上 下
116 / 140
マチルダーズ連合撤退編

銀行の資金回収担当になった気分

しおりを挟む
 アポリス王国で倒したスカイドラゴンの素材25%のお値段、3000億円。

 レコアーヌ公国で倒した銀陸王(アースドラゴン)の素材20%のお値段、7400億円。(倍近いサイズだったからね~)

 カクリ・コンゼート樹海の樹上街エアロットスで倒したオールホワイトサーペントの素材10%の予定売却額、9600億円(10%でも、200メートルの上、属性が全部オールのレアだったからね~)





 ◇





「突然、全額を求めるとは代表が死んだマチルダーズ連合の選挙に介入する気か、おまえさん?」

「さあ、そこまでは。でも何かあった時に動かせれる資産が必要ですので」

 アポリス王国のスカイドラゴンの分はオレ担当のモスラドさんから、

「どうぞ、お納めください、英雄様」

「無理を言って申し訳ありません、公王陛下」

 レコアーヌ王国の銀陸王の分は老王から回収出来た。





 だが、問題は樹上街エアロットスだ。

 まだ日数が経っていない。

 いや、正確には日数は経過しているのだが、まだ解体作業が終わっておらず、出向けば80%以上が残っていた。

 まあ、解体が終わっていないのも当然だけど。

 まずはサイズ。

 200メートル級のサーペントだからね~。

 しかし、それ以上に解体が進んでいない原因は場所がエルフ族の里だからだった。

 つまりは部外者の来訪はお断り。

 オレはどうも特例で許可が下りてるらしかったが。

 その上、エルフも死にまくってて、何より解体作業担当の数が元々少ない。

 里の全員でさっさとやってよ~。

 このままだと国境の古代種のサンドワームみたいに腐るんじゃないの、これ~?

 と思いつつ、一応尋ねてみると、

「素材代だと? アレを見て良くそんな事が言えるな、これだから欲深い人間は。当分、無理に決まってるだろうが」

 オレとの専属折衝係でもある自警団の幹部らしき、前にオレが襟首キャッチしたイケメンエルフ、レーモンドツールさんが不信感丸出しの視線をオレに向けてきた。

 オレ、地面に叩き付けられそうになったレーモンドツールさんと丸呑みにされた奥さんの両方の命の恩人だよね~?

 なのに、何、その上からのリアクション?

「オレがブツ切りに解体しましょうか?」

「ダメに決まってるだろ。零れ落ちた体液が樹木を溶かしたら洒落にならないからな。この下に何があると思ってるんだ?」

「? 樹上街エアロットスの下に何かあるんですか?」

「言う訳ないだろっ! まさか、偵察に来たのか、人間?」

 何、コイツ?

「はあ? 自分から話を振っておいて何ですか、それは? オレが興味があるのはこっちの素材ですよ。先に10%分を貰うなんて事は可能ですか?」

「おまえがもう里に来訪しなくなるのだから、こちらとしてはそれも選択肢の一つだと思ったが、巫女様が『ダメだ』とおっしゃられてな」

 遭った事もない巫女様ね~。

「ならば、本日の分だけでもーー」

「ダメに決まってるだろうが。さっさと帰れ」

「ええ~、せっかく足を運んだのに無駄足なんですか~? そうだ、何か掘り出し物のエルフの薬とかはありませんか? 交易用に作ってるんでしょ?」

「今回はエアロットスの矢の出来はいいらしいぞ」

「矢じりが魔石で魔法が発動する使い捨ての癖に滅茶苦茶高価な?」

「それだ」

「さすがに買えませんって。弓使いでもないのに」

 なんて話をしたが、やっぱり資金の回収は無理だった。





 クッソ~。

 「おっぱい貯金」ならともかく、ただの資金の回収の為にどうしてオレが出向かないとダメなんだ~。

 このレーモンドツールさんがずっと張り付いてるからエルフのお姉さん達との出会いもないし~。

 足を運んで損した~。





 ◇





 ローセファースの街のクラン【氷の百合】の拠点のクラン長室の机の上にクランの運営費という名の10%上納金を金塊ならぬミスリルかいで並べたオレは、

「という訳でエルフの樹上街エアロットスからの回収は無理でした~」

 バニラさんに説明した。

 ホント、10%のクラン運営費って問題だよね~?

 だってドラゴン2匹で、740億円がオレの上納金なんだから~。

 いくらバニラさんのおっぱいを毎晩楽しんでるからって、これって少しボッタクリ過ぎなんじゃないの~?

 いい加減、クランも潤ってるでしょ?

 そう思ったが、バニラさんが、

「アラン、アナタ、これからモスヘンバウワー宮殿に出向いて選挙の日まで居座ってちょうだい」

「何をやらせるつもりなんですか?」

「代表陣営の立候補者、トミナの護衛よ」

「本当にトミナさんが立候補するの?」

「するでしょ、LVが500手前なんだから」

「へ~」

 選挙の投票日は10日後。

 投票権を持つ議会の議席持ち24人による1回勝負。

 とは言っても、何人が欠席する事になるのやら。

 それで30年間君臨するマチルダーズ連合の代表が決まる、と。

 前世の日本ではやたらと選挙をやってる印象があったが、この1発勝負の選挙も問題だよな~?

 1回勝負で30年先までが決定って~。

「分かりました、出向きます」

 オレはそう答えたのだった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-

一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。 ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。 基本ゆったり進行で話が進みます。 四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

処理中です...