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カクリ・コンゼート樹海波紋編

エルフの樹上街、エアロットス

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 やってきました~、カクリ・コンゼート樹海内の中央の浮遊滝~。

 重力を無視した小さな浮遊島が今世の異世界ファンタジーのカクリ・コンゼート樹海にもあり、その浮遊島からどういう原理かは不明だが凄い水量が溢れ続け、地上に落ちて滝になってる場所――それが浮遊滝と命名されていた。

 実は、このカクリ・コンゼート樹海には2個あり、オレが来てるのはその内の中部の方だった。

 当然、その下には巨大な湖が出来ており、高度の低い地へと川になって流れてる。

 まさにカクリ・コンゼート樹海の水源という訳だ。

 オレはその湖畔に降り立ち、送迎を担当するマチルダーズ連合の魔法騎士のオジサンと呼ぶにはなまりが強いオッチャンが、

本当ほんに2時間後にここに戻ってくればいいがか?」

 これって土佐弁だよな、やっぱ?

 前世で坂本竜馬のドラマで見たような。

「はい」

「おまん、頼むけ~、戻ってきちょーよ? ワシが代表閣下に怒られるき」

 見ない顔だと思ったら代表閣下の直属かよ。

「わかりました、もっと速い時は聖矢を空に射て合図を――」

 オレの言葉は、





「冷たい冷たい冷たいっ!」

「クソ~、何よ、これは?」





 との森からの声に遮られた。

「なんがや?」

 魔法騎士のオッチャンが森に視線を向ける。

「冒険者が苦戦してるようですね。では、行ってきます」

「まっこと頼むぜよ、男と男の約束じゃき」

 こうして魔法騎士のオッチャンは安全な待機場所の獣人の城塞都市コンペーンロトに帰っていった。





 ワイバーンで飛んでいくオッチャンを見送った後、森へと振り返ったオレは、

「さてと」

 勤勉なる我が透明分身達は何を発見したんだ?

 湖畔から悲鳴が聞こえた森の中へと入ると、2匹のスネーク・リザードマンが既に透明分身達によって倒されてた。

 リザードマンなので殺虫スプレーで効くのはcoldだけだ。

 正体を明かしてから、棒で相手が視えてないのに一方的にフルボッコにしたってところだろうか。

「よう、生きてるか?」

 透明分身達が興味をこの場に居ないんだからやっぱり死んでるか。

 はっーーし、しまった~。

 ここはあの名台詞。

 「返事はない。ただの屍のようだ」を使うチャンスだったのに~。

 ああ、もうダメダメだな~。

「サクッと進むか」

 オレはエルフの樹上街、エアロットスを目指して進んだ。





 そしたら出るわ出るわ。

 スネーク・リザードマンが。

「ーー冷たっ!」

「ヒッ――」

 勤勉なる我が透明分身の行動範囲の広い小月の方が頑張って、オレの視界に入る前にスネーク・リザードマンの正体を暴き、出向けば、

「おまえの仕業かぁぁぁっ!」

「おっ、精霊獣を連れてるのか。ならば奪うまでだぁ! 死ねええええええっ!」

 逆ギレやピピー狙い(?)で襲われてうんざりしたけどね~。

 愚かなり。

 この実力差が分からないとは。

 経験値にもならない雑魚は消えろ。

 オレは触りたくもなかったので聖矢魔法でスネーク・リザードマン20匹程を倒し、従えてたビッグスネークを10匹程倒し、スネーク・リザードマン1匹に喰われてたが倒した後に口から出てきた精霊獣1匹を逃がしてやりーー





 ◇





 (体感にして20分後に)結界の前に辿り着いた。

 普通の奴はこの結界が視えないらしいが、オレは視える側の人間だったらしい。

 なので結界の切れ目というか綻びというか、通り抜けれる場所を発見して、

「お邪魔しま~す」

 オレは結界の内側に入ったのだった。





 エルフの樹上街、エアロットス。

 なんて言うから、どんなに高い樹木の上に街が造られてるのかと思ったら、高さ5階くらいの場所に多数の樹木が絡み合い、台座のように形成して、その上に街が出来ていた。

 そして、その街から、

「キャアアア」 

「止めろ、止めてくれっ!」

「うわあああ」

 複数の悲鳴が聞こえてくる。

 原因はオレじゃないぞ。

 オレは何もやっていないんだから。

 ーー何だ?

 もう何かが始まってるのか?

 あっ、もしかしてエマリス帝国の都市喰らいのか?

 モンスターが経験値を得る為にエルフどもを喰らってる?

 ってか、これ、どうやって地上から5階の高さまで登るんだ?

 ジャンプする?

