上 下
38 / 39

【閑話】民衆蜂起

しおりを挟む
 時を同じくして、大都市アテミスでは、





 水源を絶たれて120日。

 遂には民衆が我慢の限界に達して蜂起した。

 蜂起の原因は無論、水である。

 魔術師が出したり、陸獣で運ばれてくる少量の水を平等に分配されたのならまだ不満は少なかったが、

 ファンタジーの世界も格差社会だ。

 特権階級と庶民では当然、水の分配量も違う。

 大都市アテミスを見限って出て行った7万人よりは、残った8万人の方がまだ忠誠は厚かったのだが。

 水源を絶たれて120日。

 天から降る恵みの雨や、

 酒や果物らで水分不足を補ってたが、それも限界で、

 遂には弱い住民から死に始めた。

 水がないのならば仕方がない。

 だが、特権階級の人間は鱈腹たらふく水を飲んでる。

 その不平等が民衆の間で変な方向に火が付き、

 水道橋建造の『ピパリスの銀雷』の襲撃時、男衆5000人の他に、それを守ろうと騎士や兵士達も戦死していたので、大都市アテミスは兵士が不足しており、

 遂には民衆が武器を持って蜂起した。

「水を寄越せっ!」

「水を平等に分け与えろっ!」

 暴徒は領主邸や兵舎、豪商の蔵を襲撃した。

 暴徒が理性的に水だけを奪う訳がなく、そこに居た特権階級の人間を殺して富を奪い、

 何とか少量の水を得たが。





 持ったのは数日のみ。





 陸獣で水を運んで居た運送業の者達は、






 大都市アテミスはもうダメだ。






 と見限って、陸獣で逃げた為に水の運送もなくなり、残された大都市アテミスの人間達も遂には難民となって大都市アテミスから流出したのだった。
しおりを挟む

処理中です...