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カクリ・コンゼート樹海波紋編

獣人の城塞都市コンペーンロト

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 カクリ・コンゼート樹海の広さはマチルダーズ連合の国土の2.8倍くらいあって凄いらしいが。

 マチルダーズ連合の魔法騎士団がワイバーンで送迎してくれてるのでね~。

 地上のモンスターとエンカウントする長い森の移動時間はスキップなのだよ。

 ハァーッハッハッハッ。





 ◇





 そんな訳でやってきました~、カクリ・コンゼート樹海の東部の氷漬けになってるアイスダブルヘッドタイガーの縄張りの上空~。

 マチルダーズ連合の魔法騎士団によるワイバーンでの送迎って本当にありがたいよね~。

 まあ、オレが乗るワイバーンを操縦してるの男の魔法騎士だったけど~。

 そして、今回の目的のアイスダブルヘッドタイガーのLVは測定不能。

 つまりは500オーバーという事だ。

 まあ、今のオレのLVなら余裕なはずなんだけど~。

「ヒャッホー、速い速い。もうカクリ・コンゼート樹海ですよ、師匠?」

「怖い怖い怖い、無理無理、この高さ~」

「坊や、まずは獣人の城塞都市コンペーンロトの冒険者ギルドに挨拶だからね。ったく、どうして一番新入りのはずの私がこんな責任を負わされないとダメなのよ~」

 パリ、ジョニー・デ、――コホン、ジョニー、ミスタナさんが同じくワイバーンでマチルダーズ連合の魔法騎士団に送迎されていた。





 何故こうなったかと言えば、





 総ては遠征前日にバニラさんに相談した時、バニラさんが、

「遂に呼び出しが来たわね、トロビーブラードからの」

「オレ、何もしてないも~ん」

 オレがそう事実を言うと、迫力ある笑顔をオレに向けたバニラさんが、

「その言い訳、相手にも通じればいいけど」

「バニラさんがダメだって言ったら、オレ行かないけど?」

「八天賢のトラビーブラードの呼び出しを無視した方が怖いのに、そんな事出来る訳がないでしょっ!」

「なら?」

「ええ、行ってらっしゃい。但し――そうね、パリとジョニー、それにミスタナも連れて行って貰おうかしら」

「はあ? どうして? オレ1人なら一瞬で行って帰ってこれるのに」

「そんなの、アランを暴れさせない為の『』に決まってるでしょうが。それとアランには言ってなかったけど、ミスタナは代表閣下の遠縁だから。死なせたら相当拙い事になるからちゃんと守るのよ」

 おい。

「ミスタナさんが代表閣下の遠縁? バニラさん、オレ初耳だけど、それ?」

 そんな大切な事はちゃんと教えておいてよ~。

「だから、今教えてあげたでしょ。イチャイチャもしちゃダメだからね。結婚させられるわよ」

 そうか。

 それで前にオレの寝室に潜り込んできてたのか。

「しませんよ。代表閣下の遠縁だと分かった時点で」

 なんて会話があり、





 この3人もオレのストッパーとして同伴していた。

 3人ともアースセブンケルベロスシリーズの装備を纏ってる。

 オレはミスタナさんを見た。

 巨乳のセクシー女魔法騎士だとばかり思ってたが油断してたな。

 クソ~。

 まさか、ルイタフ代表の遠縁とは~。

 正直狙ってたのに~。

 裏切られた気分だ。

 ルイタフ代表め~、やってくれる。

 縁がなかったな、ミスタナさんとは。

 ドサクサまぎれに御退場して貰うか?

 いやいや、退場させるにはあのセクシーさは勿体な過ぎる。

 後腐れなく関係を持つなんて夢のような都合の良い方法はないものだろうか。

「何、坊や?」

 視線に気付いたミスタナさんがオレに質問してくる。

「鋼鉄魔法を使うパリより強い、でいいんだよね?」

「そのつもりよ」

 経験値ブーストもあって、クラン【氷の百合】に申告してる現在のLVは208。

 強いはずだが。





 それにしてもーー何だろうな~。

 胸騒ぎがする。

 もしかして今回、この中から本当に誰かが死んだりする?

