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アポリス王国真道編
王都バジーナードでの新居決定
しおりを挟む下心がなかったと言えば嘘になる。
このテの幽霊屋敷に取り憑いてる幽霊がお約束通り「美女の幽霊」で、触れてえっちい事をしてくれる展開とかを。
オレ、前世で美女幽霊と同棲するお色気漫画が好きだったからさ~。
そ・れ・な・の・に~。
グギャアアアアアアアア。
グアアアアアアアアアア。
屋敷内に居たのは人型の原形を保っていない悪霊の類で、それらが悲鳴を上げて、勤勉なる我が透明分身、または(オレには視えない)トミナさんの透明分身に退治されていた。
その数、8匹(?)8体かな、この場合?
ともかく全部が駆除されて、ついてきた文官が、
「さすがスカイドラゴンを倒されただけありますね。登場と同時に威圧だけで屋敷に巣食っていたゴースト群を退治されたのですから」
ゴースト?
それだと幽霊だろうが。
どう見ても今のはその上位種の悪霊だと思ったが。
そして透明分身が視えない文官にはオレが威圧で悪霊を吹き飛ばしてるように見えてる訳ね~。
「まあね」
教えてやる義理もないのでオレが答えると、
「この屋敷で問題ございませんね?」
「うん、使用人もちゃんとしたのを手配してね」
「畏まりました」
という訳で新居が決まったのだった。
◇
オレは最近、アポリス王国の宮殿滞在中を始め、その前のマチルダーズ連合でも精霊獣に関する文献を読み漁っている。
そればかりか、カクリ・コンゼート樹海の樹上街エアロットスでもイケメンエルフに質問しまくった訳だが、その結論として、
契約した精霊獣が嫌う異性と付き合うのはよろしくないーーらしい。
そうなのだ。
OKサインを出してるトミナさんの事をピピーが嫌がってるので、それを無視して大人の階段を上った場合のリスクを確認してる訳だが。
先人達の記録が記された文献を読んだ限りでは「最悪、精霊獣との契約解除まである」らしかった。
冗談ではない。
トミナさんとエッチしたくらいでピピーを失うなんてっ!
でもトミナさんともエッチしたい。
ってか、早くエッチしないと。
今のトミナさんはマチルダーズ連合の魔法騎士の恰好を止めて、オレがプレゼントしたスカイドラゴン(青)で作ったドレス鎧を纏ってる訳だが、妙にエロくって、他の男どもが寄ってきそうだからさ~。
トミナさんはダメなの、ピピー?
と心の中で尋ねても、ピピーの返事はピピピッで訳すと、
あの女はダメ。聖属性じゃないから。
だった。
ホンマ、やってられまへんわっ!(コテコテの関西弁)
そんな風に思う今日この頃だった。
◇
そして出奔から12日が経過したマチルダーズ連合情報。
マチルダーズ連合がエマリス帝国を攻めるまでもなく、エマリス帝国の方がマチルダーズ連合に兵を向けて侵攻を開始していた。
飛獣を擁する空軍もあるが、陸軍がメインなので、ラジカーンでの攻防戦が続いてるらしい。
ラジカーンはカスボール陣営なので必死に戦ってそうだが、遠いアポリス王国には詳しい戦況までは届いていなかった。
でも、どうしてマチルダーズ連合に攻めてきたんだ?
やはりオレがあの時視たビジョン通り、ダークエルフが旧帝族を奪ったのか?
ダークエルフの長老はアラクネー嫌いらしかったからな~。
ダークエルフが奪ったのなら旧帝族をエマリス帝国に返還してないに決まってるし~。
それどころか、もう殺してる可能性すらある訳ね~。
それでブチギレたセンティピード・アラクネー集団がエマリス帝国の兵を使って攻めて来てる?
まあ、もうオレには関係のない事だけどね~。
◇
屋敷に移り住んだその日の夜に速攻で襲撃部隊が来やがった。
はい、賭けはオレの勝ち~。
「貴様ら、母上の命令ではなかろうなっ!」
オレの屋敷の表庭で侵入した賊20人程にそう吠えたのはアポリス王国の第2王子のリオン殿下だった。
もちろん、本物だ。
バジーナード宮殿の滞在12日間でお近付きにちゃんとなっておいたからね~。
ほら、前に模擬刀で顔面を殴ってるからさ~。
ちゃんと謝罪の意味も込めて仲良くなっておいた。
リオン殿下の方は何故かかなりオレに礼儀正しかったが。
もしかしてオレ怖がられてる?
そんな訳で、今夜はリオン殿下が居た訳だが、そのリオン殿下を見た賊達の反応は、
「貴様~っ! よりにもよって殿下の御姿を借りるとは万死に値するぞっ!」
「標的よりも、まずはあの不敬者だっ!」
リオン殿下が狙われたのでした~。
正直、そのまま賊にリオン殿下が殺されたら面白い展開になるのだが、
「させるかっ!」
(お姫様のLV上げに参加して)LV505になってるトミナさんが居るんだよね~。
それに何故か、夜なのにワイバーンが舞い、
「面白そうな事になってるではないか」
お姫様が飛び降りて参戦していた。
こっちのLVは310。
いや、ここ2日はオレ抜きでLV上げをしていたらしいから更に上がってるはずで、もうその辺の賊に扮した暗殺部隊も敵ではない。
そしてオレには勤勉なる透明分身が2体も居る。
LV333とLV166。
それが視えないトコから攻撃するのだ。
賊側にしたら堪ったものではなく、20人全員が簡単に捕縛されて一件落着したのだった。
捕縛して賊を連行時に、
「どうしてお兄様が居るのよ?」
「アラン殿と取引をした。母は罰さぬとの条件で」
「ああ、王妃が黒幕だったんだ~。大変ね、お兄様も」
「アンリはどうして居るんだ?」
「だって、絶対に襲われると思ってたから鎧着て待ってた」
「夜更かしは程々にな」
「子供扱いしないでよね」
なんてリオン殿下とお姫様が喋ってるが、オネムのオレは子供扱いして欲しい年頃だったので、さっさと帰って欲しかったのだが我慢して事後処理を見守ったのだった。
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