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エマリス帝国蟲殺編

そりゃあ居るよね

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 まだ帝都シーンフェンテルに潜入したその日な訳だが。

 ワイバーンが賢い生き物でよかった~。

 ダメ元で城壁の上から【遠視】の魔法のアクセサリーで確認したら忠犬のようにワイバーンが乗り捨てた場所で待ってるのが見えて、慌てて向かって飛び乗ったオレは東に向かっていた。

 不完全燃焼というか、暴れたりなかったオレは、旧帝都の第2都市ビオフェンテルを襲ったセンティピードを皆殺しにするべく出向いた訳だが。

 帝都シーンフェンテルの警備を厳重にしてるのか、第2都市ビオフェンテルに向かうまで1回も帝国兵に止められなかった。





 ◇





 なので、全滅した第2都市ビオフェンテルの上空をオレは余裕でワイバーンで飛んでいた。

 これは酷い。

 前に竜骨発掘場で大型のセンティピードの大群が屯してたのを見たが、それの都市バージョンだった。

 風光明媚な古都だったのに、長いのでは200メートル級、小さいのでも5メートル級のセンティピードが1000匹以上、表通りを占拠していて。

 ふん、殺虫スプレーを使うまでもないな。

「聖なる光よ、1500本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 周囲に敵も居ないので緊急性がなく、オレは呪文を詠唱して1500本の聖矢を降らせてセンティピード1000匹を殺したのだった。

 ピヨピヨ。

 まだ居るよ。とポーチの中のピピーが教えてくれて、見れば仲間の死に気付いて教会や倉庫の中に居たセンティピードが出てきたので、

「聖なる光よ、300本の矢となり我が敵を倒せ、聖なる矢」

 また聖矢を降らせる。

 またセンティピード200匹程を駆除した。

 ふん、それじゃあ、さっさとアポリス王国に帰るか。

 と思った時、

「人間がぁぁぁぁぁっ! 何をしてくれてるのよぉぉぉぉぉぉっ!」

 との声が聞こえた。

 はい?

 と視線を向けた時には、ワイバーンが飛んでる高度にソイツは飛んでやってきていた。

 ソイツはセンティピード・アラクネーであって、センティピード・アラクネーではなかった。

 確かに、女型で、下半身は3メートル級と長かったが。

 それが飛んでる以前に、ソイツの身体は紫色の霧だった。

 ゾワっ。

 このタイプ。

 そして、このプレッシャー

 オレよりも強い?

 おいおいおい。

 これって、まさか。

 アラクネー神なのか?

 ――しまったっ!

 エマリス帝国のセンティピード・アラクネー集団を舐め過ぎてたっ!

 と思った時には、ソイツが空中移動もお手の物と言わんばかりに突進してきた。

 絶対に毒だろ、おまえのその色っ!

 クソったら~っ!

 オレは今、検問対策でエマリス帝国の魔法騎士姿だったので、ピピーはポーチの中なので右手に無印とムカデ専用、左手にcoldとムカデ専用の計4本のスプレーを出して、

「死になさいっ!」

「誰が死ぬかぁぁぁぁっ!」

 激突して、





 ギュィィィィィィィィィィィィィィンっ!

 ボンっ!

 ボンっ!

 ボンっ!





 ーーん?

 左手のcoldスプレーは破裂しなかったのか?

 それでも吹き飛ばされたオレは【浮遊落下】しながら、

「完全解毒っ!」

 チンタラ呪文を詠唱なんてしてたら毒が身体の中に回るので、無詠唱で速攻で毒を解除しながら、オレが乗ってたワイバーンが遠くで絶命して墜落するのを見ながら、

「クソ、帰りの足を無くしたぁ~っ!」

 と思いながら、アラクネー神を睨んだら、ソイツは、

「ぐあああああああああ」

 紫色の霧が5分の1に減ってて、普通のアラクネーの姿に戻っていた。

 ん?

 もしかしてアラクネー神じゃなくてアラクネー邪王?

 もう、どっちだっていいわっ!

 おまえはここで死ねっ!

「竜を屠る聖なる槍」

 無詠唱で出現させた聖槍魔法を殺虫スプレー2本でコーティングして発射した。

「げぶっ! この毒――まさか、おまえ、ガラジタットも・・・ギャアアアアアアア」

 ちゃんと聖槍が直撃して、そのアラクネー邪王は空中で絶命して墜落していったのだった。

 ステータスを確認して、ソイツが死んだのを確認したオレはホッとしながら地上に【浮遊落下】したのだった。





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