 死んでもいいけど、オレの足を引っ張ってはくれるなよ~。

 そんな事を思いながら、カクリ・コンゼート樹海上空を移動したのだった。





 ◇





 困った事となった。

 オレの胸騒ぎが外れたのだ。

 結論として同行者の3人は死ななかった。





 なのだが、





 今回のアイスダブルヘッドタイガーの討伐はエルフ族の要請だが、エルフ族の樹上街エアロットスにはワイバーンでは乗り込めない決まりとなっているらしく、現地の東部の森を上空から確認後に一度冒険者ギルドに立ち寄る為にカクリ・コンゼート樹海の北側に位置する獣人の城塞都市コンペーンロトにワイバーンで着陸する事が最初から決まっていた。

 だから、そこに着陸した訳だが、

 城塞都市コンペーンロトはカクリ・コンゼール樹海の北部に位置し、カクリ・コンゼート樹海の北側にはエマリス帝国が広がってる事から、





「ヒッ、何だーーへ? どうし・・・」

「な、エリオットが人型のモンスターに?」

「何? このヤバそうな気配・・・え?」

「サラさん、その姿ーー嘘、モンスター?」

「何をしてるっ! 退治しろっ!」

「どうなってーー」

「隊長までがモンスターに?」

「騙してたのかっ! モンスターだったなんてっ!」

「信じてたのにっ!」





 到着と同時に(こっちはやりたくもないのに)獣人に化けてたセンティピード・アラクネーの討伐祭りとなった。

 何せ、オレには透明分身が2人居る以前に【アラクネー神殺し】の【畏怖】がある。

 有効範囲は400メートルほどらしい。

 オレが乗ってるワイバーンが獣人の城塞都市コンペーンロトの飛獣発着場に降下態勢に入って近付いたら、地上がこの騒ぎとなった。

 そしてワイバーンに乗ってたオレの勤勉なる透明分身2人の内、小月の方の分身が先に降下だ。

 どうも分身の活動距離も大月とは違い、長いらしく、余裕で100メートルはオレから離れていた。

 オレはLV1366。

 小月の方の分身は10%でそのLVは136。

 LVはそのまま殺虫スプレーの残数でもある。

 まあ、修復中なのが4本あって、それは使えない訳だけど。

 そのオレの分身が地上に向かい、地上からは、





「グオオオオオオオオオオ」

「何で? 苦しいぃ~」

「グアアアアアアアア」





 アラクネーの悲鳴が聞こえてきた。

 だが発着場に到着した時にはまだ戦闘は終わっておらず、

「強い奴は出現したセンティピード・アラクネーを倒せっ!」

「スネーク・リザードマンも居るらしいぞっ!」

「ともかく救援をっ!」

 騒動が続いていて、眼を輝かせたパリが、

「師匠が出るまでもありません。弟子のオレが仕留めてきますねっ!」

 自分が暴れたいだけの癖にそう理論武装して騒動の方へと駆けて行き、ジョニー・デーーコホン、ジョニーは、

「パリ様、ダメですーーくそ、まだ気持ち悪い~。パリ様、お願いですから危険な事は止めて下さい。いいですね」

 ワイバーンから地上に降り立った直後に四つん這いで動けず、

「私もLV上げをしてきていい?」

「どうぞ」

 オレの言葉を聞いてミスタナさんまでが騒動が起こってる場所にアラクネーを倒しに行ったのだった。

 頭の上でピピーがピヨピヨとパリ達を応援する中、オレは何もしていないが、分身までが殺虫スプレーを使って暴れ、アラクネー9匹を倒した他、リザードマン2匹、ワーウルフ3匹も住民に紛れていたらしく、分身がcold スプレーで正体を暴き、最後には退治されたのだった。





 アラクネーは9匹ともセンティピードだったけど・・・数が少ないな。

 やはり本国のキラーアントの件で帰国してるのか?





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