異世界転生したら両腕を前に上げてノロノロ歩くゾンビだった

竹井ゴールド

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【閑話】ルド脇道の悲劇

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 アテミス領内のモンセンの村から東北東にある大都市アテミスに続く街道。

 その街道から南に伸びるその細道をルド脇道と呼ぶ。

 名前の由来は大昔にルドという男の麦畑があって作られたからだそうだが。

 そのルド脇道の先では水不足で大都市アテミスから逃れた避難民がテントを張って住み付いていた。

 避難民が住み付いたのは水があったからだ。

 麦畑用に引いた用水路の水だったが。

 モンセンの村が引いてた水で、村からの使用許可は下りている。

 以上の経緯から住み付いたのだが、

 その数は意外に多く1200人だった。

 その難民キャンプが全滅した報告を聞き、騎士団が調査の為、斥候を派遣すると本当に全滅しており、

 更に4日後、大都市アテミスの騎士団500人が到着した時には内部は散々たるものだった。

 木製の門が開いていた為に魔物が多数入り込み、死肉を漁っており、その魔物の退治をせねばならないのだが。

 魔物の数が多い。

 蜥蜴、狼、蛇、虎、鴉、大型鷲。

 それにゾンビ。

 避難民がゾンビになったのか50人程が両手を前に上げて徘徊していた。

 何も正面から戦う必要はない。

 難民キャンプと連絡が取れなくなって早7日。

 生存者はゼロと推定出来るのだから。

 土塁の外から矢と攻撃魔法の雨を降らせれば事足りた。

 一斉射撃だ。

 鳥系の魔物は空へと逃げ、陸を移動する魔物達は開かれた正門の出口に仕掛けた魔法陣の罠に引っ掛かって丸焼けだ。

 ゾンビ達も呆気なく討伐された。

 その後、騎士団は調査に入ったが、住民達は魔物に喰い荒されて無残な姿になっており、ゾンビの歯型に気付く騎士は居らず、住民は全員がその場で焼いていたのだが、そこに蜥蜴に騎乗した騎士が現れて、別の難民キャンプが全滅な事を告げた。

 騎士団は顔を見合せて、直ちに別のキャンプ場へと向かったのだった。
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