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マチルダーズ連合撤退編
最後までシーバヤが邪魔を
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選挙に負けた側だが、それでも健闘を讃えられて支持者に囲まれていたトミナさんと2人っきりになれたのは選挙が終わって、新代表誕生祭が始まった2時間後だった。
まだ午後の時間帯だったが、もう完全なお祭り状態で群衆も酒を飲んで酔っ払ってる。
「トミナさん、ノルメ閣下から聞いてる?」
「ええ、指示されて念の為に荷物もまとめておいたから。いつでも発てるわ。行きましょう」
「どうしてアポリス王国かは聞いてる?」
「レコアーヌ公国だとアランが英雄だからじゃないの?」
ああ、トミナさんはもうオレの事をアラン呼びね。
オレもですます口調じゃないし、トミナさんも完全に女言葉だし。
というのも言ってないけど、実はえっちい事をする寸前まで行ったのだよ、オレとトミナさんって。ムフフ。
それもいたいけな少年のオレがトミナさんに襲われる側。
いや~、あれは良かった~。
まあ、お約束とばかりに暗殺者が3人襲ってきて邪魔されたけどさ~。
余りにムカついたんで殺さずに両腕と両足を吹き飛ばしてやったんだけどね、その3人は~。
「なら、アポリス王国でいいんだよね?」
「ええ。そっちはクランに伝えたの?」
「まさか。トミナさん優先だから。ってか、監視員だらけのクランなんかに伝えたら筒抜けだから」
こうして厩舎へと移動し、ワイバーンを失敬したかったが、さすがに盗むのは悪い、と思い、ちゃんとオレのグリフォンに背鞍を付けて、トミナさんは自前の魔法騎士姿に変装して、トミナさんが操縦席に乗って、オレ達はモスヘンバウワー宮殿から旅立ったのだった。
◇
トミナさんが魔法騎士姿なのは空の移動をスムーズにする為だ。
これでマチルダーズ連合内の空の移動はノンストップで、アポリス王国との国境まで一直線のはずだったのに。
またシーバヤの街だ。
選挙結果が出て、敵対派閥陣営、つまりはシーバヤの街側が勝ってお祭り騒ぎのはずなのにしっかりと警戒してやがって、
「そこのグリフォン、所属を言え」
グリフォンに乗った魔法騎士がオレ達に接近してきた。
「撃ち落とす、でいいんだよね?」
小声でオレが問うと、
「ダメに決まってーー嘘っ!」
トミナさんがオレを止めようとして、そう絶句した1秒後には、その魔法騎士は衝撃を受けて落馬ならぬ落グリフォンして空に投げ出されていた。
【浮遊落下】の魔法のアクセサリーを持ってたのか、ゆっくりと落ちてる。
「もしかしてトミナさんの分身が?」
「ええ、まあ」
「さすがに優秀だね~、トミナさんの分身だけあって~」
「どこがよ? 毎回これだとこっちの身が持たないわ」
そう言いながらもトミナさんは浮遊落下中の魔法騎士を放置しても大丈夫だと判断したのか、そのままグリフォンで飛び進んだのだった。
オレが振り返って落下中の魔法騎士を見てると、グリフォンを出して乗ってるオレの分身の小月の方がとどめとばかりに棒でその魔法騎士を殴って気絶させていた。
さすが、勤勉なる我が透明分身も優秀だぜ。
そしてそのままオレとトミナさんが乗ったグリフォンはマチルダーズ連合の国境を越えて、アポリス王国へと入国したのだった。
まだ午後の時間帯だったが、もう完全なお祭り状態で群衆も酒を飲んで酔っ払ってる。
「トミナさん、ノルメ閣下から聞いてる?」
「ええ、指示されて念の為に荷物もまとめておいたから。いつでも発てるわ。行きましょう」
「どうしてアポリス王国かは聞いてる?」
「レコアーヌ公国だとアランが英雄だからじゃないの?」
ああ、トミナさんはもうオレの事をアラン呼びね。
オレもですます口調じゃないし、トミナさんも完全に女言葉だし。
というのも言ってないけど、実はえっちい事をする寸前まで行ったのだよ、オレとトミナさんって。ムフフ。
それもいたいけな少年のオレがトミナさんに襲われる側。
いや~、あれは良かった~。
まあ、お約束とばかりに暗殺者が3人襲ってきて邪魔されたけどさ~。
余りにムカついたんで殺さずに両腕と両足を吹き飛ばしてやったんだけどね、その3人は~。
「なら、アポリス王国でいいんだよね?」
「ええ。そっちはクランに伝えたの?」
「まさか。トミナさん優先だから。ってか、監視員だらけのクランなんかに伝えたら筒抜けだから」
こうして厩舎へと移動し、ワイバーンを失敬したかったが、さすがに盗むのは悪い、と思い、ちゃんとオレのグリフォンに背鞍を付けて、トミナさんは自前の魔法騎士姿に変装して、トミナさんが操縦席に乗って、オレ達はモスヘンバウワー宮殿から旅立ったのだった。
◇
トミナさんが魔法騎士姿なのは空の移動をスムーズにする為だ。
これでマチルダーズ連合内の空の移動はノンストップで、アポリス王国との国境まで一直線のはずだったのに。
またシーバヤの街だ。
選挙結果が出て、敵対派閥陣営、つまりはシーバヤの街側が勝ってお祭り騒ぎのはずなのにしっかりと警戒してやがって、
「そこのグリフォン、所属を言え」
グリフォンに乗った魔法騎士がオレ達に接近してきた。
「撃ち落とす、でいいんだよね?」
小声でオレが問うと、
「ダメに決まってーー嘘っ!」
トミナさんがオレを止めようとして、そう絶句した1秒後には、その魔法騎士は衝撃を受けて落馬ならぬ落グリフォンして空に投げ出されていた。
【浮遊落下】の魔法のアクセサリーを持ってたのか、ゆっくりと落ちてる。
「もしかしてトミナさんの分身が?」
「ええ、まあ」
「さすがに優秀だね~、トミナさんの分身だけあって~」
「どこがよ? 毎回これだとこっちの身が持たないわ」
そう言いながらもトミナさんは浮遊落下中の魔法騎士を放置しても大丈夫だと判断したのか、そのままグリフォンで飛び進んだのだった。
オレが振り返って落下中の魔法騎士を見てると、グリフォンを出して乗ってるオレの分身の小月の方がとどめとばかりに棒でその魔法騎士を殴って気絶させていた。
さすが、勤勉なる我が透明分身も優秀だぜ。
そしてそのままオレとトミナさんが乗ったグリフォンはマチルダーズ連合の国境を越えて、アポリス王国へと入国したのだった。
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