オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

竹井ゴールド

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アポリス王国鮫覇編

緊急時なら夜の飛行もOK

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 アポリス王国の一部はジムーズ海に隣接してる。

 前世の戦国時代なら海は塩も取れるし、南蛮、明、朝鮮との貿易で潤って重宝した訳だが。

 今世の異世界ファンタジーでは森同様に海洋モンスターが出没する危険地帯だった。





 まあ、その海洋モンスターから特別な素材なんかも取れる訳なので、金にならないかと言えば「金になる」のだが。





 ◇





 世の中にはお約束という奴がある。

 それはもう世界の摂理だ。

 なので、オレも今更文句は言わない。

 だけどさ~。

 新婚5日目、ようやく夜になって夕食と入浴も済ませてアンリとベッドインしてる最中に寝室のドアを叩かれて、

「お休み中のところ申し訳ございません、陛下。国内のジムーズ海の海岸線でスタンピードが発生しました。起きて下さい」

 なんて言われた日には温厚なオレでもブチキレる訳で、





 ◇





 夜。

 飛獣での移動は緊急時以外は禁止な世界ファンタジーで、オレはワイバーンで夜空を移動していた。

 場所はアポリス王国の西部地方に隣接するジムーズ海が見える海岸線の上空だ。

 そしてオレは急いでいた。

 着替えをしに離れた隙にアンリがブチギレて先に出陣したからだ。

 実はオレが乗るワイバーンが飛行する前方にワイバーンに乗るアンリの後ろ姿が見えてる。

 でも追い付けない。

 前世の三国志に赤兎馬といった名馬がいたのと同じように、今世の異世界ファンタジーにも名馬ならぬ名ワイバーンがいるのだから。

 当然、アポリス王国の一番良いワイバーンは現女王アンリのものだ。

 二番目のが誰のかは知らないが、オレがエマリス帝国の旧帝都ビオフェンテルの厩舎で適当に選んでパクッたワイバーンもかなりの名ワイバーンだったらしい。

 何せ、一緒に出発した親衛隊長のルナレシアさんを、5分後にアンリが出発した事を聞いて慌てて追い掛けたオレが追い抜いて、アンリのすぐ後ろを飛んでいるのだから。





 ◇





 そして、とうとうアンリには追い付けぬまま、スタンピードが起こってるジムーズ海沿いの港町、いや違うな。ジムーズ海の監視城塞都市ジェジェンの上空に到着した。

 アンリがワイバーンの飛行を止めたのでようやく追い付き、

「あら、アランが2番なの?」

「気軽に言わないでよ、アンリ。出陣するなら言ってくれないと」

 後続がまだ到着してないで2人っきりだから、呼び捨てね、今は。

 オレは公私をちゃんと分けれる男だから。

 ってか、周囲に人が居る状況でアンリなんて呼び捨てにしたら周囲から説教されるし。

「民草の危機よ。1秒も惜しいから仕方がないじゃないの」

 大層立派な事を言ってるが。

「本音は?」

「いいところを邪魔されたのよ。皆殺しよ、コイツラなんて」

「だね」

 良かった、いつものアンリで。

「さあ、やっちゃって、アラン」

「LV上げはしなくていいの?」

 オレは地上を見た。

 夜だが、ジェジェン砦はスタンピードの真っ只中で、光源は多数。

 光の魔法や松明、それに撒いた油の引火、攻撃魔法で。

 ジェジェン砦はジムーズ海隣接しており、そして本当にジムーズ海から海洋モンスター500匹以上が砦を攻めていた。

 陸上の砦を攻められるのだから、魚型じゃない。

 カニ、エビ、カエル、タコ、アザラシ、ヤドカリ、ウニ、カメ、二足歩行のヒトデ、陸上移動のクラゲ、アメフラシ、昆布や珊瑚トレントが攻めていた。

 サイズもマチマチだ。

 タコやヒトデなんてデカイのは50メートル級だから。

 タコってこう見るとグロ過ぎるな。

 色も赤じゃなくて汚い紫だし。

 イカの方がまだマシだぞ。

 ってか、問題は種族の多さだ。

 統一性がまるでない。

 後、海を泳げるカエルって。

 節操がないな、ホント。

 まあ、モンスターだからって事で納得するか。

 クラゲも陸上を歩いてるし。

「なら、あのデカイのだけ」

 アンリが呪文を詠唱して神聖球魔法を放って目に付くデカイサイズのタコとヒトデを攻撃した後、

「聖なる光よ、1000本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 オレが聖矢魔法を放った。

 ワンパターンと言うなかれ。

 最初に習得する魔法だけあって汎用性が高いんだから。

 聖矢が降り注いで、今の第1射でスタンピードのモンスターの大半は駆除。

 地上からは大歓声が上がり、

 LVの上がったのを確認しながらアンリが、

「すっかり人気者ね、アランも」

「ヤローに人気があってもね」

「ちょっと、アラン。浮気をしたらーー」

「しないよ。アンリ様で満足してるの知ってるでしょ?」

「そういう事は人前で言わないの」

 照れたアンリを見て、そっちから話を振った癖に、と思いながらオレは、は~い、と返事したのだった。





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