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エマリス帝国蟲殺編
女王第2親衛隊長アラン・ザク
しおりを挟む【高官の羽根ペン】アポリス王国の貴族の高等教育をマスター。速記、速読、書類作成解禁。ジョブ:上級文官解禁。
取得条件:ひたすら勉強し、アポリス王国の上級試験合格、また合格者と同等の知識を獲る。
【麗しき仕草】アポリス王国の高位貴族のマナー、社交ダンスが免許皆伝。ジョブ:若き伯爵解禁。
取得条件:アポリス王国の爵位を得た状態で宮廷マナーを習得する。
【貴族の剣術】剣攻撃1.1倍。アポリス王国の剣技解禁。ジョブ:上級軍人解禁。
取得条件:アポリス王国の爵位を得た状態でアポリス王国の貴族剣術の5つの型をマスター。
【女王の寵臣】国政での発言力が増す。女王への進言が通る。ジョブ:女王代弁者解禁。
取得条件:アポリス王国の女王アンリに気に入られて特例の昇進を果たす。
【アポリスの高官】アポリス王国の高官特権が使える。ジョブ: 魔法将校解禁。
取得条件:アポリス王国の高官の地位を得る。
◇
お姫様改め女王様が即位して30日が経過した。
オレも成り上がっちゃったな~。
何せ、アポリス王国の国王に即位したお姫様改め女王様が最初にした仕事が、
「新たに第2親衛隊を設立し、隊の長はアラン・ザク伯爵とする」
だったので。
「普通に嫌ですけど」
とオレはちゃんと断ったよ~。
そ・れ・な・の・に~。
わがまま女王様にへそを曲げられたら敵わないと王国の幹部や大物貴族達が勝手に動いて、
ザク男爵家の三男で貴族教育なんて全然受けてないオレに家庭教師を複数付けて称号が出るまで(何故か場所はバジーナード宮殿で)ガリ勉とマナーを徹底的にさせるわ~。
オレを狙った賊討伐の功績でトミナさんにアポリス王国の男爵位を与えて副隊長に添えるわ~。
オレ自身も【神童】云々以前にもうLVが1699な訳で、知識や技能の習得率が半端ではなく、
「えっ、本当にこれまで勉強されてなかったんですね?」
「貴族の子弟が10年掛けて習得する高等教育までこの量の勉強を僅か8日で暗記した? 嘘ですよね?」
「いくら【神童】の称号があるからって・・・」
「えっ、その剣速、LV200以上ある? さすがはスカイドラゴン討伐者」
家庭教師達がナイスリアクションでヨイショしてくるのに気分が良くなって、オレも調子に乗って勉強と剣やマナーの修練をしてしまった事もあり、僅か30日でアポリス王国の高位貴族に相応しい男になってしまった訳なのだが。
◇
30日が経過したのだ。
各国の情勢はもう新たな局面を迎えていた。
まずはアポリス王国。女王様を王座に添えて重臣達はそのまま留任。国家体制は前王時代のものを維持してるが、前王に嫌われてた女王様の従兄(40代)の大公が国政に食い込もうとして、どこからともなくリオン殿下の件の黒幕説が流れて大公家族は表向き、食中毒に中って不慮の全滅という事になった。
第2親衛隊長なのでオレも真相を知ってる側な訳だが、真相は暗部による暗殺だから~。
もう、何~?
宮廷政治とかマジで面倒いわ~。
太閤秀吉も信長の家臣時代にこんな苦労をしたのかね~?
いやいや、してないだろ。
信長は暴君だったから何でも1人で決めてたはずだし。
まあ、それに従うだけでも大変だったろうけど。
それにしても毒殺って怖っ!
次にエマリス帝国に侵攻されたマチルダーズ連合は、首都モスヘンバウワー決戦において新代表のガウリスさんが討ち取られる始末。
首都決戦なんかで逃げたら支持を失うからだろうけど、討ち死にするまで戦うかね~。
どうせ負けるの確定なんだから、さっさと降服すれば良かったのに~。
まあ、それも嫌か。
就任1年目な上、歴史に無能として名前が残るから~。
そう思ったらトミナさんは選挙に負けて助かったって事か?
う~ん。
運命とは分からないものだな~。
そしてエマリス帝国の方はそのままマチルダーズ連合全土に侵攻すると誰もが思ったが、ラジカーンとモスヘンバウワーを占領した状態で、兵を西側に転身させていた。
つまりは現状はその2都市だけが分捕られた格好だが、マチルダーズ連合は御存知、2派閥に割れてる。
次の代表も決められずに何も出来ない状況だった。
そのエマリス帝国の方は西側から攻めて来てるドゴストル王国を蹴散らし、逆にその王国領に進軍中。領土を土足で踏み荒らされたんだ。そりゃあ、潰すまで攻めるよな~。
最後にオレの出身国のジオール王国。これはブルー・ジオール王国と名前を変えて、シックスパックの腹筋のお姉さんが後継争いをしていた前にオレも会った馬鹿息子さんを王都オングスの崩壊の黒幕として火あぶりの刑にして完全に継承して女王の地位に就いていた。
◇
さて、アポリス王国の貴族ならば弱体化してるマチルダーズ連合の併合を進言するところだが、オレは、
「陛下、エマリス帝国に潜入してセンティピード・アラクネーを皆殺しにしてきていいですか?」
「アラン、言い方」
王冠を被った女王様が口を尖らせたので、オレが、
「アンリ様」
と言い直したら、機嫌を良くして、
「良かろう。但し、トミナは置いて行けよ」
「無論ですよ、単独の方が早いですから」
「期日は30日だからな。成果が上がらなくてもそれまでに一度帰ってくるように~」
「はっ」
「後、変な女に引っ掛からぬ事」
「当然ですよ。あそこの旧帝族の家来に魅了を掛けられた事があるんですから。ってか、アンリ様もオレが居ない間に魅了男に引っ掛かるとかマジで止めて下さいね」
「そんな事ある訳なかろうが」
「いやいや、クラン【氷の百合】で実際にありましたし~」
「余とそんな冒険者のクランを一緒にするではない。変な心配をしてないで行ってこい」
おいおい。
フラグにしか聞こえないんだけど、本当に大丈夫だろうな~?
「はっ、チャッチャと片付けて戻って参ります」
オレはこうして許可を得て単独でエマリス帝国へと向かったのだった。
そうだよ。
最初からこうしてたら良かったんだよ。
バニラさんや死んだルイタフ代表が無駄にオレの手綱を握ろうとするから~。
ホント、時間の無駄だったな。
女王様とオレの相性、もしかしていいかも。
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