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エマリス帝国蟲殺編
こうしてセンティピード・アラクネー集団とキラーアント軍団はエマリス帝国から居なくなった
しおりを挟むこれだけセンティピード・アラクネーを倒したもう十分だろう。
という訳で、オレは帰る事にした。
問題は帰還のルートだ。
カクリコンゼート樹海。
マチルダーズ連合。
ブルー・ジオール王国。
どのルートを通って帰るか。
これは意外に重要なルート選択である。
絶対に目撃されるので。
エマリス帝国内には小さな村とかもあるのだから。
なので、オレは悪辣にもブルー・ジオール王国の西側のズゴレーク王国を通ってやろうと思ったが、そんな必要はなかった。
オレが出発しようと第2都市ビオフェンテルにワイバーンで飛び立ったら、そこに一晩でワイバーンで移動してきたセンティピード・アラクネー集団と出食わしからだ。
全部で50騎。
まあ、人に化けてたのがダブって視えてたが。
仲間思いなのか、
「貴様かぁぁぁぁぁっ! これをやったのはぁぁぁぁぁっ!」
代表者がブチギレていた。
これが、もし人間だったら、ムカデ大好き人間って事になる訳だが、ダブって視えてるからね~。
そもそも論で言えば、第2都市ビオフェンテルの8万人を丸ごと喰らった、このムカデ連中が生きてる方がおかしいのに。
虫とは分かり合えない訳ね、やっぱり。
ってかさ。
朝からテンションマックスで元気だね~。
こっちはベッドなんかを使うの気持ち悪いから床に外泊セットを敷いて眠ったからか眠りが浅くて寝たりないのに~。
もしかして徹夜明けのハイテンションって奴かな?
まあ、どうでもいいや。
「聖なる矢」
オレは問答無用で聖なる矢を無詠唱で300本出して発射した。
数は50匹。
余裕で倒せるはずだが、それでも1匹だけ、
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ワイバーンに乗って人に化けてたのが、いきなり燃えたアラクネーになった。
ジオール王国で遭遇したあのアラクネー神を思い出してギクリッとしたが、それも一瞬だ。
ソイツを乗せてるワイバーンの方が、背中が突然燃えて驚いて、地上に移動し始めたのだから。
「違う、馬鹿っ! アイツに向かえっ!」
とか喚いてる。
余りの滑稽さに思わず、
「ププッ、アハハ、何だ、そりゃあ、シリアスになった今のオレのシリアスを返してよ、アハハ」
と笑ってしまった。
それに、どうも身体を炎には出来るが、雑魚っぽい。
オレの透明分身も対処可能な速度らしく、2匹のワイバーンを出して乗ってる勤勉なる我が透明分身が近付いて殺虫スプレーをシューッと使っていた。
「グアアアアア、冷たい冷たい・・・何だ、これは・・・げぼっ!」
そしてあっさりと死んだのだった。
「何がしたかったのかね~、あのギャグ担当は? それじゃあ、帰るか」
オレはこうして移動を開始したのだが、
◇
別に狙った訳ではないが、西に向かって移動をしていたら第5都市ドルアービアの近くの空を飛行してしまっていた。
第5都市ドルアービアとはキラーアントのスタンピードがあった場所で、未だにキラーアントが居座って巣窟化してる訳だが。
オレは連中は襲う気はなかった。
本当だ。
信じてくれ。
こいつらとエマリス帝国を戦わせて疲弊させてやれ、とか軍師っぽい事を考えていたんだからさ。
そ・れ・な・の・に~。
アホなキラーアントの翅を持つ飛翔タイプが襲って来やがったのだ。
このオレにだぜ?
ムカつくよな~?
虫の分際で集ってきたら~。
当然、退治案件だ。
そんな訳で50匹程の飛翔タイプのキラーアントを倒した後、方向転換して、わざと第5都市ドルアービアの上空を飛んで、地上の都市を我が物顔で占拠してるキラーアントの大群に向けて、
「聖なる光よ、1500本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」
「聖なる光よ、1500本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」
「聖なる光よ、1500本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」
と3回聖矢魔法を降らせて、飛び去っていったのだった。
ピピピッ。
「邪な存在は倒さないとダメだよ」とピピーに教えられて、
えっ、そうなの?
と見たら、何となく邪な存在の居場所が分かるオレが地下に居る事に気付いて、
あっ、本当に居るっぽい。ーーあそこだよな。
なら、
聖なる女神よ、光明よ。
天空より地上の邪なる存在を討ち祓う聖なる剣を貸し与えたまえ。
我は聖なる女神に願う。地上に蔓延る悪しき存在への断罪を。
我は聖なる女神に願う。地上の闇の眷族達の駆逐を。
我は聖なる女神に願う。聖なる剣の地上への降臨を。
我は聖なる女神に願う。地上に楽園の構築を。
聖なる女神よ、今ここに我が願いを聞き届けたまえ。
「天空より大地に突き刺さる聖なる女神の裁きの剣」
長々と詠唱して女神の裁き魔法を完成させた。
発動した。
つまり、邪なる存在で確定って訳だ。
そんな訳で、邪な存在が居るっぽい地点に巨大な剣を降らせた。
チュッッ、ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!
住民は皆殺しだったが街の原型はまだ保っていた第5都市ドルアービアに巨大なクレーターが出来る中、
「これでいい?」
ピヨピヨ
倒した、凄い~、とポーチの中で喜んでるピピーを撫でながら、オレはカッコ良く飛び去っていったのだった。
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