 LV1366なら余裕で出来るが、あそこに変な風があるからな~。

 触れたら痛そうだし~。

 と途方にくれてると、

「うわあああっ!」

 あっ、エルフが1人降ってきた。

 男だが仕方がない。

 オレは優しく襟首掴みキャッチで助けてやった。

「うげっ!」

 失礼な奴だな~。

 大地に直撃したらグシャッだったんだから感謝モノのはずなのにそのリアクションって。

 因みに金髪エルフでムカつくらいのイケメンだった。

「はあ、はあ、助かっ――えっ、人間? どうやってここまで?」

「結界に穴が開いてましたよ。ってか、アラン・ザクって名前で、エアロットスからの指名依頼でアイスダブルヘッドタイガーを退治しに来たんですが、居なくてーー」

「巫女様が呼んだ? なら、早くあいつらを倒してくれっ! 妻が喰われそうなんだっ!」

 妻ね~。

 ーーじゃない。

「あいつらって?」

「スネーク・ジェネラルリザードマンだ。エアロットスに3匹侵入してきた」

「了解。ってか、どうやって登るんですか?」

「その大きな葉っぱに乗れ」

 という訳で一緒に乗って、エルフ語を呟いたら葉っぱが浮上を始めた。

 おおっ、異世界ファンタジーっぽい。

 前世のゲームのファイナル系だな。

 こうして葉っぱのエレベーターで移動し、





 ◇





 エルフの樹上街、エアロットスは建物全部が、樹木が繰り抜かれたり、複数の木々が組み合わさって出来た建物ばかりだった。

 そして街の中央の広場には、住民のエルフ達が集められて、

「おらおらおら~、さっさと出て来~い、トロビーブラード~っ! 出てこないと、また大切なお仲間を喰っちまうぞ~」

 190センチ級のスネーク・ジェネラルリザードマンが180センチサイズのエルフの美女を頭から丸呑みにしていた。

 さすがは蛇だな、丸呑みって。

 ってか、勿体な~。

 エルフ美女を食糧として消費するなんて。

 ーーちょっと待て。

 今、チラッとだけしか見えなかったが、今の丸呑みにされたエルフのお姉さん、眼鏡を掛けてなかったか?

 と思った時には、オレは駆け出して牙棒で、

「吐き出せ、おらっ!」

 ソイツの腹をダッシュスイングしていた。

「ぐえええええええええ」

 丸呑みされた今のエルフのお姉さんどころか、他にもエルフのお姉さんが5人も出てきた。

 えっ?

 明らかに質量がおかしいだろ?

 【アイテムボックス】的な何かなのか?

 ってか、最初に出てきたの、やっぱり眼鏡のお姉さんだったから。

 いや、注目すべきは服が溶けてる最後の方の半裸のお姉さん達だな~。

 危ない危ない。

 危うく世界がまた一つ詰まらなくなるところだったから~。

 とオレが安堵してると、

「おお、全員生きてる~」

「違うだろ。何と恐れ多いーー」

「ああ、なんて事をーー」

「ん? 人間か?」

「どうして人間が?」

「あの服、ドラゴンの素材じゃないか?」

「もしかして巫女様が呼んだ?」

 何やら無力なエルフ達がナイスリアクションを取る中、

「おまえ」

「死にたいらしいな」

 お付きっぽいスネーク・ジェネラルリザードマン2匹がオレを挟むように立ち、

「イチチチ、オレの食事の邪魔をするとはいい度胸だな?」

 オレが殴った奴が起き上がっていた。

 えっ? 飲み込まれたエルフのお姉さんにダメージがいかないように手加減したとはいえ、無傷って。

 ーーってか、このプレッシャー

 あれ。

 もしかしてLV1366のオレよりも強い?

 と気付いた時には大月と小月の透明分身がcoldスプレーを、オレを挟むように立つ2匹の顔に吹き掛けてた。

「うぷっ!」

「ぬあっ!」

 2匹が顔を抑える中、オレは先手必勝とばかりに、挟むように立つスネーク・ジェネラルリザードマンの顔面を1回転するように1回のスイングで(クソボールを打つように)殴った。

 バリン、バキンッと瞬間的に凍った事で簡単に顔面が砕けて絶命する。

 だよな?

 これが普通だ。

「テメー、よくもオレの手下を――」

「八天賢トロビーブラード様の命により、おまえを討伐するっ!」

 オレはドヤ顔でソイツを牙棒の先で指して宣言した。

 ゴーストエルフのトロビーブラードに全部押し付けちゃった~。

 もう死んでるのに~、テへ。

「はあ? そんな命令、トロビーブラードが出す訳がないだろうがっ! 八天賢同士は不戦なのにっ!」

「はあ? モンスターのおまえが八天賢だと? 何を言ってるんだ、身の程を知れっ!」

 これは本当だ。

 さすがにモンスターが八天賢になれる訳がないだろ。

 えっ、表向き知られてないだけで、実はそうなのか?

 『よこしまなる存在もの』のトロビーブラードも八天賢になってるんだから。

 で、それを隠して、この世界の人達に尊敬されてる?

 だとしたら相当、喰わせ者の集団だぞ、八天賢って。

 でも眼の前のこいつは邪なる存在じゃないな。

 ピピーの怒り具合から見て、ただのモンスターか。

「オレは悪食の――もういい。死ねっ!」

「愚かなり。死ぬのはテメーだよっ!」

 こうしてボスとの戦闘になった。





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