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アポリス王国真道編

女王アンリ誕生

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 アポリス王国の王座。

 それはつまりはアポリス王国の最高権力の座だ。

 その王座に座る次期国王を決めるという行為は、アポリス王国の最高権力闘争を意味した。





 例え、王族のリオン殿下やお姫様が争う気が無くても・・・





 ◇





 オレは貴族区の屋敷住まいなので詳しい経緯は知らないが、





 昼間に王族7人が入った棺が城下を周回してから祭壇で火葬されるという式典を終えて、その日はオレの誕生日だったから普段は別々の部屋で眠るトミナさんと今夜は特別に一緒にベッドインして、当然それだけではなく、ナマ乳の谷間に顔をダイブして熟睡していたら、深夜にアホな使用人にドアを叩き続けられて起こされた。

「何?」

 ドア越しに質問すれば、

「第2王女妃殿下の親衛隊長のルナレシア・モシラ様がお越しです、緊急との事です」

 そう告げられ、仕方なくオレは着替えて、客間に顔を出した。

 本当にルナレシアさんが居た。

 ルナレシアさんが誰かって言ったら、初対面でお姫様にアッパーカットを喰らわせた後にオレの喉元に剣を向けて、最初に16文キックをされて壁に叩き付けられたお姉さんね。

 16歳のアンリ姫の親衛隊の隊長なので、更に3歳年上の19歳で、髪は異世界ファンタジーらしく水色のロング。眼鏡を掛けてない委員長タイプで、オレの事は当然、嫌ってる。

 まあ、身体のラインは委員長タイプながらかなりエロイんだけどね~。

 確かモシラ男爵家の次女だっけか?

 オレを嫌ってるルナレシアさんが直接、オレの許にやってきたのだ。

 何か遭った事は簡単に予想出来た。

「何か?」

「すぐに宮殿に来てくれ。妃殿下の一大事だ」

 軽口禁止とばかりのシリアスな顔だったので、冗談も言わず、

「ーーいいでしょう」

 と二つ返事でワイバーンで出向いたら、





 通されたお姫様の寝室の中は黒尽くめの死体だらけで、おそらく剣で返り討ちにしたのだろうお姫様が返り血を浴びた寝着姿でベッドに放心状態で腰掛けていた。

 不安そうな顔ね~。

 わがままお姫様にしてはないな。

 入室した瞬間、そんな事を思ったが、オレに気付いたアンリ姫が黒尽くめの遺体の1つを指差して、オレが視線を向けたら、覆面を脱がされてた賊の顔はリオン殿下だった。

「はあ? どうなったらこんな事になるの?」

 リオン殿下はもっと理性的だと思ってたけど。

「知らんわ。倒した後に顔を確認したらお兄様だった」

「本人の意志? 操られてた? それとも脅迫されて嫌々?」

「分からん。不意に寝込みを襲われたので。操られてたようには見えなかった」

 なるほど、少し気に入らない状況ではあるな。

 ってか、オレ、ヒューマンドラマとか嫌いなんだけど?

 前世では娯楽映画とか戦国ドラマとかが好きだったし~。

「調査は王位に就いた後にすればいいかと」

「次期王位最有力のお兄様を殺したのだぞ? 王位など就ける訳が・・・」

「就けますよ。ただ賊を返り討ちにしただけなのですから」

 そう言いながら、オレは他のメンツの顔も確認した。

 リオン殿下の側近ばかりか。

 眼鏡を掛けてお忍びでローセファースに来た時の連中は全員参加ね~。

 当然、あの時のお姉さんも黒尽くめの中に混じってた。

「王位の話は後だ。賊がお兄様だったというこの状況の忌憚のない感想を言ってみろ、アラン」

「凄く気に入らない」

「余もだ。お兄様がこんな事をするとはーー」

「大物貴族を呼ぶべきだと進言します」

「何故だ?」

「リオン殿下の遺体を見せた時、どんな反応をするのかじかに見るんですよ」

「よし、ルナ。詳細を話さずに呼んで来い。大公はいい。3公爵の当主全員だ」

「はっ」

 その後、テストされたが、





 さすがは大物貴族というべきか。

 公爵家の当主の3人ともがポーカーフェイスは完璧で、オレやお姫様が考えてた都合の良い成果は得られなかった。

 だが、お姫様が、

「王配はソヤツでいく。よいな」

 オレを指差したので、

「はあ?」

「貴族の間で余の王配を巡っての権力争いなど見たくはないからな」

「いや、それでも・・・」

 オレは否定的だったが、3公爵が、

「それがよろしいかと、

 と返事したので、あっという間にオレが王配候補になったのだった。





 リオン殿下の死は病死で決着。

 吉日を待って16歳のアンリ・イナ・アポリスがアポリス王国の国王に就いたのだった。

 マジで?





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