来ず、結局は覆面パトカーにショウは乗せられて警察署へと運行されていった。
無論、その様子もバッチリと映像に収められて、またもや新聞部のサイトに投稿されて拡散されたのだった。
◇
ショウの方は大企業ゴンドーの顧問弁護士5人掛かりで、どうにか2時間後には釈放となった。
だが大問題になっているとショウが気付いたのは、
「あの、ショウ様。キスした相手がどこに居るか御存知ですか?」
顧問弁護士の合田がそう質問した時だった。
「学校だろ?」
「いえ、本日は通学していません」
「キスされたショックで休んだ? なら自宅に居るんじゃないのか?」
「それが居ませんで。交渉しようにも相手の居場所が分からないのでは・・・」
「つまり示談交渉が出来ない?」
「はい」
『何をやってるんだ、コイツラは』と思ったが、すぐに、
「そうだ、あの女の弁護士に聞けばいいだろ? 東京弁護士協会の会長の」
「嫌ですよ。こんな事で会長に顔を覚えられたくないですから」
「こんな事って・・・・・金を出してるんだ、仕事をしろ」
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